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NetGalleyにて。あぁ「イシイカナコ」なんだなと納得した読後。今がどうあれ、きちんと向き合った結果の今ならそれで良いと思えるのだろうと思う。「イシイカナコ」が京平にもたらしたのは今を変える事ではなくて、今を生きるための「過去」を変える事だったんだろう。どんな道を選んでも諦めず自問自答して足掻いて選んだ道であるように。そして今を違和感持って生きる大人達も、振り返ってきちんと選んだと思える今ならば、決して間違いではないと思う。私もそうだと思う。石井加奈子じゃない「イシイカナコ」。上手いな、と思います。
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高校教師の菅野が母校に赴任した所に、高校時代、センター試験に失敗した同級生の幽霊イシイカナコが現れて「人生やり直し事業」を持ちかけられる。この方の小説は爽やかだし読みやすい。ハッピーに終わって欲しいと願いながら読了
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…ん?
額賀澪さんの新刊通知を見て、タイトルは違うけどこれ読んだよなぁ…と振り返ってみたら、感想書いてなかった。
でも、星はふたつ。
ほとんど何も思い出せない。
どうやら今ひとつだったようだ。
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あの日、空からイシイカナコが降ってきた。そして僕は14年前へと飛ばされた。人生をやり直すために。
って、簡単にあらすじを書くと、今はやりの感動系タイムワープもののようだけど、ところがどっこい、額賀さんはそんな単純なストーリーにはまとめませんでしたよ。
祖父も両親も教育者という家系の中で当たり前のように教師への道を進んだ菅野先生。同僚からも保護者からも評判の高い「良い先生」。なのに、なぜかもやもやを抱えている。そのもやもやの原因は何か。もやもやをなくすことはできるのか。そもそも自分は教師じゃなく、別の道を選ぶべきだったんじゃないか。そういう後悔、すごくよくわかる。今の自分の歩く道が、自分にとって正しい道だったのか。あの時、別の道を選んだ方がよかったんじゃないか、そういう思いって、オトナなら誰もが持ってるはず。
人生のやり直し。あの時に戻ってその選択をした自分に別の道を選ばせたい。菅野先生にとってそれが幽霊となって現れたイシイカナコがいう「やりなおし事業」。
だ、け、ど。この「やり直し」ってのが曲者。そもそも、やり直すために戻ったはずなのに、なぜか自分が自分じゃない!ここが、額賀さんのうまいところ。やり直したいと思っているのが自分だけじゃないってこと、そういうことを31歳の目でみて17歳の身体で感じること、そしてその結果、自分の人生が変わる変わらないか、あの日の失敗をリカバリできるかできないか、ってことを軽やかに、なのに深く描く。
自分の人生について悩んでいる人、あの日の失敗をなかったことにしたいと思っている人にはもちろんだけど、今の人生に満足している、この人生でよかったと思っている人たちにも読んでほしい。今、自分が歩いている道、そこに自分がいる意味。
「やり直しなんてできないけど、失敗が許されないわけじゃない」その言葉に救われる人はたくさんいるはず。
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人生のやり直しは誰でもある願望なんでしょうね。
あの時こうしていたら。
そんなよくあるパターンを、人の入れ替わりという変化球で行ったら...新たなパターンの登場ですね。
でもさすがに女子高生になるのはマズいだろうと思いながらも、下衆な話にはせずにしっかりと、人から見た自分像をきっちり描いているのはさすが。ブレがないです。
私はあまり悩まない方のかもしれないが、ああしていればよかったかなと考えることもある。
過去があっての現在の自分であり、現在あっての未来の自分。正解なんてないのが人生。
そんなことを教えてくれる本でした。
若い人にも、年取った人にも、ぜひ読んでほしい本だと思った一冊でした。
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十全なリサーチの結果、出てきた答えがこれなのだろうか?
