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18編の短編集。
短編のミステリーを書かせたら、今一番上手い作家さんだと思うが、今回収められている18編は全て原稿用紙20枚程度。その短さの中に様々なミステリーが完璧に収まっており、本当に「凄い!」としか言いようがない。
タイトルの「道具箱」はこの本自体のことを示しているのだと、納得の一冊。
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長岡弘樹さんの新刊は、やはり短編集だが、今回は全18編も収録された豪華版。1編の長さが原稿用紙20枚と、短編としても短いことが大きな特徴である。
「声探偵」。パーティーに紛れ込んだ犯人を、見つけ出した方法とは。たまたまとしか言えない。「リバーシブルな秋休み」。別れた夫婦の行動に、親としては突っ込みたいぞ。料理勝負の裏の意図とは、「苦い厨房」。他の方法はなかったのか?
「風水の紅」。姑との微妙な関係。普通に伝えれば…。「ヴィリプラカの微笑」。夫婦の微妙な関係。……。「仮面の視線」。異国で色々と勘違いした男の末路は。「戦争ごっこ」。今どきの息子の機転が光る。「曇った観覧車」。わずか20枚の悲劇とだけ書いておこう。「不義の旋律」。男の行動はともかく、同情の余地はある。
「意中の交差点」。女心の機微に、自分は気づけまい。「色褪せたムンテラ」。わずか20枚の大事件とだけ書いておこう。「遠くて近い森」。正直、自分勝手としか思えない。彼は大人だな。「虚飾の闇」とは、芸能界の闇ですか…。「レコーディング・ダイエット」が効くのか知らないが、そんな勝手な「ダイエット」があるか?
「父の川」。「リバーシブルな秋休み」より突っ込みたい。愚かな父だ。「ある冬のジョーク」。こんな理由で、犯罪が露見するとは…。「嫉妬のストラテジー」。一応、ショック療法なのかなあ…。ラストを飾る、「狩人の日曜日」は、ビジュアル的にすごい。連続狙撃犯を思い留まらせた、仰天の手段とは。
突っ込みどころがいつもより多いが、それもまた楽しみのうち。わずか20枚という制約の中で、ここまで激動の展開をさせる作家、長岡弘樹。短い分だけ無駄が極限まで排除され、鮮烈な印象を残す。次はショートショートに挑戦してほしい。
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20ページに満たないほどの短編集。チークのおまじないや裏返された服の謎、ジョークが通じない後輩など。いい話っぽいのもあり、後味悪げなのもあり、各種取り揃えてはいるが全体的に物足りないというか、このページ数で捻り過ぎでは?という印象。あとなんかポジティブ変換されてますけど、それよく考えたら後味悪い系では?私がイヤミスに毒されすぎなのか?と、ちょっと肩透かし感はあった。
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ノン・シリーズの短編集。短かめの短編が18作収録されている。
短いながらも結末はどれも想像の上を行き、何度も驚かされた。さりげない伏線も巧い。やはり長岡さんの短編は面白いなあ。
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連載で毎号読み切りスタイルなら楽しめるかもしれないが、単行本でしっかり読む心構えでいると、各章が短すぎて物足りなさを感じた。書籍名が題名となる話は結局登場しなかったが、読了してようやく理解した。
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資産家の娘・早百合に意中の相手がいるのか。調査を依頼された探偵の木暮と菜々は、最後の候補者と早百合がスクランブル交差点ですれ違うよう仕向ける。だが、その寸前に、なぜか木暮は早百合に電話を入れた…(「意中の交差点」)。借金苦から、休暇を利用して質屋に押し入った刑事の角垣。逃走中に電柱に衝突するも目撃者はなく、無事逃げおおせた。だが、なぜか上司の南谷は、角垣が犯人だと見抜くのだった…(「ある冬のジョーク」)。とっておきのアイデアを注ぎ込み、ストイックに紡がれた贅沢な作品集。
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ひとつひとつの物語はほんの短いものなのだが、その中に、必ず一度は、「ほほぅ」と思わされる要素が埋め込まれている。それはときに、はっとするようなことだったり、なるほどと合点するようなことだったり、ちょっぴり笑ってしまうようなことだったりとさまざまなのだが、それらのスパイスによって、物語が格段に魅力的になっているのは間違いない。ちょっぴり洒脱な印象もある一冊である。
