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私たちが出会ったあの頃は、戦争の真っただ中だった
珠子、茉莉、美子―三人が出会ったのは、戦時中の満州だった。何もかも違う三人はあることをきっかけに確かな友情を築き上げる。やがて終戦が訪れ、それぞれの道を歩みだす。二〇一六年本屋大賞第三位作品。
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珠子、茉莉、美子、それぞれが戦中〜戦後で、現代では考えられないような苦難を味わう。そんな中で3人を助けたのは、苦難の中で優しくしてくれた人たちの思い出だった。優しくしてもらえた記憶は、人が辛いときにも歩みつづける支えになるし、また他の人にも優しくなることができる。そんなテーマがこの物語には一貫して描かれている気がした。
実際にはそんなのは綺麗事で、辛い思い出の方がトラウマや恨みとして残ることの方が多いのかもしれない。今でも関連国間の問題は燻り続けているから、実際にそうなのだろう。
でも他人から受けた優しさの方を、また違う他人、次の世代にしていくことを意識的にしていきたいと思う。親からもらった愛情は自分の子供に与えていきたい。その子がまた他の誰かに優しくできるように願いを込めて。。
この先辛い思い出を抱えることになっても、優しさを連鎖させていくことができるようになりたいな。
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戦後の話。残酷な場面もあったけれど引き込まれるものがありすぐ読み終えてしまった。忘れてはならない時代の話。
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本屋大賞2016年3位。満州移民の悲惨な話は「闇に香る嘘」ってのがあったけど、この本も前半は重苦しい話が続く。朝鮮半島や中国の一部を第二次世界大戦までは日本が支配下に置いていたことが、今の反日感情のベースとなってるんだなってことを再認識させられる。かつてのヨーロッパの大国がいろんな国を植民地にしてたことによる根強い反感ってのもあるのでしょうかね。征服欲によって形作られた人間の歴史ってのはやっかいなものです。この小説はそんな悲惨な描写が細かいのと長いのでやや退屈です。それでも、人から優しくされた記憶が悲惨な状況に耐えて豊に生きていく糧になるってことや、そういった心のつながりの暖かさに心を揺さぶられます。最後の方は泣きました。なんか、生きる勇気を与えてくれる本です。
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少女達がどのように生きて行くのか気になり一気に読み終えてしまった。幼児の母として、子供のためには何としても頑張らなくてはいけない気持ちや、泣く赤子を泣き止ませなくてはならない辛さなど読んでて苦しくなった。
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戦時下の満州で出会った出自の違う3人の少女。
終戦を迎え、それぞれが数奇な運命を辿ることになる。
再読。
満州からの引き上げ時に残留孤児となった珠子、
日本に渡り在日朝鮮人として生きることになった美子、
家族を空襲で失い戦争孤児となった茉莉。
10歳にもならない子供の辿ることになった運命は、想像を絶するもの。
戦争に翻弄され、その被害者となった子供たちが沢山いた事を忘れてはいけないと思います。
多くの人が読でもらいたい本、
私も今後何度も手に取ると思います。
2021/11/06
再々読。
満州開拓団、中国残留孤児、在日朝鮮人、戦災孤児。
満州で出会った3人の少女は、それぞれの場所で残酷な運命を辿ることになる。
・・・
何度読んでも、辛いシーンに背筋が凍る思いがします。
戦争の悲惨さは、絶対に忘れてはならないし、ちゃんと知らないとならないとならないと思います。
多くの人に読んで欲しい本。
良作です。
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満州で出会った3人の少女が、戦争に翻弄された末にまた出会うまでの物語です。
悲しいです、とにかく悲しい。満州で誘拐され中国残留孤児となる珠子、在日朝鮮人として葛藤の中生きていく美子、空襲で家族を全て失い幸せになる事を拒み続ける茉莉。皆よく生き残ったなあ・・・。無数の珠子、美子、茉莉が日本国内外に沢山いた事を忘れてはいけないです。子どもの頃はお年寄りから色々な話を聞く機会が有りましたが、もう実際に体験している人から話を聞く事は難しくなりました。
広く皆に読んで欲しい本です。戦争反対。
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2019.02.09読了
450ページの長編。
私を見つけて→きみはいい子→と来ての
本作です。
内容は第二次世界大戦時に満州で出会った3人の少女…
朝鮮人の美子、四国の村から満州を目指した日本人の1人珠子、そして横浜に生まれ裕福な暮らしをしていた茉莉。
この三人が戦争によっておくらばざるをえなかった波乱万丈な人生とその顚末を綴った物語。
中脇初枝さんの作品は題材として重いものが多いが必ず最後に小さくても光を見出すことができるのでホッとできる。心と体に優しい作品
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中脇初枝 「 世界の果てのこどもたち 」
満州国を舞台とした 3人の少女(中国残留孤児、在日朝鮮人、日本人)の物語。
「戦争=愚か」以外の描き方は していないので、戦争の悲惨さや戦後の在り方を考えさせる小説ではなかった。民族間の感情を 満州国の問題と共に 描いた小説だと思う
