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人種や性別や外見が変わってもその人を愛せるのか、健全な肉体あっての健全な魂とか、ただのロマンティックなSFヤングアダルトもの、というわけではなく色々考えさせられる。
読み終わって、表紙の絵を誰が誰なのか推測するのも楽しい。
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「だれかになったつもりでその人の気持ちを思いやる」って簡単にいうけど、毎日だれかになっちゃうのが自分のあり方という存在を描いた、ものすごく特殊な設定のYA。なぜそんなことになっているのかはだれにもわからない。ただ、物心がついたときからそうなっているというだけ。
その”A"が、ある女の子に恋をした。毎日、男になったり女になったり、太ってたりやせてたり、病気だったり、乱暴者だったりするけれど、Aは、その彼女に、ちがう宿主のなかの自分を見てもらおうとする。
ぐっと引き込まれて読んだのだけど、これ、なんとも残酷な話じゃないですか? 思考実験と受けとめるにはAの魂のありようがあまりに生き生きと描かれているし。どうすりゃいいのよ、と読み終えた。
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毎日、毎朝、同じ年齢の違う人の体の中で目覚める「自分」。普通ではないこの毎日にどうにか折り合いをつけていたが、ある日いつも通りにいかない思いにとらわれて…
切なすぎて、最後の方は辛かった。どうか、この先に希望がありますように。
続編は、無いとは思うけど、あるならハッピーエンドにしてあげて欲しい。
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毎日、目覚めるたびに違う人の体の中にいるA。
同じ人間に宿ることはない。
そんなAが、ある女の子に本気の恋をしてしまった。
しかし、次の日には別の人に宿っているため、彼女とは遠い街にいて会うことすらない。
でも、外見は男だったり女だったりと変わるのに、Aの中身は彼女のことが忘れられない。
考えさせられる愛の物語。
外見よりも中身とは分かっていても、中身は同じでも毎日外見が違う相手を愛することができるかと言ったら……。
2人の恋の行方が気になって、サクサク読んでいけたけど、
ラストでものすごく考えてしまった。
このラストは究極の愛なのかもしれないけれど、こうするしかなかったのかな。これでも良いけれど。
2人のその後が気になり、個人的にちょっとモヤモヤ。
YAなんだろうけど、この愛のテーマは重いよ。
YA世代はこの物語をどう読むのだろう。
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読みながら、どういうふうに結末をつけるのかな、と思っていたが、意外とアッサリであった。
青春ものだけどなんとか読めたのは、結構普遍的なラヴ・ストーリー要素だったからかな。
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毎朝起きるたびに違う自分になっている。自分は自分なのだが、体が変わっているのだ。自分は成長していくが、体はその成長に合った年齢の誰かになっている。きっかり1日で又違う体に移っていく。そんな不思議な存在のA。現在は16歳で米国の少年(少女の時もある)。宿主(一日だけ入れ替わることになる体のことをAはそう呼ぶ)の記憶をたどり、その人になりきり生活をする。そんなAが1日なっていた少年ジャスティンの彼女リアノンが忘れられない。Aにとっての初恋。そして、その後Aが本当の自分のことを打ち明けても信じてくれるリアノンにどんどん惹かれていく。しかし、毎日体の代わるAは…。
初めは状況理解にあせるが、すぐに良くできていると感心する。それにしても結末はどうするつもりかと思いつつ中盤からは一気読みだった。
もちろん、突っ込みどころはいろいろある。物語の必需品としてメールの存在が大きいし、ネットでの情報交換も切り離せない。この不安定な存在としてのAの状況判断に驚く。
ともあれ、切ないくらいのラブストーリーだった。
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グレア・ノースの『接触』と同様、宿主たる人間の精神を借りて生きる生命体の話。1日1日を別に肉体の中で過ごす主人公”A”が、どんなことを考えているのかもっと知りたくなるので、ありそうな続編に期待。
個人的には、特に深い意味付けはなく、『禁断の関係』とかで括られることもなく、さらっと同性愛のティーンエージャーのカップルとか、トランスジェンダーの男子が登場してくるところも好感度高い。
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毎日目を覚ますと、違う人間になっている。その設定の面白さに惹かれて手に取った。
サスペンス的な展開(いかにして日々をくぐり抜けるか)かなという予想を外し、なんとラブストーリー。
その日その日を漂う存在であることを受け入れていた “A “が、初めて強く執着したリアノンのために、永続的な関係を結ぼうと苦闘する。私たちが普通に受け入れている日常の積み重ねの美しさを、ヒリヒリするような感受性で描いている。
設定の面白さ、主人公とヒロインの交流も良いが、主人公が次々と憑依(この言い方は良くないが)する、16歳男女のバラエティ豊かさも楽しい。共通点は年齢のみで、人種や性別(トランスジェンダー含む)、恋人との関係(同性のカップル多数)や家族関係も千差万別で、今度はどんな人間になるんだろうとこちらまでハラハラした。読後に表紙絵を見ながら、どれがジャスティンでどれがアレグザンダーか、など考えるのも楽しい。
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この後Aは遠くに行くのかな。
リアノンに会いに行けないくらい遠くに。
それとも、毎日愛するリアノンに会いに行くのかな。
自分の理解力が欠けているのかな。
これも文学なのかな。
続編が訳されることを願っています。
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面白かった。
主人公は1日1日を誰かの体を借りて過ごす。
その日が終わればその身体とはお別れ。
意識だけがアメリカ中を旅している。
そんな日々の中で出会った女の子との恋
主人公の見た目も、性別も毎日変わってしまう。
少し切ないが納得のいく結末だった。
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とにかく刺さる言葉の嵐。こんなに新規フレーズ投稿をタップした本はなかった。こういう本に出会うと、英語力が欲しいと切実に思います。原書はまた違う輝きがあるのでしょう。
リアノンはAにとって、「100万回生きたねこ」の白猫みたいな存在。だからこそリアノンとの出会いの前に、いくつか平凡な宿主の生活を挟んで欲しかった。Aという存在の本当の「始まり」に特別感が欲しかったなあと。
かといって、リアノンが存在する前の世界がAにとって意味のあるものではなかったかというと、そこはあの猫とはちがうんだと思う。全ての一日に、宿主以上の意味をAは見出していました。
嫌なヤツ、良いヤツ、LGBT、マリファナ中毒、精神疾患、不法労働者。主観の中に客観を生むことで、すごくリアルにその人の人生の一部が切り取られています。その一日が1日だけでよかったと切実に思う人生、この人の明日が欲しいと渇望する人生。自分はどうだろう?Aに未練を持ってもらえる宿主でしょうか?
