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遅刻してくれて、ありがとう 常識が通じない時代の生き方 上 みんなのレビュー
- トーマス・フリードマン (著), 伏見 威蕃 (訳)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:日本経済新聞出版社
- 発売日:2018/04/26
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2018/06/10 05:56
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なんだろう。感想が難しいのでランダムに書いてみる。上巻はテクノロジーの進化がよくまとまっていて良かった。下巻に入ると違和感が多くなり、珍しく1/4残して読むのをやめてしまった。著者の個人的な経験、考えの羅列が多く、エビデンスがないせいで、エッセイのように感じられる。学者ではなくジャーナリストだからだろうか。アメリカの政策についての提言が19もあり、それぞれは妥当性もあるように思うが、枕詞が「母なる自然は~というはずだ」という文章で、政策の必要性が具体的には説明されいないのだ。妥当なように見えてもエビデンスがなければ説得力がない。ほんわかと彼の世界観を楽しむ本なのだろうか。
2018/07/08 20:11
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「フラット化する世界」の著者ということで期待して読み始めたけど、1/5くらい拾い読みして挫折。各章ごとにテーマはバラバラで、興味深い文章も時々はあるものの、大部分はどこに向かっているのかわからないポエムのような文章。
2019/01/06 17:19
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『フラット化する世界』のトーマス・フリードマンの最新作。本書は、『フラット化する世界』以降に世界に起きたことをフリードマンの視点からまとめたものである。『フラット化する世界』の初版の出版が、2005年なので、そこから10年以上が経過している。kindleもまだサービスを開始しておらず、自分の書棚にも紙の本が収まっている。
タイトルの『遅刻してくれてありがとう』は不思議なタイトル名だ。フリードマンは、相手が遅刻してきたときに、その時間にゆっくりと考える時間を作ることができたので、あるとき「遅刻してくれてありがとう」と言ったからだという。そういうことはあるだろうし、相手には皮肉に聞こえるかもしれないが「いえいえ、大丈夫ですよ」という感じで伝えることはあるだろう。ただそれだけでは一冊の真面目な本のタイトルにはならない。つまりは、それだけわれわれの時間がかつてないほどにテクノロジーによって切り刻まれて、われわれ自身が追い立てられているということを示したいからだろう。そして、そこから自由になるには何かきっかけがあれば大丈夫だよということを人生の処方箋としてこの本で示したいからなのかもしれない。しかしながら果たして、この本を読んだ結果として著者の意図はそのようなものには感じられない。「理由もわかっていた。私も多くの人々と同じように、めまぐるしい変化の速度に打ちのめされ、疲れ果てていた」― SNSやメールに追い立てられる現代世界において何を伝えたいと考えているのだろうか。
「端的にいえば、本書は現在の世界についての膨大な一本のコラムである。世界中で変化を促進している重要な力を明確にし、人々や文化に対するその影響を説明し、もっとも適切と思われる価値観と対応を見いだすという狙いがある。それによって、世界各地の数多くの人々にとって最善の結果がもたらされ、彼らの激しい衝撃を和らげられるよう願っている」
本題に入る第二章のタイトル「2007年にいったいなにが起きたのか?」は示唆的である。Facebook、Twitterが離陸したのがその年で、VMware、Hadoop、GitHubといったツールが出きてきたのもこの年だと。その前に、iPhoneが登場し、対抗してAndroidが作られている。AWSも少し前に始まっている。ビットコインの開発に着手されたのもこの辺りだ。Amazon Kindleも2007年、Airbnbも同じ年だ。『フラット化する世界』が書かれてからすぐに「フラット化」とは違う動力によって世界は変わり始めた。多くの人は気が付かなかったが、今は当たり前の世界となり、私たちの時間を差し出しているようになった。『フラット化する世界』は2004年に書かれ、世界を俯瞰して若干の上から目線で書かれたが、そのときにはFacebookもTwitterもCloud Computingもなかった世界だった。
ATTはiPhoneのおかげで、成功したが、そのためにトラヒックが数年の間に10万%も増えたという。「需要には逆らうな」と言って、ネットワークの拡張をしてきたという。クラウドのおかげで、コンピュータは「火や電気よりも重大なものになるといっても過言ではないだろう」と書く。それ以降、ハードの制約が解き放たれたことで、ソフトの開発技術が進んだ。ソフトの制約がクラウドやオープンイノベーションのおかげで解き放たれた。
2007年以降に起きたことを、『機械との競争』ブリニョルフソンとマカフィーが言うことを引用して、世の中がチェス盤の後半を超えたと表現する。米粒の話と同じ、例の指数関数の話だ。
「市場、母なる自然、ムーアの法則が同時に加速して、“加速の時代”を構成し、私たちがそこに置かれているというのが、本書の主張の眼目になっている」
そうなると社会の変化の速度にわれわれ自身が適応する速度がついていけなくなっている、というのが現在の状況だろうと。そうなるとテラーが言うように、どれだけ速く失敗するのかが重要になる。また、以前に身に付けた知識と経験があっという間に陳腐化するため、生涯学習が必要になるという示唆、そしてそのためのツールはMOOC含めてあふれている。そうなると、これからの課題はモティベーション格差になると指摘する。
「相転移」とフリードマンは2007年以降に起きたことを表現する。クラウド、スマートホン、広帯域通信、が相転移を促した。「アナログなものはすべてデジタル化し、デジタル化されたものはすべて保存し、保存されているものはすべて、より強力なコンピュータ・システムのソフトウェアで分析して、学習結果はすべてただちに応用して、古いものをもっとよく機能させ、新しいものを可能にし、古い物事を根本的に新しいやり方でやれるようにする」― それがシリコンバレーの標語になっているという。それはこれまでのデジタルの世界に限定されず、Uberのような輸送事業でも発電事業でも同じようにデジタル化されて分析されている。
