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それぞれ欠けてるところがある登場人物たち。
でも、欠けてるところがあるからこそすごく魅力的で、愛らしかった。
血の繋がりのない母の結婚相手との距離感を少しずつ埋めていく若い女の子から、長男として、家長として、一生懸命生きてきたけど他人の気持ちを顧みなかった親父まで、全ての登場人物たちに共感出来るところがあった。
心理描写が丁寧で、感情移入出来るし、はっとさせてくれる言葉がたくさん散りばめられていた。
どの人格が正しい、ってない。それぞれの生き方で、それぞれの人生を、互いに支え合いながら不器用に生きていきていけば良いんだって、心から思えた作品だった。
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やっぱ、九州男子は時代遅れか。
そんな気はしていたんだが、コテンパに書かれていると、ちょっと辛いな
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現実をだらだらと物語にしている小説にもう興味はない。
そこから、得るものは何もないから。
読むだけ時間の無駄。
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小節ごとに一人称が異なる。異なる人物からの想いが面白かった。翼とレモンのその後がもう少し読みたかった。
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寺地はるなさんの物語の登場人物になりたい。
…けど無理だから、色んなことに疲れたときはまた読みたい。
皆自分がありたい姿と、あるべきと思う・押し付けられる姿のギャップに悩んで迷ってるんだなあ、そして「あるべき」より「ありたい」に忠実でいるほうが、自分の想像を超えてしあわせになれるんだなあと元気をもらえる!!
主人公の時田さん(アラサー独身男性)の友達、家族、同僚、隣の家の人などの群像劇なんだけど、どの話も最高にほっこりする。どれがいちばん好きかというと選ぶの難しいけど、「小柳さんと小柳さん」「翼がないなら跳ぶまでだ」かなあ。
(「あの子は花を摘まない」だけはダメだった。面白くないとかじゃなくて、寺地さんの描く母親はこの基本的にコンプレックス的なものを刺激されるようでかなり凹む。今回も母親だけは受け付けなかった。)
小柳さんと小柳さんは、レモンちゃんの家族への想いに切なくなった。「小柳さんが本当のお父さんじゃないから」一緒に住めないって、普通は嫌いだからとか居心地わるいからとかだけどむしろ真逆の理由。。
「翼がないなら~」鉄腕に愛される鉄腕の彼女は幸せものだなあとうらやましくなった。「彼女に彼女らしくない振る舞いをさせてまで結婚するくらいなら、そんな土俵(親の古い男女観や結婚観)からは一緒に飛び降りる」的な想い、それもうプロポーズでいいと思う。そんなこと想ってくれる男性いてほしい。
あとは時田さんがどタイプ。笑
中性的で寡黙でお菓子作りが趣味で、でも芯が通ってて言うべきことははっきり言えて…。これからみんなと幸せになってほしい。
はあ、本当に寺地さん大好きだな。
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時田翼を中心に周りにいる大人たちの連作短編集。田舎に住んでいる身としてはうなづくことが多々ありました。翼とレモン今後どうなるのか気になります(^ω^)
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多彩なの?それとも、今の時代よくあること?
それぞれの人生をしっかりと歩んでいる人たちの物語。
農協勤務の、時田翼32歳。独身。
優しいだけが取り柄だと思っていたら、意外にもキラッと光るようないいことを言ったりする。
P148
「昔のことにたいして罪悪感を抱えるんじゃなくて、
そうしてまで選びとったものを大切にして生きてくれるほうがいい、そのほうがずっといい」
母への言葉。翼、いい男だった。
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庭のゆず泥棒や、お菓子作りが趣味の三十二歳男性と幼馴染男性の自然体な気の置けなさ、二十二歳女性と再婚母、結婚挨拶の気遣いと恋人側に付く彼等、九州の田舎村の家族模様とそれに繋がる恋模様の連作。方言がなくて少し寂しい。具体的には残り辛いけれど淀みを主張せず流れる空気が滑らかで柔らかくて心地好くて愛しい。
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翼くんと小柳さんの距離が少しづつ近くなっていくのが良かった。
九州の田舎の設定は中途半端だけど、人物の気持ちの部分は淡々としつつも温かい。
これからの作品に期待!
