投稿元:
レビューを見る
これでこそ、楽しみにしていた甲斐があるというものである。
やっと文庫化された。やっと。WOWOWでドラマ化された際に見た、あの耽美的な世界に憧れて、もうこの何年も思い出すたびに文庫が出てはいやしないかとヤキモキしていたのだ。
そして、その甲斐はあった。良作、名作である。そしてこの何かの理屈を掴みかけ、しかしそれを本当に掴んで読み解くことなどできないという無力感がかえって心地よい。
投稿元:
レビューを見る
急転直下、“ちょうだいお化け”なんて可愛いらしい呼び名を遥かに凌ぐ、百合の怪物級のもの凄い存在感に呑み込まれる。最終章に仄かに漂う幸福感。それは真由子の幸せなのか、直巳の幸せなのか…。それさえも百合という怪物の腹の中で消化された後に残ったスカスカの残骸でしかない気がしてしまう。持たざる者のハングリーさにタジタジ。
グーパンチをくらったような後味だけど、夢中で読むほどおもしろかったのは確か。
脇役で登場のあの「彼」が嬉しいサプライズだった。
投稿元:
レビューを見る
秀美くんが出てくるという理由で読んだ。大人の秀美くんも良い…。
ストーリーは、最初は20歳年下の男で、しかも友達の息子って…と思った。でも読んで行くうちに復讐に100%共感はしないけど2人の関係について気にならなくなった。でも最終地点はどこなのか、それは真由子も分からなさそうだったけど。
百合に対してはひどい女だなと思っていたけど、ラストを読むとひどいというかすごい女だな。
ドラマ化もされたようだけど、私の中ではずっと直巳ははっしーで再生されていた。若手俳優が分からんからだけども。高尾滋の絵でも再生してたな。
投稿元:
レビューを見る
想い人の諒一を奪った百合。復讐に燃える真由子は、二人の息子・直巳を手に入れると決意する――。『痴人の愛』に真っ向から挑む恋愛長篇。〈解説〉柚木麻子
投稿元:
レビューを見る
痴人の愛の逆パターンで女性が年下の男性を自分流好みに育てるが。やはり、痴人の愛のほうが小説としては好きかな。
投稿元:
レビューを見る
大好きな部類。
気の毒なマユちゃんの復讐は成功したとも言える。
ドラマverで百合を高岡早紀が演じていて凄いはまり役だったのを覚えている。
強烈で印象的なお話し。凄い。
たまにまた読みたくなると思うからまだ捨てれそうにない一冊。
ハマりすぎて谷崎さんの‹痴人の愛›も購入しました(´∀`)
投稿元:
レビューを見る
愛や幸せは与えられるもの?
奪うもの?作り上げるもの?
.
生まれた時から
その人の本質というものは
基本的に変わらない。
きっとそう。
育ちや環境や人間関係など
いろんな事がその人生に影響を与えたとしても。
.
「ちょうだいお化け」いるよね。
あと「マネっこお化け」も。
こーゆーのって
女の子特有のものなのかな?
.
怖いよね、強いよね、女の子って。
でも、
関わらなければ、
そっちに引っ張られなければ、
見てる分には面白い生き物だよね。
って思うのも、女だからかな。笑
.
帯に書かれていた
“もう減点方式で 冷めてしまう恋など したくない”
…ちょっとわからない。
私の感性と合わなかったみたい。
投稿元:
レビューを見る
『痴人の愛』のオマージュらしい。こちらは男女逆パターン。親友に好きな人を寝取られ、できちゃった婚された真由子。生まれた子は男の子。その子供の名付けを頼まれた真由子は「直巳(ナオミ)」と命名し、ナオミの心も体も支配することで、親友に復讐する-。ストーリーの本質は痴人の愛というよりも、女同士の確執のようなものか。それにしても男版ナオミが、21歳歳上の真由子に夢中に溺れていくのが、どうも納得いかなくてね..。真由子の魅力がそんなに見えてこない。やはり元祖痴人の愛のように、若い女に溺れる男の図式の方がリアルよね?
