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なんときれいな平城京、の平城京を作るまでのもろもろの物語。反対勢力との闘いとかいろいろあるけど、当時の日本と唐の関係とか、朝鮮と大和政権との関わり(の考察)とかが興味深く、よくわからなかった、というか腑に落ちなかった歴史の教科書の出来事の裏事情が、なるほどねと理解できたのが楽しかった。
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平城京遷都の裏事情の時代小説。
自分における歴史小説と時代小説を区別していて、史実とは別の物語となっているものを時代小説と呼んでいます。
自分は歴史小説は大好きですが時代小説は評判が良ければ読む程度です。
とはいえ、池波正太郎や山本周五郎などの江戸時代ものは結構気に入って読んでいました。
そこで、この小説ですが、タイトルから歴史小説と思ったのですが、架空の主人公が架空の敵(裏には実在人物が糸引いていたりしますが)と対決するという流れは時代小説仕立てでいまいちでした。
この時代は大好きなので、黒岩重吾を始めとして永井路子、杉本苑子などが真正面から書かれたものが自分の基本となっています。
なので、本作の真犯人は意表を突かれたものの面白い推定と思いましたが、敵との攻防などという茶番で濁さず、それに絡む過去の因縁をもっとしっかり描いてほしかったです。
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藤原京から平城京への遷都をめぐるお話で、エンタメ小説としてはすごく面白かったと思います。大枠では時代の流れというか事実に沿ってはいるんでしょうが、実在の人物と架空の人物が入り乱れ、ともするとこれが史実であるかのような誤解を招きはしないかと思ったり(^-^; 以前、復元された平城宮の大極殿に行ったことがありますが、基壇が思った以上に高く、国を見晴るかすとはこういうことなのかもなぁと思いました。あの眺めを思い出しつつ読んだわけですが…地図くらい付けてくれればいいのに、というのも正直な感想(笑)映画で見てみたいですね。☆3・5
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阿部比羅夫の一族にスポットを当て,平城京を造って遷都することを軸に,天智派と天武派の暗躍を描いていて(スパイ物のエンターティメント風),こういう解釈もありかと面白かった.百済の人々や葛城一族の扱いもあって史実を掘り起こしているようなところが勉強になった.子供時代の阿部仲麻呂も天才ぶりを発揮していて,微笑ましかった.
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阿倍船人は兄で白村江の敗戦の責任者である宿奈麻呂から平城京建設を手伝うよう頼まれる,天智天武の争いも尾を引いて計画を阻止しようとする一味も暗躍.スリルある展開.
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阿倍仲麻呂の架空の叔父が土木作業の中心となって平城京造りが始まる。
どこまで史実かはっきりわからないが、なかなか面白く読めた。しかし終盤は完全にフィクションのアクションものに変化してしまい、そのあたりが残念。
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奈良時代、平城京の着工から完成までを描いた古代史小説。国家事業である平城京プロジェクトに挑む技術者たちの苦悩や努力を描いた感動モノづくりがテーマかと思いきや、そのプロジェクトの政治背景や陰謀がメインストーリーの歴史ミステリー。
平城京以前の藤原京を都としていた期間はわずか16年。この決断の裏にはかつての壬申の乱で争った天智天皇派と天武天皇派との対立があり、さらに滅亡した朝鮮の百済との国際関係の影響があったと著者は論じる。
こうした古代史の謎解きが盛り込まれているが、そのミステリー性が強すぎて、主人公を含めた登場人物の存在感が薄く、まじめすぎるのが本作品の欠点。この当時の人間なら、道徳観など二の次で、エゴむき出しの殺人や性行為などなんでもアリのはず。さらに藤原不比等や阿倍仲麻呂、吉備真備ら有名な人物がたいした活躍をしないのも、ちょっと不満。
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遣唐使船の船長だった阿倍船人は、白村江での敗戦以来冷遇され続けてきた阿倍家の復興を胸に、遷都反対派との対立のなか、平城京造営という国家の一大プロジェクトに挑むことになる。
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人が集まって一大プロジェクトを成し遂げようとする時、
自らの信念や利益を全うしようとして、
時には残酷な行いにも走ってしまうのは、
今も昔も変わらない。
そして、そんなピンチの中であっても、
人の心をつかんで離さないリーダーがいれば
まとまることができるのも変わらない。
今の日本にそんなリーダーは現れる日は来るのか?
