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話のボリュームは、ジグロと一緒だった頃の部分が多い。青かったバルサと中年で思慮深くなったバルサ。二つの時代の重なりは、守り人シリーズの世界の重なりのようでもある。
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国と国、氏族と氏族、争いは絶えず、どのように外交を結べばよいか状況は刻々と変わる。流れを読み立ち回って行かないと生き残れない。大きな動きの中で不本意な立場に立たされても逃げず、言い訳せず生きる人物が何人も出てくる。切ない。そう言う人物が胸中に秘めていた大切なものを表したり、温かい思いをしたりする場面に心底ほっとする。
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2018年に出ていたんですね。知らなかった。ひさしぶりにバルサの物語が読めてうれしかった。
過去のジグロとのやりとりが、今のバルサにつながっているということを感じる。
20年前にサダンタラムの護衛をし、そして今またバルサが護衛をしていること、そのめぐりあわせは偶然ではないのだろう。
サリが最終章で「伝わっているわね、あの人の思いは・・・」の言葉にはつい涙してしまった。
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新潮の100冊フェアより。
フェア用小冊子には1冊しか紹介されてませんが、シリーズ合わせて10冊以上(100冊フェアあるある)。
メイン対象の小中学生の邪魔をしたら悪いので、図書館で借りて→即読みしてました。
読み応えのあるシリーズで面白かったです。
世界観をゼロから書いてる作品は久しぶり。
例えば、シェアードワールド作品・なろう系作品などはユーザの読書歴(ゲームプレイ歴)を拝借することで、世界観の構築や描写を省き、書きたいものをダイレクトに書いてるかと思います。
あるいは、現代〜歴史物も馴染みのある世界と言葉が登場します。
それらに比べて、「守り人シリーズ」は地図や食べ物、着るもの、言葉の違いや風習の違いを丹念に書いて世界観を構築してます。だから、読んでる最中に自分が旅をしている感覚、「この言葉は何?」「どんな食べ物?」という迷う感じや新鮮さがありました。読んでて楽しいです。
(最高に分からなさを感じたのはル・グウィン『闇の左手』かなあ。ほんとうに異星人の気分。)
人生のあれこれの書きっぷりも良いです。
キャラクターの年表とか細かいプロフィールとかありそうだなあと、その裏側の作業の深さが感じられます。
なんというか、いわゆる「深イイ話」ってそれを狙って書くと薄っぺらくなることが多く。守り人シリーズはその逆で、キャラクターと世界の描写から滲みでる感じ、本当に生きてる人みたいな必死さ、切なさ、いじらしさがあって胸にきました。
読み終わってしまって残念です。
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少女時代のバルサとジグロが護衛したことがあるサダン・タラムを再び護衛することとなったバルサ。
これに絡む氏族間の因縁。久々に、あの世界に浸れた。
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守人シリーズの外伝。
旅芸人サダン・タラム【風の楽人】、魂を清める旅で、何者かに命を狙われるその頭を守る用心棒バルサ。
20年前、ジグロと共にサダン・タラムを守った旅を思い出しつつ、目の前のサダン・タラムの頭を守る旅。
その課程で、バルサは亡きジグロの思いを感じ、今この時だからこそ、理解していく。
仕事が済んでタンダの処へ戻るバルサ、幸せそうだ。
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私の人生を象ったのは小野不由美著の十ニ国記シリーズなのだと思うが、その布石として本の世界を開いてくれたのは間違いなく、上橋菜穂子著の守り人シリーズだと思う。守り人シリーズに小学校2年生に出会っていなければ、十二国記に中学1年生で出会えていなかっただろう。
