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もし、小さな子どもに次の質問をされたら、どう答えますか?
-「ねえ、どうしてロウソクは燃え続けられるの?」あなたならどうします?
ロウソクなんだから燃えるのは当たり前、と適当に言いくるめますか? 無視しますか? それとも真剣に「ロウソクのなかの炭素に空気中の酸素が結びついて…」と、きちんと答えようとしますか?
この本には難しい原理は出てきません。なぜならロウソクの燃焼という現象は、科学的には単純な反応だから。この本の“登場人物”も水素、酸素、炭素だけ。あとゲストに窒素かな。それらがくっついたり別れたりしてドラマができる。
「この宇宙を支配している法則のうち、ロウソクの話とかかわりのないものはないほどです。」身近なロウソクを題材に取上げ、そこから各元素がもつ絶妙な役割分担について教えてくれ、果ては生命活動としての燃焼=呼吸にまで話は及ぶ。
そして「すべての物事は、それにふさわしく適正に進行するのです。」で締めくくる。
地球上の根源的な法則――物事には一つひとつ意味があり、それらが有機的に集まって大きな力となる――科学の領域に限らず、私たち人間の日常生活にも応用できるが、1本のロウソクから話を展開して引きつけるファラデーの独創性には脱帽する。
ファラデーの話は、CO2削減など現代社会の抱える課題にもつながる。
世の親たちもマスコミからの受け売り情報だけで子どもにエラそうに能書き言う前に、子どもと同じ目の高さから“科学”してみてはいかが?
(2008/7/22)
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たった一本のロウソクをめぐりながら、ファラデーはその種類、製法、燃焼、生成物質を語ることによって、自然との深い交わりを伝える。大科学者18世紀のファラデーの講演記録。
このほどノーベル医学生理学賞を受賞した大隅教授の愛読書で一躍ベストセラーになったので読んでみた。子ども相手に眼前で実験をした講演の記述(ご覧のように…的な)のため、残念ながら想像力が追いつかなかった。「19世紀の子供向け」の講演なのに「20世紀の純・文系」の私にはレベルが高すぎた。後半に入ったところで断念。
(E)
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久々に科学系を読むと驚かされる。忘れていること多数、当たり前すぎることを説明してもらい、それが当り前でも何でもないことに気づかされる。
それにしても、中身は素晴らしいけど、要所要所に出てくる図版との関連があいまいで残念。そしていろいろ忘れているからこそ、カラー図版でもなんでもいい、充実していればさらによかった。まぁ、自分で調べて実験でもしてみろっていう話ですけどね。
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The Chemical History of a Candle
http://www.kadokawa.co.jp/product/201202000088/
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本書の読者のうちのいくたりかは、知識の蓄積を増すことに一生を捧げることであろう。科学のともし火は燃えあがらねばならぬ。
炎よ行け。
タリウムの発見や陰極線の研究に業績を残したウィリアム=クルックスが寄せる序文の熱さがこの本の魅力的なことを約束する。
マイケル=ファラデーによって、1861年末のクリスマス休暇に、ロンドンの王立研究所で行われた連続6回の講演の記録。一本のロウソクの物語。
カドフェス最強決定戦2017ラインナップ作品となっております。
KADOKAWAさんの文芸情報サイト『カドブン(https://kadobun.jp/)』にて、書評を書かせていただきました。
https://kadobun.jp/reviews/187
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この本の実験から分かることは、今では小学生(高学年)でも知っているのだが、それは単に酸素と水素で水になる、水素酸素はよく燃える、etcという知識であって、実際に自分で仮説を立て、実験して、検証して得た訳ではない。燃焼は酸化であると習うのは中学だったかもしれないが、それも結果は知っていた上で実験した気がする。
ファラデーの頃はまだ知らない人も多かっただろうから、実験を見ながら、ファラデーに導かれて仮説を立てて、次回まで考えることができたのは幸せだ。一応日本もこういう風に考え、確かめて結果を導き出してほしいと教育課程を考えてはいるのだろうが、上手くいっているとは思えない。まあ、ファラデー程の能力のある先生はいない(大学にだってほとんどいないだろう。況や初等中等教育現場においてをや。)から仕方ないのかもしれないが。
このレクチャーを聴いていた人は、その後科学者にならなくても、科学的な見方ができるようになったと思うし、それこそ本当の教育だろう。
歴史的名著であることは疑いを容れない。
しかし。訳が古い。「~であります」なんて言う人、今は安倍総理と一部の政治家くらいだよ。
