紙の本
イランに親しみが湧きました。
2020/06/08 12:02
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投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニュースで知るだけの国だった。
この本を読んで、やっと少しだけ、顔が見える国になった。
箴言が、日常に活きている教養の深い人たちだということなど、気候のことなど、知らなかったことばかりだった。
また、著者が、ペルシア語に出会い、留学への道を切りひらいていく情熱と努力に感動した。
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どこの国でも行きたい私だが、イランに行きたいと思ったことはなかった。本書を読んで、行けるものなら行ってみたいと思った。
半世紀前の女性の、この行動力、カッコいいなぁと思う。
最後の「ペルシアの箴言・イスラームの知恵」もなるほどといろいろ考えさせられた。
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とある展示会場で、イランという国とペルシャ語という未知の言語に魅了された著者。まだイランと日本との文化的な交流もほとんどなかった時代、当時のイラン国王に日本から直接嘆願書を書いた。なん百通と届くという嘆願書の中からその手紙が選ばれ、1963年、日本人初めての公費での留学生としてイランに渡った。
圧倒的な行動力。行きたいと思ったら絶対に行く。日本に恋人がいても、周囲からの反対や批判があっても(幸いなことに著者の家族は全面的にサポートしてくれたという)、情報がほとんどなくても、自分の道は自分で切り拓くのだという強い意志。イランという未知の国について調べ上げ、ペルシャ語を教えてくれる教授を探し出し、留学してから恥をかかないように着物の着付けや茶道など日本文化と歴史についても学び直す。当時はまだ根強かった男尊女卑の逆風にも負けず、突き進んでいく。ときにはその意思があまりに強すぎて、何もかも自分の力だけで成し遂げているわけじゃないんだよと家族から釘を刺されてハッとしたこともあったというが、それにしても、すごい。
読みながらずっと、この著者の生き方を羨望の眼差しで遠くから眺めているような心境だった。結婚して、子どもが産まれて、何かしたいことがあっても「今はまだ無理」と湘南乃風の歌詞のようなことを言い続ける毎日。自分がやりたいこと、行きたい場所、会いたい人、それだけを純粋に追い求めて脇目も振らずに生きる人生って、一体どんなものなんだろう。言い訳せず、よそ見せず、退路を絶って、一心不乱に、自らの探究心と好奇心に忠実に生きる人生。わたしにはそもそもそんな強い芯のようなものがなかったんだろうなあ。現実的に、今はまだ無理。でも、いつなら?