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あまり多くはないストア派に関する書籍だが、書店で見かけて気になって購入。
代表的なストア派の哲学者であるセネカ、エピクテトスなどなど、彼らの思想とその背景を知ることができる。
思ったよりも時代背景や哲学者の日々の生活の記載が多い。もちろん思想だけ切り取ってしまえるものではないのかもしれないが、あまり一般読者向けではないのかもしれないと思った。ただ、そうした人物伝と思想の解説は分けて記載されているので、ごちゃごちゃにはならない。
あと終章を読むと大まかな思想の流れがつかめるので、ストア派初体験の自分はそちらを先に読んでから全文を読んだ方が良かった気もする。
エピクテトスの時代を先取りしたような意識の捉え方や、発達理論の先駆けのような思想など、解説書の少ないストア派全般について知ることができた。
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一目見て、私が求めていたものだと直感して購入。もともとストア哲学に関心があり、その、いかに生きるべきかを説いた、実践的な教説が気に入っていた。読むと、著者はストア哲学の新しい解釈を引っさげて本書を刊行したらしく、それがまた実に明瞭で、しっくり来る。どうもこの著者はギリシャ・ローマの教養のみならず、漢文学にも通じているようで、それが我々日本人に西洋の古典を分かりやすく教示する基盤となっていると感じた。私自身は論語を始めとして儒教に依拠していることもあり、著者の説くストア哲学と思想的に衝突するかと思いきや、その点も著者が日本的教養をかなり有しているおかげで、私にしても快くこの本を受容できた。これが正しい唯一無二の解釈だと思うのは行き過ぎだが、明らかに我々には恵み豊かな思想だと言える。
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キュニコス派ディオゲネス、ゼノン、パナイティオス、ローマ時代セネカらの思想を各期毎に比較・紹介、ストイックに生きる意味を探る
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ストア哲学の入門本としてお勧めできる一冊.
「哲学は外部にある何かを得ることを約束するものではない」
「間暇は学びがなければ死に等しく,いける人間の墓場でしかない」
「優れた裁判官は不正を罰するがこれを憎むものではない」
「どんなことでも予期しているものにはその分打撃は少ない」
「人々を不安にするのは事柄ではなく事柄についての思いである」
「自分のものでないものを何一つ求めない」
富や健康,名声そのものは善でも悪でもない.
「心象よ,少し待っておくれ.お前は誰なのか,なんの心象なのかを見させてくれ.」
ストア哲学はただ困難を耐え忍ぶを進めるんじゃなくて不退転の精神をもつこと
精神的反脆さにつながる言葉の多いことよ.
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ストイックに生きるということについて。
100分で名著の自省録はこの本を参考にしていたのかもしれない
…ストア派によれば、正しく理性を働かせて行った行為が徳のある行為で、そうでない行為は悪徳だということになる。
正しく理性を働かせて徳を持った状態、この状態こそが「幸福」な状態である。
健康・美貌・財産・名声はそれ自体として考えた場合に、善でも悪でもない。そうしたものは外部的な条件にすぎず、それらをどのように用いるか、そしてそのためには理性を正しく働かせることが肝要である。どんな態度をとるかで善悪が分かれる。
善を悪と見誤ったり過誤を引き起こし、知性の力を弱めるのは情念
禅との違いは、禅は知を働かせることは悟りの妨げになると考えるが、ストア派の場合は知を働かせることによって可能となるとするところである。
そうした状態の人間をストア派は賢者とか知者と呼んだ
オイケイオーシス(親和性)というところからストア派の倫理学が築かれる
動物はまずは自己保存への衝動を持ち、それゆえ自分を保存してくれるものに向かい、破壊するものを忌避するような生まれ持った傾向性を有する。生き物である限り、当然のことで本能に基づいて自己を守ろうとする。
高次の倫理的な行為においては自己中心的ということにもなる
子供を助けたとして、それは子供のためではなくむしろ子供を助けることが自分にとっては善き行為だから。それゆえ子供が助からなかったとしても、自分はその子供を救うために最善の努力をしたのであるから少しも悔やむ必要はないことになる。
ーー人のためではなく、自分のために人助けしている。そう考えると見返りや結果は求めなくてすむ?
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ストア派の系譜、奴隷から皇帝迄多様な人々が師弟関係にある。真理を探究する者の魂に世俗の肩書きは気にならないのかも知れません。