AI技術の進化やその可能性を見せたのも2007年以降の変化の中でも大きなものだろう。AIの世界において、IBMワトソンがジェパティで人間のチャンピオンを破った。顔認証や声紋認証の精度も大きく向上することが見込まれている。バイドゥの本社では顔認証によって社員証の代わりになっているとのことだ。Amazon Goでは映像だけで誰がどんな品物を持っていったのかがわかる。
その人の人生における学習についての観念も大きく変わっていく、ある職業に就くために学んだ知識がかつては一生その知識で食べることができたが、今はその知識が働いている間にいやおうなく陳腐化する。フリードマン自身がタイプライターを使って記事を書き、テレックスを使って書いた記事を送っていたエピソードを挙げているのが印象的だ。今の子供は、携帯電話やメール(メールもなくなるかもしれない)がない世界というものがどんな世界なのか信じられないのではないだろうか。ひとりにひとつメールアドレスが与えられて、一台以上のパソコンが使えるようになったのは確かに自分が1990年代の初めに大学を卒業して就職をした後の話だ。これからの人間は、最初の職業に就くために大学で知識を身に付けて、その後も学習をし続けなくてはならなくなる。それは、これからの人だけではなく、もはや今働いている人すべてに言えることになるだろう。生涯学習(リカレント教育)は趣味ではなく、必要なプロセスになりつつある。そこでは学ぶ意志があれば、いくらでも学ぶことができる世界が来ている。デジタル・デバイドがなくなったからだが、その代わりに「モティベーション・デバイド」がこれからの課題に���るという。社員教育についてもいろいろと考えを改めなければならないのかもしれない。
一方で、AIによって職業が奪われるというのはナンセンスだというのが著者の指摘だ。これまでの多くの技術でそうだった。ATMによって出納係の数は減らなかったし、バーコード読み取り機器の普及でもキャッシャーの人員は減らなかった。その分総需要が増えたからだ。おそらくその指摘は正しい。しかし、そのためには学習と適応をし続けなければならなくなっているということだ。
「教師が生徒にあたえ、親が子供にあたえる最高の贈り物は、“物の考え方”だ」という。
技術の進展が与える大きな流れとして、「ストックからフローに」、「マクロからミクロに」というものがある、この変化はいくつかの表現をすることができるだろう。
Airbnbが部屋のマッチングからスキルのマッチングに自然に移行しているのは、確かにそれはよい方法だと思うが、驚きでもある。Airbnbをマッチングのプラットフォームとして見ることができれば、それは自然な成り行きなのかもしれない。これからは「マッチング」が重要な要素になり、プラットフォームとして握るべきものなのかもしれない。
『フラット化する世界』では、アメリカ中心主義で、フラットになったのはアメリカがその中心となる(球体において表面には中心はないが、平面において中心が存在する)と感じられたが、それから10年以上を経て、フリードマンの予測を上回って世の中が変化をし、「フラット化」と表現されるべきものではない変化が訪れ、そしてフリードマン自身の認識も変わったというように感じられた。
本書でムーアの法則が紹介されているが、そのムーア自身が述べた1965年の記事には、マイクロチップが加速的に成長することによって、家庭用コンピュータ、自動運転、携帯通信機器、ウォッチ型デバイスの出現を予測している。この記事を見ると、技術の進化は制御も見通しもできないので、よく考えずにまずはやってみることが大切だと思う。
また、フリードマンは世界の重要な変化として、都市化、都市への集中を挙げる。フリードマンはグローバルな市場を“The Market”と呼び、ひとつの市場になる。この辺りはグローバル市場とは別に、サービス産業などローカルな市場は存在し続けることにもっと注目すべきだとした、冨山氏が『なぜローカル経済から日本は甦るのか』で書かれていることにも気を配るべきではある。
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『なぜローカル経済から日本は甦るのか』のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4569819419
2018/07/09 22:39
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題名だけみて、意味がわかりませんでしたが、「この忙しい世の中、相手の遅刻によってもたらされた時間は『考えるため』に有り難い時間である。
そんな意味が題名込められているようです。
中身は、今の言う世の中が、これまでにどう変わって来て、これからどう変わっていくのかについて実例を挙げて様々な視点で書かれてますが、正直私には難しかったようです。
言わんとしていることは分かるのですが、訳がしっくり来てない感じがします。(疲れが溜まってて、頭がうまく働かないと言う身体的もあるかもしれません)
とは言え、言いたかったこと、
この忙しく速さも求められる時代、しっかりと「考える」ことが大事であることは理解できました。
2018/07/20 07:52
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ビジネスフローも、自分のOSもアップデートしていく時代。
(にしても本のタイトルがオシャレだよな)
#遅刻してくれてありがとう #読書記録 #読書記録2018
2018/07/30 08:02
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【高速回転のコーヒーカップの中心で】テクノロジー,市場,気候変動という3つの要素が著しく加速傾向を見せ,もはやかつての暮らしに戻ることのできない世界をどう生き抜くかを説いた作品。絶え間なき変化の必要性と根強いコミュニティの安定の重要性を軸として筆が進められています。著者は,『フラット化する世界』等の著作で知られるニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト,トーマス・フリードマン。訳者は,これまで著者の翻訳を多数手がけてきた伏見威蕃。原題は,『Thank You for Being Late: An Optimist's Guide to Thriving in the Age of Accelerations』。