越谷オサムには届かず、武田綾乃にも届かず、どうにももどかしいところだね。
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たった二行が突き刺さる。
ーー31歳教師の主人公は、センター試験の後に自殺したかつての同級生の幽霊の「人生やり直し事業」に巻き込まれ、高校時代に戻される。
ここで面白いのは、自分ではなく、周囲の人間の体に次々と意識が入っていくことだ。結果、自分を見つめる自分という立場で物語が進み、だから気付けることがある。
正直、面白いながらやや冗長に感じつつ読み進めていたが、それが終盤の二行で集束され、そこでひと時読むのを止めて感慨に耽った。そうか、これに気付くために、これまでの長い道のりはあったんだな(個人の感想です)。
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教師10年目の菅野は、母校の星高に赴任した。
母校では、自分が高校3年の冬に自殺した同級生石井加奈子が幽霊となってさまよっているという噂が立っていた。
タイムスリップもの。
過去に戻ってやり直せるか、という話ですが、戻るのが自分の身体ではないのが特殊かも。
同級生の男子ならまだいいけれど、女子に入ってしまうのはどうなの?という感じはありました。
その手の話は、家族との齟齬がないようにと苦労するシーンがありますが、そこは端折られてして、違和感なく溶け込んでいる様子が何となくしっくりこなかったです。
この話の中では、過去が変わっても、未来は何も変わっていません。ただ、『やり直しは出来ないけれど、失敗が許されない訳では無い』という大切なワードに行き着きます。
とは言っても、菅野が今の自分で頑張ると吹っ切れたことと、幽霊となったイシイカナコが、自分の死の理由を知るための時間だったのかも、と思ってしまい、最後は今ひとつスッキリせずに読み終えました。
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もしこのやり直し事業に参加できるなら私はどこに戻るんだろう。失敗が許されないわけじゃない。救われるセリフだったなぁ。
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菅野京平が母校に教師として赴任したら、
自殺した同級生の霊「イシイカナコ」に出会い、
「イシイカナコ」が石井加奈子であったころにタイムリープする。
というお話。
高校三年生にタイムリープしたのに
なぜか京平自身でない人になる。
という設定が
この物語を「なるほどねぇ」と思わせる。
他人になることで自分を知る、後悔をしても
やり直せないけれど、
現在は何も変わっていないよう見みえるけれど、
その人に蓄積された心の色や形はは変わっていく。
そう、過去を変えても、変えるような言動をしても
現在が変わらないというのは面白い設定だった。
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学校で同級生の幽霊に出会ってしまう。なんでもうまくこなしているように見えても、何かしら後悔というものはあるものなのか。それをやり直せるとなると、受け入れるかも。
自分のため、というより人のためだから受け入れたんだろうけどね。
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イシイカナコの幽霊といっても怖い系ではなく,人生やり直しはきかないけれど,考え直しはできるって話.コミカルタッチの会話と出来事のタイムスリップ物で,31才が真面目に高校生をやっているのが微笑ましい.最後に期待したけどそう何もかもうまくいくはずもなく,イシイカナコの死んだ理由はわかったけれど,うーん,何か物足りなかった.
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作品紹介・あらすじ
どの生徒にも慕われ、保護者対策もぬかりない、同僚にも羨望の眼差しを送られる有能教師の菅野。しかし、彼の内心に
はいつも虚しいものが渦巻いていた。自分には、教師に必要な他人への共感や思い入れが全く存在しない。それなの
に天性の要領の良さだけで周りをたらし込み、日々を凌いでいるのだ。そんな彼の前にかつての同級生の幽霊、イシイカ
ナコが現れる。「ねえ、イシイカナコの「人生やり直し事業」に参加しない?」--そして菅野は、17歳の自分が生きる時
間軸へと飛ばされた。ただし、菅野本人ではなく、同級生の依田として。
イシイカナコの手違いに怒り狂う菅野(依田)だが、なんとか高校生の自分を説得して進路を変えさせようと試み始める。し
かし、同じクラスには生前の石井可奈子がおり、幽霊のカナコには何やら別の思惑があるようで……。
屈託を抱えた大人のためのほろ苦く、やがてあたたかい「二度目の成長」ストーリー。
かつて自殺した同級生の幽霊に過去に飛ばされ、高校生として過去の後悔と対峙する男性教師の話です。タイムスリップ、タイムリープものとしては特別新奇な事柄は無いのですが、この男性が教師という仕事に就いた事を根本的に後悔しているという所が一番面白いところで、案の定ネガティブな青春作家の本領発揮という所でしょうか。
コミカルで割と明るい雰囲気でありながら、明るい展望が全然出て来ないのが何とも不思議です。
幽霊は死んでからの記憶しかなく、死ぬ前の自分が何を考えたのかは全く分からないというのが新しい概念です。何で自分が死を選んだのか分からないというのは、話を面白くする為に非常に有効でした。
額賀澪さんは僕的にはかなりの期待株なのですが、安易な感動話に流れて行かないクレバーさが、いまいち大ブレイクに至らない要因だと思っています。しかし、むしろそこがいい。このままの哲学で書き続けて大名作をものにして頂きたいと思っています。
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やり直しの時間をくれる幽霊。
17歳の自分が生きる時間軸にタイムトラベル?をする31歳の男性教師。未来がわかるわけではないけど少しだけ後悔が減る。自信をくれるなら、私も体験してみたい。
けど、自分に戻るわけじゃないから恥ずかしい自分を見ることに、同級生になりきるのに耐えられるかな?
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よくあるタイムリープものだが、普通は過去に戻る時、自分に・・・なのだが、クラスメートにというのが鍵。色んな人に乗り移り、途中女子に入り自分に告白してしまう。おもしろかった。読みやすいし、展開も読めないが、それは中盤まで、最後は何となくわかったし、結局、運命は代えられないわけで石井加奈子は死ね。でも、あの死に方はないと思う。少し工夫すれば名作になったかもという惜しい作品。ラストは、少し余韻を残して、ばっさり切って欲しかった。