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時間SFのアンソロジー。何でもアニメの企画と連動しているようだが、本書だけ読んでも特に支障は無さそうだ(アニメの方はよく知らないが……)。
国内短編の方は既読だったが、テーマ別のアンソロジーに収録されると、また違った味わいがある。ここで『五色の舟』を再読することになるとは思っていなかったので、そこはちょっと嬉しかった。
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テレビを見るってことはあまりしなくなったので、アニメのことは知らないけど、作者陣に惹かれて買ったアンソロジー。まだ手に入れやすい他の本に納められてるのは紹介に留めて、もっと「幻の名作」とかになっちゃってる古いのものや本邦初訳ものので編んで欲しいな
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あとがきにもあったけど、国内4作品はSFファンなら既読の方も多いかも。とはいいながら、収録作品総じてレベルが高く、アンソロジーとしては満足度が高いです。
ミステリ作家としての印象が強くて読んでなかった法月倫太郎氏の『ノックス・マシン』がよかった。ミステリファンの気持ちを鷲掴みで、角川文庫も買ってしまった…
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SF短編集
最初の短編「退屈の檻」の
”ルビーがテーブルを転がって・・・”
が繰り返されるところが、気が狂いそうになってしまう。
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タイムトラベルなどの時間をテーマにしたSF作品集。時間SFというとパラドックスをいかに解決するかに着目して、作品ごとの解決手腕を堪能することが多い。確かに読ませどころではあるが、時間を遡れたらといったifを楽しむのが、素直な読み方だろうか。
個人的に気に入ったのは「退屈の檻」(リチャード・R・スミス)。特定の10分間を永遠に繰り返す話であり、突っ込みどころがたくさんありそう(探していない)だが、永遠に生かされる苦しみのようなものを突き付けられ、時間はたくさんあった方がいいなと思うと同時に、時間の残酷さも分かる。
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毛色の違う6篇の時間SFの傑作を贅沢に味わうことができた。時間SFものは何度読んでも、何度観ても、やはりわくわくする。理論一つにしても作者、作品ごとに違うが、それが導入されたストーリーはどれも壮大で創造的だった。
リチャード・R・スミス『退屈の檻』
1958年発表のたった20ページの時間ループもの。
現代に読むと流石に古くさい部分はあるが、それでも面白いものは面白い。ラストの展開などはシンプルながら切れ味抜群。掌編に相応しい読後感と余韻。「5億年ボタン」を想起させられるが、やはり脳内で夢想させられるシンプルに強い設定だなと思う。
法月綸太郎『ノックス・マシン』
ミステリを本文とする読者である僕にとっては、このアンソロにこの作品が収録されたことは純粋に嬉しい。ミステリファンなら誰もが知る「ノックスの十戒」をテーマにここまで美しい構図のSFが描けるとは、発想の勝利だなと感じる。既に決まってるものに対し、謎とその解決、そして納得感を付与するための設定を創出する。その創造性の豊かさに脱帽する。
藤井太洋『ノー・パラドクス』
エヴェレットの多世界解釈を背景にしたタイムパラドクスの無い時間SF。所謂時空パトロールモノともいえるが、その物語のラフさ、シンプルさに対して、設定のロジカルさはかなり綿密。誰でも時間を行き来できる社会で、物語は2800年を境に時間の行き来ができない「謎」を孕んでいる。その一点の謎に向かって、短編ながら膨大な情報が押し寄せる。脳が刺激される作品だった。
小林泰三『時空争奪』
作者らしいあるネタを忍ばせているが、知らなくとも大いに楽しめる時間SF。作者の本領発揮ともいえる会話の噛み合わなさや世界が綻んでいく描写が読めて非常に満足度が高い。河川争奪という地理的現象をテーマに、それが時間という「極大の川」に対して起きたらどうなるかを描いている。結末に至るまでの禍々しさが最高な作品。短くも強烈な印象を残す。
C・L・ムーア『ヴィンテージ・シーズン』
1946年アメリカSF黄金期の名作が文庫初収録!とのことで、SFに詳しくない僕はいまいち温度感が判らなかったのだが、読んでみるとこれがなかなか良い。さすがに古めかしい感じがして、しかも元々海外翻訳が苦手な事もあってかなり読みにくかったのだけれど、なんとも言えないノスタルジックな雰囲気と、時間SFとしてのテーマの美しい描き方は響いた。エモい。
津原泰水『五色の舟』
くだんという空想上の生物が、僕は昔から大好きだ。人魚も好きで、くだんと人魚の研究をするために民俗学を勉強していた時期もある。そんなくだんが登場する時間SF、最高に楽しかった。くだんは未来を予知するというが、それは時間を扱うSFと相性がいい。この物語は文庫35頁という短さの中で、読者の想像力を掻き立て、そして美しく終わる。素晴らしい。
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久しぶりのSF
楽しみにしていたものの、既読が多くて、楽しみの量は少なめ。時間SF短編集だけど、傑作集というよりは百花繚乱かな。
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最近SF小説にのめり込みつつあり、そんな中でSF界における重要人物、大森望(本アンソロジーの編者)を知った。また「時間SF」というサブジャンルも奥深くて、この中に更にいくつも細分化されるテーマなので、ここを掘ってみたかった、ということで購入。ちなみに、編者によるあとがきで、このサブジャンルの理解に非常に役立つガイドをしてくれている。
