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カナダ、アラスカ、グリーンランド、ノルウェーなど北極圏とその周辺地域「極北」。
なかでも世界を駆け抜ける写真家・石川直樹にとって、20歳のときに登頂したアラスカの象徴・北米大陸最高峰のデナリ山は、すべての旅の〈原点〉だった。
極寒の地に生きる人々の暮らし、厳しくも美しい自然への畏怖。
人間の野生を呼び覚ます圧倒的な世界との出会いを瑞々しい文章で綴る。
開高健ノンフィクション賞受賞『最後の冒険家』以来、初の長編エッセイ。
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感想を書くのが烏滸がましい。
何故、この人は旅の感覚をこれほどまでに瑞々しく描けるのだろうか。
40歳の石川さんの言葉は、全身の細胞を新しくしてくれるほど美しい。
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【いちぶん】
これから何十年生きられるのかわからないが、極北のさらに北に向かって歩き続けたい。たとえあのシロクマのように岸辺でのたれ死んだとしても、いい。ぼくがこの地でこれまで出会ってきた人々のように、時の流れに身を委ねながら悔いなく生きたいのだ。それがこの世界の大きな循環の輪に溶け込む唯一の術だと思っている。
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作者の石川直樹さんが植村直己さんや星野道夫さんの本を読んで北の大地に憧れたのと同じように、自分もこの本を読んで北への憧れを強めてしまった。熱を上げて通える「フィールド」があることの素晴らしさ。
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極北に暮らす日本人やイヌイットの人々との交流
狩りや交通に欠かせない犬そりやカヌーの話
トナカイを飼うサーメの人
貴重でしみじみと 極北の魅力を伝えてくれます
デナリ山単独登山に果敢にでも淡々と進む姿が感動的でした
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写真家石川直樹氏の、何て言えばいいのだろう?旅行記とか紀行文とか言ってしまうと、旅の厳しさが伝わらないので、冒険の記録とか冒険エッセイとでも言うべきか。
1997年の夏、大学1年生の時に、カナダとアラスカにまたがるユーコンの川下りをカヌーでした様子から、グリーンランドなど極北の地を訪れたことを挟んで、2016年単独のデナリ登頂までが書かれている。
私は最後に書かれた2度目のデナリが面白かった。
文中出てくるのは、カヌーイスト野田知佑、椎名誠、野田さんには進路に悩んでいてる時に相談して、「大学にちゃんと行け」と言われて大学に行くことにしたと明かしている。それから、偶然本屋で星野道夫の写真「FOGET ME NOT」の写真が進むべき道を照らした。また冒険家の植村直巳の著作の影響にも言及している。
この本は、2018年度の中高生の読書感想画課題図書だが、石川さんが数々の本に出会って影響されたように、この本が若い人の生き方を変えるかもしれない。
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写真家でもあり、冒険家でもある石川直樹さんの著作。
全体的に淡々とした文体で、大きな山や谷もなく、ただただ流れていく印象です。
もちろん、石川さんの物理的な動き自体は、高いところに上ったり、平地まで戻ったりしているのですが、文体はいたって平坦。
そこを狙っているのならば、それはそれでありな気もしますが、著者の文章を見る限りでは、自然体を貫いた結果、このようになったのだと思います…。
読み手としては、全体的に物足りない印象がぬぐえません。
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『極北へ』(著:石川直樹)
付箋部分を抜粋します
・人間も地球のサイクルに組み込まれた一つの流れに過ぎないのだろう。その中で自分は何を経験し
何をすることができるのだろか(p113)
・体全体を使って生きている人たちに出会えることが北極圏の魅力なのだ。ここでは五感を開き
積極的に生きようと思わないと生きていけない(p121)
・事前に何をするか決めれば決めるほど、それに縛られて出会いが少なくなってしまう。ぼくの旅はいつも
行き当たりばったりである(p152)
・一人で進むデナリ登山は、自分との闘いである。自由があるがゆえに、あきらめるのも簡単だ。・・・中略・・・
時間を自ら管理し、進むも退くもすべての判断は自分が行う。失敗を人のせいにできず、七難八苦はすべて自分に
降りかかってくる(p176)
・旅は終わらない。生きている限り、そうそう簡単に終えられるものではない。コンパスの赤い針が射す方角に
見える山、川、海、そしてそこに生きる人々のことを思いながら、ぼくは今を生きようと思うのだ(p207)
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“昔の暮らしを懐かしむのは、ここに暮らしたことがない人間の勝手な思い込みだ。部外者のノスタルジーに、移り変わっていく人々の生活を閉じ込めてはいけない。”(p.79)
“気体が燃えることを炎といい、物質が燃えることを火というならば、間違いなく人間は炎よりも火に反応する。”(p.151)
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写真家・石川直樹さんの北極圏の旅にまつわるエッセイ。
「全ての装備を知恵に置き換えること 」が今までの様々な旅について感じたことを綴っていたのに対し、今作は極北に特化した文章。
極北の世界を体感しに行きたくなる。
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著者の石川さんの書く文章は無駄な力が入っていないとても自然な文章だと思いました。表現に凝りすぎたり独りよがりな視点もなく、見たこと、感じたことをそのまま文章にしている印象を受けました。何も足さない、何も引かない文章は、冒険家として必要最低限の荷物で省エネを心がけながら生きてきた姿勢がそのまま出ているのかと思いました。読んでいて冒険に、極北に憧れる気持ちが自然に湧いてきました。
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自然と向き合う著者の文章は本当に素敵だ
自分みたいなフツーの人には難しいはずなのに何故か惹かれる
冒険家で写真も文章も魅力的なんて
ご親戚に小説家さんがいるのもある?
前半は北に向かう移動時間に読む
冬至に向かう季節に極北を思った
生命を殺めて生きる糧を得るという行為を一般の家庭では行わない日本の人々は、食べ物に対して畏敬の念が希薄になっている
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多くの冒険家たちが行方を絶ってしまう極北へ、なぜまた多くの人々が向かうのだろう。原住民の土地、文化が他者の手に落ち、今や温暖化の影響を最も受けることになっている現実が悲しかった。