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文化の違いや情報の格差、という言葉だけでは替えられないものってあるよなー、と読んでいる間、ずっと感じていました。
2018/8/25読了
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戦時中の沖永良部島に生きる少年マチジョーと少女カミ。
島の人たちや不時着した特攻隊員や見張りの朝鮮出身の兵士とか、
隅々まで神経行き届いた宝物のような本。
こんな本に出逢うことがたまにあるから、読書はやめられない。
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戦争末期の沖永良部島
守り神と崇めた軍人は年端もいかぬ少年航空兵であったり沖縄からの逃亡兵で編成された守備隊であったり。
古より那覇世、大和世と時代の波に翻弄された島が次はアメリカ世になるとも知らずに日本国を信じる島民の真っ直ぐな気持ちが哀しい。
そしてそれが現実となったとき我が子らを含む全てを失った父親が弔いの場では禁忌の三線を搔き鳴らし言葉にできない気持ちを唄にぶつける姿は捨て石にされた離島の悲劇を物語る。
密航で島を出るもの残るもの…永良部の人たちの前途がその名の通り選べる未来であったことを心から祈りたい
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遠いと思っていた戦争に島が否応なく巻き込まれる様子や、本土と島の関係、戦後の混乱(この島も含めて沖縄は米国に統治され本土との往来は禁止された)など満遍なく描かれる。
地元(沖永良部島)の言葉で書かれた会話が醸す独特ののんびりした島の雰囲気の中で、翻弄されながら力強い生きる人々の姿が印象的だ。
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読みはじめた時は、島言葉に驚いたのですが、すぐに引き込まれて一気に読みました。島の空気や匂いが伝わってきそうな感じです。沢山の人に読んでほしくて、地域の図書室にも入れてもらいました。
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沖永良部島の子どもたちの目線で描く終戦間近の島の様子。
子どもたちにとっては、何で戦争が始まって、何で戦争が終わるかなんて分からない。空から堕ちてきた兵隊さんは、島を守ってくれる神さまだと思っていた。
戦争が終わっても、今度は島がアメリカ軍の統治になり、ヤマトゥを目指す一家の都合で大好きな幼なじみにも会えなくなる。
沖永良部島の海と風と唄が紡ぐ詩のような物語だった。
2019/04
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購入済み。
2021.09.07.読了
中脇初枝は大好きな作家。
いつもどこか物悲しい作品を描く。
今回の作品は、沖永良部島でのんびりと暮らしていた小学生マチジョーを主人公に終戦前後の島の様子が描かれている。
シマの戦死者や出稼ぎでぼろぼろになって帰ってきたハナみー、その人たちをこころから愛する家族たちの思い。
西島伍長の特攻にまつわる話。カミのじゃーじゃの気持ち。シマの人々が愛する唄。島言葉。
えらぶの緩やかに流れる時間をじっくり感じられる一味違った戦争小説。
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戦時下の沖永良部島。
本土とも沖縄とも違う運命をたどった小さな島の物語だ。
純朴な島民たちの暮らしと、のんびりとした島の言葉。
そこに無理矢理ねじ込まれていく軍国主義と大切な家族の死。
あまりにもそぐわないその二つの景色が
より悲しみを増幅させるのでしょうか。
日本語すらよく話すことのできなかった彼らにとって、あれは何のための戦争だったのか。。。
美しい南の島の景色が思い浮かぶほどに胸が痛むのでした。
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天国のように美しいという沖永良部島.のどかな風景暮らしの中に,そぐわない戦争が壊していく.戦争の理不尽さ,悲しみが,優しい人々の中で浮かび上がる.小学生マチジョーのハツラツとした自由な目で語られる物語は,子供らしいおかしさとともに哀しさを秘めて感動的だ.いつの日かマチジョーがカミと再会することを願っている.
