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「デパートへ行こう」から読み続けた「行こう」シリーズ。
ローカル線だったり、遊園地だったり、そこで働く人の矜持のようなものが感じられ、読み続け来たが、今作はオリンピックを目指すアスリートを描く3作が描かれる。
ちょっとしたパニック物の要素もあり、それが楽しくて、読み続けたシリーズだったが、今作のイメージは今までの気軽な要素は無くなり、本格的な内容についていけなくなってしまった。
主人公の葛藤もあまり伝わらず、最後まで読むのが少ししんどいぐらい…
このシリーズも、もう限界かな…
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「行こう」シリーズ第4弾。今回は『オリンピックに行こう!』である。これほどまでに4作とも作風がバラバラなシリーズも珍しいが、本作は、シリーズの過去作品はもちろん、真保裕一作品を知らない読者でも楽しめるだろう。
卓球、競歩、ブラインドサッカー。それぞれの競技で、世界最高のスポーツの祭典を目指す、アスリートたち。いずれも、自分はテレビでしか見たことがないが、テレビ画面からはわからない、駆け引きが繰り広げられているのだ。
本作中最も長い「卓球」。かつての暗いイメージはどこへやら、男女ともスター選手の登場により、すっかり人気スポーツになった。それだけに、五輪代表に入る競争は厳しい。一握りのスター選手の影で、多くの無名選手たちがひしめく。
ここまで卓球の駆け引きを熱く描いた作品があっただろうか。仕掛けるか、様子を見るか。どんな回転をかけるか。コンマ数秒間で読み、判断する。そんな超人たちだからこそ、あんな高速ラリーが成立するのである。素人にはすげえとしか言えない。
技術はもちろんだが、心理戦という要素が極めて強いことを知った。敵の顔がよく見えるだけに、動揺や弱気を気取られてはならない。卓球に限らないが、五輪代表の可能性がある限り、諦めず、しがみつく選手たちに、敬意を表する。
「競歩」。見た目の地味さと裏腹に、過酷な競技だ。50キロ競歩という長丁場での、卓球とは違う駆け引き、心理戦。目標のために、あらゆる犠牲を払ってきた。時には裏切りも。いかにも日本的な、スポーツ界の足の引っ張り合いに苦笑するが、それらにも打ち勝った者だけが、世界最高の舞台に届くのだろうか。
「ブラインドサッカー」。唯一、現役選手目線ではない点に注目したい。J1でもプレーした元サッカー選手。引退後も燻っていた彼が、ブラインドサッカーのチームに招かれた。盲目にも関わらず、ボールを追う選手たち。その姿が、元J1選手のハートに火をつけた。挫折を経験した彼なら、悩める逸材の才能を開花されられるだろう。
メダリスト以外注目されない、4年に一度の祭典。代表に選ばれるだけでも大変なことだし、その裏では無数の涙が流れている。そのことを、我々は忘れがちだ。
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卓球、競歩、ブラインドサッカーの選手を扱ったオムニバス。
筆者のいつもの緻密な描写で競技について淡々と書かれているのが少し冗長に感じる部分もあり
競技について知らない自分には理解が及ばない部分もありました。
競歩についてはいつもの真保さんの書き味に一番近いと感じました。
自分はサッカーの話が一番好きでした。
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三章立てで一章の卓球が6割程度のボリュームだったが、残念ことにこの話が一番苦手だった。著者が卓球好きなのか、試合中の描写が細かすぎて逆に困惑した。個人的には2番目の競歩の話が好き。
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卓球、競歩、ブラインドサッカー
それぞれでオリンピックを目指す男達。