もちろんアメリカの読者が一義的には想定されているのですが,同時代に生きる人であれば,読んで損はまずないであろうと思える一冊でした。歴史の転換点としての2007年というのは説得力がありましたし,ミクロのレベルから社会が力強くあるという方向性にも,アメリカ的な魅力を強く感じました。
〜本書執筆の旅で私が学んだもっとも重要な個人的,政治的,哲学的教訓は,もっと枝分かれしろと世界に要求されればされるほど,私たちはいっそう,信頼という表土に根をおろさなければならないということだった。信頼こそが,すべての健全なコミュニティの基盤なのだ。私たちは表土から栄養をもらっているのだから,表土に栄養をあたえなければならない。〜
読みやすい翻訳もお見事☆5つ
※本レビューは上下巻を通してのものです。
2018/08/02 10:32
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技術変化,グローバリゼーション,自然の変化の速度がかつてないほど加速し,人間の適用する速度を上回ったとのこと。変化の最先端の知識がないので,もっと知ることができればと思った。
個人的には,テクノロジーの変化のスピードと大学のカリキュラムの対応のところが気になった。テクノロジーが発展していくなかで求められる技能も異なってくる。そうしたなかで,高等教育機関や職業訓練機関はどのように対応すればいいのか,そんなことも調べれたらいいなと思った。
2018/08/04 01:39
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「フラット化する世界」のような名作を書いてしまうとやはり後が難しいのだろうか。悪くはないが良くもない、という感じ
ムーアの法則通りのコンピュータ速度の進化、著者が「スーパーノバ」と呼ぶインターネットやクラウドの時代。人間と社会はこれまでずっと、だいたいにおいて変化に着実に適応してきたが、テクノロジーの変化は急激に加速し、それらの変化をほとんどの人間が吸収できる平均的な速度を超えてしまった。
少し立ち止まる瞬間が必要なんではないだろうか?待ち合わせの時に相手が遅れてくると、その間、色々と考え事もできてありがたい、というところからタイトルはとられている。
・人々はどんどんいらだっている。ウォルマートによると人は100ミリ秒ごとにいらだち、二分の1秒サーバーの反応が遅れると買うのをやめてしまう(遅れが生じるたびに取引処理が2%減る)
・これまで、仕事は見つけるものであったが加速の時代にあっては仕事を創り出さないといけない。エスカレーターの速度より速く昇らないといけないので、たえず自分を作り直し、生涯教育に邁進し続けないといけない。学習は知識よりも重要になってくる。
2018/08/29 19:25
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題名に象徴されるように、テクノロジーの進歩により、常識が覆る様が描かれている。日本はまだ本書に描かれる状況まで至っていないように思いますが、近未来の姿とともに、自分がすごい時代を生きていることを実感。下巻も楽しみ。
2018/09/21 08:14
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トーマス・フリードマン氏には、フラット化する世界で胸を射抜かれてから、所謂ファンだ。ニューヨークタイムスのコラムも以来読んできた。本書は氏の集大成かつ真骨頂という内容。早過ぎる時代の変化を、楽観的な調子を貫き、科学技術へのリスペクトをふんだんな事例で織り込んで、全網羅的に展開している。刺激的だ。下巻に進もう。
2018/09/16 22:08
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遅刻してくれて、ありがとう(上)は、主にテクノロジーの分野において、例えばムーアの法則のように進化が今までにない速度で起こっており、人間の進化の度合いを超えていることを様々な視点から紹介する本です。
2018/10/21 15:33
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本書はタイトルからは想像できない濃厚な内容となっている。
これからの時代ではムーアの法則に従って技術的テクノロジーがさらに幾何級数的に加速していくため、これまでの時代のように技術テクノロジーの速度に合わせてゆっくりと社会的テクノロジーを合わせていったようなスピードでは間に合わなくなってしまうと警鐘を鳴らしている。
今後は技術的テクノロジーが数年単位で移り変わっていくため、それに合わせて柔軟に社会的テクノロジーも併せていく必要があり、それを活用して個人が生涯学習を続けるというセルフモチベーションが重要になる。
技術の進化により、学習機会の格差は解消されるため、これからの時代は個人のモチベーションによって格差が生まれる、まさに自分次第の時代に突入するということだ。
・記者は、目に見える事柄や複雑な事柄を説明するため、あるいは見通せない事柄や隠された事柄を見つけ出し、暴くために、事実を掘り起こすのに専念する。そのために、どこへでも行く。恐れや賛意は抜きで、情報を伝えるためにそこへ行く。生のニュースは、絶大な影響を及ぼす場合が多いが、それはつねに、情報量、暴露度、解説量に正比例している。
・コラムニストやブロガーは、ただ情報を伝えるだけではなく、影響をあたえて反応を引き起こすのが目的で、特定の視点から注目に値する主張をして、1つの問題について、これまでとは違うように考え、感じるように、読者を説得する。読者の考えや感じ方を強めようとしたり、最初から考え直すよう仕向けたりする。
・だから、コラムニストである私は、「暖房ビジネスもしくは照明ビジネスの世界にいる」。コラムやブログはすべて、読者の頭のなかの電球を点灯させる‐読者が改めて見直すきっかけをつくるようなやり方で、問題に光を当てる‐か、問題について、もっと熱意を持って、あるいは違ったふうに感じたり行動したりするように、読者の心の底の感情をかきたてなければならない。理想的なコラムは、その両方をやる。
・すべてが熱や光を作り出す原材料になる。あとは、いくつもの物事を関連付けて、自分の意見を支える洞察を示せるかどうかが、すべてを左右する。
