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ある日突然、引きこもりの息子が虫になった…。10〜20代の引きこもりやニートなど社会的弱者が罹患する「異形性変異症候群」。もし自分の子供が社会的弱者で、さらにそうなったらいったいどんな対応ができるでしょう。夫はなんと言うかしら。法的にも罹患したら死亡扱い、人権の適用外。異形な子供を抱えた家族への周囲の拒絶反応はリアルで、周囲どころか家族にもどれだけ理解してもらえるか、想像するだけで背筋が寒くなります。家族の絆は強くて脆い。異形なものにならなくても現代社会は同じようなものなのかもしれません。
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一気読み!
主人公の旦那が薄情すぎ。ラストはスカッとした!
物語は、子供たちが異形になるという話だがなんだか、現在の介護の問題とリンクするように感じた。
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のっけから衝撃の展開。
今の世相にうまく切り込んだフィクションだなぁと思った。
子供は勝手に育つもの。親は様子を見て、その時々に合わせて必要な手助けさえしてやれば、後は自分で大きくなるもの。その子が何をしてもらいたいか見てやる事。闇雲に何かをすればいいというものではない。時には見守るだけの方がいいこともある。
子育てに正解はない。人間関係と一緒。ただ相手を一人の人間としてみて信頼して尊重するのが大事。全能の神じゃないんだから。
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ある日突如、異形化する人々。途中人間関係に反吐が出ながら読了。優一は虫だったから蛹になって人に戻ったけれど、他はどういう経緯で戻るんだろうなと思った。あと、捨てた人、殺した人は元に戻るニュースでどれだけ心を痛めただろうなと。考えたらキリがない、しかも意味もない。面白くはあった。
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メフィスト章に信頼を置く私としてはいつか読んでみようと気になっていた作品、しかも人間が人あらざるものに変化するという世界観がキャッチーでワクワクしてました。
自分が期待していたグロテスクな描写は想定より抑えられていたかなという印象ですが、逆に骨太な親と子の関係性に切り込んだ社会派の様相を呈しております。美春が異形となった優一都の関わりを通して、今までの考え方、接し方が間違っていたのではと思い返し、優一だけを攻めていた態度を反省する境地にまで至り、人間として、親として成長していく物語に見受けられました。
ただ、各章の間に挿入されているそれぞれの異形家族のショートストーリがやるせなさが滲み出て、悲しい気持ちを誘う。それぞれの異形の種類が違い、その描写は嫌悪感たっぷりの気持ち悪さで表現しきっているので、鳥肌もんです。後、「みずたま」の顛末と春町さんの秘密。衝撃すぎてもういたたまれないです。
最期の展開は、スッキリ爽快といったもので、自分の価値観を押し付けるのでなく相手を尊重しながら関係性を築いていこうという心情の結末は明るい希望を灯すラストでした。
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ある日突然、異形性変異症候群になった息子と家族の話。
発病した優一より、少し若い息子2人を持つ私としてはかなり興味深く読んだ。
育児に正解などない。
人はつい、自分の事ばかり考えがちだ。
良かれと思ってやっている事が、逆効果な事もたくさんある。人を育てるのは難しい。
後半の、心の叫びの部分は辛すぎた。
死ぬのも嫌、生きるのも辛い。
そんな事を我が子が思っていたらと思うと、せつなかった。
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面白かったです。ぐいぐい読みました。
ニートや引きこもりの若者が発症し、異形となる「異形性変異症候群」。異形も、動物、虫、植物
、魚類と様々でした。
カフカの「変身」を、変身された家族の側から描いてるような作品でした。カフカの方はグレーゴルだけだったかもしれないですが、こちらの世界では社会現象でした。変身すると死亡届を出さないといけないし。
ひとり息子の優一が突然虫になってしまった美晴を主人公としているのですが、夫の勲夫がもう…無理でした。自分の思い通りに生きられない息子はもう邪魔扱いすることとか。読んでいくとこれは美晴にも当てはまるところがあって…でも美晴はそれに気付けて、考えと接し方を改められたので、優一は快復出来たのだろうと思いました。
優一の葛藤がすごくわかったのは、わたしの親も似てるからかなぁと思ったり。憎んでも恨んでも、結局許してしまうのでしょう…一握りの優しさで。
津森さんの考えは当たっていると思いました。異形となる本人ではなく、その家族に問題があるのではないか。
そして、途中で美晴が見た夢。異形になってしまう人とは多分ここに分かれ目があるのだろうな。
優一が快復し、勲夫が異形になってしまうラストは皮肉ですが、好きです。
許さなくてもいいのかな。
正しくなくても、生きていける。
この物語では分かりやすく異形の形をとっているけど、色々なものに置き換えて読めるなと思いました。家族が、動けなかったりコミュニケーションが取れなくなったら、自分はどうするのか。。
各章の終わりにある、異形となった子どもとその家族のエピソードがとてもつらかったです。
