投稿元:
レビューを見る
読了。言葉に優しい飯間先生の新刊。著者がふだんから主張していて、自分が共感している点が改めて書かれていた。江戸時代は古代の言葉を良しとしていたので書き言葉と話し言葉が乖離していたというのはなるほどと思った。書き言葉は知識人が使っていたんだろうから、西洋で言うラテン語みたいな扱いだったのかな。
投稿元:
レビューを見る
国語辞典編纂者の著者が、ことばはつまずく、ことばは誤解をうむ、ことばは時と場合に応じて変わっていく、意思を伝え合うことは「正誤」ではなく、うまく伝え、うまく受け止めることだ、ということを、平易に説くもの。よかったです。
投稿元:
レビューを見る
さすが飯間さんと思わせる、丁寧で分かりやすい内容の本でした。
冒頭で読者にこの本の目的がタイトル通り「つまずき」を解消することであり「間違い(=正解がある)」を正すことではない、としています。「言葉には正しい・誤りがある」というありがちな誤解をまず指摘しているのは重要なところだと思いました。
そして「あなたと私の脳内辞書は違う」ことをまず認識させ、その違いに起因する「つまずき」をいかに乗り越えるか、その手段として「つまずき」例を挙げ、それを避ける手段を最後に説明しています。
「つまずき」としては、時間的変化、方言など地域差異、専門用語や若者ことばなど集団語などが挙げられています。
時間的変化についての指摘では、書き言葉は明治時代半ばまで古文というか文語体であり長年変化しなかったが、「言文一致体」が普及したために話し言葉の変化が言葉の変化として受け取られ「誤用」と受け取られるようになった、との点が興味深かったです。昔は話し言葉が変化しても文語体たる基準が完全固定されてたのに、近現代で話し言葉のほうが基準になったために、基準の揺れが気になるようになったんですね。
方言や集団語については、他人が理解しやすい言葉へ翻訳つまり言い換えをしましょう、ってことでした。そりゃそうですね。ですが、日常的に使っている言葉が一般の人には伝わらないことになかなか気付きませんので、普段から注意しておく必要があるでしょう。
最後の章には、相手に伝える・相手から受け取るコツがいくつか挙げてありました。語り手・書き手では「念押しで二度言う」「多義的な言葉(言い回し)を避ける」聞き手であれば「相槌を打って、分かりづらい点を質問する」本を読むときは「音読」。
本の終わりのほうには「間違いを指摘するのではなく寛容になる」ことも大事だとありました。ですが「相手が使ってほしくない言い回しがあれば言ってもいいのでは」とも。それを言い出せる関係は良い関係だと思いますし、そうありたいと感じました。
規範性を求められる辞書編纂者である飯間さん。しかし表紙には「言葉は、変化し続けるから、面白い」と書いてあります。言葉の意味は、辞書に固定された意味だけではないわけです。逆に、言葉の変化を辞書が日夜追いかけなければならないわけです。飯間さん、今後も追い続けてください。
投稿元:
レビューを見る
辞書編纂者が書いた本で、とても読みやすかった。
コミュニケーションという言葉が氾濫するこの頃、なぜうまくコミュニケーションとれないか、という部分の答えが出てると思う。
「脳内辞書は人それぞれ」「読書とは、自分とは違うことばを使う多くの書き手と触れ合う営みです。他人のことばを理解し、誤解を防ぐために、読書は有効です」「ことばの正解はひとつでない」「ことばは頼りないから役に立つ」という部分は特に印象的だった。
書き言葉、話し言葉…いろんな要素が時間の流れとともに絡み、たくさんの言葉や本、会話が生まれてるって、つまずきやすいけど、凄いことだと感じた。
投稿元:
レビューを見る
とても丁寧で優しく語りかけてくれるような本でした。
言葉は変わる、文語と口語、若者言葉、、、、わかっているようで本当は知らない世界を、しっかりと紐解いてくれるような本。
たった100年前には、文語と口語の二つがあり、文字・言葉に対する人々の意識が違っていたことにはとても驚きました。また、同時に、そこ頃は1000年前の言葉を見習っていたことにも驚きました、
