投稿元:
レビューを見る
シリーズ最新作。
最初、『ゲルマニア』を読んだ時は、続編があるとは思ってもみなかった(余り続きそうなラストだとは思えなかった……)が、面白かったので3作目まで続いたのは嬉しい。
ちょっとフィリップ・カーの『ベルリン三部作』と共通する雰囲気があったり(こちらの主人公の方が紳士的だがw)、混乱する時代を魅力的に描いていたり、好きなシリーズなので、もし続編があるならこのまま邦訳が途切れないで欲しいなぁ……。
投稿元:
レビューを見る
1945年4月20日~8月7日までのベルリンの物語。
第1作のゲルマニアの面白さに比べてしまうと少し物足りないが、綿密な調査によって描かれるベルリンの風景はシリーズを通してとてもリアル。
当初3部作予定が5部作になったと聞いたので、次作が楽しみ。1作で出てきたSS将校が出てくることに期待する。
投稿元:
レビューを見る
知らずに三部作の最終巻を借りて読んだ。ちょうどベルリン陥落の時期を描いているので、各種の記録(文学)と聞き語りをベースにしたであろう断末魔ベルリンの状況は、かなり興味深いものがある。ドイツ兵がロシアで行ったこと、日本兵が中国で繰り返したことは、今度はソ連兵によって同じことをされた戸いう事実の記録でもある。ドイツは首都ベルリンで地上戦が行われた。日本は徹底的な空襲で東京が破壊された。「歴史認識」の薄い日本の若者は、こういう本で少しは学習をして欲しいところだが、500頁を超える本を読むという知的営為ができないだろうなぁ…
投稿元:
レビューを見る
終焉 ハラルト・ギース
1945年4月末ベルリン陥落間際から8月中旬大平洋戦争終結目前までのベルリンが舞台。作中ではナチスからソ連軍に支配が移っている。物語は密告を恐れて、エデが持つ地下の倉庫に潜伏するオッペンハイマー夫妻のもとに男が一人加わるところからはじまる。ナチスが研究していた原爆の資料を巡るソ連軍、ロシアギャングとのスパイ合戦をメインに、リザを襲う悲劇とオッペンハイマーの怒りと苦しみ、ヒルデの出獄、ベルリン市民の地を這う生活やエデの商売を描いている。赤軍の無法ぶりや、言動の自由のなさ、収容所送りを恐れ、保身と出世しか頭にない軍人たちの姿は、ナチス親衛隊と変わらない。
6月5日にベルリン宣言が締結されているが、作中で連合国軍が入ってくる気配はない。エピローグに米軍兵士が現れるくらい。分割統治がどのように進められていったのか気になるところ。
予備読として、リチャード・ベッセル「ナチスの戦争1918-1949」を読んでおいたのはよかったが、本作品の舞台がベルリンなので、戦時下のベルリン関連の本も読む必要があった。