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読みはじめは少し読みづらいかな…と思ったけど、
読み進めるとだんだんと、静かにのめり込んでいく感じでした。
メインの語り手は章ごとに変わりますが、
話はゆっくり時を進めています。
いわゆる田舎、ド田舎の閉鎖された村のなか。
昔ながらの風習に少し息苦しさを感じました。
それがちょっとずつ解放?切り開いていく感じが良かったです。
みんながちょっとでも幸せになればいいな、と思いました。
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大人は泣かない、と私も幼い頃思っていた。
だから親の泣いている場面をうっかり見てしまうと動揺したものだ。
幼い子供は悲しい時悔しい時、感情のままストレートに泣く。
一方大人は泣きたい気持ちをつい我慢しがちで、泣く時は思いがけず不意に涙がこぼれ落ちる感じ。
自分も含めて「泣かない」のではなく「泣けない」大人が多いように思う。
この作品に出てくる大人達も思うようにいかず、悔しい気持ち寂しい気持ちをストレートに表現できず涙をこぼす。
けれど泣いた分だけ、周囲の人の弱い気持ちを理解し寄り添える。
「悲し涙」もいつか「うれし涙」に変わるはず。
悲しい気持ちも涙が洗い流してスッキリするように、とても清々しい気持ちになれる物語だった。
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寺地さんの作品を初めて読みました。タイトルや装丁を見て勝手に恋愛がメインなのかなぁ、と思っていましたが少し違っていました。短編ですが、最初に登場した人物達のそれぞれの生き方や悩みや考え方があり、それが恋愛のもつれだったり、夫婦関係だったり、友人の事だったり、と。何かに迷って誰かの言葉で覚醒し前に進んでいく。大人になっても悩んだり苦しみながら自分に合った答えを探し求める。いくつになっても正しい意見と感情を持ち合わせていたいなぁ、と思いました。
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また1人、素敵な作家さんと出会うことができた。これが読み終えたばかりの私の感想だ。
きっとこの作家さんは、これからも素敵な物語を描いていくに違いない。
まず、のっけからこのタイトルにやられてしまった。『大人は泣かないと思っていた』秀逸だ。このタイトルから物語を想像してみる。私も、子どもの頃は大人は泣かないものだと思っていた。でも、決してそうではないことを大人になってからわかった。
当たり前のことだが、大人だって、同じ人間で、悲しいことも辛いことも抱えていて、それでも人前では泣かないように堪えているだけだ。
もちろん、涙には悲しいことや辛いことだけでなく、時には嬉しかったりして流れる涙もある。これは、そういう涙がたくさん詰まった7編の短編から成る物語。
主人公の翼は32歳。年老いた父親と2人で暮らしている。父親は、庭の柚子が隣の婆さんに盗まれていると言い、翼に現場を押さえろと命じる。柚子が盗まれる現場を目撃し、犯人を押さえた翼。犯人は思いもよらぬ人物で、その目的も予想外のものだった。
翼の周りの人物が章ごとに主人公となり、その人物を通して物語は展開していく。また、彼らの目を通した翼は、物静かではあるが、周りに流されることなく、どんな理不尽なことにも立ち向かえる強い人物であるというイメージを固められていく。しかし、翼目線で語られた最後の章では、翼は完璧じゃないし、実は色んな人によって支えられてきたことがわかる。
この物語に登場する人物は、みんなどこか弱い部分を持っていて、実に人間らしく、そして愛おしい。もちろん自分も1人の弱い人間だ。それでもいいじゃないかと寄り添ってくれるような、優しいながらも切なく愛おしい物語。
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唐津市生まれの作家、初めて読んでみたけどいいねぇ♪
オジサンは泣かないと思っていたけど 時々泣いちゃった 笑。
ユーモラスパウダーもあちこちまぶされていて好みでした。
80歳手前の父と2人暮らしの農協勤めの時田翼の一年間が7つの話で繋がれていくけど一人で荷物を抱えていたつもりが そうではないことに気付いていく過程が7編で心地よくリレーして行く。
良かったです♪
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九州の田舎街で過ごす人々の
変わっていく事と変わらない事
九州男児という言葉に全てを詰め込んで
女性は一歩下がって支えてるのが素晴らしいと
されてる社会。
ただ時代が変容してくると
支えてほしいと思ってない男性も出てくるし
父親が近所の飲み会で大声で酔っ払ったり
カッコつけたり、下ネタを言ってるのを見てきた子どもは
そうはなるまいとしている。
それを男なのにはっきりしないと
輪をかけて否定する。
主人公の1人が飲み会のお酌警察(お酌して廻るのが是)を無くすために部長に昇進したいという野望を持っている時田翼。
彼を中心に結婚、再婚、転職、友人の結婚であせる三十路、親の介護、離婚した母のその後など
周りの人々の視点にそれぞれの事がふりかかる。
こうしたほうがいいけど動けないから困ってるわけで
それでも続いていく日常を愛するには
わからないけど
庭になってるゆずの木から
ゆずジャムを丁寧につくって
毎年飲むとかそういうことなのかなー。