・オピニオン・ライターとして、考えを変えるのはかまわない。ただ、考えがないのはだめだ。支持することがなにもなかったり、八方美人だったり、楽で安全なことだけを支持したりするのはだめだ。オピニオン・ライターは全て、なにを支持し、なにに反対するべきかという本人の思考を形作っている、なんらかの価値体系の枠組みから登場しなければならない。
・ブリニョルフソンとマカフイーは、ムーアの法則はその昔話の”チェス盤の後半”にはいったと論じている。倍増の範囲と速度が増して、それまでに見てきたものとは力と能力が根本的に異なるものが見えはじめる。たとえば自動運転車。たとえば、チェスやクイズ番組(ジェパディ)や、2500年前からあってチェスよりもはるかに複雑な囲碁でも人間を打ち負かした、自分で考えるコンピュータ。マカフイーはいう。「変化の度合いと、変化の度合いの加速が、いずれも同時に増大するときには、なにを見ることになるのか、見当もつかない!」。
・チェス盤の後半に襲いかかったのは、純然たるテクノロジーの変化だけではないからだ。そのほかに、”市場”と”母なる自然”の加速という、2つの巨大な力が働いている。
・”市場”は、グローバリゼーションの加速を短くいい表わすときに私が使う言葉だ。つまり、商業、金融、クレジット、ソーシャル・ネットワーク、コネクテイビテイ(接続性)の世界的な流れは、総じて、市場、メディア、中央銀行、企業、学校、コミュニテイ、個人を、いままでになく緊密に織り合わせている。そこから生まれる情報と知識のフローは、世界を相互に、高度に連結しているだけではなく、相互依存を強めている‐あらゆる場所の人々が、ますます他のあらゆる場所の人々の行動から影響を受けるようになっている。
・”母なる自然”は、気候変動、人生物の多様性の喪失を短くいい表わすときに私が使う言葉で、それらすべてが加速し、やはりチェス盤の後半にはいり込んでいる。
・「世界はただ急速に変化しているだけではない」ダヴ・サイドマンはいう。「劇的に作り変えられている‐これまでとはまったく異なるように機能しはじめている」それも、多くの分野でいっせいに。「その作り変えは、私たちがこれまで、私たち自身や私たちのリーグーシップ、機構、社会、道徳的な選択肢を作り変えてきた速度よりも、ずっと速く進んでいる」
・1OOO年前には、科学とテクノロジーの進歩を示す曲線は、きわめてゆるやかに上昇していて、劇的に変わったと世界の人々が見たり感じたりするまでに、100年かかることもあった。
・だが、1900年になると、このテクノロジーと科学の変化プロセスが、「速度をあげはじめ」、曲線が上向きに加速しはじめた、とテラーはいった。「テクノロジーは、みずからを土台にする仕組みになっているからだ。新しい世代のイノべーションは、前の世代のイノべーションを土台にする。したがって、1900年には、テクノロジーが20~30年で、世界が不安なほど変わったと感じられるくらい大きな飛躍を遂げるようになった。自動車や飛行機が実用化されたのは、そのころだ」
・やがて、曲線の傾きがほとんど垂直に近くなり、グラフから飛び出す。モバイル機器、ブロードバンド接続、クラウド・コンピューティングが組み合わさったからだ。これらの発展が、地球上の多くの人々にイノべーションの道具を拡散し、より遠くへ、より速く、より安価に変化を促進することを可能にした。「そしていま、2016年には、テクノロジーが過去のテクノロジーを土台にすることでタイムウインドウがどんどん短くなっており、なにかが発表されてから、どこでも見どに普及し、不安なほど世界が変わるまで、5~7年しかかからない」
・さいわいなことに、リテラシーが拡大し、知識が普及したおかげで、何世紀ものあいだ、適応のほうがすこし先んじていた。「私たちが適応できる度合いは、増大している」テラーはいう。「1000年前には、なにか新しいものに適応するのに、2世代か3世代を要したはずだ」1900年には、適応する期間は1世代に縮まっていた。「現在の私たちはもっと適応力が高く、10~15年で新しいものに慣れる」あいにく、それでは間に合わない。テラーがいうには、現在、科学とテクノロジーのイノべーション(それに同性婚のような新しい概念も加わるかもしれない)の加速度は、平均的な人間と社会構造が適応して吸収する能力を、はるかにしのいでいる。
・人間と社会はこれまでずっと、だいたいにおいて変化に着実に適応してきたが、テクノロジーの変化は急激に加速し、それらの変化をほとんどの人間が吸収できる平均的な速度を超えてしまった。もう大半の人間が、ついていけなくなった。
・社会のためのテクノロジーブラットフオームが、現在、5~7年で変換するとしても、それに適応するには10~15年かかる。テラーは説明する。「私たちはみんな、制御を失っているという気持ちになる。なぜなら、世界の変化に追いつくほど遠く適応できないからだ。その変化に慣れたころには、もうそれは変化の主流ではなくなっている‐新しい変化が起きてるんだ」
・特許は、変化がもっとゆっくりと訪れる世界のために築かれたシステムの一例だと、テラーは説明する。特許の基本的な枠組みは、”あなたのアイデアについて、20年間の独占権をあたえるが、特許の有効期間が切れたら、だれでもその情報を得ることができる”というものだ。しかし、新テクノロジーの大半は4~5年で時代遅れになるし、「特許が認められるには4~5年かかるので、テクノロジーの世界では特許は適切な仕組みではなくなっている」とテラーは説明する。
・国民を教育するやり方にも、大きな問題がある。私たちが子供のころは、成人するまでに12~16年ほど学校へ行って、それで終わりだった。しかし、変化のべースがこれほど遠くなると、生涯、働く能力を維持するには、一生学びつづけなければならない。
・私たちが単にチップと呼ぶマイクロチップは、トランジスタという小さなスイッチから成っており、それらを小さな銅線がつなぎ、電子が流れるパイプの役を果たしている。1枚のチップで、電子が数多くの銅線をできるだけ速く動くようにすることで,チップは機能する。1個のトランジスタからぺつのトランジスタに電子を送り込むときに、特定のスイッチをオン・オフする信号が送られ、それによって演算機能が働く。新世代のマイクロチップを世に出すたびに直面する課題は、薄くなるいっぽうのワイヤから小さくなるいっぽうのスイッチに電子を流すことだ。高い演算能カを発揮するために、電子の流れのオン・オフをいっそう速くし、エネルギーと熱の発生を小さくし、コストを低く、必要なスぺースを小さくする。
・マイクロチップが非線形の改良を着実につづけているあいだは、機械、ロボット、電話、時計、ソフトウェア、コンピュータを、より賢く、速く、小さく、安く、効率的にすることができる。
