投稿元:
レビューを見る
「脱脂綿・布などは備付けのゴミ箱に捨ててください」っていうトイレの貼り紙もひっそり歴史を語っていたのだ…ということがわかる本。
投稿元:
レビューを見る
映画「ツキイチ!生理ちゃん」の原作の漫画の中にも、本書を取り上げた作品がある。
(生理用品の社会史 タブーから一大ビジネスへ ミネルヴァ書房 2013、本書は文庫化にあたって改題、改稿)
女性にとっては毎月のことで、面倒で、辛い。
でも、メーカーは本当に苦労してブルーデイのブルーを解消しようとしている。
音が小さいパッケージ、テキスタイルメーカーやキャラクターとのコラボなど、ソフト面はもちろん、昼用、夜用だけでなく、長さ、薄さ、量によって好きなものを選べる。
おかげで、大きなポーチを持ち歩かなくても、ポケットにしまって持っていくこともできるし、長時間席を立てなくても安心だ
(でも時々自分でつけた位置が悪くて漏れることもある。
そういう時にはオーバーパンツを履けばよかったと思ってしまうが、つい買わずになんとか毎月を乗り越えてしまう)。
しかし、ずっと女性は不浄なものとして扱われてきた。第一章の経血処置の記録を見ると、まず思ったのが現代に生まれて本当に良かった、だった。
血糊でガチガチになったものを洗わなければならないなんて、なんて、辛かっただろう。
時には情けない気持ち、悲しい気持ちになることもあったのではないか。
食品加工に支障をきたすとして、パンを焼く、バターを作ることが禁じられていたり、酒造りの場では、醪の腐造の原因となるから女人禁制(説)とも言われていた。(他の説もある)
これが女=汚れ=一段低い存在となるのは想像に難くない。
月経とは、健康な女性であれば、誰しもが通る。
だからこそ、来ないことは、体の不調を知らせる大きなポイントとなる。
そしてそれがなければ未来をつなげない。
なのに、まだまだ、先進国と言われる国だって、生理は隠すべきもの、いむべきもの、ないものとされることがある。
願わくば、正しき知識を得て欲しい。
男女分けての性教育はやめて欲しい。
人前で大っぴらに話すことではないけれど、知らないことは相手を傷つけてしまう。
何より自分も傷ついてしまう。
男はこうだ、女はこうだと決めつけず、フラットに違いを理解し、寄り添える社会であって欲しいと思う。
投稿元:
レビューを見る
40年間お待たせしました!って凄いコピー。辛いこと苦しいことをこれが当然なんだ、こういうものなんだ、と受け入れてると何も発展しなくて市場はあらゆるところに隠れているのだろうな、と。常々アメリカ製の生理用品の大味っぷりに呆れ日本製品の細やかさに喜びを感じていたけれどアメリカ製品そしてスーパーでの売り方は偉大なる大先輩だったと気づいたのも収穫。
投稿元:
レビューを見る
月に一度、1週間程度お世話になる生理用品、ドラッグストアやスーパーの店頭には山と積まれて選び放題だけど、そうなったのはごく最近の話。半世紀ほど前までは生理は忌むべきもので人前で話すものではなく、女性はこっそり脱脂綿や紙でなんとかしていた。それをどうどうと広告にうちだし、一気にナプキンの市場を開拓したアンネ社の苦闘とその後の展開を描く。
私の感覚では「アンネ」はすでにちょっと古臭い表現だったけど、月に一度のアレを憚ることなく語れるようにしたアンネ社の功績はすばらしいし、感謝の限りである。
最後の布ナプキンについての章は必要かな?と思うけど、忌むべきものとされていた生理を普通に語り、生理用品で快適な生活を得られるようになった現在にイージーライドする「布ナプキン信者」に釘を刺すのは意義があるのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
韓国で脱北女性を取材したジャーナリストによると、彼女たちが「韓国にきて、最も感激するのは実は生理用品のナプキンの存在」であるそう。北朝鮮では月経時、ガーゼや着古した下着の切れ端を畳んで使い、「他人に見られないように陰干しする」。
数十年前の日本もこのような状況だった。長い間、日陰の存在だった生理用品を急速に発展させ、今ではほとんど不自由なく過ごせるようになった。先人の努力に感謝したい。
投稿元:
レビューを見る
他にない、と言う観点では超一流の本と言うべき。教養として知っておくべき内容かもしれない。ジェンダー論かと思いきや、普通のサクセスストーリーとしても読める。アンネナプキンがいかに画期的であったかが良くわかる。こういう知識はなぜか普通には入ってこないので。
投稿元:
レビューを見る
前半の生理用品の歴史〜中盤のアンネナプキンの話が面白かった。後半は布ナプキンや月経カップと言った知っている内容だったために少し失速した印象。
全体としてよくまとまっていて勉強になった。
生理になった日に親に言い出せなかった気持ちって何時までも覚えているもんだよね。
男性も教養として読んでおくといいと思います。
生理を快適に過ごせる今の時代で本当に良かったなと思いました。
投稿元:
レビューを見る
生理用品の歴史に興味があり、読んでみた。
今のような生理用品ができるまで、女性達がどう「処置」してきたのか、日本初の生理用品「アンネナプキン」がどのように開発されたのか。女性だけでなく、男性にも興味深い話題だと思う。
生理用品の歴史を語りながら、「生理」という現象自体が、女性自身と社会にどんな捉え方をされてきたかも明らかにしている。
投稿元:
レビューを見る