ラストもまた秀逸。中盤で「大きな木」がボロクソ言われてます。「愛っていうのは、手足を失わずにすむってことだ」。たしかに。それも愛。でも、緑のあれもまた、愛。Aの切ない決断は、その両方を少しずつ持っている気がします。もっといくらでも広げられる展開なだけに、一旦読者に軽蔑させてからの潔い裏切り。このラストの爪痕はしばらく消えないと思います。
カバーの16歳たち。手に取った時はそんなに意味を見出していませんでしたが、読後はすごく奥行きを感じますよね。けっこうしっかり、誰が誰だかわかるように描き分けてくれていて、かなり楽しめます。でもやっぱりある一点を見て、切なさがぶり返すという……。
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一日ずつ、自分と同じ年齢の人生を生きる物語。主人公Aは、冷静に宿主に影響を与えないようにする毎日から、愛する人との出会いをきっかけに、自分の気持ちを優先する毎日になる。
自分を生きるとは何か、愛する人を大切にすること、容姿や性別や中身と外見、恋愛の悩みや人生の迷いが丁寧に描かれます。突飛な設定のようで、思春期の揺れるアイデンティティが宿主という形で表現されているようにも感じ、中高生が読むとどの宿主にもどこか共感できるのではと思う。二人の関係の行方、宿主を渡り歩く生活に終わりがあるのかなどが気になって、途中からは一気読みでした。
結末は、若者らしいまっすぐさが清々しい感じがしつつも、悲しく切なくて辛かったです。
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毎朝目覚めると、違う体になっている。中にいるのは肉体を持たない「A」。同じ16歳の誰かの一日を生き、二度と同じ体に宿ることはない。そんな「A」がある日恋に落ちて、毎日彼女にあいたい、つながりを持った日々を持ちたいと望むようになる。彼女は最初疑いながらも「A」に惹かれて行く。毎日違う性、見た目になり、違う家族、友人と過ごすことが当たり前だった「A」のせつない思いに心揺さぶられます。
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主人公は毎朝、違う人物の身体の中で目覚める。16年間、毎日いろいろな人物を一日ずつ生きてきた主人公は、人生について、人間というものについて達観しているが、自分自身の人生を築くことは決して出来ない。けれどある日、一人の女の子に恋をしたことで、ついに自分の人生を手に入れようとするが…という物語。主人公が毎日違う人間の姿になりながら、どうやって好きな女の子との関係を築いていくのかというのが見どころで、このアイディアのすごさに感銘を受けると同時に、普遍的な青春物を読んでいるような爽やかさもある。これもまた、ラストについて語りたい作品。
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毎日目が覚めると違う身体の中にいる主人公。自分と同じ年齢という他は性別も人種も性的指向も体型も性格も家族構成も関係なく、どの人の元に行くのかも自分では決められず、その日一日を過ごしていく。
そんな主人公がある日出会った少女に恋をしてしまう。それまで宿主の人生に沿ったその日を過ごしていたのに、はじめて主人公は自分の意志でその少女に接するのだった。
話題になっていたので主人公の設定だけは知っていたものの、筋立ては全く知らずに読み始めて驚きました。おそらく主人公のいつもの日々を繰り返すことを記すことで設定を飲み込ませて、ある日特別な一日がやってくるのだと思ったのです。
しかし冒頭いきなり特別な一日がやって来ます。一日ごとに違う人に入り込むということは、連続した毎日を送れないということ。連続した明日が来ないということ。それなのに主人公はずっと一緒にいたいと思う人に、変わって欲しくないと願うものに出会ってしまうのです。
自分というものを持たない主人公が、自分というものを知ってもらいたいと思うのです。そして自分とは何かを改めて見つめて考えるのです。SF的設定を用いながら、自分とは何かという普遍的な問いを投げ掛けてきます。SF的設定を用いるからこそ際立って投げ掛けられるのかも知れません。
毎日見た目が変わる相手を好きになることはできるのか。好きになってもらうことはできるのか。しかもただ見た目が変わるだけでなく、その身体はあくまで借り物だということ。本来の持ち主の人生を背負っているということ。何とつらい状況を生み出したのでしょうか。
そんな状況から主人公が決意したこと。それはとても重いもの。でも絶望や諦めでないものが見えました。
また毎日違う人の身体に入ることで、主人公はあらゆる人生の一日を体験します。健康な人、薬物中毒、同性愛、貧困、楽しいことつらいこと、世の中には何一つ同じ人生なんてないことを知らされます。そしてどの一日も人生に於いて大切だということも。だから主人公は宿主の一日を大切にするのです。一日ごとに違う人生に切り返されてしまう主人公だからこそ、一日の大切さを知っているのでしょう。そんなことも感じさせられました。