・過去のGEは、物理学を使えば全世界の雛型をつくることができ、モノがどう機能しているかについてすぐさまインサイトが得られるという、機械エンジニアの信念に基づいていた。「ガスタービンや内燃機関の仕組みを精確に知っていれば、物理学の法則を使い、”こうすればうまく機能するし、これだけたったら壊れる”と断言できる、という考え方です。昔ながらの機械工学コミュニテイには、データを幅広く役立てるという考えがなかった。データは自分たちの物理学モデルを確��して、それに基づいて行動するときだけ使用されました。いま、新種のデータサイエンティストたちは、”パターンを探して見つけ出すのに、物理学を理解する必要はない”といいます。人間には見つけられないパターンがあります。なぜなら、シグナルが最初のうちは弱くて、見えないからです。しかし、現在の優れたデータ処理能力があれば、弱いシグナルでもぱっと目に留まる。そして、弱いシグナルを見つけたら、それが、なにかが壊れるか効率が悪くなる最初の徴候だというこがわかります」
・「グーグルは、安価なコンピュータ多数を容易に利用する方法を説明しました」とカッティングは説明する。「動くソースコードを教えてくれたわけではありませんでしたが、スキルの高い人間が工夫して再実装し、改善するのにじゅうぶんな情報をあたえてくれました」Hadoopがやったのは、まさにそういうことだった。Hadoopのアルゴリズムで、数十万台のコンピュータが1台の巨大コンピュータのように機能する。だれでも普及品のコンピュータや記憶装置を大量に買い込んで、Hadoopでそれをすべて動かせば、あっというまに大量の計算ができ、きわめて詳細なインサイトを生み出せる。
・たちまちフェイスブック、ツイッター、リンクトインが、Hadoopを活用しはじめた。それらがすべて2007年に登場したのは、そのためだった。完壁に筋が通っている。彼らのビジネスでは、大量のデータが流れていたが、それを十分に活用できていないと気づいていた。活用できなかったのだ。記憶装置を買う金はあったが、それを最大限に利用するためのツールがなかったからだと、カッティングは説明する。ヤフーやグーグルは、ウェブべージを取り込んで分析し、だれでも検索できるようにすることを望んでいた‐価値ある目標だ。しかし、ヤフー、リンクトイン、フェイスブックのような会社が、ウェブぺージに対するクリックをすべて見て保存できれば、ユーザーがなにをやっているかを正確に読みとれるから、検索はもっと効果的なものになる。クリックの記録は、それまでも可能だったが、Hadoopが登場するまでは、データを活用できたのはグーグルだけだった。
・Hadoopが登場する前には、大企業は非構造化データにほとんど関心を示さなかった。大量の構造化データやスプレッドシートの保存、管理、クエリ実行は、オラクルのSQLに依存していた。SQLは”構造化問い合わせ言語”の略だ。このソフトウェアは、構造化されたデータべースの各データがなんであるかを教えてくれる。金融システムでは、”これは小切手です””これは取引です””これが残高です”と教えてくれる。すべて構造化されているので、ソフトウェアは最新の小切手の預入をすぐに見つけられる。
・非構造化データは、SQLでは問い合わせできない。非構造化データは、混乱をきわめている。デジタル化して保存できるデータをすべて、特定の構造なしで、吸いあげただけのものだ。だが、Hadoopは、そういう非構造化データすべてを検索して、パターンを見つけることができる。Hadoopは、非構造化データの山をふるいにかける能力を備えていて、なにを探しているのか目当てがわかっていなくても、問い合わせ、答えを得て、パターンを突まとめることができる。じつに重大な飛躍的進歩だった。
・Hadoopはいまではデータ分析の主なOSになり、構造化データと非構造化データの両方を支えている。かつてはデータの保存コストが高かったので、捨ててしまうことが多かった。ことに非構造化データは、そういう憂き目にあった。いまでは、それを全て保存してパターンを見つけられるから、すべてを吸いあげる甲斐がある。「人々が創出して結びつけているデータの量と、それを分析するソフトウェア・ツールを見ると、控え目にいっても、すべて幾何級数的に成長しています」
・マイクロチップやサーバーが油田に取って代わった。データ・センターやソフトウェアが、製油所に取って代わった。帯域幅と光ファイバー・ケーブルが、パイプラインの役目を果たしている。そして、それらが汲み出すデータが、生活と商業のあらゆる側面に浸透している。
・ビッグデータを使って、分析、最適化、カスタマイズ、予見、自動化のためにAIを創出して得られる優位は、すさまじく大きい。膨大な量のデータを分析できれば、それまで見えなかった傾向を見抜くことができる。旅客機の飛行経路を最適化できれば、これまで以上に燃料を節約できる。個々の顧客のために製品もしくはサービスをカスタマイズできれば、いまだかつてなかったほど、ライバルより優位に立つようになる。エレべーターや航空機用エンジンの部品がいつ壊れるかを予見し、その前に交換すれば、顧客のお金をいまだかつてなかったほど節約できる。最後に、アイデア段階のモデルをコンピュータ上で作成し‐つまり、橋から核兵器に至るあらゆるモノのデジタルの双子を創って‐建造する前にその機能をデジタルでテストすれば、時間、お金、資源を、いまだかつてなかったほど節約できる。
・GitHubは、最先端のソフトウェア開発の源だ。ソフトウェア創造の共同作業を促す、もっとも人気があるプラットフォームである。共同作業は、ありとあらゆるパターンがある‐個人と個人、社内の緊密な集団、あるいは広く公開されたオープンソース。2007年以降、GitHubは爆発的に利用されるようになった。1人よりはおおぜいのほうが優れた知恵を出せるという前提があり、個人も企業もいっそうGitHubのプラットフオームに頼るようになっている。どういう商業目的のためでも、現存の最良の共同ソフトウェア創出物を利用し、それをもとに社内と社外の知力を引き出す共同作業チームを編成できるので、学習速度を速ることが可能になる。
・人類の歴史をふりかえると、ほとんどの人間の生活全般を根本から変えたエネルギー源は、数えるほどしかないとわかる‐火、電気、そしてコンピュータ。そして、コンピュータがクラウドとともに登場したいま、火や電気よりも重大なものになるといっても、過言ではないだろう。火と電気は大規模エネルギーのきわめて重要な源だった。家を暖め、道具や移動手段のエネルギー源になった。だが、それら自体が思考を助けたり、代わりに思考してくれることはなかった。世界の知識や世界中の人々と結びつけてくれる力もなかった。世界中の人々がスマホで同時にアクセスできるようなツールは、これまでまったく存在しなかった。
