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読み出しは気持ち悪いのが強かったが、読み進めていくうちに、世間や政府の見方などの設定や異形の家族を持つそれぞれの視点が読書意欲を向上させた。
ただ結末がなんともつまらないものなのが残念
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発売当初、書店にでかでかと貼られたポスターを見てカフカの変身だと思った。
20歳前後の、所謂社会に適合できなかった若者が異形になる奇病と、異形の我が子をめぐる家族の話。
正直最近よくあるタイトルにパワーワードを置く作品は嫌いだ。
タイトルに中身が負ける、タイトルの勢いのままラストまで走りきれない作品が多いからである。
この作品に関しては、個人的に最後まで苦しい感情や期待を抱え続けてページをめくり続けられたと思っている。
この奇病は社会や家族との繋がりが希薄な若者ほど発症する傾向にあると書いてあり、ゾッとした。
他人事ではなかった。そしてこの世界での神様は、
私のような社会不適合者を不要だと判断したのである。
人間は憲法なり法律なり保護者なりに守られて、
長く自然淘汰というシステムから遠ざかっていた。
それが急に我が身に降りかかってきたのである。
生産性のない人間は"虫"にされる。
この世界のバグだという烙印を押されるかの如くである。
また、異形になる子供は親の想定を大きく外れ
理解できない存在になってしまったことへの
オマージュなのではないのかとも思った。
そういう意味では両親にとって私は虫なのかもしれない。
治療法のないこの奇病は、発症したら最後人の形に
戻る見込みもないので戸籍上死亡とされることになる。
そんな中、法律に則り可及的速やかにかねてより
疎ましく感じていた息子を処分したい父親と、
戸惑いながらも息子を息子として扱う母親が悲しい。
本作の主人公はこの息子のために奔走する母親であり、
不出来な子供を持った母親の苦悩や葛藤を読んでいると
何度拒絶しても関わろうとすることをやめない自分の
母親の姿を重ねてしまいとても苦しくなってしまった。
主人公はやがて異形化した子供を持つ保護者の会に入り、
そこで各家庭の葛藤や混乱、顛末を目の当たりにする。
それぞれの家庭にそれぞれのやるせなさ、愛情があり、
肉親だからこそどうにもならない思いが切なかった。
印象に残ったシーンがある。
物語終盤少し前、視点が子供達に変わるところ。
それまでとは全く異なる文体にのせて、
言っても仕方がない、言ってはいけない、言えない、
(だから言わない)子供達の感情がただひたすら
垂れ流されていくだけの章がある。
自分の中のどうしようもない気持ちや、
家族や世間に対する後ろめたさ、申し訳なさ、
やるせなさ、ぶつけどころのない感情に
共感しすぎてしまいとても辛くなった。
当時は押し寄せる感情と好奇心で
次々と思うがままに読んでしまったけれど、
もう一度じっくり沢山のことを考えながら読みたい。
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カフカみたい、と思ったら全然違った。
色んな異形のタイプがあって、まさかの植物とか、魚とか、政府の対応とか、発想がいい。
テンポも良くて読みやすかった。
だからこそ、後半は想像の域を出ず、ありきたりで勿体ないなー、と思ってしまった。
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誰にでもニートや引きこもりになる可能性があると思う。ちょっとしたきっかけさえあれば私も、誰であっても。だからこそ、この小説は胸に刺さった。
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『もう分からなくなってしまった。正しいことなんて。
どうすればいいのか、どうするのが良いことなのか、正解なのか、見当もつかない。』
『間違っていたというのなら、正すための時間と機会がほしい。もう一度やり直したい。』
「子育てに正解はないんだ。人間関係と一緒さ。ただ相手をひとりの人間として見て、信頼して、尊重するのが大事なんだよ。」
「例えばあたしがあんたにしてやれることいえば、あんたがいつ家に来ても迎えてやれるようにすることくらいなもんさね ー 大したことないだろ?」
「充分よ」
『物心ついた頃から、既に自分というものの価値が決まっていました。
いつの間にか気づいたんです。自分に値札がついていることに。それも信じられないくらいの安値であることに。』
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ある日突然、引きこもりの息子が虫になった…。10〜20代の引きこもりやニートなど社会的弱者が罹患する「異形性変異症候群」。もし自分の子供が社会的弱者で、さらにそうなったらいったいどんな対応ができるでしょう。夫はなんと言うかしら。法的にも罹患したら死亡扱い、人権の適用外。異形な子供を抱えた家族への周囲の拒絶反応はリアルで、周囲どころか家族にもどれだけ理解してもらえるか、想像するだけで背筋が寒くなります。家族の絆は強くて脆い。異形なものにならなくても現代社会は同じようなものなのかもしれません。
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一気読み!
主人公の旦那が薄情すぎ。ラストはスカッとした!
