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20181006 少し時間がかかった。主人公が余り痛い目に合わないのが今回の特徴なのか。何かを総括してくれるのではないかと期待して買ったのだが消化不良だった。
テーマの選択ミスではないだろうか。そもそもこのシリーズの探偵と親子のきづなはないでしょう。又次があるかは不明ですが次回は東京オリンピックかな?
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書店で原寮が新作を発表している事を知り、大急ぎで購入して読破。14年ぶりの新作に当たるらしいが、そういえば14年前も店頭で新作の発売を知り、「愚か者死すべし」というタイトルに心ときめいた事を思い出した。今回は「それまでの明日」。心ときめくようなタイトルではなく、またこれまでの作品に比べると少し甘いかなといった感想。チャンドラーの流れをくむ冷徹で回りくどい表現も、本作ではやや響かなかった。内容的にはもちろん紛うことなきハードボイルドで、淡々と主人公の視点で物語は進行するのだが、いつも通りそれらが複雑に絡みはじめ、淡々と進んでるはずなのにどんどん急展開と伏線の回収がなされていく。見事な作品には違いないが、これが原寮の著作であることと、14年ぶりの長編であることを考慮して、星4つとした。他の著者の作品であれば、星5つですな。
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煙草を吸いまくり、携帯も持たず、口が減らない孤高の私立探偵、沢崎の美学はテン年代でも健在。失踪した依頼人を捜すメインプロットはそこそこに、自らの信条を若者に指南するモチーフがより濃厚。最終ページでタイトルの意味が分かるクセ球のフィニッシュストロークも洒落ている。畢生の大作とは言わないが満足。
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探偵沢崎が帰ってきた!もうそれだけで嬉しい。
21世紀になろうが、世の中に便利な電子ツールやコミュニケーションツールがはびころうが、沢崎は沢崎なのである。
携帯は持たないし、事務所の電話も留守電代行サービスを使うし煙草は吸うしやくざにも警察にも我を貫いてこびないし…最早歴史(それが言いすぎなら近代文学史)で学ぶ古典としてのハードボイルドを地で行く生き様のカッコ良さ。
その生き様さえ読めたら、少々の瑕疵は目をつぶる。マンネリ上等、初期のキレや冴えが鈍ってるのも味わい…。
でもなぁ、オーラス最後のあれはちょっと。あの震災が日本の様々な事を変えてしまったことは事実だし、沢崎の生き方に大きな影響を与えていても全くおかしくはない、勿論小説の中で扱うのが反則だとも思わないが…。
せめて物語の発端なり、最中なりで扱ってほしかった。読みようによっては(ぶっちゃけ言ってしまえば、ここで原さんが筆を止めたら)、救いのない絶望的なラストやん。
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遅筆作家の久々の推理小説だそう。新宿の3km四方を出ないような舞台設定で、ダイナミクスはないが、三つの話がタペストリーのように絡まった、いぶし銀のような出来上がりとでも申しましょうか。
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沢崎シリーズ、14年ぶりの最新作 デビュー30周年記念作品とのことです。
以前から知っている作家ではありましたが、何となく手に取りがたく、はじめて読みました。
チャンドラーに影響されている文体は、なんともハードボイルドです。
依頼人からの案件はすぐに解決してしまいますが、肝心の依頼人が行方不明。
依頼人を探すうちに、事件に巻き込まれていきます。
設定も、ストーリー展開も巧みです。
他の作品も読んでみたくなりました。