・20年前には、クラウドにあるような演算能力にアクセスできたのは、政府だけだった。その後は、企業もアクセスできるようになった。いまでは、VISAのようなクレジットカードがあるだけで、それを借りることができる。現在では、インターネットに接続できるモバイル機器の数は、地球の人口よりも多い。ただしそれは、先進国の人々の多くが、たいがい2台持っているからだ。世界の人口の半分は、まだ携帯電話、スマホ、タブレットを持っていない。しかし、持っていない人々の数は、日々減っている。すべての人々がインターネットに接続する日は、10年以内におとずれるだろうが、そうなったときには、それにれる集合的な知力は、すさまじいものになるはずだ。
・シリコンバレーの現在の標語はこうだ。アナログなものはすべてデジタル化し、デジタル化されたものはすべて保存し、保存されているものはすべて、より強力なコンピュータ・システムのソフトウェアで分析して、学習結果はすべてただちに応用して、古いものをもっとよく機能させ、新しいものを可能にし、古い物事を根本的に新しいやり方でやれるようにする。
・産業化時代の経済から、コンピューターインターネットーモバイルーブロードバンドに推進される経済‐つまりスーパーノバ経済‐に移行するにつれて、私たちは調整の痛みを味わっている。マネジャーも労働者も、これらの新テクノロジーを吸収しなければならない‐仕組みを知るだけではなく、工場やビジネスのプロセス、政府の規制をすべて、それに沿って再設計しなければならない。120年前の第二次産業革命時‐当時のスーパーノバである電化が導入されたとき‐も、おなじことが起きた。古い工場は、生産性を大幅に向上させるために、電化しなければならなかった。すべてのビジネス・プロセスとともに、再設計する必要があった。マネジャーと労働者1世代が引退し、新世代が登場して、その新しいパワー源が生産性に全面的に貢献するまで、30年かかった。
・情報集約的なプロセスをデジタル化することで、最大90%のコストが削減でき、ターンアラウンドタイムが数桁、改善されうる。多数の産業に実例が見られる。
・サプライチェーンの品質問題は、カスタマーの購買行動やデジタル・チャンネルでのフィードバックをモニターすることで、迅速に突きとめて対処できる。従来のやり方の大規模プロジェクトで現在のプロセスすべてをデジタルの世界に移そうとすると、影響を及ぼすのにとてつもない時間がかかる場合が多く、まったくうまくいかないことがあるというのを、一流の組織は認識している。そこで、成功を収めている企業は、既存のプロセスに関係するものすべてをまず疑問視し、最新鋭のデジタル・テクノロジーを使って再建しながら、プロセスを捉え直す。たとえば、一流の組織は、事務・管理部門の社員が顧客の苦情をシステムに入力するのを支援するテクノロジー・ツールを創り出すのではなく、顧客がみずから苦情を入力できるようなセルフサービスのオプションを創り出す。
・データ・フローは「従来の商品のフローよりも大きな影響を成長に及ぼしている」ことをマッキンゼーは発見している。「世界の貿易ネットワークが何世紀もかけて発展してきたのに対し、国境を越えるデータ・フローは115年前に発生したにすぎないので、これは驚異的な発展だ」これが成長することは間違いない。なぜなら、当初、「大手企業は、サプライヤーを管理し、顧客と結びつき、社内通信と世界中の社員のデータ共有を可能にするのに、自社のデジタル・プラットフォームを作っていた」が、いまは「多種多様な公開型のインターネット・ブラットフオームが登場して、あらゆる場所のあらゆる人間を携帯電話で接続しているからだ」‐そこにはフェイスブック、ユーチューブ、ワッツアップ、ウイーチャット、アリババ、テンセント、インスタグラム、ツイッター、スカイプ、イーべイ、グーグル、アップル、アマゾンなどが含まれている。
・メッセンジャー・アプリは、もちろん電話番号が基本になっているが、フェイスブック・メッセンジャーでは電話番号を消滅させようというのが、マーカスの構想だった。フェイスブックの画面で人や会社の名前をクリックするだけでよく、電話番号をおぼえる必要はまったくない。「そのうちに電話番号は時代遅れになるだろう」とマーカスはいう。そうなれば、フローの流量が激化することは、想像に難くない。
・こういったツールすべてが規模拡大するにつれて、国境を越えるコミュ二ケーションと取引のコストは減りつづけているので、グローバルなビジネスの起業はとてつもなく安あがりになっている。
・マッキンゼーまさらにこう指摘する。おなじ理由から「これまでには見られなかったような規模で大幅に拡散する製品が生まれている。」そのいっぽうで、これらのマクロとミクロのフローすべてが、経済カ‐その内容と、だれがそれを持っているか‐についての私たちの考え方を、根本的に転換させつつある。
・ストックが富の尺度であり成長の原動力でもあった長い時代‐想像できるあらゆる資源をどれほど蓄積し、引き出し、利用するかが重要だった時代‐から、会社やコミュニティを通過するブローがどれほど豊かで数が多いかが、競争力で優位に立つのにもっとも有効な資源である世界に、私たちが移りつつあることを示している。そして、それを利用するには、労働者である国民の練度が高くなければならない。
・すくなくとも過去数世紀にわたって、ビジネスは価値創出の基本となる知識のストックを中心に組織されてきた。独占的な知識を得て、その知識のストックを積極的に守り、そこから効果的に経済的価値を引き出して市場に出すことが、経済的価値創出の秘訣だった。
・だが、加速の時代の難問について、へーゲルはこう説明している。「知識のストックの価値が、加速度的に減少していることが問題だ。こういう世界では、経済的価値の源が、ストックからフローへと移り変わっている。将来は、より多様な知識のフローの幅広い領域に効果的に参加でき、知識のストックをあらためて加速度的に活気づけるような企業が、最大の経済的価値を創出することになるだろう。つまり、知識のフローが、経済的価値創出を左右している。知識のフローがグローバルな規模で幾何級数的に拡大し、加速している世界に私たちがいるのは、ありがたいことだ。
・そうなっているのには、いくつもの理由がある。1つの重要な要素は、デジタル・テクノロジーのインフラで迅速な改善がひろがっていることだ。べつの重要な要素は、世界人口の急速な都市化だ。都市部の人口密度が高くなればなるほど、そういう���市部の人々が相互に影響し合うことが増えて、知識のフローが大幅に増大する。
