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揺り籠から墓場まで人類の伴侶、皆大好き酒のお話です。
厳密には酒を法律で分類し、違法のものが密造酒と呼ばれてきました。
合法よりも安価であり、危険を伴うことがしばしばあります。
失明したり中毒死したり色々ありますが、状況によっては多くが嬉々として飲むのです。
そんな不思議なお酒、密造酒について綴られた一冊。
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2020年1月15日読了。
⚫️世界の密造酒 P34〜
▽アルメニア 「オギー」 ブドウ、プラム、アプリコット
▽クロアチア 「ラキヤ」 ブドウ、プラム
▽エジプト 「ブーザ」 大麦
▽ハンガリー 「ハジパーリンカ」 プラム、アプリコット、サクランボ
▽インド 「フェニ」 カシューの実、ココナッツ
▽イラン 「アラグサギ」 レーズン
▽アイルランド 「ポチーン」 穀物、砂糖
▽ケニア 「チャンガー」 トウモロコシ、ソルガム
▽ラオス 「ラオラオ」 米
▽モンゴル 「アルヒ」 馬乳
▽ミャンマー 「トディ」 ヤシの樹液
▽ノルウェー 「イェンメブレンド」 砂糖
▽パキスタン 「クッピ」「タラ」 き軽の樹皮と砂糖
▽フィリピン 「ランバノグ」 ココナッツの樹液
▽ポルトガル 「スグアルデンテ・デ・メドロンホス」
メドロンホ「イチゴノキ」の実
▽ロシア 「サマゴン」 ジャガイモ、砂糖
▽南アフリカ 「ウィットブリッツ」 ブドウ
▽スーダン 「アラク」 ナツメヤシ
▽ウガンダ 「ワラギ」 バナナ、サトウキビ
▽アメリカ 「ムーンシャイン」「イト・ライトニング」
トウモロコシ、砂糖
⚫️ウエストヴァージニアは密造酒の製造で有名な州である。
⚫️ワシントンDCのダウンタウンにある
メトロポリタンクラブ
→1863年建設。
→会員には歴代の米大統領。最高裁判所判事、実業界の大物など。
⚫️カシップ
→スリランカ版の密造酒。
非合法の酒だが多くの人が病みつきに。
→スリランカにはヤシの木の樹液から造られる
トディと呼ばれる密造酒もある。
⚫️パラドックス
⚫️ムーンシャイナー
→非合法のウイスキー製造者
→ムーンシャイン=密造酒
⚫️エクアドルのシャーマンは、サトウキビから造る
「トラゴ」と呼ばれる密造酒を病人やけが人の体に
口で吹きかける。(「カマイ」と呼ばれる儀式)
⚫️インドのグジャラート州は1958年から禁酒法を
実施している州で、当局はその状態をこのまま維持していく
べきだと考えている。
⚫️ナショナルジオグラフィック製作のテレビ番組
「外国で刑務所に入る−サウジアラビアの酒密輸業者
Banged Up Abroad:The Saudi Bootlegger 」(2011年)
⚫️2010年、ケニア政府は密造酒として禁止していたチャンガーを
蒸留酒の一種として合法化する代わりに、その製造に関して
いくつかの最低限の基準を設けた。
⚫️初期の映画は密造酒造りを農村に見られるとくに誇らしいものではない
習慣として描いた。
「ムーンシャイン・アンド・ラブ」(1910年)
「テネシー・ラブストーリー」(1911年)
⚫️禁酒法によって出現したもぐり酒場を通して華美な上級階級の
生活を描く映画
「チャップリンのゴルフ狂時代��(1921年)
「青春に浴して」(1923年)
「シカゴ」(1927年)
「踊る娘達」(1928年)
「ベア・ニーズ」(1928年)
⚫️フラッパー
→
⚫️アメリカの禁酒法
→愛飲家たちをビールやワインから蒸留酒へ
→不快な味がすることが多い蒸留酒に果汁やスパイスを
加えて風味をよくする。
⚫️密造酒産業の中心人物達
▽アル・“スカーフェイス”・カポネ
▽フランク・コステロ
▽マックス・“ブーブー”・ホフ
▽マイヤー・ランスキー
▽バグス・モラン
▽バグジー・シーゲル
「聖ヴァレンタインデーの虐殺」(1929年)
→カポネの密造酒を盗んだライバルのギャングへの復讐として大虐殺を繰り広げ
国中を震撼させた。
→「ジェーンズ・キャングニーの民衆の敵」(1931年)
→「暗黒街の顔役」(1932年)
→「バビット」(1922年)シンクレア・ルイス
ノーベル賞受賞作
⚫️エリオット・ネス(公正な法執行者)
自伝やテレビドラマ「アンタッチャブル」
⚫️「最後のひとり The Last One」(2008年)
→伝説の密造酒製造者マーヴィン・“ポップコーン”・サットン
⚫️「欲望のバージニア」「ザ・マスター」はどちらも2012年公開で
密造酒製造をありのままに描いている。
⚫️▽スリランカの密造酒「カシップ」
▽コロゴチョ(ケニアのナイロビにある大規模なスラム地区)には
アルコール中毒者が大勢いて、彼らは密造酒チャンガーで
心も体も損なわれている。
⚫️「シルヴァー・ライトニング」(カリフォルニア)
「オニックス・ムーンシャイン」(コネティカット)
「アイオワ・コーン・ウイスキー」(アイオワ)
「サンダー・ビースト」(ミズーリ)
「ハドソン・ヴァレー」(ニューヨーク)
「グレン・サンダー」(ニューヨーク)
「コッパーシー」(ニューヨーク)
「パルメット」(サウスカロライナ)
「ハイ・ウェスト」(ユタ)
「デス・ドア」(ウィスコンシン)
⚫️バージニア州にあるフェラム・カレッジは30年前に
ブルーリッジ研究所・博物館を開設した。
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密造酒について、基本的な事柄や歴史的経緯などを簡潔にまとめている本。筆者は、密造酒を「違法に作られた蒸留酒」と定義している。このため、密造酒の歴史を理解しようとすれば密造酒政策を立案する政府とその政策に反対する個人の対立、そしてこの対立に目を付けたメディアが密造酒の大衆化を招くという関係について知る必要があるため、これに関係する事柄に紙面が割かれている。
法律制定の観点からは、禁酒法時代のアメリカについて少し調べるだけでもこの手の法律がうまく行かないことが分かりそうなものだが、今でも(施行の厳格さの度合いには差があるとはいえ)類似した法律が存在する地域があるというのが驚きだった。
逆に個人の観点から、手っ取り早くしかも安く酔える強いアルコールのためには、有毒物質が含まれる粗悪な密造酒を飲むことさえ厭わない人もいることは知っていた。しかし、刑務所の中でも盗んだバケツなどの中で発酵させた食品から蒸留酒を作り出すこともあると知って逆に感心してしまった。もちろん品質についてはお察しなのだが
軽めの読み物として満足度が高かった。