投稿元:
レビューを見る
前半部は憲兵や特高のいやらしいえげつなさで鬱々としながら読んでいたが,後半になって特に脱獄あたりからテンポよく物語りが進み俄然面白くなってきた.アイヌや朝鮮人の問題も含めて考えさされれる場面も多く,ただのエンタメだけではない内容のどっしり詰まった物語だった.
投稿元:
レビューを見る
終戦間近,部隊は北海道.特高の八尋刑事は不逞分子の摘発や脱獄犯の逮捕を行なっていたが,拷問王の異名を持つ同じ特高の御影刑事に嵌められて殺人犯として投獄される.網走刑務所を朝鮮人の仲間とともに脱獄し北海道で開発された最終兵器カンナカムイを巡り奔走する.中だるみがなく面白い.
投稿元:
レビューを見る
連続毒殺事件を追う特高刑事・八尋、そして「拷問王」と異名を持つ三影。八尋はアイヌの血が流れるということで、三影に嫌われ濡れ衣を着せられ逮捕される。一方、毒殺事件は、軍事機密に関わるようで捜査は難航する。陰にあるものは何か、犯人は誰か、三影、八尋の運命は…。
ただのミステリーだけでなく、半島出身の民そしてアイヌの民、国家と個人のありよう、深くそして壮大な物語でした。
特高警察小説ってあったけれど、まあ、そうかな。ハードな描写は多くはないので怖い思いしなくてよかった。特高というより、戦中の北海道、戦争とアイヌの方が重いかも。弱い立場の人間の声、権力をかざす人、かざされる人、戦争の怖さしっかり描かれてます、ミステリーだけでなく歴史の背景を学べました。北海道、自然いっぱいで好きだけれど、その歴史、ぼんやりとしか知らなかったので、読んでよかったです。読み応えありありでした。
投稿元:
レビューを見る
主人公のアイヌと混血の特高刑事が
終戦間際の室蘭での殺人事件を捜査するという物語。
期待していた話ではなく
かなりスケールが大きな冒険物語になって
終盤にはどんでん返しもある。
読後感は悪くない。
投稿元:
レビューを見る
終戦間際の北海道が舞台。軍事工場の関係者が次々と殺害される事件の真相を、特効警察の刑事が追っていく。
犯人探しのミステリーとしてもさることながら、大和人に住みかを追われ差別を受けるアイヌの人々や、強制連行され過酷な労働を強いられる朝鮮人など、日本の負の部分が重くのしかかる。
たまたま前後して読んだのが沖縄の戦後の話だったため、北でも南でも戦争の爪痕はむごたらしく今日も大きな問題として続いていることを改めて感じた。
年齢を重ねるとともに、サイコやらトリッキーなミステリーよりも、社会問題を背景とした骨太な作品が胸に響くようになった。拷問など過剰なバイオレンスは苦手だが、厳しい現実から目を背けない作品は必要だと思う。
投稿元:
レビューを見る
終戦間際の北海道で起きた連続毒殺事件。調査していたアイヌの血を引く特高刑事の日崎は同僚の三影の手で事件の冤罪を着せられて逮捕、網走へと送られる。そこには以前身分を隠して逮捕した朝鮮出身の若者がいて…。民族差別をする側受ける側それぞれの視点。戦争の悲惨さと滑稽さ。そして意外な犯人と読み応え満点。拷問シーンとか辛い場面あるけどだからこそ乗り越えた先の登場人物の言葉や行動に重みが出ている。アイヌ文化について色々描かれているけど想像し易かったのは「ゴールデンカムイ」のおかげだな。うん。
投稿元:
レビューを見る
よく描かれてはいるが、ストーリー展開そのものがそもそも面白くない。本筋とは離れた枝葉の描写にページを割きすぎ。三影の人物造形がクソすぎて不愉快極まりない。刑務所は隙だらけで、軍事機密は漏れすぎ。軍関係者のセキュリティ意識皆無。登場する女性陣に魅力がない。
「凍てつく太陽」というタイトルも正直ピンとこない。
総じて、いろいろと無理くりにひねりすぎなんじゃないのかな?葉真中さんには、もっとシンプルなクライムノベルがよく似合うと思いました。
投稿元:
レビューを見る
まるで一本の映画を見ているような、映像化しやすそうな印象をもったいないとは
刑務所とか映像映えするからかな?