・このストックからフローへの大転換は、学習と教育に甚大な影響を及ぼす可能性がある。「私たちは個人として、体系的な教育プログラムを人生の早い段階に受ければそれですむと考えている。そして、そこで得たスキルと知識が、一生ずっと役に立つはずだと信じ、安心して就職する。たしかに、働さながら新しい知識を得ることも多いが、肝心なのは、教育システムを通じて得た知識のストックを効果的に利用することだ」
・ビッグシフトは私たちに、労働力である限り学びつづけることを要求する。たえず追いつかなければならない個人と、労働者が追いつけるように配慮しなければならない政府や企業にとって、それが大きな難問になる。なぜなら、「ほんとうに”流れ(フロー)に乗る”には、それに貢献しなければならないからだ。
・すべての社会、すべてのコミュニティは、社会的テクノロジーを再考して創り直す速度を倍加しなければならない。なぜなら、私たちの物理的テクノロジーが近いうちに減速する見込みは薄いからだ。アメリカは50州と数千の地方に権限が分散されているので、統治に関して多種多様な実験を行なうことができ、社会の創り直しには理想的だ。しかし、2008年‐2007年にあらゆる加速するテクノロジーが一式生まれた直後‐に、アメリカは深刻な景気後退に陥り、政府の機能不全が引き起こされた。その結果、物理的テクノロジーの多くが蔦進するいっぽうで、社会的テクノロジー‐加速に追いついてそこから大きな利益を得るのに必要な学習、統治、規制システム‐が失速した。前述のように、すべての人々の足もとで地面が前よりも速く動きはじめたのに、人々が調整して順応するのを手助けする統治システムが、ほとんど凍りついたままだった。また、実情を人々に説明できる政治指導者が、ほとんどいなかった。この政策の空白によって、アメリカや全世界の市民が、海で漂流しているような心地を味わい、極左か極右の候補者を多数が支持する結果になった。現在では、ブレーキをかけ、変化の力をハンマーで打ち砕くような人間を‐あるいは不安を解消する単純な答えを聞かせてくれる人間を‐多くの人々が望んでいるように見受けられる。
・現在は、デジタル・デパイドはおおむね解消された。そうなったときのもっとも重大な格差は、「モチべーション・デパイド」だと、未来研究所のマリーナ・ゴービス所長はいう。未来は、スーパーノバが生み出す無料もしくは安価なツールとフローを、セルフ・モチべーションによってすべて利用する人間のものだ。
・「農業経済では、土地が資産でした」オーガストはいう。「工業経済では、物的資本が資産でした。サービス経済では、方法、デザイン、ソフトウェア、特許のような無形のものが資産でした」
・「現在の知識・人間経済では、人的資本‐才能、スキル、ノウハウ、共感、創造カ‐が資産になるでしょう」オーガストはつけくわえる。「こういった過小評価されている莫大な人的な資産が、まだ掘り起こされていません‐私たちの教育機構と労働市場は、それに対応する必要があります」幸運な少数の人間だけが資産やビジネスチャンスを手に入れられるような��長モデルは、なんとしても避ける必要がある。政治的に持続可能な社会を支えるのに必要な、富の大規模な再配分が求められる。
・あらゆる仕事が、急速に引っ張り合いになっている‐機械、ロボット、インドと中国の労働者が、そういった仕事の大部分もしくはすべてを奪おうとして競争している。だから、私たちは生涯学習によって、ロボット、インド人、中国人その他のスキルを有する外国人に一歩先んじなければならない。そうやって技術的なスキルか社会性・情動面での新しいスキルを身につけるには、学習意欲を駆り立てるセルフ・モチべーション、粘り強さ、気概が一段と要求きれる。
・そして最後に、あらゆる仕事が急速に引き下げられている‐現在のかたちのままでは過去にアウトソーシングされるしかなく、あっという間に時代遅れになる。そのため起業家的な思考があらゆるレべルで必要とぎれる。利益を生み、雇用を創出するような、新しいニッチ、なにかをはじめる新しいビジネスチャンスを、つねに探さなければならない。つまり、私たちの教育システムはせめてツールを更新して、必要なこれらのスキルや特質を最大にしなければならない。読み、書き、コーディング、数学の強力な基盤を築き、創造性、批判的思考、コミュニケーション、共同作業、セルフ・モチべーション、生涯学習の習慣、起業家精神、その場その場の工夫を、あらゆるレベルで強めていかなければならない。
・仕事はもっと”手から頭に、そして心に”移り変わっていくだろうというダヴ・サイドマンの主張が正しいと思う理由は、そこにある。「心ができるあらゆる事柄」にまつわる仕事は増えるだろうと、サイドマンは説明している。「機械は確実な相互運用が可能だが、人間には深い信頼を築けるという特徴がある」いまも私たちは人間の手による労働を必要としているし、機械と協カして並外れた物事をやりつづけるだろう。テクノロジー革命は心とともに、また、心と心のあいだに、さらなる価値を生み出すことを人間に強いると、サイドマンは単純明快に主張している。
・産業経済では「労働者を雇うことが重要だ。知識経済では頭脳を雇うことが重要になる。テクノロジー革命は、私たちを”人間経済”に押し込んだ。そこでは心を多く雇うことで、価値創出が拡大きれる‐それが備えている情熱、個性、協力の精神などの特質は、いずれもソフトウェアにプログラミングできない」
・加速の時代には「学習のほうが知識よりもずっと重要になっています」。それが実情であるなら、「ものすごく魅力的な新スキルセットとは、知ることよりも学ぶことを重視する柔軟な考え方です。この考え方では、個人が一生学びつづけるのは当然だと見なされます。共感、社会的・感情的な知力、判断、創造性、多様な思考、起業家のような展望に力を注いで、適応しようとします。最近の研究では、5種類の産業、最高20種類の職種で、長い仕事人生が見込まれます」。
・”大人になったらなにになりたいか?”と質問するのは時間の無駄だと指摘する。それよりも、「大人になったらどんなふうになるか?」「大好きなことはなにか?」(進化する質問)、好きなことや目標を新規起業のビジネスチャンスに変えるにはどうすれぱよいのか?職を見つけるだけ���はなく創り出すには、どうすればよいのか?と問いかける。またしても、教師が生徒にあたえ、親が子供にあたえる最高の贈り物は、”物の考え方”だという話に戻る。グローバルなフローにどう向き合うのか?そこから学び、それに貢献するには、どう身を処すか?フェイクニュースやジャンクな情報を取り除いて、本当の知識や事実を取り出す備えはあるのか?