卓球は活字での試合描写が延々と続きちと単調に感じた。
競歩はサスペンステイストだった割に…。
一番短かったブラインドサッカーが一番面白く読めた。
【図書館・初読・5月10日読了】
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「行こう!」シリーズ第4弾。
「卓球」「競歩」「ブラインドサッカー」、3つのスポーツを舞台に、オリンピックを目指すアスリートとそれを支える人々を描く。「卓球」では大学4年の成元雄貴が今後も卓球を続けていくのかに悩み、「競歩」では32歳の白岡拓馬が最後の切符をかけてレースに臨み、「ブラインドサッカー」では中学生時代に視力を失った青柳に元Jリーガーの幹雄がアドバイスを送る。
中篇程度の「卓球」は、試合中の技術用語が多すぎてある程度競技を知っている人でないと少々厳しいのでは。「ブラインドサッカー」が一番面白かった。
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トップレベルを目指す者たちの、卓球、競歩、ブラインドサッカーそれぞれのストーリー。内容もジャンルも違うのに「行こう」シリーズと括られているのが不思議だし長さのバランスも悪いがそれをおいといても面白く読んだ。ホワイトアウトの頃のような作品を読みたい気持ちは変わらないのだが。
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オリンピック競技の卓球、競歩、ブラインドサッカーを舞台にした再生物語。卓球はテレビなどで見る機会もあるが、競歩やブラインドサッカーは更にマイナーで、それらがわかりやすく描写されていたのが良い。五輪を目指すための葛藤や、その競技で食べていくことが難しい現状や、華やかな世界で一躍有名になったが怪我や成績、スポンサー関連等でその世界から退かざる得ない事情が伝わってくる。元Jリーガーがブラインドサッカーで指導者としてオリンピックを目指す姿に心打たれた。どのようなスポーツの世界においても幸あれと思う読後。
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卓球と競歩、ブラインドサッカー、それぞれに物語がある。個人的には競歩のストーリーの終わり方が好き。選手それぞれに人生があってスポーツマンだからといって完璧ではないし、駆け引きはすごい。それでも五輪は行きたいものなんだ、と改めて思った。
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著者作品は2作目か。『ホワイトアウト』を90年代半ばに読んでからだから実に20年ぶり?! 「行こう!」シリーズの一環だとか。サスペンスやスリラーという当時のイメージとは、昨今、一線を画しているのかな。
で、時宜を得て(なのか?)本書であるが、スポーツ界のトップアスリートに焦点を当てて、オリンピック(パラリンピック)を目指す面々の物語が熱く語られている。が、1話目「卓球」は、確かにその先に五輪はあるのだろうけど、どちらかというと大学生の就活っぽい視点。物語として悪くないんだけど、無駄にゲーム中の描写が詳細過ぎてダレル。
とはいえ、卓球というスポーツが短編集の冒頭を飾り、紙数も使ってのメインとなっている点が肝か。水谷選手の活躍などが目に浮かぶ。
本書は、日本人、日本チームが注目される種目を取り上げたということだと思うが、「卓球」のボリュームを半減させて、「フリークライミング」でも入れていれば、もっと面白かったのではと思わないでもない。
■「卓球」
”卓球とは、百メートル走をしながらのチェス”(荻村伊智朗)
なるほど、自分かボールにかけたスピンが相手のラケットを通じて、どういう回転でどの位置に戻ってくるかを瞬時に計算、予測して条件反射で動かないといけないという凄みは感じた。
なのに、その瞬時の判断に膨大な紙面を要しているテンポの悪さは、いかんともしがたかったものか?
