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〇人間味も情景もあふれるが事件には変わりない。
最近出た本だが、若干内容的には古いものも入っている。しかし良さが語り継がれているということだろう。4つの短編集。
・臨時特急を追え
占い師永井の予言に対策したい国鉄総裁の北野は十津川に相談する。そんな中新たな予言が行われ――突飛な発言はどう仕組まれたものだったか?
・東京―旭川殺人ルート
小鳥を飼う女・白石が気になる西本刑事。その周辺で殺された小坂井・畑との関連性も疑うが――西本刑事の恋慕の情は叶うのか。
・夜の殺人者
共にホテルに入った行きずりの女が殺害されて戸惑う日下。しかし監察医の話を聞いた十津川は――一見当然だと思う内容が覆される根拠が気になる。
・越前殺人の岬
バスの運転手が見つけた波の花にまみれている死体は観光客・笠井。周辺を調べると謎の女の目撃情報が出てきて――殺人の理由と結末。
いずれも人間味あふれるいいストーリーだった。
しかし、殺人を犯していけないことに変わりはない。それを止めるための十津川警部、と言っても過言ではないだろう。
「臨時特急」は鉄道ファンとしては死傷者が出てしまう事件は許せないところでもあるが、それぞれの地域の情景もあふれる物語で、読んでいて気持ちが良かった。