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短めのミステリ短編集。短いながらも、というか短いからこそ、密度が濃い印象です。手がかりがこれでもかってほどにちりばめられていて、注意深く読めば気が付く……のかな? いやいや、ラストであっと言わされるばかりでした。
お気に入りは「ヴィリプラカの微笑」「仮面の視線」「虚飾の闇」。やっぱりブラックテイストが好きなので(苦笑)。ラストの一行でがつんとやられちゃうのがたまりません。
ささやかな謎と穏やかな読み心地の物語としては「遠くて近い森」がいいなあ。とてもさりげない分、後でその意味が分かるとぐっと来ます。
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18の短編。一つ一つ読むと、そうなんですかと感心しつつ、それは無理があるなあと思うんだけれど、短い物語でいくつも作っている長岡さんすごいなあと感心。よく考えているなあと思うものがあるんだけれど、特に心理的なもので「嫉妬のストラテジー」、「レコーディング・ダイエット」は印象に残った。短いのでちょっとした時間で読める、それが魅力です。
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短篇集。
読み終わってから背筋がぞくっとしました。
南谷刑事が出世しながら何回か登場していて、それはとてもいい感じでした。
こんな短い中でこれだけ想像力を発揮させてくれるってすごいな~。
長岡弘樹さんの他の本も読んでみようと思います。
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一遍十数ページ、18編のミステリーを収録。枯渇することを知らない泉のように湧き出るそのアイデアには脱帽。読者として、アイデアが惜しみなく短い短編に注ぎ込まれるのでもったいない感も。さらっと読めてどんでん返しも楽しめる。多少無理のある展開も目をつぶれる。
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短篇ミステリーというよりは、気の利いたショートショートという印象の、原稿用紙20枚ほどの作品が18編。
どれもが小技とひねりが効いた長岡さんらしい作品で、結末は想像できるもの、そうきたかとニヤリとしてしまうもの、ブラックなもの、胸にじんわりくるものとバラエティに富んでいて、うまいな~と思わせる。
日常の謎的なものも多いのだけど、事件が起こる場面では、要所要所に南谷刑事が出世しながら登場して全体としての統一性もあって楽しめた。
少年と義父の情を描いた「遠くて近い森」が一番好き。
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ミステリーの星新一
ミステリーのショートショート。抜群の切れ味とアップテンポな展開が小気味よい。18編だから、細切れ時間活用にと思ったのだが、どうしても一気読みしてしまう麻薬的誘惑が危険な作品だった。
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【収録作品】声探偵/リバーシブルな秋休み/苦い厨房/風水の紅/ヴィリプラカの微笑/仮面の視線/戦争ごっこ/曇った観覧車/不義の旋律/意中の交差点/色褪せたムンテラ/遠くて近い森/虚飾の闇/レコーディング・ダイエット/父の川/ある冬のジョーク/嫉妬のストラテジー/狩人の日曜日
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どんでん返しの短編の名手が更に短い話を18編描いた超短編集。なるほどと思うものもあればちょっと都合がいいかなぁと思うものもあったが全体的には楽しんで読めた。ただ、短いせいもあって多少インパクトには欠けたかも。たまに出てくる南谷刑事はシリーズ化するのだろうか。
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ショートショートに近いミステリー短編集
・声探偵
・リバーシブルな秋休み
・苦い厨房
・風水の紅
・ヴィリプラカの微笑
・仮面の視線
・戦争ごっこ
・曇った観覧車
・不義の旋律
・意中の交差点
・色褪せたムンテラ
・遠くて近い森
・虚飾の闇
・レコーディング・ダイエット
・父の川
・ある冬のジョーク
・嫉妬のストラテジー
・狩人の日曜日
の18作品収録。
特筆すべきインパクトのある作品はないですが、気楽に読めて、落ちも「なるほど」から「やっぱり」まであるので、お得な感じはしました。
個人的にはいくつかの作品に登場する南谷刑事が気になりました。
心理的に犯人を追い詰めるのも好みですし、登場するたびに出世しているのも面白かったです。
最初の相棒の同期の北山がもっと出世しているようなのも気になりました。
彼を主人公にした中編や長編が読みたくなりました。