ただ、そうとうメンタルな駆け引きが必要で、試合の前後からポーカフェイスの心理戦が繰り広げられるのは凄い世界だなとは思う。が、故に、なんかチマチマとしてダイナミズムが感じられない。プレイヤが派手になり、それなりのプレゼンは上がってきた昨今だが、それはこの競技の宿命か。
本作は、主人公の雄貴のお話より、後輩くんが負けることを通して成長していく姿が清々しくてよかった。
■「競歩」
マラソンをモチーフにした作品は相当数読んでいるが、話の作り方として、競歩という競技も同じような構成になってしまうのだろうか。つまり、過去の出来事を走馬灯のように思い浮かべながら、レースが展開していくというストーリー構成。 結末も、どこかで見たような終わり方(堂場瞬一の『チーム』だったか『ヒート』だったか)。お話として悪くないんだけど、実に陳腐。
競歩というスポーツの現状、日本における立場などを知ることはできたが。
■「ブラインドサッカー」
物語としては最もまとまっていて、一番の短編なのだけどギュッと詰まった内容が良い。
ブラインドサッカーも近年、注目が集まっているのを感じる。『目の見えないアスリートの身体論』(伊藤亜紗著)で、プレイヤの身体能力に驚いたものだが、見えないことが新たな感覚を研ぎ澄ますことになるこの競技は、見るよりも実際にプレイしてみたくなる種目だと思っている。
本作で描かれるのは、元Jリーガーが、ふとしたきっかけでブラインドサッカーのチームを指導することになり、人生の岐路を迎えた主人公が、彼らと共に光を見いだしていく姿だ。
視覚障碍者はハンディを背負っているだけに不利と短絡的に��えがちだが、ブラインドサッカーが
「接触に耐える勇気。相手を受け止め、跳ね返す強い心。幹雄が経験してきたサッカーと何も変わらなかった。」
と気づいていく。
そしてチームの中にいる一人の若者を通じ、彼に自分の姿を重ね立ち直っていく。
「多くのことを恐れる自分を許してあげていいんだよ。君たちはもう充分に強い」
幹雄は選手たちに言うが、過去の栄光を捨てる、プロの道に見切りをつける、将来の様々不安に直面する己にも向けた言葉となっている。
見えない者たちとの交流を描くだけに、”言葉”が重要なファクターを果たすところも、小説として取り上げるには絶好の素材だと気づかされるのも、面白い。
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★2018年7月14日読了『オリンピックに行こう!』真保裕一著 評価B+
どの短編も、スポーツを楽しむを超えて、世界レベルをめざすアスリートの考えていることを詳しく物語る短編3つ。
それぞれのマイナースポーツのオリンピックを目指す選手の思いと戦いを描く。
1.卓球
成元雄貴という明城大学4年生卓球部は関東一部リーグ所属。7才から卓球一筋。
彼の大学4年最後の個人戦にオリンピック選抜の夢にかけるも夢破れる。
しかし、その激戦の途上、卓球選手の心理戦、戦術を描く。
2.競歩
白岡拓馬 32才 実業団で頑張るもいよいよ引退が迫るその時の彼の考えたことは?
3.ブラインドサッカーコーチ
元J1リーガー山森幹雄が先輩に誘われてブラインドサッカーコーチを引き受ける経緯。
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3.5 オリンピックを目指すアスリートの話し。どれも面白く特に卓球は心理的な戦術の描写が素晴らしかった。
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114いつものふんわりした雰囲気かと思ったら良い意味で期待を裏切って、なかなか力の入った中編集でしたね。スポーツっていいなあという感じ。
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いくつか読んできたこの作者の作品の中で最もつまらなかった一作。もしかすると私がスポーツに関心が全くないということが理由なのかもしれないが、全くノレない作品だった。
卓球、競歩、ブラインドサッカーのそれぞれがテーマの短編集だが、全く面白さを見つけられずに残念。
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オリンピックを目指すアスリートを描く連作で「行こう」シリーズ第4弾。
・卓球
・競歩
・ブラインドサッカー
の3編収録。
このシリーズには関連も何もなくタイトル名だけのシリーズ分けになっていて、ちょっと納得できていません。
というのもこれまでの「行こう」シリーズは面白かったのですが、この作品はいまいちだからです。
まず、スポ根小説という作者の新分野へのチャレンジ作品集かと思えるくらい、作風が違いました。
各競技の説明は丁寧なのですが、「卓球」は専門用語が多すぎて試合の緊迫感が半減しました。
ミステリー要素がある「競歩」が一番面白かったですが、謎が解かれないのでモヤモヤしました。
ちょっと残念な作品集でした。