日本を中心として月経が、生理用品が、社会的にどう扱われていたのか、どう受容されていったのかを多くのデータを基に描写した丁寧な本だと思う。
古代日本では月経を忌む慣習はなかったなど、意外な話が出てきて面白かった。
アンネナプキン登場からはプロジェクトX的なストーリーになっており俄然ライド感が増して楽しく読めた。
最後の章で女性の身体へのスピリチュアルな態度に関して否定するくだりがあり、長い間忌むべきものであった月経への「逆転的な持ち上げ」に対しての冷静な姿勢が素晴らしいと思った。
投稿元:
レビューを見る
タブーとされがちな生理の歴史について。
太古から近代までの生理事情、月経不浄視の歴史、アンネナプキンの登場、今日の生理用品の4章立て。
どれも情報と考察盛りだくさんで読み応えがあった。
卑弥呼の時代にも紫式部の時代にもマリーアントワネットの時代にも生理はあったのよね…
その時代の史料がのこされているということが興味深い。
アンネナプキンの章が特に面白かったな。
特にマーケティング戦略。
巻末についてた広告資料集もよかった。めちゃめちゃお洒落やん。
あとやたら布ナプキン盲信勢を批判してた。いや確かにね。
やっと選べる時代になったんだから、自分がその時に使いたいと思うものを使えばよいのよ。
投稿元:
レビューを見る
昔の女性は一生で50回しか月経がこなかったという話も、それはそれで色々思うところはあったが、生理中や出産予定の女性たちが追いやられたという「小屋」には言葉を失った。
令和になっても、生理中の神社参拝は遠慮せよと言われるから根は深い。
そうした月経禁忌が家父長制の導入と共に、宮中から全国へ広まったという説は興味深く読んだ。
その後押しをしたという『血盆経』が中国で流行した時期は、考えてみれば纏足の大流行と重なっている。女性の身体を物化する風習は言うまでもなく家父長制とは切っても切れない関係にある。
ただでさえ月経で定期的に血を流さねばならないのに、足まで血膿まみれ、その上、汚くて劣る存在だと思い込まされるのは、流血が名誉や勇気の証とされる男性とは対照的だ。
それにしても、アンネ社宣伝課長の手記は面白かった。生理生活の実情を目の当たりにした“アンネ課長“は、恐ろしさのあまりおかしくなったまま走り出し、社員を前に演説しはじめる。ほとんど戦場ジャーナリストのノリだった。
もちろん、当時の生理用品がいかにお粗末で、「アンネナプキン」のなかった時代の女性たちがどれだけ苦労していたかを全力で書こうとしているのは伝わるのだが、それ以上に、男性にとって月経がどんなものかが分かる文章でもあった。
投稿元:
レビューを見る
生理用品の変遷と先人たちの生理対処法の歴史をたどる本。「アンネナプキン」の登場が女性の社会生活の救世主になり、現在わたしたちが快適に暮らせている所以だなと感じました。特に生理の考え方についてネパールの「チャウバディ」のように”生理中の女性は穢れているから”という不当な理由で劣悪な環境に閉じ込めていた歴史があり、日本でもその風習があることに驚いたし、怒りを覚えました。
投稿元:
レビューを見る
Kindle Unlimitedにて。
昔の女性って生理をどうしてたんだろ、みたいな疑問があって手に取った。面白かった。
生理中の女性が入れられていた月経小屋が、戦後も地域によって存在していたとか、女性のためではなく穢れとして遠ざけるためのもので、重労働は免除されることはなかった、という聞き取り調査が生々しい。
明治になって月経に対して啓蒙が試みられたのも、女性のためというよりは富国強兵政策の下、より健康な国民を産み育てるためだった、というのも面白かった。
アンネナプキンの開発秘話で、PR担当の男性が汚物入れを初めて見て、そこに入れられた使用済み脱脂綿の「凄惨さ」にショックを受けたというのが印象的だった。アンネナプキンって女性社長の会社だったんだね。
終盤、布ナプキンの信仰的な効用をうたう風潮に対して、冷静に述べているのも好印象だった。
個人的には近年の使い捨てナプキン界ではシンクロフィットほど革命的な商品はないと思ってるんだけど、出版年的に登場しなかったみたいで残念。
投稿元:
レビューを見る
生理用品の発展を女性の社会進出という観点で見るのがすごく面白かった。
生理は昔、どの国でも不浄や穢れとみなされていた歴史がある。
それはやはり血=死や病気(感染症)を連想するものなので、医学が発達していなかった時代を考慮すると忌むべき対象になってしまうのはしょうがないのかな、とは思う。
ただ、それによって女性に対する差別、誤った処理方法の普及、女性の働きにくさに繋がり、ナプキンがなかった時代の女性たちは本当に辛い思いをしていたんだろうと察する。
アンネナプキンの登場から、すぐに他社製品が台頭しアンネ社は吸収合併されてしまったという事実に、これが資本主義社会かと少しモヤッとしてしまった。
でも各企業が競争したからこそ、今こんなに快適なナプキンを使うことができるという恩恵もある。
アンネ社が日本における生理の恥ずべきものというイメージを払拭した功績は大きい。
今日も生理に対する女性の考え方は変わってきていると思う。
インフルエンサーがお気に入りの生理用品を紹介するのも見かけるし、生理の日をどう過ごすか女性が能動的に選択できる時代になっている。
そういう意味でまだまだ過渡期ではあるのかな。
ナプキン開発にはもちろん女性だけでなく男性も関わっているが、男性であっても誇りを持って携わってくれていたと知れて嬉しい。