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著者の作品は3作目。『等伯』は面白く読んだが、その後の『姫神』に続く古代日本を描く一連の流れの作品だろう。『姫神』の日経書評に次は「平城京造営の音頭をとった阿倍宿奈麻呂が主人公の連載を始める予定だ」とあり、まさにそれが本書。
ただし、主人公は実在した官僚宿奈麻呂ではなく、弟で船頭という阿倍船人(ふなびと)という架空の人物としている。これが良かったのか悪かったのか。物語のドラマ性は増したが、フィクション度が高くなり、ストーリーとしてやや重みに欠けるというか、作り話っぽくなってしまうのが、こうした古代史を題材にした際のタマニキズ。前作『姫神』が演劇脚本だったように、舞台的な見せ場としての活劇シーンも後半差しはさまれ、そのあたりはやや劇画的でシロート臭い。歴史小説ではなく、時代小説と言われてしまうところだろう。
とはいえ、奈良県人として、古代史好きの身としては面白く楽しく読めた。周防柳の連作『蘇我の娘の古事記』『逢坂の六人』でも描かれたように壬申の乱にまつわる因縁が、その50年後の平城京造成に影を落とすという設えは興味深い。教科書では宮家の兄弟喧嘩程度にしか習わない壬申の乱が根深く皇族を呪縛する様は、さすがに歴史小説としては描けまい。フィクションである効用か。藤原京から平城京への遷都推進派と、反対勢力の確執、そして黒幕の存在はミステリーとしても読み応えあり。
また、平城京造成を進める上で、地方豪族である葛城氏との丁々発止の交渉、戦闘、そして和睦後の協力体制の構築なども実に興味深い。こちらは、なんと雄略天皇の時代、それ以前の歴史を踏まえての物語である。
丁度、今(2019年7月現在)、日経新聞の朝刊の連載が池澤夏樹氏による雄略天皇の治世を扱った『ワカタケル』である。この物語の前半の読みどころだった、先代の天皇が暗殺されるクダリや、それ以降も葛城氏との関りはふんだんに描かれている。池上史観は日本書紀に則り、安康天皇は葛城氏の姫の連れ子の目弱(まよわ)に暗殺され、それをワカタケル(のちの雄略天皇)が成敗して帝位に就くという流れで描かれていた。
本書では、そうではなく、ワカタケルが父親を暗殺し、その罪を眉輪(まゆわ)王(目弱と字も違う)に濡れ衣を着せたとして描く。古代史の解釈は定説がないだけに、このあたり発想が自由で面白い。
本書の主人公の船人が、遣唐使の船長を務めた船乗りという設定も良い。これは伊藤潤著『男たちの船出』を読んでいたからだと思うが、太古の昔より船乗りは建築技師であり天文学者であった、数字に長けていたという設定がすんなりと腹落ちした。そんな阿倍船人と、後の遣唐使、阿倍仲麻呂や吉備真備らが世代を超えて交流し合うさまも、当時の奈良の都を舞台に生き生きと描かれ、わが故郷の地を、本当に彼らがその昔闊歩していたんだと想像たくましく、その暮らしぶりを脳裏に描いてみた。実に、楽しい。
行基さんが、活躍するのも嬉しいね。近鉄奈良駅の前で、佇んでいるお姿は馴染み深いけど、本書を読むと、なぜあの場所に行基さんが居るのかが良く判る。今度、行くことがあれば、しっかりご尊顔を拝し、その偉業に感謝の気持ちを送りたい。
そんなことで、古代史好き、奈良好きには、そこそこ楽しめる内容にはなっている。
冒頭記したように、ファンタジーに振れすぎた点は残念。そもそも古代史が謎多くて、想像を働かせなければ補えないのだから止むむ無しではあるが、政治的駆け引きや、より経済的な側面などで平城京遷都の緊急性を表現し、ストーリーに織り込めたら、より読み応えがあったのにと惜しい気がする。その分、非常に読みやすくはあったけどね。
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奈良・稗田、環濠集落につながる葛城氏の話が面白かった。
一文の表現力に奥行きがないように感じて、
どうも安部さんは肌が合わないかな。
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平城京遷都のお話。壬申の乱や白村江の戦いから続く因縁も描かれ、歴史の流れを感じる。
2019/11/1
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教科書では「710年平城京に遷都され奈良時代が始まった」ぐらいしか書かれていない。どこから遷都?って思っても藤原京についてはほぼ書かれていないような。
史実に基づくフィクションであるにしても、この時代の人の息吹を感じられたのはとても良かった。
それを抜きにしても読み応えのあるストーリーで満足。
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平城京建設の物語。
河川のつけかえから始まり、用地の買収や人足の確保などの下準備をしたり、都大路の整備、建物の建設など大がかりな土木工事を進めていく中で建設反対勢力の妨害が起こる。
果たして工期は間に合うのか、妨害の親玉は誰なのか。プロジェクトXにミステリーを少し足したような、ドキドキハラハラしながら読める一冊。