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まずはじめに「縮小まちづくり」の意味がわからなかった。どういうことなんだろうか。縮小するちづくりなのか、まちづくりをコンパクト化しようとしているのか。不明である。
「縮小まちづくり」とは、集中的に再生・活性化を行うエリアを定めてマネジメントし、魅力ある人材とマネーを呼び込み、薄く広くひろがったまちをたたんで整理していくこと。というのが筆者の定義だそうだ。つまり選択と集中の議論である。じゃあそこから記述しないといけない。
あやふやな「まちづくり」の成功事例をあつめただけの印象。
成功事例とはなにかを予め定義してから、具体的な数値がでて、初めて成功したとされるはずである。それなのに、ひとくくりでまとめてしまうと単にあつめただけになってしまう。
作中の成功事例について、中核市から小規模自治体(夕張)まで、すべて書いてしまっているから、これらの特徴を真似れば成功するような錯覚を覚えてしまう。
コンサル界隈の著作であるのに構成・ロジックが非常に危うい。
特定の政策はどこからやってきたのか、首長か、地方議員か、市民かNPOか…その結果どのような政策が現れ、成功したのか、そこから記述しないと、成功事例を模した計画はまるごと共倒れしてしまう。
さらに、表紙で「ターゲットをしぼる」と書いてあるが、完全にこの本の読み手(ターゲット)を絞りきれていない。章はじめに登場する寒いマンガは、想定される読者を小馬鹿にしていると思う。読者は研究者、自治体職員、自治体議会議員あたりであろうか、読み手を想像すればマンガは不要なはずである。
この手の本は気をつけて読むべきである。
批判はしたが、小奇麗にまとまっている分、成功事例を知りたい人にはおすすめなのかもしれない。
が、おおよその調査・研究ができていると、これら成功事例は知っていて当然のレベルであることは補足しておく。