第一章の異形が読んでいてキツかったのですが、これ山崎さんのエピソードなんだろうな…と思うと悲しくなりました。
春町さんの過去もなかなかつらいです。
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異形になってしまう。
自分たちの現実だったらあり得ないけど、本の中で異形とその家族を見ていく中で、不思議と本と現実の境目が薄くなってくように感じる。切ないけど、すごく好き。
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生きていく希望も未来もない。
けれど死ぬ勇気もない。
その思いが人を異形にする。
一生懸命育てても思うようにならない子供。
この子が普通ならこんな悩みはなかった。
この子さえいなければ。
子供を殺すことはできないけれど
異形になったモノなら法律の後ろ盾もあり
罪悪感なく殺すことができる。
『普通』という型にはまれないことの悲しみ。
カフカの変身と通じる。
生きていくのは辛いけれど、死ぬ勇気もない。
虫になれば周りも本人も人間の『普通』に苦しまなくていい。殺すことに罪悪感もない。殺されてもしかたない。
いかにこの世が生き辛いかという話ではないか。
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びっくりした。寝る前に読み始めて一気に読み終わった。
現代の『変身』のような話。現代日本で人が異形に変わったらどうなるか。異形になったら人として「死んだ」こととみなす。なりそうだなぁと思う。それが引きこもりやニートの若年層が多く罹患するとなったら。それを家族としてどう受け入れるか。荒唐無稽でグロデスクなのに、リアルに感じる。
話の広がりは大きくなかったけど、だからこそシンプルに主題について考えさせられた。
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最初は、異形の描写を読んで、なんでこんなことに!なんて気持ち悪い本を選んでしまったんだ…!と思ってしまいました(笑)
異形になったことで子どもに対する向き合い方を考えさせられて、ラストに向けては勢いよく読めました。
終わり方もよかった。
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かなりえぐい本です。子どもが人間はでは無いものに変化してしまう病が発症し始めた日本で、自分の子供が芋虫というかムカデというかという気持ち悪い虫に変わってしまう話です。読んでいて文面に手が触れるのをためらってしまう位緻密に書かれているので、鳥肌立つ瞬間が沢山ありました。嫌悪感バリバリ湧きます。
しかし、その気持ち悪い風貌になったニートの息子を諦める事が出来ずに、何とか受け入れようと努力を続けます。
法律では変異した人間は死亡したと見なされ一切の権利を失い、処分する事は全く咎められません。そんな中で夫の反対を背に息子とむき合う母親の姿が健気です。
しかし次第にこの虫息子、大人しいし無害だしでだんだん嫌悪感は薄れていきます。でも虫ですからね、とても抱けないし触りたくないです。
自分に当てはめて読む本って沢山有りますが、これはちょっと当て嵌めたくないなあと思いながら読みました。
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ご飯を食べながら読めない本だということは早々に気づきました 笑 でもこの本には必要な描写だったと思います。 久しぶりに、文句無しの星5つの本でした。本当に面白かった。
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いま、コロナ騒ぎで大変だけど
もしこんなのが流行ったらどうしよう・・。
息子の世話なら、ギリギリできそう・・?
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ニートや引きこもりの若者だけが罹患する奇病によってグロテスクな見た目となり、人間として死亡宣告されてしまった優一。物語は優一の母、美晴を主人公に、同じく我が子が異形と化してしまった親たちとの交流を通じて様々な家庭を描く。
もともと社会の厄介者とされがちな引きこもりやニートは家庭に置いても厄介で、異形となったことをきっかけに排斥される場合も多い。なかには美晴のように、どんな姿になろうと我が子だからと必死で世話していく親もいる。どちらが正しいも間違いも無い、良い悪いでもないはずなのに、常識とは、世間体とは、「普通」とは。周りの目を気にして自分を押し殺す生き方、それは人間に向いているのか、向いてないのか。
冒頭から面白く読み進めました。非現実的なのに細部までリアリティあり引き込まれました。
ラスト近くの、引きこもりやニートと思われる、自分は落ちこぼれだと認識している人達の叫びと思われる文章から、回復にいたるまでが感動しました。
理想の自分像をがんばるのではなくて、ありのままの自分を自分で認め、自分を大切にすること。言葉にしてしまえば、月並みでありふれたことかもしれませんが、生きるのがつらすぎて人間をやめたいと思ったら異形になってしまうというのは、若者に限らず、どんな立場の人にも起こり得ること。生きるのにうまく対応できない自分を、それでも大丈夫と認めてあげることができたら。
想定外の事態が当たり前のように起こる近年、SNSも拡がり、理解を越える価値観や意見が世の中に乱立していますが、自分と違う立場の者を批判して排斥するのではなく、理解しようと歩み寄ってほしいというメッセージが込められているのかなと感じました。