投稿元:
レビューを見る
0028
秀美くんが出てくるという理由で読んだ。大人の秀美くんも良い…。
ストーリーは、最初は20歳年下の男で、しかも友達の息子って…と思った。でも読んで行くうちに復讐に100%共感はしないけど2人の関係について気にならなくなった。でも最終地点はどこなのか、それは真由子も分からなさそうだったけど。
百合に対してはひどい女だなと思っていたけど、ラストを読むとひどいというかすごい女だな。
ドラマ化もされたようだけど、私の中ではずっと直巳ははっしーで再生されていた。若手俳優が分からんからだけども。高尾滋の絵でも再生してたな。
投稿元:
レビューを見る
真夜中、一気に読んでしまった。
山田詠美の小説の中で「僕は勉強ができない」と同じくらい好きな小説になった。
好きな人を取られ、敬愛する父をも取られ、精神が崩壊してもおかしくないような仕打ち。
それでも彼女は強く生きていた。取る側になる、罪を犯さない復讐。これ以上美しい復讐はないと思う。できないけど。
どうして?と思うところは、解説を読んだら全て納得できた。真由子自身、彼をその程度の男だと無意識のうちに分かっていて、本当によかった。
敬愛している人でも、あることに於いては俗物だったりする。気づけたら少し落ち込んで、次に行けばいい。そう思わせてくれる小説。とても好きでした。
投稿元:
レビューを見る
一章ごとに読み進めていったが、直巳と真由子の関係、真由子と百合の関係がどうなって行くのかが気になり、物語に入り込めた。
父とSEXをし自殺に追いやり、大好きな人を奪った百合に対する憎しみは相当なものだと思うが、そんなことがあっても真由子が育てた直巳はある意味ではいびつに、ある意味では純粋に育ったように思う。最終的に百合の策略(百合は真由子の幸せのため直巳を差し出した場面は嫌な女というよりただただ可哀想な女性なんだと感じられた)により、真由子は身体が不自由になってしまい、ずっと直巳に介護されて過ごすのだろうが、真由子がどういう気持ちなのか、賢く尊い女性であるから、察するのが難しい。
投稿元:
レビューを見る
直巳に出会う前の真里子は私のようで、出会った後の真里子は小田さんのよう。わたしも強い感情があれば小田さんのようになれるのかな。百合への不快感がすごい。文面だけでオエッてなっちゃう。「マユちゃんの言ってること、全然解んない」という幼少期の直巳に、「解りなさい」という真里子がいい女だった、わたしもいつか言いたい。あとヴェルレーヌが読みたくなった。
投稿元:
レビューを見る
谷崎潤一郎の『痴人の愛』を下敷きにした作品。真由子は元親友・百合の息子に直巳と名付け、自分の思い通りに育てることで自分から幸せを奪った百合へ復讐する—という話。
真由子が溜めた幸せを根こそぎ奪った百合から、今度は息子の直巳を奪うことで復讐するのだが、復讐が成功しているかというとそうでもないと思う。生粋のお金持ちで円満家庭で育った者特有の鈍感さを持った真由子に、機能不全の成金家庭で育った百合はこれでもかと男の浅はかさを突き付ける。真由子が奪った気満々でいる直巳も、その名付けを百合からお願いされたあの時点で百合に"奪わせられていた"のではないか。百合という女の底知れなさは確かに怖いが、私は真由子よりも百合にシンパシーを感じてしまった。
投稿元:
レビューを見る
読み始めからラストに至るまで女の嫉妬、情念、恨みなどの心理描写が巧みに描かれており真由子にも、もちろん百合にも殆ど共感出来ないにも関わらず面白く読めました。
「ちょうだいオバケ」の百合の不気味さ、真由子の百合に対する憎しみから取った行動 。
本文中で諒一が発した言葉「…まったく…女の中には、いったい何人の女がいるんだ…」に集約されている気がしました。
「痴人」の河合譲治に対して真由子ははたして「賢者」と言えるのか。
疑問は残りますが読み応えのある作品です。
投稿元:
レビューを見る
父と諒一という2人の愛する男たちを百合に奪われた真由子は、百合の息子の直巳を自分好みの男に調教して復讐しようとします。
山田詠美さんの作品も大好きでたくさん読んでいますが、
山田さんの作品は官能的でセンセーショナルな魅力も持ちつつ、それだけにとどまらない、物語の巧妙さとか、人生哲学も持ち合わせているから面白くて大好きです。
わたしが真由子だったらやっぱり百合に対して憎悪を持つと思う。
谷崎潤一郎の「痴人の愛」をなぞって、「ナオミ」と名付けられた百合の息子を使い、復讐しようとする気持ちもよく理解できる。
真由子は父と諒一と共にいた過去の自分はこの上なく幸せであったというけれど、
その時はきっとそれが真実だった思うのだけれど、
百合によって、父も諒一も、真由子の思い描くような高潔な男たちではなかったことが暴かれてしまった上では、
真由子は彼らと共にいても本当は幸せになれなかったんじゃないかとも思う。
真由子は美しいし、賢いし、努力しているし、思慮深い女性だと思う。
それに見合う男は、やっぱり真由子自身が作り上げた直巳だけだと思う。
真由子を表面だけでなく、深いところまで理解しようとしてくれ、彼女を一途に想い続け、素直な魂を持っている。
きっかけは不幸だったかもしれないけれど、真由子にはつり合わない俗物である諒一と結ばれるよりも直巳を作り上げた方が幸せだったんじゃないかな…。
それでも真由子は直巳ではなく、諒一を求めてしまうのが悲しい。憎いはずなのに。愛と憎悪って境界線は無いのかもしれない。
百合が真由子を作り上げ、真由子が直巳を作り上げ、でもその直巳が最後は勝者のような…。直巳は唯一、愛と憎悪の狭間ではなく、愛をちゃんと愛として全うできたんじゃないかな。
百合自身の不幸が真由子の不幸を生み出したけれど、そこからは直巳という幸福を生み出すことができた。
不幸は連鎖しがちだけど、幸福に昇華できたという意味では真由子は「賢者」だったのかも。