尚、アニメ『リヴィジョンズ』はあくまでこのアンソロジーを編んだきっかけでしかなく、内容は全く関係ない短編の集まりである。
時間SFものは、作品によって「どうやって時空を移動するか」という点が当然ながら物語の軸であり、独自性の発揮ポイントであり、いかに矛盾のない論理構造を組み立てるかが筆者の腕の見せ所だと思っていて、そこを比較しながら読むのもまた面白い。(あえて理屈は説明せず、もひとつの方法としてアリ)
個人的には既読のものはひとつもなく、いずれも面白くて大当たりな一冊。特に法月、藤井あたりは他の作品も読んでみたいなと。
リチャード・R・スミス「退屈の檻」★★★☆☆
法月綸太郎「ノックス・マシン」★★★★★
・最高。ちょいジョークっぽいオチも良い。「ノックスの十戒」を題材にしたタイムトラベルもの。
藤井太洋「ノー・パラドックス」★★★★☆
小林泰三「時空争奪」★★★★☆
C・L・ムーア「ヴィンテージ・シーズン」★★★★★
津原泰水「五色の舟」★★★★★
・奇形の見せ物一家の話。「くだん」という人と牛の合いの子が産まれたと噂を聞く。くだんは昔から過去未来を見通せると信じられている。最後にくだんと対面した時、くだんは並行世界を自由に行き来することができると話す。最後、子供たちは別の世界(原爆が落とされなかった世界)へ行き、生きながらえる。このエグ味が凄味として機能しつつ、ハッピーエンドで終わるという圧巻の短編。
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SF。短編集。
「ノックス・マシン」「五色の舟」は再読。どちらも流石に良作。
「時空争奪」「ヴィンテージ・シーズン」は苦手。
「ノー・パラドクス」は、結末がよく分からないが、アイシアのキャラが良い。
「退屈の檻」は、20ページという短さでよくまとまった時間SFホラー。好き。
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確かに「時間SFアンソロジー」ではあるものの、ワンテーマの統一感よりも独立心の強いワンパクな個性派集団。
だから当然好き嫌いがあっていい。
相手も「別に好きになってもらわなくても、わかる奴にはわかるし…」って嘯いている。
私のお気に入りは『五色の舟』
とにかく不思議な気分で、短いお話の中で色々考えさせてくれる。
『退屈の檻』は古典の香りで、古いアメリカのテレビドラマにありそう。
あとはきっと、誰かほかに好きな人がいるはず…。
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時間SF短編6本が収録されている。
小林泰三「時空争奪」、津原泰水「五色の舟」が特に好きだなあ。C・L・ムーア「ヴィンテージ・シーズン」の官能的な文章も素敵だった。
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時間SFは大好きで、そもそもSFを読むようになったのは「夏への扉」にはまったからだ。同じ頃テレビで「タイムトラベラー」をみたのも大きかった。「七瀬ふたたび」もその頃かな。タイムトラベル。なんとワクワクする響きであることよ。時を遡って過去を変えることは出来るのか。思考実験としても実に面白いが、理屈抜きにひきつけられるのがそうしたオールドSFだ。
このアンソロジーには新旧とりまぜて六篇の短篇が収録されている。ざっくり言って、ダークな雰囲気が共通点か。「切なさ」が時間SFのキモだろうと思う私にとっては、胃にもたれる感じのラインナップだった。
「退屈の檻」リチャード・R・スミス
1958年の作。さすがに古い。「ループもの」って、どうやったって明るくならないとは思うけど、これは苦しそう。
「ノックス・マシン」法月綸太郎
これは「このミス」で1位になったとき読んだけど、よくわからなかった。今回も同じ感想。ちょっとひねった高尚なユーモア感覚(と思うけど自信ないデス)についていけてない。
「ノー・パラドクス」藤井太洋
さらにわかりません。前書きに「アクロバティックなスクリューやループを決めまくる超高速ローラーコースターなので、くれぐれも振り落とされないように」とあって、イヤな予感がしたけど、加速前から降りたくなった。
「時空争奪」小林泰三
この人は苦手。本作もねっちょり粘着度が高くて、途中でギブアップ。
「ヴィンテージ・シーズン」C・L・ムーア
「幻の名作」の本邦初訳だそうだ。思わせぶりな雰囲気にちょっとイライラする。良くも悪くも未来はずっと「進化」するものと信じられていた時代の作品だなあというのが正直な感想。
「五色の舟」津原泰水
これはもう文句なしの大傑作。何度読んでもすばらしい。近藤ようこさんの漫画化で、よりイメージが鮮烈になった。清新さといかがわしさがここまで見事に融合できるものかと、読むたびに感動する。
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6作品収録の時間SFアンソロジー。
「退屈の檻」
1958年発表という古典に入るであろう作品ですが、今読んでも面白いという評価は変わらない。おそらく、いつどの時代に読んでも変わらないでしょう。こういう作品に出会えることは、ジャンルのもつ魅力。深さや広がりの証拠。
そして、海外作品に触れていない自分のテリトリーの狭さの証明です。これから出る未来の作品もあるし、これまで触れてきていない過去の作品もあるし、で時間がどれだけあっても足りない。
永遠に続く繰り返される10分。何かができそうだけど、状況を蹴るほどの何かができるわけでないという10分が絶妙。希望と絶望が繰り返され、絶望が徐々に侵食し無力感に押しつぶされてゆく。嫌な読後感ですが、楽しい。
「時空争奪」「ヴィンテージ・シーズン」も、主人公が何もできないという無力感が襲ってくる読後感になるのは、時間SFという作品に共通するものなのか、と勘違いしてしまう。収録されている作品がそうであるだけで、違う結末違う読後感はあるはずです。でも「五色の舟」も似たような感じか。
重めの脱力感があるアンソロジーでした。脱力なのに重さを感じるというのも、おかしなことですが、無力感というと違うのです。脱力に解放感がないからかな。