・「加速の時代によってかたちを変えられた新しい職場は、多数の新しい社会契約を必要とする。1つは雇用主と従業員のあいだの社会契約だ。雇用主は、求職者がひけらかす学歴ではなく、その求職者が間違いなくやれることを基準に雇うようにしなけれぱならない。さらに、会社の枠組みで、生涯学習ができるような道すじをいくつも提供しなけれぱならない。
・次は本人の自分自身との契約だ。雇用主が学習の機会を設け、授業料を援助しくくれたら、その両方を利用する気概と動機を示さなければならない。自分の学習と絶え間ない再学習に、当事者意識を持たなければならない。この最後の点は、いくら強調してらいい足りないほどだ。結局は自分しだいなのだーなにを学ぶかを見極め、じっさいに学ぶ。”デジタル・デパイド”はじきに消滅するはずだ。近いうちにほとんどの人間が画面とインターネット接続を操れるようになる。未来学者のマリーナ・ゴービスはいう。その世界では、大きな格差は「やる気の格差になるでしょう」セルふ・モチぺーション、(忍耐力のある人間は、無料もしくは低コストのオンラインツールで、一生ずっと創造し、協力し、学びつづける。宿題はやったかと念を押す親がいなくなっても。
・そして、こういう姿勢や価値観はダウンロードできない。昔ながらのやり方でアップロードする健全ないつくしみ深い地域やコミュニティに支えられ、できれば両親がそろっていることが望ましい。知的支援、知的補佐、知的アルゴリズムにできることは多い。しかし、子供に本を読み聞かせ、セルフ・モチべーションと気概と忍耐という価値観を植え付ける親のいる安定した家族が存在しなかったら、加速の時代に受ける重圧はいっそう強まる。親の舵取りの過ちも、子供におなじような影響をあたえる。1人の人間からべつの人間へと、ゆっくり築いていくしかない昔ながらの物事が、いままで以上に重要になっている。
・100万人を超えるアメリカの大卒労働者、学生、教育者、雇用主を対象とする調査で、2つの経験が注意を引いた。成功を収めている学生は、メンターとして学生の志望に真剣に興味を抱く1人もしくは複数の教師に出会っていたことと、大学で学んだ内容に関係のある仕事で実習生だったことだ。熱心に働く社員はかならず、職場で成功している理由として、”学生を1人の人間として気にかける”教授や、”学生の目標や夢を激励する”メンターに出会ったから、あるいは、”大学で学んだことが応用できるような実習”を経験したから、と答える。こういった労働者は、「仕事に熱心に取り組んで、かなり満足のいく状態で成功する可能性が2倍ある」ことがわかったと、バステイードは述べた。
2018/10/31 20:52
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スーパーノバ
コラム:自分の価値観・優先事項(憂える事項、実現してほしい事項)、物事をどう動かしていると考えるか(経済の仕組みについての作業仮説)、影響を受けるとどう反応するかしないか
Hadoop:データ分析の主なOS、グーグル・フォト:音声で検索、
GitHub:プラットフォーム。どの問題を解決したいのか考える。
ペリスコープ;ライブ動画ストリーミング・アプリ
プラットフォームの経済学 マカフィー け
Change.org、LearnUp.com 雇用支援
管理人:クアルコム社では電源内蔵型のクリップ式センターをドア、ゴミ容器、洗面所、窓、照明システム、冷暖房システム、冷却装置、ポンプに取り付け、データをすべてスーパーノバにアップし、分析し節約。データをタブレットに連動させ、チームに1台支給した。異変が起きると、タブレットが修理マニュアルを表示。修理方法を知らないときは、現場の写真をタブレットで撮り、送る。
2018/11/03 22:25
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今は誰でもキーボードを叩くだけで歴史を創れる
2007年は歴史の当たり年
ムーアの法則 王様とチェス盤と米の昔話と同じ
テクノロジーは自らを土台とする仕組み スピードが加速する
スーパーノバ
言語を統計的手法で学習する
電話番号は時代遅れになる
ビッグシフトは労働力である限り学び続けることを要求する
株取引のアルゴリズムは乱高下があると完全にてをひく 暴落に繋がりやすい
高い人工増加率は教育や経済的向上に追いつけない 高齢か問題より深刻
女性の教育と避妊具で人工増加は抑えられる
パドルを水のなかに入れたままにしない パドルは舵ではない 急流て安定を高めるには流れより速く進もうとすること 仕事のイノベーションも同じ
社会の仕組みが追いつかない可能性がある
絶えず自分を作り直し生涯学習に邁進する必要がある
機械化で織物工の雇用は増加した 価格が下がり需要が増えたから
Atmによって生産性が向上し支店が増え出納係の雇用は増えた
仕事はなくならないが必要なスキルは高くなる
2018/12/03 21:23
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パート1 熟考
・遅刻してくれてありがとう
パート2 加速
・2007年に一体何が起きたのか?
・ムーアの法則
・スーパーノバ
・市場
・母なる自然
パート3 イノベーティング
・とにかく速すぎる
・AIをIAに変える
著者は、トーマス・フリードマンで、代表作は『フラット化する世界』など。
プロの物書きが、現在進行形で世の中で起きている事をコラムとして書き連ねた物という印象。
この、十数年、いや、2007年から起きたテクノロジーの大加速に驚愕しつつも、直近で何が必要で、自分の子供の世代で何が必要となるのかについて筆者の視点からのメッセージが書かれている。
個人的に面白いと思ったのは、労働のパラダイムシフトに関するストーリーだ。AIによって仕事、労働が変化していくであろうと予想し、個人の好きな事をお金に変える方法として、料理教室であったり、スポーツの体験だったり、お酒が飲める絵画教室だったりを、紹介しつつ、子供達にしてはいけない質問として、「大人になったら何になりたい?」、「専攻はなんですか?」、「生活のためになにをやりますか?」と、職を見つけるだけでは無く、創り出す必要がある世の中になっていくとし、子供に与える最高の贈り物は”物の考え方”という。