冒険活劇だけで終わらずちょっとしたミスリードを混ぜてくるのも著者らしいかなと。
投稿元:
レビューを見る
相当に面白い小説だった。太平洋戦争末期の北海道が舞台のミステリー作品で、立て続けに起こる不審な殺人を追うのがテーマなのだが、アイヌの人や朝鮮人への差別構造などもきっちり描かれていたり、愛国心、というものについて問いただす、というより思いをめぐらす、そういった内容も叙述されていたりで、結構深いものもある。後半は一気に呼んだ、読まずにはいられなかった感があった。良質のミステリーと言えよう。
投稿元:
レビューを見る
歴史が苦手でもすんなり入れる簡略さと壮大なストーリーを兼ね備えている。人物も特徴があって感情移入できる。これだけでも四つ星なのにあのどんでん返しがあるんだから満点。
投稿元:
レビューを見る
第二次世界大戦終戦間際を舞台にしたハードサスペンス。
「『カンナカムイ』に群がる鳥どもを狩る」というメッセージが残される連続殺人事件。
被害者は室蘭にある軍の工場内の最重要機密プロジェクトの面々。
必死に事件を隠蔽する軍と憲兵たちの邪魔を掻い潜り、事件を解明しようとする特高刑事たち。
思っていた内容とは違っていたが、なかなか面白かった。
ミステリーよりもハードアクションや冒険小説の要素が強いが、アイヌ文化や歴史など知らないことも多かったので興味を持って読めた。
また主人公の八尋が潜入捜査で嵌めた朝鮮人と奇妙な因縁で再会した後にバディとなっていく展開も面白かった。
他の文化を否定し自国の文化を強制することは世界中で行われていた、または現代も行われていることとはいえ、やはり辛いもの。
『皇国臣民』になりたくても敗戦でなり損なった八尋に対して、ヨンチョンが国や民族を服に例えるところはなかなか面白い解釈だと思った。
ハードだったが最後は爽やか。
投稿元:
レビューを見る
終戦間際の特高を主人公とした冒険小説的な広大なスケールなミステリーである。根底にアイヌ民族、朝鮮民族への差別が流れその上に連続毒殺殺人事件を重ねていく。500頁越えで読みごたえはあり飽きさせません。
投稿元:
レビューを見る
本の装丁と重量にたがわない
ハードな読み応え
終戦までにどのような収束を終えるのかという
時間軸のタイムリミットがあるので
緊迫感がいい意味でずっと漂っている
戦争が終わったところで
人々の闘い、苦しみ、恨みは終わらないが
一縷の望みは垣間見えた。
民族なんて
民族衣装のようなもので
時々に合わせているもので
着せられたり、縛られたりしては
いけないというのは
禿同
スルク=能代が引き継いだというのも驚いたし
悪を倒す(ウラン爆弾を使って敗戦濃厚な日本の気づいてない奴らに気づかせる 画策をしている事務二課に天誅を下したい スルク 緋紗子)為に悪を用いて倒してはいけないと
日崎が止めるところは彼の成長が見えた
投稿元:
レビューを見る
第21回大藪春彦賞受賞作
民族とは何か、国家とは何か、人間とは何か。
魂に突き刺さる、骨太のエンターテイメント!
投稿元:
レビューを見る
この作家さんの作品は「ロストケア」「絶叫」と読んで、かなりの衝撃を受けたのだが、本作品もそれを相当上回る
表現出来ない感情の連続!面白い。
たぶん自分が普段はあまり手にすることのないテーマや時代ということもあろうか。
もしこれが現実にあったとしたなら、と想像するとぶるぶる震えがきそうな内容である。
毎日眠気と戦いながらも気になって気になって、就寝前に少しずつ読んでいたので、夢に出てきそうな感じだった。
国家、民族、戦争、否が応でも考える機会となった。
まさかのいくつかのどんでん返しの後は、救いのある明るさの見える結末で満足だったと思う。