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短いセンテンスを次々と積み重ねていくような文章が、不思議なリズムを生んでいて、どんどんと読み進めていける。特に主人公の見助が対馬に向かう旅程が、執拗なまでに詳細に述べられるのだが、そこの描写にその短いセンテンスのミルフィーユ状態がこれでもかこれでもかと押し寄せて、しまいにはあまりのことに笑ってしまったほどだった。と言うわけで、新鮮な感覚で読める物語だけど、そもそもこの物語の肝である、見助が対馬に向かう理由を納得できる過程が、日蓮様がすごい人だからという希薄さで、読みやすいだけにもったいない。
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図書館で借りた本。鎌倉時代の話で日蓮は法華経の教えを広める為に、鎌倉に行く。日蓮の弟子の見助に対馬に行くように命じ、見助の長い旅路が始まるといった内容。時代は南無阿弥陀が流行っていて、日蓮は嫌がらせを受けたりもしているが、彼は非常に勤勉で人望もあり信者を徐々に増やしていっているが、下巻はどうなるか?
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立正安国論を小説の形にしただけ。例えば、地震と津波と火災で鎌倉が壊滅したかのように書いてあるけど、日蓮は思想家として自分の主張を通すために当時の災害を文学的に誇張して記述したに違いなく、それを無批判に小説として転載するとしたら、それは宗教的帰依の表明に過ぎない。
筆者は見助という若い帰依者を創作して、彼を後に元寇の最初の襲来地となる対馬に派遣する。日蓮は何故元寇を予測できたのだろう。日蓮の主張を他の史料から論証したらどうなるのだろう。もう少し幅を広げれば、面白い歴史小説になったのかもしれない。
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房総生まれの孤児が日蓮に従い、その指示で外敵に備え斥候として対馬に向かう。対馬までの旅路が長く、描写も細かい。2018.11.22
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日蓮の現行侵攻予言を巡る歴史時代小説の上巻。
上巻は日蓮が立正安国論を確立させるところから原稿を確認するため主人公が対馬につくところまでを、主人公の千葉小湊(片海)の孤児の視点から描かれています。
以前読み込んだことがある元寇を正面からとらえた歴史小説が久々に出るかと期待しましたが、ちょっと肩透かしでした。
でも、庶民の生活などが詳細に描写されていて、臨場感がありつつも読みやすかったです。
巻頭の鎌倉の地図が直前に読んだ「キラキラ共和国」の地図と重なっていて、若宮大路の左側の寺は全く変わらないのに対し右側の寺は無くなっているのが歴史のつながりや変化を感じました。
自分のところは禅宗なのですが、資料にあると思われるものの法然への攻撃は念仏宗の人にはきついと思いました。
それにしても「守教」を読んだ時も感じたことですが、宗教の厳しさと強さを描くのがうまいですね。
下巻は現行の現場に直面するようで期待したいです。
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62天変地妖飢饉疫癘が蔓延った鎌倉時代が舞台ですが、何やらコロナ禍と政治と世界の混乱を見ていると根本的には何も変わってないのかな。正しい政治と外交の在り方を望みたいですね。