そして、言葉が変わっていくということにも、あたらめてしっかりと気づきました。誰にでもズレは生じるし、そのズレがあるからこそ、楽しい世界なんだということを感じます。
投稿元:
レビューを見る
「ことばって、伝わらないですよね。」
人と人とがことばでうまく伝え、かつ受け止めるために、ことばのつまずきについてまとめられた説明文。
言葉に対して柔軟に受け止める姿勢が、つまずきを減らすために大切だと感じた。ことばは時や場所の変化と一緒にかわっていくもの。使われたことばが正しいか誤っているかにこだわっていては、コミュニケーションがとれなくなってしまう。
変化していくということばの頼りなさを知ったうえで、より合ったことばを選んで自分の意思を伝えられるように、相手のことを受け止められるようになりたい。
ことばって、伝わらないんだけど、それでも伝えることをやめてしまうのは…なんだか寂しいよね。
投稿元:
レビューを見る
言葉は、つたわらない。あらゆる場面における言葉のつまずき、その防ぎ方。薄い本で、大きめの文字、余白も大きく文字が詰まっていないので、誰でも気楽に読めると思う。自分は国語教員だけど、だからこそ他人の言葉に寛容になりたいと思った。
投稿元:
レビューを見る
伝わりやすさに注力されている易しい文章は、その言葉選びからとても丁寧で、読者への親切心が窺える。ゆっくりでいいから一つひとつ理解したいと思いながら読んだ。おおよそ100ページというページ数の中で、ことばを用いてコミュニケーションを図る際に発生する"つまずき"をゆっくりと解きほぐしていってくれる。
投稿元:
レビューを見る
言葉は時と場合によって変化するものである。言葉の変化を『誤用』とすることは、言葉の自然な状態を歪めることにもなる。
舟を編むの後にこの本を再読し、より一層言葉への理解と想いが深まりました。
言葉は『通じるためのツール』ではない。不完全だからこそ『通じようとするツール』なのである。
投稿元:
レビューを見る
日本語学入門書。
ことばは伝わらない。だからつまずきを避ける必要がある。ことばは時間、場所、場合によって変わる
他人の言葉に寛容になる、多義的な言葉は避ける
投稿元:
レビューを見る
言葉は伝わらない。
そのことを念頭におきながら、手を変え品を変えつまずきポイントを減らしていかないといけないのだが、それでも100%齟齬なく伝わることはない。
この感想文も、読んでくださった全員が同じ捉え方とはならないんだろうなあ。
投稿元:
レビューを見る
言葉の定義を詰めていくよりも、他者の言葉の使い方にある程度寛容になる方がいいと書いてあって気楽になった
投稿元:
レビューを見る
「誰もが経験する「会話の行き違い」。なぜそうなるのか? 日本でいちばん言葉を偏愛し、観察を続ける辞書編纂者が、豊富な実例をもとに原因と対処法を考える。歴史や語源など、言葉の根っこを学びながら「言葉との付き合い方」を身に付ける、知的で実践的な日本語入門!」
投稿元:
レビューを見る
重箱の隅をつつくような、細かいニュアンスを追求する論説も多いし、それはそれで結構楽しませてもらってもいるんだけど、実生活に目を向けた場合、それだと息苦しさを感じるのもまた事実。本書は、後者の方に目を向け、言葉は生ものっていう前提の下、上手な付き合い方を説く。言葉に対する真摯な向き合い方と、細かいことにこだわらないコミュニケーション力とは両立する。そんなことを思いながら、満足度高く読了した次第。
投稿元:
レビューを見る
昔、相手の言っている事がなかなか理解できなかったり、自分の伝えたい事が伝わらない事がよくあったので、自分なりに工夫してきて、今は特に問題は感じていないけれど、
今度は、人の話し方、伝え方が気になりはじめ、なぜそんなわかりにくい説明をわざわざするのか、モヤモヤしていたので、本書を読みました。
確かに、正しいかどうかなど神経質になった事もあったので、細かいことに神経質になるのはやめて、表現や解釈に人それぞれ揺らぎがある事を理解したので、寛容になっていいとの事でホッとしました。相手が何を伝えたいかこちらが歩み寄るようにしたいと思います。
あと、やっぱり本を読むという事はいいんですね!