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「コンビニ人間」の衝撃後、他の作品も気になって手にとってみたが、久々に内蔵が呻くような何とも言えない気持ち悪さを味わう。
人間の歴史を見れば何が常識、正常かなのかなんてわからない、時代と共に180度も変わってしまうもの。今の世界に違和感を感じている人は実は意外と多いのではないか。現代でさえ、結婚制度が色々とあるように。ただ、性的なものや家族というものが生きる上で一番密着しているからこそ、私たちへの衝撃は大きい。
あの実験都市のような世の中が正常になったとき、私は心が壊れず生きていけるだろうか。
今の世の中をそんな風に生きている人もいるかもしれない。精神的な疲労負荷の高い作品だった。
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クレイジー沙耶香を読んでみたくて、
実際に読んでみたら怯んでしまった。
この人の世界はどこかは来ているのだろうか。
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異常な世界だ
でも、100年後、こんな世界になっている可能性は
ゼロではないかもしれない
どんなに変な事でも
みんなが正しいと言えば
正しいことになってしまう
洗脳とは恐ろしい
たしかに子どもは人類の宝かもしれないけれど
他人の子どもにそこまでの愛情は湧かない
その成長を見守りながら
様々な苦労を乗り越えて育てていくことで
かけがえのない存在になっていくのだ
だがこの本の世界では
それは昔の人の考えでしょ
っていうことになってしまう
科学の発展も方向を間違えると
人は楽な方ばかりを選び
人間らしさを失ってしまうのかもしれない
と感じさせられた
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雨音は、好きな人と結婚して、子供を産むという、母の与える「正しい世界」で育ちます。母も、そうして雨音を産みました。
しかし、世界では人工受精で子供を生むのが「正しい」とされていました。雨音は、小学校四年生の性教育の授業で、母が性行為で妊娠したというのは『普通じゃない方法』だと知ります。
みんなアニメーションや漫画の中のキャラクターに恋をしたり、家族の外に恋人をつくったりして、家族に性行為をするのは近親相姦とされる世界となっていたのです。
さらに進んだ実験都市では、より合理的になっていました。「家族」というシステムもなくなり、受精する人間はコンピューターで管理され、すべての大人がすべての子供の「おかあさん」、すべての子供がすべての大人の「子供ちゃん」となります。
変化する正しい世界。こんな世界は狂っているのでしょうか。そんななか、雨音はどの世界でも正常でした。正常こそ発狂なのでしょうか。
村田さんの描く世界観が、大好きです。不気味さ、薄気味悪さを感じるのに、そこに引き込まれてしまいました。
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これまた評価が難しい作品である。
個人的には、読み始めてすぐ「あ、これだめかも」と思い、読み進めるのを悩んだ。
個人の相性が確実にある本である。
人間の生殖がセックスではなく人工授精が普通、セックスしない(夫婦ですると近親相姦)、千葉にエデンという共用の子供を産む実験都市があって皆で平等に育てていく....という題材からして、気持ちの良い話ではない。
読んでいると「作者、これ書くのしんどくないのかな。私ならすぐ途中で書くのやめるな」と思うほど、描写が(良い意味で)しんどかった。
最後も衝撃的でなんだか悲しかった。
こんな世界が来ませんようにと本気で思った。(軽く洗脳されかかった)
こういう話は嫌いなほうなので★3つだが、作品の評価としては★4つである。
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芥川賞を受賞した「コンビニ人間」は、若干の狂気を秘めつつも、笑える小説だった。それに対し、本書は、本当の狂気が覆い尽くすSFの世界が広がっていて、慄然とした。文庫版の斉藤環の解説を読むと、なるほど、そういうことかもという一応の理解はできるのだが、読んでいる間は恐ろしさが先に立つ。ヒトも進化の途中だという小説の中のセリフには、なぜか頷いてしまうのだが。
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普通とは何なのか?と考えざるを得ない作品。好き嫌いが分かれそう。個人的には好きなタイプ。性における普通は変化している。100年前はおよそ考えられなかったであろう人工授精が今や珍しいものではない。そうすれば、今行われている「普通」の性交渉はいずれ「異常」になり得る。読めば読むほど普通がわからなくなる。
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「性」において、既存の価値観を揺さぶる寓話だった。世界観と自分の価値観は重なるものでは無かったので、ページをめくっていくのが怖くなる。でも先に進みたい、そんな感じ。
「世界で一番恐ろしい発狂は、正常」。
雨音が生きる先の世界が気になる。
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ディストピア小説とかSF小説とか、現実とは一線を画した世界の話と思うには、あまりにも現実味がありすぎて薄ら寒ささえ感じてしまった。
現実味がないと思いたいのに、身に覚えのあるシーンが混ざりこんでいるような、不気味な感覚に襲われてばかりだった。
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『殺人出産』に続いて出産に関係した作品です。こちらのほうは1本の長編ですが、一読した印象としては前作とあんまり変わっていないような、いや長編になったことが悪いほうの目で出ているような・・・
設定がつまらないわけではないんです。夫婦間のセックスを近親相姦と呼んで忌避するとか、千葉を実験都市にしてそこでは男性も妊娠出産するとか、色々と想像力が膨らむ仕掛けが施されており、面白いといえば面白いです。
ただ、本作で描かれるような、現代人から見れば異様な社会になぜなったのか、どのような出来事を経て価値観がここまで変わったのかといった「Why?」の突き詰めが前作同様、不足しているように感じました。『殺人出産』の感想ではもっと長い分量を、とか書いておいて申し訳ないのですが、この長さであればある程度納得できるバックグラウンドを提示して頂かないと、これで日本の未来を予言するといわれてもあんまり説得力を感じなかったのでした。
それでもラストシーンは結構好きです。こんなホラー小説のような締め方をされるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりしました。
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コンビニ人間を凌ぐぶっ飛びぶり。
なのに、コンビニやスタバ、レストランや仕事など、暮らしぶりは現代のままなのが可笑しい。
千葉県がピンポイントで実験都市の設定になっているのが笑える。
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う〜ん、ごめんなさい。
理解できなかった。人工授精とかセックスレスとか言った言葉しか思いつかない。なんか大きなテーマがありそうな雰囲気なんだけど、登場人物像が頭に描けないまま終わってしまった。ごめん、読み手の力不足だな。
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村田沙耶香の頭の中はどうなってるのだろう??
この世界は近未来の話なのか、それとも現世のパラレルワールドの話なのか。とにかく発想がすごいといつも思う。
そうか、夫婦は「家族」なのか。だから夫婦間の性行為は「近親相姦」なのか。。仮にこの世界が現実になっても、千葉市の話は受け入れられなかった。名前も個性もなくなっていくのか。
ページをめくる手は止まらず、どんどん先に進めるも、なぜか心の奥のほうには違和感が。これも村田沙耶香読後の独特な感覚だなあ。
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巻末評でこれを女性はユートピア小説として(男性はディストピア小説として)読む、とあったが、本当だろうか?特に結末の部分、作者の意図として、異性愛主義との決別とは言えるかもしれないが、ユートピア小説ではあり得ないと感じる。
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夫婦間の性行為が近親相姦にあたるという前提がぶっ飛んでいるにも関わらず、私の価値観と近しいところがあってびっくりした。結婚してみると旦那には恋愛感より兄弟のような安心感を求め、その代わりに手の届かないテレビの向こうの人を恋焦がれている。声優さんのコンテンツ(恋愛アプリやシチュエーションCD)は、まさにこの本でいうマスターベーションを示してるように思えた。オタク女子が増えることで、この本のような価値観の世界に近づきつつあるように思えた。