この外伝は出ていることを知らず、ふと手に取った。瞬時に物語の中に入って、特に今回はジグロとバルサ、サリとエオナ、オリアとルミナの親子の関係が胸を打ちすぎて、ああ上橋さんの文章、関係性、そして行間にある余韻がとても好きだと改めて思った。子供の頃はそれが物足りなく感じることもあったのだけど、今読むとこれでいいな、十分雰囲気が語りきってると思いました...この20代後半になったからこそわかること、胸が痛いこと、心でしか会えない人の存在を感じることの温かさと悲しさが本当に胸にきました...これは守り人シリーズ改めて読み直したいと思います。もともと闇の守り人が好きだなと思っていたけど、さらにその想いが強くなりそう。
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つれあいタンダとともに訪れた先で、若いころ護衛したサダン・タラムたちに会う。また護衛することに。
ジグロとバルサ短編集。
ジグロの艶聞。あの頃のサダン・タラムのリダとジグロは恋仲だったのか?トル・アサ(楽しみの子)これって2つの意味がある。
こういう短編集なら、まだまだいけるらしい? でもやっぱり本編だな。久々上質のファンタジーだった本編。
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ひさしぶりのバルサとの旅でした。追憶の中で、バルサとジグロの短槍が、手練れの襲撃者から仲間を守ります。切れのある戦闘シーンと、情緒豊かな風景、そして愛情に満ちた物語。懐かしい気持ちで楽しく読みました。
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ジグロの生きてる今を読めるとは思いもよらずで!児童文学のカテゴリーから外れて生き生きと描写されるジグロ。なんだこれ最高。道中サリに話しかけられた時も用心棒としてまっすぐ前をみて会話を続けるジグロ。なんだこれ最高すぎる。
上橋さん片っ端から読みたい熱
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また守り人の世界に浸れた。
ジクロがバルサのことをとても大切に思っていることが見えて胸が温かくなった。
全てを捨てて逃亡生活をする中でジグロがどんなことを思っていたか想像して、この世の不条理をすごく感じた。
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前作「炎路を行く者」に収録されている「十五の我には」で、サダン・タラムという人たちが出てきて、「はて、こんな人たち、今まで出てきたっけな?」と思っていたら、本作で出てきた。
あとがきによると、本作を書き始めたものの行き詰って、本作の一部として「十五の我には」が先に出来上がったそうな。
毎度のことながら、上橋さんの頭の中はどうなっているのか。あれやこれやと辻褄が合わなくならないほど、世界観が完成しているのかと、ため息が出る思いだった。
タルシュとの戦後、タンダと向かった草市で偶然にもサダン・タラムを助けることになり、さらにそのまま旅を護衛することとなったバルサは、20年前ジグロとともにサダン・タラムを護衛したことを思い出す。話は20年前のサダン・タラムとの旅をたどりながら進む。
なんといってもジグロのかっこよさよ。一流の護衛士というだけでなく、思慮深く、全てを俯瞰した作戦をとれる賢さ、他人の気持ちを汲むことのできる温かさ、申し分のない男ではないか。サリとの関係、むふふふふ・・・・。
そして、バルサもそんなジグロに育てられただけあって、立派な大人になったねぇ(どこのおばちゃん?)。
終盤、バルサが、エオナに、もうだいぶ前に逝ってしまったジグロの声が聞こえる気がするときがある、と語ったとき、人が生きるって、命があるときだけのことではないんだな、としみじみと感じた。
しかし、サダン・タラムの頭を狙った今回も20年前も、端的にいえば、民族同士の争いが発端。現実に目を向けるとロシアとウクライナも・・・。アール家とマグア家の長い長い緊張状態に少し驚きをもって読み進めた。これ、バルサが護衛しなかったら、両家の争いはずっと続いてたんでないかと思う。
バルサを誇らしく思い、ジグロがまたさらに身近に感じられるお話だった。
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シリーズ制覇のつもりだったけど、本作がまだだった。解説にもあるように、本作はシリーズ本編の後日譚&前日譚。こじつけ感も感じられないし、さすが、上手く創作されている。シリーズに通底するテーマでもあるかもしれないけど、本作でも、挙げた拳の下ろしどころにつき、著者としての示唆が読み取れる。ウクライナ侵攻が思い浮かぶ訳だけど、本書なんか、解決を探るための好著だと思うんだけど、お偉いさん方には届かんのかしらん。