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フィンランド、スウェーデン、ノルウェーで永年古民家の調査を行ってきた著者の成果。写真と考察。
表紙はフィンランドのカレリア地方の保存された民家。
次ページにはスウェーデンの民家。とてもよく似ている。ノルウェーの民家もやはり木製。こちらは屋根に草を生やしている。サーミのテント住宅も。高床式倉庫も木製で3国やはり似ている。
北欧を考える時、緯度によって北緯66度以北の「北極圏」、北緯60度~66度の「北の北欧」、北緯60度以南の「南の北欧」に分けて考える。北極圏は大きな木は無く、「北の北欧」は最も北欧らしい北欧の地域で面積も広く、森林が豊か。「森の北欧」とも言われる。樹木の種類は少なくほとんどが針葉樹の赤松と唐檜。フィンランドでは白樺が多い。こういう環境が3国の木製古民家が似ている理由なのか。3国に共通する生業は林業だった。森はかつて畏怖の対象であり切り開いた土地だけが人間の世界であり、取巻く森林は魔物の棲む世界であるが、樹木信仰が生まれる、とある。・・ここらへんイギリス、フランスの感覚とちがうところか。
オスロ、ストックホルム、ヘルシンキは北緯60度前後にある。南の北欧になるとカシやブナなどの広葉樹も生え、北欧らしくない北欧といわれる。デンマークはすべて南の北欧となり、植生も生業も建物も違う。
スウェーデン南部のスコーネ地方の民家は白壁になっている。これはヴァランダー警部で舞台になっている地方。
他にイスやベット、スプーン、ゆりかご、など。また便器もありいずれも木製が紹介されている。便器は穴が開いたイス。またノルウェーでは2階建ての家の2階角に1階壁より外に張り出し、下に穴があけられ汚物はそのまま下に落ちる。下は豚小屋になっていて餌となるしくみ。中国西部からチベットへの旅行記「西域八年の潜行」でも似たような便所が出て来た。
018.1.22発行 図書館