投稿元:
レビューを見る
30年以上前に夢中で読んでいたジャンルに“冒険小説”がある。冒険といっても、文字通りの冒険ではなく、エスピオナージや犯罪、戦争をテーマにした作品群だった。最近このジャンルは消えてしまった(単にこの名で呼ばれなくなっただけかも)ようで残念に思っていたが、まさか葉真中顕が書いていたとは! 舞台となるのは太平洋戦争末期の北海道。アイヌや朝鮮人といった迫害された人々を主人公に据えた、“第三の太陽”をめぐる陰謀を描いた骨太な小説だ。いやあ、おもしろかった!
投稿元:
レビューを見る
これはおススメ!
第2次大戦末期の北海道が舞台、特高刑事の主人公が軍需工場で起こった殺人事件をきっかけに、軍部の横領と、謎の兵器カンナカムイの謎を追う。拷問王三影などの強烈なキャラクター、民族や国家とは、壮大なスケールを含みつつ、あくまで自分のすべきことをする主人公、おいそうだったのというどんでん返しもあり、長編だがダレルことなく読める。ヨンチュンがもはや主人公なみの存在感。
そしてしびれるラストに読後感抜群。
投稿元:
レビューを見る
103時代背景とか雰囲気がよくわかってそこで苦しむ庶民の生活も良くかけている。ただ最期の種明かしはちょっと唐突ですな。こんな時代もあった事を若い世代にもよんで感じて欲しい。
投稿元:
レビューを見る
思っていたより娯楽性が強く、スケールの大きさはこれまでの葉真中作品の中で一番。重いテーマながら小難しさはなし。ハリウッド映画的な怒涛の展開に引き込まれ、500ページ以上のボリュームにもかかわらず一気読みでした。
投稿元:
レビューを見る
原爆開発、アイヌ、特高、朝鮮人とかなりがんばっている作品であった。
ただ、登場人物もその言動もステロタイプなので話の展開が読めてしまうのがもったいない。
次作に期待。
投稿元:
レビューを見る
昭和20年、終戦間際の北海道・室蘭。陸軍の軍事機密をめぐり、軍需工場の関係者が次々と毒殺される。アイヌ出身の特高刑事・日崎八尋は、先輩刑事とともに捜査に加わるが…。
2019年日本推理作家協会賞作。終戦間際の混乱期の室蘭を舞台に、大日本帝国とアイヌや朝鮮民族、軍と特高の対立などを絡めた力作。終盤の意外な展開には驚いたけれど、どこかに矛盾はないかと読み返す体力はなかった。それだけこの作品が惹きつける力は並ではなかったということ。
(A)
投稿元:
レビューを見る
戦時中の北海道が舞台で、札幌に一時期住んでいた身には、それだけで惹きつけられるものがあった。この前に、沖縄の話を読んだので、こんどは、北海道ということで、単一民族とかいいながら、その多様性をあらためて、考えさせる。
投稿元:
レビューを見る
北海道、網走刑務所、アイヌ。時代はちがうけど、なんかゴールデンカムイが浮かんだわ。
アイヌ人や朝鮮人についていろいろ考えさせられた。
黒幕がちょっとしょぼかったよね('_')
投稿元:
レビューを見る
かなりな骨太で且つ重く辛い でも面白いミステリーだ。昭和19年12月5日、母がアイヌの 今は北海道警察特別高等課(特高)内鮮係(国内の朝鮮人取締り専従)刑事を務める日崎八尋が密命で室蘭港の鉄工所の朝鮮人人夫だけの飯場に潜り込んだところから始まる物語。まさに戦局厳しくなっていて主人公はじめ皆が各人 皇国臣民の意識で難局を越えようとしている時期。我も大日本帝国の一員のつもりなのに実は大和人以外である朝鮮人 アイヌ人 沖縄人などには厳しい現実が実態であることを作中で訴求してくる。そして主人公(母がアイヌ人)をはじめとする純粋大和人以外の人々に重要な役割と重要な語りをさせていて、そこに作者が本当に伝えたいことが提起されていると強く感じながら読んだ。例えば「国家 宗教 民族の概念の共通点は敵と味方を分けるということなんだよ。」とか「国だの民族だのってのは服みたいなもんかも知れねぇよ。でも服のために生きてるわけじゃない。いざとなったら自分の都合に合わせて着たり脱いだりしたっていいんだ。」とか。
時代背景的に直前に読んだ「定価のない本」(門井慶喜 作)が頭の中でリンクしていた(笑)
投稿元:
レビューを見る
昭和20年、終戦間際の北海道・室蘭。陸軍の軍事機密をめぐり、軍需工場の関係者が次々と毒殺される。アイヌ出身の特高刑事・日崎八尋は、先輩刑事とともに捜査に加わる
投稿元:
レビューを見る
昭和20年の終戦間際、製鉄所など軍需工場が建ち並ぶ重工業の町・室蘭で逼迫した戦況を一変させようという軍事機密をめぐって、軍需工場の関係者が相次いで毒殺される。アイヌ出身で特高刑事である日崎八尋は「拷問王」の異名を持つ先輩刑事・三影らと捜査に乗り出すが、事件の背後で暗躍する者たちの企みに翻弄され、殺人罪で網走刑務所に投獄されることになる。次第に明らかになる驚愕の事実とともに主人公である八尋が窮地を切り抜けていくエンターテイメント小説であるが、アイヌの皇国臣民化、朝鮮人への差別、スターリンによる粛清と弾圧といった民族支配、昭和20年7月15日の米海軍艦艇による室蘭艦砲射撃など、考えさせられる歴史史実も盛り込まれていた。
投稿元:
レビューを見る
終戦直前の北海道室蘭の軍需工場を舞台としたミステリーサスペンス。
かなり骨太な物語でした。
当時の室蘭の状況やアイヌ人、朝鮮人に対する差別や軍需工場、憲兵、特高についても理解が深まりました。
理研の原子爆弾研究は初めて知って勉強になりました。
ミステリーとしては犯人は早々にわかると思わせ、その動機や目的が何かを探りつつ犯罪抑止サスペンスとして展開していくものの、最後にどんでん返しもあり、読み応え十分です。
希望を見いだせるようなラストも読後感が良かったです。
投稿元:
レビューを見る
終戦前の北海道に現れた連続殺人犯スルク。アイヌの血をひく特高の刑事日崎は、差別意識を持つ同僚刑事と軍によって無実の罪を着せられ投獄される。脱獄し真実を追う日崎。民族差別、空襲、特高での拷問、獄中生活、過酷な戦闘を通して国家とは、民族とは考えさせられる。普段は良あないジャンルの小説だが、作者さんに読まされてしまった!
投稿元:
レビューを見る
「俺の使命はなんだ」。舞台は終戦直前の北海道。アイヌの血を引く青年刑事、日崎八尋の波乱万丈の物語。現代設定の小説よりは読むのに時間がかかったけど、これは傑作っしょ。全てはお国のためという世相・軍事権力の横暴・人種差別...史実とフィクションを織り交ぜた構成はヒリヒリした読み心地。連続殺人事件を追うミステリーでもあるので、終盤は度肝抜かれてドキドキ。登場人物も皆、個性が際立って魅力的。葉真中さんの本にしては読後感が良く、ロングストーリーな大作なので「読み切った!」という充実感でいっぱい。面白かった。
投稿元:
レビューを見る
このミス2019年9位。
第二次世界大戦終戦間際の北海道が舞台。
ミステリーとしてより、このころのアイヌや朝鮮人の状況も含めた文学として興味深かった。