満州国の問題を丁寧に描いている
*満州国が 傀儡国家であるが故に存在した 満州人や 満州にいる朝鮮人の抗日感情を 3人の子供の目線を通して描写
*3人の女性の友情を通して 満州国建国の理想であった 東洋の友情を描写
大人と子供の対比
「大人たちには侮られているが〜こどもたちは慕っていた」
人間の愚かさ
「人間〜愚かなことを繰り返さないようにするため勉強する」
「人間は〜置かれた場所で 精一杯生きていく」
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辛いなかでも存在した、優しさや親切のリレー。その結果に笑みがこぼれた。
この三人のような関係が、くにと国との間で現実でも結べたらいいのに。
それにしても、この戦争の背景や歴史をもっと勉強しなければ。自分の知識が偏っているというか、歪んでいるというか。そんな気がしてならなかった。
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真ん中過ぎまで、とても読むのが辛い本であった。
3人の少女が主人公だけど、太平洋戦争下に満州へ行く子と、朝鮮人の子と、横浜育ちのお嬢様って、もう不穏な要素しかない設定。
特に、横浜で空襲に遭う時とその後、そして満州開拓団からの引き上げのくだりは本当に読むのが辛かった。
中盤を過ぎて少女たちが成長するに連れて彼女たちの人生が少しずつ上向いていき、ようやく安心して読み進められるようになった。
それでも満州からの引き上げ中に誘拐され、中国人の夫婦に買われてその子供として育てられた珠子の人生は、彼女が中国残留日本人孤児として故郷に帰ってからも辛いものだった。
こういう人がきっとたくさんいたのだろう。
とにかく言葉が分からないというのはものすごいハンデになると感じた。
帰らない方が幸せだったのではとも思うし、そういう選択をした人も多かったろう。
それでも、帰ってきたから、生涯の友を得た。
とにもかくにも、最期はハッピーエンドで良かった。
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戦時中、満州で出会った3人の少女を巡る話です。
高知から家族とともに来た珠子、朝鮮人の美子、横浜から来た茉莉。
国籍を超えた友情で結ばれる少女たちですが、戦争が激しさを増すにつれ日本は追い詰められていき…
3人はそれまで想像もつかなかった人生を送ることになります。
珠子は終戦後中国戦争孤児に、美子は日本で朝鮮人差別を受け、茉莉は空襲で家族を失い…
戦争という誰も逃げられない苦しみの中、必死で生き抜いた少女たちの人生とは。そして失った物と、そこから得た物とは?
日中韓の関係の悪さは今でも度々問題になっていますが、この本を読んだらその理由が分かるかと思います。
フィクションですが史実を基にしているため、当時の生活や貧しさがリアルに描かれています。
3人が日本で再開した時、日本語が話せない珠子に衝撃を受けた美子と茉莉。
母国の言葉さえ戦争で失われてしまったことはとてもショックでした。
「戦争さえ無ければ」と、当時を生きた人たちはどんなに願ったでしょうか。
今の平和な日本に感謝すると共に、二度と同じ歴史を繰り返してはいけないと思いました。
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戦争のことを、3人の違う立場の人生で描かれていて入り込めました。特に在日朝鮮人の方の立場がとても勉強になりました。
満洲へ行った開拓団の日本人の人生、原爆を投下され両親を亡くした孤児の人生、日本によって翻弄された朝鮮人の人生。
私が小学生の時、戦争のことを学びましたが、こういう視点で勉強したかったです。
2度と同じ過ちを繰り返さない為に、学校ではこのような本を読んだ方がいいと思いました。
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三人の女性の幼少期から晩年までを綴った、史実を基にしたフィクション。戦争について描いた小説はたくさんありますが、一人一人の人生について、徹底した取材を基に、ここまでリアリティをもって物語る小説には初めて出会いました。
中国残留孤児、戦争孤児、在日朝鮮人。知識としては知っていましたが、そういった人々が何を経験し、何を感じたのか、本当の意味では何も知らなかったのだと、この小説を通して改めて感じさせられました。作者の筆致は淡々としていますが、そこに語られる事実の壮絶さに圧倒されますし、胸が痛くなります。そして、戦争が個の人生を否が応にも変えていってしまうその無慈悲さを、ただそうであるものとして描き出そうとしている作者の覚悟にも、感服させられます。
三人の主人公の人生が一瞬交錯して、物語の最後にまた繋がる展開は、人と人が国籍や思想を越えて、繋がることができるかもしれないという希望を描き出しています。もちろん、その道のりは並大抵のものではないのですが…。戦争に翻弄されながらも、そこで生きていこうとする人々の人生を濃密に描き出した本作品。たくさんの人に読んでもらえるといいなと思いました。
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涙と怒りしかない本でした。次のページが不安でずっとドキドキしながら読みました。生きて3人が再び会うことができて本当に良かった。
自民党の国会議員の方々や自民党支持者の皆さんは、この本を読んでも、憲法を改正して日本も戦争をできるように変えるべきだと言うのでしょうか。デモやTwitterでヘイトスピーチ、差別発言を続けるのでしょうか。我々日本人も、いつまで忘れることの得意な民族を演じ続けるのでしょうか。忘れて無かったことにしてしまうのでしょうか。