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「俺が」という一人称で、自伝さながらに田中角栄の歴史が語られていく。先見の明と豪放さと女性関係と、人間としてものすごく面白い。
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田中角栄の自叙伝だと思わせる絶妙な石原慎太郎さんの描く一人称に、引き込まれるように読んでしまいました。
目の前にいる角栄さんが僕に話をしてくれているようで・・
それがとても贅沢でステキな時間のように感じました。
あったかい気持ちになりました。
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田中角栄をリアルタイムで認識しているぎりぎりの世代です。物心ついた時にはロッキード事件の主犯というような認識でいました。
そのそも子供にどんな事件だったのかなんて分かるはずも無く、漠然と悪い事をした人という認識しか無くても仕方が無い事ですね。
ここ10年程田中角栄の再評価の機運が高まって、また角栄さんのような政治家が現れてくれないかという田中角栄待望論もありました。
清廉な人ではなかった事は確かですが、世の中を良い方向に進めて人々から賞賛を浴びたいというのは至極真っ当な事で、そのために金というツールを最大限活用したというのが概ねの真実では無かったかと感じました。
クリーンなだけでは思い通りに人を動かす事は出来ませんが、今は政治もスポーツ選手も俳優もひたすらクリーンさを求められますから、実際に角栄さんのような豪快な清濁併せ呑む系の人が居てもあっという間に世論に押しつぶされてしまいそうな気がします。
この本はあくまで石原慎太郎が描いた一人称の小説なのですが、思わず田中角栄の独白を読んでいるような気持になってしまいます。
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ロッキード事件の時は、まだ学生のころだったので田中氏は単に悪い人。
しかし時代が変わっていくとともに評価も変わってくる。
現代では少し見方も変わってきている。
ここの内容読んで実際ロッキード事件とはなんだったんだろうかという疑問も持ち上がってきた。
今の時代政治をやるには、難しい世の中になってしまって、こういう政治家は日本では二度と出てこないのだろう。
田中氏が活躍した古き良き時代だったのかなぁ。
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職場の人にオススメと言われ、読んでみたよ。
石原慎太郎が書いた本。
田中角栄として、って言い方は変かもだけど、
いろんな本を参考に書いた本だった。
正直、田中角栄のことを詳しく知らなかったけど、
そんな熱い思いで、日本を変えていこうと
思ってたんだなぁー、って思ったよ。
読みやすかった。
途中、母の言葉で、
「人さまに迷惑かけちゃならねぇ。
この気持ちだけだな。
これでありゃ、世の中しくじりはござんせん。
…人さまは人さま、
迷惑にならねえことを精一杯はたらくことだ。」
って言葉に、私も身にしみたよ。
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石原慎太郎が完全に田中角栄に乗り移っている。その作家としての才能に、むしろ天才的なものを感じた。
いま、田中角栄ほど愛国心を抱いて政治家をやっている国会議員はいるだろうか。金をばら撒いても、それが愛国心に基づくもので、国民の生活を守りたいという意志からくるものであれば、誰も文句は言わないのではないか。
次は、ロッキード事件に関する本が読みたくなった。
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田中角榮の伝記。元政治家であった筆者が現代を考えるうえで稀有な政治家を取り上げたというふうに読める。2021年9月にまた自民党の総裁選挙がある(今時点はまだ決まっていない)。田中角榮がいた時代にまして日本は課題が山積みの感が否めないが、次の総裁にそれを解決し希望ある国を作れるのか。
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読んだ時期が時期だったので、もし今、田中角栄が健在だったら、このコロナ禍にどのように対応するのか想像が膨らんだ。金権政治の是非は兎も角、これほどの政治的センスと懐の大きさを併せ持った政治家は今後現れないのではなかろうか。
金や賄賂への考え方、用意周到な根回し、10年後20年後を見据える大局観など、後の政治家・田中角栄を形作る要素を、幼少期〜青年期の実体験に求めている点が説得力がある。
本人の著作を含め、角栄に関する膨大な文献を基に、まるで自伝のようなリアルな一人称小説を書き上げた石原慎太郎氏にも脱帽。
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議員立法を30以上成立させ、54歳で総理総裁。日中国交正常化や日本列島改造、アメリカに依存しない石油外交などを成し遂げた政治家としての功績は言うまでもない。しかし、それよりも後世に語られたのは田中角栄という懐の深い人物像だ。本書では角栄の人物に纏わる逸話が多く引用されている。そうした意味でも田中角栄という1人の人間を描いた作品として読み応えがある。石原慎太郎が田中角栄の視点から「日本の自立問題」を提起したという角度からも考えるべき作品。
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石原慎太郎が描く田中角栄。当時の金権政治がリアルに角栄一人称で描かれる。先見性、剛腕ぶりが興味深い中で人間味溢れるところがあるが、これを見るとロッキード事件はアメリカの虚構ということになるが、真実はわからない。
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田中角栄が総理大臣になった頃、小学生を満喫していた私は、そんな政治家の人がいたという記憶しかなかったですが、年を取るにつれ、何を成そうとしていたのか、何をしたかったのか、どんな実行力があったのか、とても興味が出てきました。