物語は、子供たちが異形になるという話だがなんだか、現在の介護の問題とリンクするように感じた。
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のっけから衝撃の展開。
今の世相にうまく切り込んだフィクションだなぁと思った。
子供は勝手に育つもの。親は様子を見て、その時々に合わせて必要な手助けさえしてやれば、後は自分で大きくなるもの。その子が何をしてもらいたいか見てやる事。闇雲に何かをすればいいというものではない。時には見守るだけの方がいいこともある。
子育てに正解はない。人間関係と一緒。ただ相手を一人の人間としてみて信頼して尊重するのが大事。全能の神じゃないんだから。
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ある日突如、異形化する人々。途中人間関係に反吐が出ながら読了。優一は虫だったから蛹になって人に戻ったけれど、他はどういう経緯で戻るんだろうなと思った。あと、捨てた人、殺した人は元に戻るニュースでどれだけ心を痛めただろうなと。考えたらキリがない、しかも意味もない。面白くはあった。
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メフィスト章に信頼を置く私としてはいつか読んでみようと気になっていた作品、しかも人間が人あらざるものに変化するという世界観がキャッチーでワクワクしてました。
自分が期待していたグロテスクな描写は想定より抑えられていたかなという印象ですが、逆に骨太な親と子の関係性に切り込んだ社会派の様相を呈しております。美春が異形となった優一都の関わりを通して、今までの考え方、接し方が間違っていたのではと思い返し、優一だけを攻めていた態度を反省する境地にまで至り、人間として、親として成長していく物語に見受けられました。
ただ、各章の間に挿入されているそれぞれの異形家族のショートストーリがやるせなさが滲み出て、悲しい気持ちを誘う。それぞれの異形の種類が違い、その描写は嫌悪感たっぷりの気持ち悪さで表現しきっているので、鳥肌もんです。後、「みずたま」の顛末と春町さんの秘密。衝撃すぎてもういたたまれないです。
最期の展開は、スッキリ爽快といったもので、自分の価値観を押し付けるのでなく相手を尊重しながら関係性を築いていこうという心情の結末は明るい希望を灯すラストでした。
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ある日突然、異形性変異症候群になった息子と家族の話。
発病した優一より、少し若い息子2人を持つ私としてはかなり興味深く読んだ。
育児に正解などない。
人はつい、自分の事ばかり考えがちだ。
良かれと思ってやっている事が、逆効果な事もたくさんある。人を育てるのは難しい。
後半の、心の叫びの部分は辛すぎた。
死ぬのも嫌、生きるのも辛い。
そんな事を我が子が思っていたらと思うと、せつなかった。
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面白かったです。ぐいぐい読みました。
ニートや引きこもりの若者が発症し、異形となる「異形性変異症候群」。異形も、動物、虫、植物
、魚類と様々でした。
カフカの「変身」を、変身された家族の側から描いてるような作品でした。カフカの方はグレーゴルだけだったかもしれないですが、こちらの世界では社会現象でした。変身すると死亡届を出さないといけないし。
ひとり息子の優一が突然虫になってしまった美晴を主人公としているのですが、夫の勲夫がもう…無理でした。自分の思い通りに生きられない息子はもう邪魔扱いすることとか。読んでいくとこれは美晴にも当てはまるところがあって…でも美晴はそれに気付けて、考えと接し方を改められたので、優一は快復出来たのだろうと思いました。
優一の葛藤がすごくわかったのは、わたしの親も似てるからかなぁと思ったり。憎んでも恨んでも、結局許してしまうのでしょう…一握りの優しさで。
津森さんの考えは当たっていると思いました。異形となる本人ではなく、その家族に問題があるのではないか。
そして、途中で美晴が見た夢。異形になってしまう人とは多分ここに分かれ目があるのだろうな。
優一が快復し、勲夫が異形になってしまうラストは皮肉ですが、好きです。
許さなくてもいいのかな。
正しくなくても、生きていける。
この物語では分かりやすく異形の形をとっているけど、色々なものに置き換えて読めるなと思いました。家族が、動けなかったりコミュニケーションが取れなくなったら、自分はどうするのか。。
各章の終わりにある、異形となった子どもとその家族のエピソードがとてもつらかったです。
第一章の異形が読んでいてキツかったのですが、これ山崎さんのエピソードなんだろうな…と思うと悲しくなりました。
春町さんの過去もなかなかつらいです。
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異形になってしまう。
自分たちの現実だったらあり得ないけど、本の中で異形とその家族を見ていく中で、不思議と本と現実の境目が薄くなってくように感じる。切ないけど、すごく好き。
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生きていく希望も未来もない。
けれど死ぬ勇気もない。
その思いが人を異形にする。
一生懸命育てても思うようにならない子供。
この子が普通ならこんな悩みはなかった。
この子さえいなければ。
子供を殺すことはできないけれど
異形になったモノなら法律の後ろ盾もあり
罪悪感なく殺すことができる。
『普通』という型にはまれないことの悲しみ。
カフカの変身と通じる。
生きていくのは辛いけれど、死ぬ勇気もない。
虫になれば周りも本人も人間の『普通』に苦しまなくていい。殺すことに罪悪感もない。殺されてもしかたない。
いかにこの世が生き辛いかという話ではないか。
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びっくりした。寝る前に読み始めて一気に読み終わった。
現代の『変身』のような話。現代日本で人が異形に変わったらどうなるか。異形になったら人として「死んだ」こととみなす。なりそうだなぁと思う。それが引きこもりやニートの若年層が多く罹患するとなったら。それを家族としてどう受け入れるか。荒唐無稽でグロデスクなのに、リアルに感じる。
話の広がりは大きくなかったけど、だからこそシンプルに主題について考えさせられた。