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こんなに長い間待っていた作品は他にない。
外れのない正統派和製ハードボイルドの書き手による、シリーズ長編第5作。前作から実に14年。時に書けない時もあったろう。書けなかった事情もあったろう。そもそも一行一行に重みのある文体である。正統派チャンドリアンを自称する作家である。簡単に軽い作品を量産されても困るが、こんなに待たされるのはやっぱりやきもきする。だから新作が出るぞ、という噂だけで、ぶるっと震えた。
1988年に『そして夜は甦る』で、驚愕のデビューを果たした。その後、第二作『私が殺した少女』で当然のように直木賞を受賞。短編集『天使たちの探偵』を挟んで、次の長編まで5年のブランクがあって『さらば長き眠り』、次は9年のブランクを置いて『愚か者死すべし』。そしてその後は、14年の沈黙であった。
すべての作品が、西新宿の古ビル二階を根城とする探偵・沢崎のシリーズであり、フィリップ・マーローの如く一人称でのハードボイルド文体を、絶対の特徴とする。姓はあるが、名は与えられていない。シリーズ常連のヤクザ、常連の刑事などが、たいてい登場しては、火花の飛ぶようなやりとりを交わす。依頼された仕事の奥深く、沢崎は闇の中に単身乗り込んでゆくことになる。事件はたいてい錯綜して、見た目通りではなく、裏また裏のあるプロットである。アクションよりも、調査で複雑な事件を紐解いてゆくタイプの、いわゆる正統派私立探偵であるが、生きる姿勢はタフでハードである。
本書では、依頼人は一度の面会を機に、何と行方不明になってしまう。依頼人を追う沢崎は、金融会社の強盗事件に巻き込まれる。攪拌された新宿の街では、それ以降、男たちや女たちが奇妙な動きを見せる。沢崎はあちこちを突つき回り、真実を炙り出す。
さすがに、沢崎も日産ブルーバードにはもう乗っていないが、携帯は相変わらず身に着けず、電話応答サービスを使っては、馴染みの交換手と声だけの交流を持つ。孤独な探偵・沢崎、健在なり。一ページ一ページが愛おしく思える、そんな完全性を持つ文章を、しっかりと読み進めてゆく。読書の歓び、ここに極まれり! 成熟したペンが生み出す情感は、他にはあまり見られない類いのものである。
この作品のラストは、大変衝撃的である。ああ、そうだったか。この年だったか。思い当たる現実世界のできごと。そしてなぜ本書がこの時期、この季節に出版されたのかがわかった。なので、ぼくは、出版から一年も経つ今頃になってのこのこと、この日この月に、本作品をレビューすることに決めたのだった。
多くは語るまい。魂が震える作品である、とだけ言っておこう。
追記:当然のように本作は『このミス』の一位作品となりました。
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このミス1位の作品として期待して読んだが、ドキドキ感も読み終わった後の余韻も何もない!
細切れの話の連続で、作者の自己満足の世界。次の作品まで10年以上待たされるが、その頃には忘れられているのではないだろうか。
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2018年このミス1位
西新宿の探偵沢崎に金融会社の新宿支店長から、融資先である料亭経営者の身辺調査依頼が来る。調査を始めるとすぐに、対象の経営者は既に昨年死亡していることが判明。そのことを支店長に報告しようとしたが、今度はその支店長が行方不明となっていた。支店に行った沢崎はそこで強盗未遂事件に遭遇し、支店の金庫には会社の金以外に4億円もの大金が隠されていた…
著者の本は初めて読んだが、なんでもシリーズ6作目で、しかも前作から14年経っているという。
西新宿や金融会社の設定には、かなり馴染み深いものであり、細かな設定にもピンとくるのだが、なぜか今一つ入り込めなかった。このミス1位で期待が大きすぎたか?細かく話が入り組んでいて、沢崎の会話も結構面白く読めたのだが…うーむ?