全く知識がなく読むには、この本は難しかったです。もっと他の本を読んでから、また読んだほうが良かったと思いました。
作者は、田中角栄の何を伝えたかったのか、田中角栄についてますます知りたくなりました。
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石原慎太郎が田中角栄の一人称で書く「小説」
不勉強で歴史の流れはピンとこないことが多く、調べながら読んだのだけど、終盤の脳梗塞後は、小説家石原慎太郎の力量だなぁと思いながら読みました。
これは小説。
だけど石原慎太郎と田中角栄は根本が少し似てるのではと感じます。
だからきっと違和感なく田中角栄の想いを小説という形で代弁できたのでは。
田中角栄という人は、俺が俺がな人物。
周りに掌返しをされ、味方がいなくなってもなお、自分を信じることができる強さ。
この強さがなければ大業はなし得ないと改めて思います。
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◉前説… 遠〜い記憶の中の田中角栄
田中角栄が1972年の自民党総裁選出馬直前に発表した政策綱領『日本列島改造論』。同時に出版もされ政治家の政策論集として空前のベストセラーとなった。
僕がその本を目にしたのは小学校の図書の時間。周りが江戸川乱歩やヘレンケラーの伝記を読んでる横で斜め読みしていた。一政治家の著作が小学校の図書館にまで配本されるぐらい、時の人だった。
続いてもうひとつ。
同年、首相に就任して2ヶ月後に実現させた日中国交正常化に日本中は沸き立った。通ってた小学校近くの神戸市立中央体育館で開催された日中の国旗が掲揚された記念式典に参加した記憶がある。そこには多分中華同文小学校の生徒も参加していた筈。この正常化調印の翌月、パンダ2頭が贈られ、カンカン・ランランと名付けられ、一目パンダ見たさに大フィーバーが起こった。
それから4年後の1976年、ロッキード事件が起こる。田中角栄は受託収賄党の嫌疑で逮捕され、報道は日を追って過熱し『記憶にございません』や『ピーナッツ』といった言葉はたちまち流行語となり、コント55号は早速ネタに取り入れ爆笑を誘い、小学生は学級会で真似するヤツが続出。
『今太閤』と褒め讃えた国民は金脈問題と愛人問題に愛想を尽かし、そこに降りかかった大疑獄事件に掌を返し、その転落劇に喝采を送る人は少なくなかった。
◉かいつまんで… 異色も異色なノンフィクション
本書は、そんな毀誉褒貶甚しき政治家 田中角栄の波瀾万丈の歩みを、金権政治を真っ向から糾弾した石原慎太郎が十八番の一人称で綴った『異色』のノンフィクション。
◉私見…石原慎太郎の天才 vs 大川隆法の霊言
問題はこの異色さにある。一人称ゆえに角栄になりすました語りが丸々慎太郎節。浪曲(浪花節)で培われた角栄節を知ってる者からすると違和感ありあり。むしろ政治家 石原慎太郎の視点から書くべきだった。田中角栄が語るという形式ゆえに、日本列島改造論の功罪の功は語るも罪〈土地投機や狂乱物価〉について言及しておらず、自画自賛が横溢。ちなみに一人称で描くとするなら、町田康が最適では。
それに加え、全編から漂う石原慎太郎のイデオロギー〈反米主義〉とロッキード事件もアメリカ陰謀説を下敷きにした見解を開陳。田中角栄の口を借りた自説演説とも取れ、大川隆法の霊言と同じ匂いを感じ苦笑い。
◉読みどころ…石原さん、あなた角栄に弓を引いたよね
それは〈長い後書き〉にある。
田中金権政治に対し著者特有の言辞をもって糾弾した者が、なぜ田中角栄について筆を執ったか…その理由。
そこに綴られた文章には、田中角栄に対する尊敬の念を虚心なく吐露。自身が東京都知事時代実現に至らなかった政策も、もし田中角栄が存命で力を借りることができていれば実現していたかも…と、政治手腕を高く評価。
政治家 石原慎太郎は福田派の重鎮ではあったが、党人派議員にある泥臭さもなければ、派閥のために汗をかく議員でもなく、かと言って政策通でもなく、マスコミ受けするパフォーマンスが目立つ一言居士的存在であった印象が強い。
都知事になり、よう���く政治家の仕事を難しさを肌身で知り、田中角栄の実績を見直ざるを得なかったのではないか。
世に角栄本は数多あり、そこには『コンピュータ付きブルドーザー』ぶりが溢れる。さながら『歴史は英雄が作る』を地で行くような礼賛の嵐で鼻じらんでしまう。
大学時代から政治家本に目を通してきた者からすると、ツッコミどころが多すぎのトンデモ本の匂いを放つが、〈政治家と文学者というデュアルレンズで見た田中角栄〉の生涯を描いたという点では、一線を画す角栄本であり、田中角栄という政治家を知る上において、184頁で総覧できる入門書としては好適かも…。
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田中角栄の人生を描いた小説。一人称で描かれている。とても長いモノローグ。いや、角栄の目を通して石原慎太郎が語っているようにも思える。石原は角栄を描き何を伝えたかったのか。そして、ロッキード事件とは何だったのか。答えは見つかるのか?
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2月1日、芥川賞作家で東京都知事等を務めた石原慎太郎氏が逝去された。享年91歳。
その波乱万丈の人生を報じるニュースを見ながら、一度はその著書を読んでみようかと思い手に取った。
「天才」--田中角栄元総理大臣について、かつてはその金権体質を追及もした著者が、田中氏になり切ってその生涯を語る形をとった。
1969年生まれの私にとって、物心ついた時の田中氏の印象は、「何か悪いことをして捕まった元総理大臣」。
ニュース番組では盛んに批判されるのに、バラエティー番組では氏のものまねをして笑いを取る人が後を絶たない。
ともかく影響力が大きい人であったのだろう。
高等小学校卒。
生涯に30以上の議員立法を成立。
ロッキード事件で逮捕・起訴後も政権与党の最大派閥の領袖として君臨した。
彼が最も大切にしたものは、家族。
故郷新潟の両親。
第一子を早くに亡くした悲しみ。
もう一つの家族との物語。
人間くささが、良くも悪くもスケールの大きい活躍をした。
田中氏も、著者の石原氏も、昭和という時代を駆け抜けた一つの象徴であったことは間違いない。