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親と子の物語である。著者は長年保育士をしていた。序盤は共働き夫婦の子育ての大変さが描かれる。離婚などシビアな現実も描かれる。結局、専業主婦が良いという結論になると何だかなという思いになる。仕事もしたいワーキングマザーの解にはならない。
中盤になるとファンタジー色が出てくる。幼児の空想的な世界が描かれる。幼児の夢の世界は楽しい。しかし、実は幼児は無邪気な天使とは言えない側面もある。幼児の無邪気さには残酷なところもある。意味もなく虫を殺害することがある。本書にも、その描写があり、ドキリとさせられる。その後、その幼児が自然を大切にするようになる。幼児を美化しないが、性悪説にも陥っていない。
その後は再び現実のシリアスな問題が描かれる。ガンは深刻な病気で、早期発見が肝心と言われる。しかし、検査のし過ぎで逆に放置しても良いものまで発見して入院することがないだろうか。手術にしても抗がん剤にしても体に負担がかかる。本書は心の持ち方を重視しており、自然志向もある。終盤には会話の体裁でスピリチュアルな主張が展開されている。それならば、ガンに対しても手術一本槍とは異なる描き方があっただろう。