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バブルが弾ける寸前、自分もまだ20代の頃に原りょうに出会い愛読した。当時は、多作のロバートパーカの新刊が楽しみだった。デビュー作と直木賞受賞作という寡作だった原りょうは貴重品だった。
あれから30年。久しぶりに読んだ。
なんじゃこれは。
くさい伏線だし、ストーリーのリアリティのなささ加減はなんなんだ。
もしかすると自分が年齢を重ねてしまったせいなのか、それと作者が老いたのか。
80年代の愛読書をひっぱり出して再読すれば答えはでるだろうが。自分のなかでは、80年代の2冊はA級の名作だった。本作は、C級だ。
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私はこのシリーズの熱烈ファンでもないし、お久しぶり沢崎って気持ちになれないタイプで、単純にハードボルドとして楽しみました。14年ぶりと言う事で話題にもなるのだろうけど、何年ぶりを除くと、全体的な謎解きはちょっと厳しかな。ハードボイルドが時代の流れからますます置いてきぼりを食らったような感じです。その感じがいいんだけどね(^^
このミス1位みたいだから、どうやら私の方が時代から置いてきぼりを食ったのかな(笑)
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沢崎シリーズを初めて読んだ。
警官やヤクザに対して何故あんなに強気で一目置かれてるのかが謎。
人間的な魅力にも欠けている様に思うが、何故か他の登場人物には好かれている?様に思う。設定は面白かったがそれだけかなぁ??
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原尞さん、初読みです。
なんと14年ぶりの新刊だとか!
探偵沢崎シリーズ ファンの方は待ちに待っていたでしょうね!
シリーズものは1作目から読みたい派なんだけど、ここはサイン会に間に合わせるために今作が初読みに。
単独で読んでも大丈夫でしたが、やはり登場人物との過去の絡みなどを知ってた方がもっと楽しめたのではないかな~と。
きっかけは沢崎の元へ料亭の女将の調査を頼みにきた紳士だった。
そこからいろんな謎に巻き込まれる沢崎。
登場する、お馴染みの刑事、やくざ、テレフォンセンターのハスキーヴォイスの女性。
↑過去にどんなことがあったのか、気になります。
ミステリー主体だけどやはりここは ハードボイルド 。まぁ凄い喫煙率←そこ?
初ハードボイルドの私も楽しめたのですが、ラストが…
この出来事をラストに…そしてわかるタイトルの意味。
トーク&サイン会で気になるラストの話をして下さったので、少しモヤっとしてたところが、すっきりしました!
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ハードボイルドというジャンルには個人的にあまり思い入れはない。
若い頃に逢坂剛の小説を読んだり、映画ではレイモンド・チャンドラー原作でフィリップ・マーロウが主人公の『ロング・グッドバイ』を観たくらい。
著者は、そのチャンドラーの信奉者で、探偵・沢崎を主人公にした長編5作目だが、前作からはなんと14年ぶりの新作とのこと。
その空白の14年の間に、時代はすっかり変わってしまい、この2010年代の日本を舞台にどのようにハードボイルド探偵小説を成立させるのか、非常に興味があった。
今どき珍しい重厚感は読み応え十分だったが、その分アナクロな世間との乖離感は否めない。
煙草と電話、著者も主人公も固執する、その2つのアイテムが生み出す違和感が凄まじい。
残念ながら、ハードボイルド探偵小説も、あと10年経ったら完全に絶滅種だろう。
著者は先の筋書きを決めずに、キャラクタの言動に任せて筆を進める手法をとっているそうだが、その迷走が生む臨場感が1つの魅力。
潰れたラーメン屋を捜索する場面など手に汗握る。
その割に御都合主義っぽいところも散見されるのがちょっと残念だが。
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探偵の沢崎に依頼人が現れた。金を貸す料亭の女将の身辺調査の依頼であった。訪れると、調査対象は亡くなっていた。そのことを伝えようと依頼人の仕事場へ行くと、強盗現場に出くわすことになる・・・。最初バラバラに展開する内容がどのようにつながっているかわからないまま展開していきますが、徐々につながりが分かってきます。ミステリとして面白いですが、語りが多いため、単調な感じがします。ハードボイルドとは、タバコを吸う描写を入れて、キザっぽい言い回しをすること?とあまり気持ちは乗りませんでした。