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終戦間近の沖永良部島。
逼迫した日々を送っているはずの島の人たちなのだけれど、のんびりとした話し言葉なので
つい戦時中の物語だと言うことを忘れてしまう。
沖縄戦はクローズアップされている事が多いけれど、
えらぶ島の本は初めて読んだ。
『あんたは鉄で作ってないからね。
血で作ってあるからね。無理をしてはいけないよ』
何だか物凄くホッと一息つきたくなる一文。
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終戦間際の沖永良部。
海からは沖縄への艦砲射撃の音が聞こえ、島には空襲があり、頭上には特攻機が南に向かって飛んでいく。
そんな島。
戦争の悲惨さと相反するような柔らかな島言葉。
最初は読みずらくて感じましたが、慣れてくると、それでなければならないと思いました。
子供達から見た戦争。
特攻兵の語る、彼らにかけられ呪い。
戦争が終わっても、食糧難に苦しむ人達。
島の人達の明るさ、青い海を思うと、戦争という悪夢とのギャップに苦しくなりました。
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わたしと喧嘩して、わたしを探したかったら、沖縄にいるって言ってたから、沖縄へ行く。そのことがあるからではないが、沖縄についての本を読みまくっている。
少年マチジョーと美しいカミが沖縄で戦争をどう生き抜いてきたかの物語。児童文学になるらしいけれど、とても深い。
西島伍長や空襲病、兵隊の話を聞いていく場面は、泣いてしまった。いまもだが、仕方ない、戦争だから仕方ないといって、こんなにも美しく、神秘的な文化をもつ人たちを傷つけることが許されるのか。哀しみの上にあるやさしさとたくましさ、アイヌに似ている。とても気高く感じるものがある。
ぼくのわらびなーは、ゆーだなと知り、沖縄の名前の呼び方もおもしろかった。踊ったり、唄ったり、神の世界などの読み方も、由来を知りたくなった。
これまでもぼくはいろんな人から沖縄へ行った方がいいと言われたけれど、霊とか見えちゃうからイヤだと頑なに拒否していた。こんな機会でもなければ、跳べなかったと思う。昔からなにか感じるものがあるんだよね。きっと、そういうのとぼくをツナグだけの人だったんだと思う。
未練というか、期待というか、そもそも、彼女はもてるから、もどることなんてあり得ないし、もう新しい恋をしてるだろうし、沖縄にいるわけないんだけど、ぼくの中の物語を終わらせたくて。我ながらキモい。彼女にしたら、単なる淋しさによる一時の恋とお金欲しさによるものだったんだと思うし。好きな人へあんな態度を取れるとしたら、甘えとかじゃなく、人としてどうかと思うし。ぼくがどんな仕事をしているかもよくわからないうちに。たしかにぼくのプライベートは、ダメダメだったけど。
早く終わらせたい。時間の無駄だ。
でも、ちょっぴり奇跡も期待してる
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他の著作でも感じたけれど、この著者の筆致は優しい。過酷な状況を描いていても。
戦時下の沖永良部島で、主人公の少年が家族や幼馴染みの少女を大切に思う気持ちが、尊い。
子供は強いな、と思わされるシーンが数多くある。
沖永良部島の民俗風習が多く登場するのも興味深い。
方言に関しては、これCoccoの歌詞で出てきたなぁ、という表現がいくつか出て来て(数を数えるときの「てぃーち たぁーち みーち」や方角の「あがり」など)沖縄との近さを感じる。
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沖永良部島のきれいな青い海、白い砂浜、蘇鉄など豊かな自然に囲まれている光景が想像できる。
そんな見渡す限りロイヤルブルーの静かな海、のんびりした島のほっとする光景とは裏腹に、空襲があったり、機銃掃射があったり、犠牲になった人達がいて、胸が痛くなった。
そんな中でも、たくましく、冷静な主人公マチジョー、そして島のこども達の姿が、痛む心を軽くしてくれる。
マチジョーが不時着した特攻隊員から話を聞き、
「神様は、自ら神様になったのではなく、神様にさせられた」という事実を知って眠れなかった場面が印象的だった。
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優しい人たち。
押し付けられた戦争。
たくさんのことを手放し、振り回されながらも、
皆、優しさは無くさない。
登場人物たちのふるまいそれぞれに滲む優しさのかたち。
著者の優しさの描き方に、最初から最後まで何度も落涙。