投稿元:
レビューを見る
下巻では、さらに継母たちを失意のどん底まで蹴落とす少将(作中ではどんどん出世して呼び名が変わる)。なにせ父親が大臣で自分も出世街道のトップを独走しているので、金と権力を使って気持ちいいほどの復讐の連続。
しかし心優しい落窪の君は、老いた父や腹違いの姉妹たちが不幸になるのを悲しみ、少将は愛する妻のために和解。その後は孝行を尽くし、少将は人臣を極め、落窪の君も若君や姫君を何人も産み、大団円。
下巻の構成は、原文、現代語訳、補注、解説、ほか登場人物系図や引用和歌、重要語句索引等。
ああもう一度読みたくなってきた。
小公女セイラとか好きな人におすすめ。
投稿元:
レビューを見る
怒涛の復讐劇^^
そして継母側の不幸のエンドレスループ
昼ドラ並に酷いことするぜあの男^q^
でも一途なところはすごい
源氏物語成立前のヒーローはまさしく王子ですね
投稿元:
レビューを見る
作者不詳ながら、少なくとも「枕草子」よりは先に書かれた、平安時代の物語。「継母による継子いじめ」は当時の宮廷生活がも相当多かったらしく、この手の物語はたくさん」あったそうだ。
前半は非常に面白い読み物で、ストーリーの緊密さ、会話の豊かさなど、ほとんど「小説」である。「源氏物語」よりも小説らしい作品かもしれない。
継母に召使いのように扱われ「落窪の間」に幽閉された女主人公に、好色でグロテスクなエロ爺があてがわれる。この辺の「悪役のデフォルメ」ぶり、なんかディケンズみたいである。ところがこのエロ爺、「結婚」初夜に主人公が扉にカギをかけて閉め出され、そこでジタバタやっていたのだが、風邪を引いていたため、便をもらして服を汚してしまう。この事件はのちのち大勢の人間に大笑いされる。平安時代の宮廷文学に、こんなスカトロジックな哄笑が現れるとは! お上品に趣味の良さを気取った清少納言とは大違いだ。
ところで、この虐げられた女性にある男性が恋をして、やがて彼女を救い出して幸福をもたらすのだが、彼はただの噂ばなしを聞いて恋に駆られ、恋文を出す。会ったことも無いのにいきなり恋に落ちるというのは、現代の我々には不可解だが、アラビアンナイトにもそのような恋愛が多数描かれている。
ある種の状態の社会では、どうもそのようなものとして恋愛が楽しまれていたようである。