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話として面白いので、ことさらにフェミニズムを強調しない方がいいかもしれない。
昔話風の設定の中で、賢くて思いやりがある(多分そんなに美人じゃない)女の子が活躍するってだけでも痛快じゃない?
動物と仲良くなるには押し付けちゃダメ、怖がらせちゃダメ。(『わたしとあそんで』みたいに。)
何かを成し遂げるには、仲間の協力が必要。
芸術、文学ファッションが人生を豊かにする。
これだけのメッセージがあるのだから。
私はフェミニズムそのものは素晴らしいと思っているのだが、世の中にはフェミニズムは男性の権利を奪い、女性が世の中の上に立とうとするものだと誤解している人が多いから。
この本に欠点があるとすれば、男性が皆ろくでなしってこと。出てくる女性は皆魅力的なのに。一人でいいからいい男性(例えばアンプルさんの夫とか)が出てくれば物語はもっと豊かになったし、要らぬ誤解をされずに済んだのではないかと思う。
それから表紙の絵はとてもいいのに、挿絵が30年前のまんまというのも残念。
文章と絵がセットの契約なのかもしれないけど、表紙の丹地陽子さんが挿絵も描いたら今の子ども達はもっと好きになっただろうと思う。
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アリーテ姫が使った指輪の魔法は、結果的に3つとも周りの人を感動させたり喜ばせていることに気が付いた。
ただ、魔法は使ったけれども、どれもアリーテ姫がこれまで身に付けたものを発揮して生み出されたのだ。
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国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB10012635
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賢いお姫様の大冒険!
小さい頃に読んで大好きだった物語が復刊。アリーテ姫は読書や乗馬、お絵描きや裁縫の好きなお姫様。自分の考えを持っていて、結婚を申し込んでくる王子様とは話が合わない。悪い魔法使いと結婚させられてしまったが、魔法の指輪と知恵と勇気でアリーテ姫は難題を解決していく。
大人になっても面白い。3回願いが叶えられる魔法の指輪を、悪い魔法使いに与えられた難題の解決に使うのではなく、退屈に抗うために使うアリーテ姫。難題として与えられた試練は、鎧で身を固め武器を振りかざす騎士たちにとっての難題だっただけで、知識があり知恵があり、生き物たちに優しく寄り添うアリーテ姫には難題でもなんでもなかった。それよりも地下室に閉じ込められて仕事やすることがない方が困りごとだった。
アリーテ姫のようにいられたらと思う。自分の幸せに生きられるようやりたいことをやって、苦境にもめげないで、周りの人と仲良くして、美味しいご飯をしっかり食べる。最後にアリーテ姫はこぼしてもまた湧いてくる魔法の水と病気の治るルビーを持って銀の馬に乗り旅立つ。困っている人を助けるために。それもまたカッコいい。
助けてくれる人や仲良くなる人が皆女性(小さな蛇は不明)で、王様や王子様、悪い魔法使いなど男性が皆悪かったりつまらなかったりという設定に、今はもうバランスが悪く感じる。さらに時代はアップデートされているのだ。
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娘達は、この話しが大好きでした。
どこが好きなの?
「だって!ズルしないから!」
魔法で助けて貰うのは、ズルみたい、だと。
たしかに、王子様に巡り会うより、自分の剣で道を切り開く人生を歩んでいるなぁ~。
「ひかりの国のタッシンダ」も、最後に王子様とラブ❤️になるけど、魔法じゃないから良いのよ。と
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よくある、王子様待ちの話じゃない。自分の父親にさえ否定された、女の子はこうあるべきで姫のような強い女は幸せになれない、という古いというか男尊女卑的な考え方に否と声をあげる姫の話。
自分が自分らしく居られるために使う魔法も、最後まで王子様が出てこず、自分の生き方で幸せになる姫が良いね。
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図書館本。
宝石だけに関心の有る父の国王の命令で、年老いた魔法使いに嫁いだアリーテは、賢い女性だった。
コミュ力も強く、魔法使いの陰謀に負けずに未来をたぐり寄せていく様子は気持ち良かった!
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かっこいい表紙に惹かれて読んでしまった。内容と監修を見て嫌厭してしまいそうな男性にもぜひ読んでほしい本。自身の偏見を取り払うのにも役立つし、なによりこの本で語られるロールモデルは男女関係なく自分が楽しく自由に生きられるヒントになるものだと、自分は感じたからだ。
さて内容についてだが、ざっくり言えば姫が主役の王道のファンタジーもの。しかし男女共同参画のテーマで翻訳されただけでありその視点で見てみても面白い。
一番好きな点はアリーテ姫が魔女に託された魔法の指輪を自分が楽しい!退屈を紛らわせる!と思えることに使っている点である。三つの試練に挑むのだから三つの願いを叶える指輪をそれに使えばいいじゃん!と思ってしまうが、後書きの通りにこの小説が女性が自分の力で運命を切り開くテーマを持っていることを前提に見るならば、魔法に頼らず試練は自分の知恵と力でこなすのが一番良いのである。実際彼女はそれをやり切った。しかしかといって大切な人からの助けを否定するのではなく、日常を楽しくするためのちょっとしたサポートに活用しているのだ。それによってお城で得た仲間達と交流するのである。自分の力で主体的に進みつつも独りよがりにならず孤立せず、適度に自立し適度に他者と関わり喜びを分かち合うという理想的なロールモデルがここにある気がする。
アリーテ姫関連でもう一つ好きなのが彼女の趣味嗜好。アリーテ姫は勉強や乗馬など従来男性的だとされた趣味が好きだが、ドレス作りなど従来女性的とされていた趣味も好きなのだ。こういう女性開放的な物語だとどうしても主人公は男性的とされる趣味を持ってしまうイメージがあるが、それは裏を返せば反逆しなくちゃ!という意識として男女観に囚われているとも見えてしまう。しかしアリーテ姫は男女両方に偏見される趣味を持ち合わせることで、それらを一切気にせず自分の好きなものを好きなだけ選んで楽しんでいる。これはより自由に感じた。
他の魅力を上げてみるとご飯の描写がとても美味しそうなのも良い。さらにイラストも細かく文字などをじっと見ると発見がある。ただ王子様がやたらと酷い目に会うのは笑ってしまうと同時に少し同情してしまった。まぁ昔話や現実には理不尽な残酷がつきものである。
この本を訳した協会の方々は抑圧されてした女性に自分の生き方を決めてほしい!と思って送り出したのだと考えられる。しかしこの本でアリーテ姫が示してくれた自分の力で頑張ることと他者を頼り交流することの二つのバランス感覚、偏見を気にせず自分の好きな嗜好を楽しむ態度は、男性である自分にとっても指針となりうるとても良いものであった。単純に読んだ楽しさと、自身の人生のロールモデルを得られたという点で楽しく読ませてもらった本だ。
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う、うーん。私はけっこうフェミニズム系の思想に関してある程度は共感してる方なんだけど…あまりにもなんというか、冒頭から「こういう偏見に満ちた思想の人間を説教してやろう」感が強く感じられてしまって、正直大丈夫かこれ、という気持ちになってしまった。
退屈な自慢話しかしなかったとはいえ、いきなり蛙にされた挙げ句アリーテ姫のペットの蛇に食べられたダラボア王子が気の毒で…。アリーテ姫もかわいそうがるでもなく笑いそうになっておしまいというのはさすがにキャラクターとして好感持てないよ。
「むだにしてはいけませんよ」と言われて魔女にもらった指輪も、絵を描いたり縫い物に使ったり物語を書くのに使ったり、「それでいいのか?」と聞きたくなってしまうなあ。結局、「アリーテ姫にとってはいちばんつらいのは何よりも退屈なので使い方としては間違いなかった」ということで丸く収まったけど、読者としてはなんか腑に落ちない物がある。気持ちはわかるけど、3つ全部退屈しのぎに使っちゃうの?という…。
他の方のレビューを読んで、「アリーテ姫は人からもらった魔法ではなく全部自分の力で難題を解決するためにこれが最適だった」というのを読んで、ようやくなんとなく得心がいったかなあ。
ですけど、そのもらった魔法もアリーテ姫が魔女のお婆さんと仲良く親切にしてたからもらえたものであって、なんの苦も無くもらえたものでもないので、多少甘えても良かった気もしなくはないが…。うーん。
じゃあ私だったら「自分の力で難問を解決させるために魔法を使わせる」という縛りをどうするかな?他の人のためにこの魔法を使っていたら満足していたかな?と思ったけどそうするとたぶん「献身的な聖女という概念の押しつけ」と言われる気もする。
ボックスとグロベルにしても、3つの難問の途中でアリーテ姫が逃げ出す可能性とかは考えなかったのでしょうか?魔法使いだから逃げても捕まえられるってやつ?最後の問題なんか馬を懐かせるんだから、「最悪逃げるかも」とかないのかな…。おとぎ話にそんなこと考える方が野暮?まあお世話係を人質に、という可能性もあったしアリーテ姫は一人では勝手に逃げないか。
最近はディズニープリンセスなんかも「自分で戦う」「自分で解決する」路線に行ったのでそうした作品たちからすると見劣りしてしまう気がします。だって、あっちはエンタメを磨きに磨いている会社なので、メッセージを説教臭くなくさらに面白く味付けできちゃうから。
それでも、これが最初に発刊された時は、自分の力一つで困難を切り開くヒロインが少なくて、数少ない希望の作品だったのかもしれない…?と思ったのだけど本邦ではベルばらとか数多の素晴らしい少女向け作品がもうすでに生まれていたはずなので、その点でもどうだったのかなあと思ってしまう。
私がまだうまいこと読み解けていないだけなのかもしれない。はい。
丹地陽子さんの表紙はきれいで好きです。