「もし皆さんが、ごく器用でいらっしゃれば、いくたりかはたくみにこのまねがおできになるはずと、私はあえて申しあげましょう。(P93)」なんて、上品でいいんだけど、この本は日本語の表現より科学的実証実験を理解することが主眼なのだから、もうちょっと平易にして欲しい。
絵も、クラシックと言えば聞こえはいいが、正直言ってよく分からない絵もある。P38の炎とか茗荷か?と。クラフト・エヴィング商会がオシャレでやってるんじゃない、本物の古い絵。絵についているナンバーも漢数字だし、文章中にどれと指定されていないので分かりにくい。
図書館にはあるべきだけど、積極的に若者にすすめるのは難しいかな。
※この後岩波文庫も読んでみたら、圧倒的に岩波文庫が良かった。出版社としての誠意がある。迷っているなら岩波文庫で。
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ノーベル賞が決まった吉野彰さんの「科学への興味を持っ原点」となった運命の一冊。2016年にもノーベル生理学・医学賞を受賞した大隈良典さんが科学を志す切っ掛けになったと明かして注目されました。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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ロウソクの科学。ファラデー先生の著書。ノーベル化学賞を受賞した吉野彰博士が読んでいたことで話題になった一冊。ノーベル化学賞を目指す将来の科学者や研究者の卵である子供たちはもちろん、もうこれからノーベル賞受賞を目指すには難しいかもしれない大人でも科学の楽しさを感じられる良書です。
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158年前の丁度今頃(クリスマス休暇)。
ロンドン王立研究所で催された講演を本によって追体験。
講演の記録が本にされたことで慣れるまで読みにくかったものの、内容はとても興味深い。
小中学校で理科の実験として実際に扱われるような内容も多く、面白く読んだ。
個人的に長年疑問に感じていたことも本書によって解決され、それだけでも価値ある一冊。
ただ、ノーベル賞を受賞された吉野彰氏が小学生の時に読み科学への興味のきっかけとなった、というエピソードは吉野少年の類い稀な頭脳によるもので、一般には向かないと思われる。
現代の小学生には学童向けに改編された本もあるようなので、そちらの方がより分かりやすく楽しく興味が持てるのではないか、と個人的には感じた。
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ロウソクが灯る。それだけの現象に幾つもの科学的要素が多数働いて実現している事を事細かに実験を交えて講義してくれている一冊。
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# 書評☆3: ロウソクの科学 | ノーベル賞受賞者が子供時代に愛読したロウソクから始まる中学〜高校レベルの化学講義は化学への興味をくすぐる多数の実験録
## 概要
- 書名: ロウソクの科学
- 副題:
- 著者: ファラデー
- 出版日: 2012-06-25
- 読了日: 2020-01-17 Fri
- 評価: ☆3
- URL: https://book.senooken.jp/post/2020/01/17/
## 評価
2019年のノーベル賞を受賞した吉野 彰氏が,インタビューで[子供時代に愛読した](https://www.fnn.jp/posts/00048510HDK/201910101956_livenewsit_HDK)本として回答して話題になり興味を持って読んだ。
本書は1861年末のクリスマス休暇に,ロンドンの王立研究所で催された連続6回の講演の記録となっている。身の回りで身近なロウソクが燃えるところから,化学を解説している。
ロウソクの原料から,燃焼,水,水素・酸素,空気,二酸化炭素,窒素,呼吸といったテーマを扱っている。中学から高校で学ぶような内容が数多くの実験と共に紹介されていた。
ファラデーは科学の分野で数多くの法則を見つけて科学史に名を残す偉大な科学者だ。解説を読んでこの講義の流れに納得した。ファラデーはもともと貧しい出身で,学ぶ機会に恵まれずめぐり合わせで科学者となった。そのため,知識よりも観察が先行し,目の前の現象から考えを張り巡らせるしかなかった。だから実験がメインとなっている。
昔の外国人の話を翻訳したものであるため,少々読むのがしんどかった。所々に実験器具の挿絵があるものの,そこまで量はなく,基本的に文章を読んで自分で想像が必要な部分が多く,読者への負担の大きい本だった。
今から読むのであれば,挫折しないように特に学生には本書を図解で解説した他の本 (例: 「ロウソクの科学 世界一の先生が教える超おもしろい理科」など) を強く推奨したい。
## 結論
ロウソクという身近な化学物質の現象からこの世界で普遍的な科学を学ぶ本だった。ノーベル賞受賞者が子供時代に愛読したとあるだけに,中身は化学的興味をくすぐるような実験や話が多かった。
ただし,もともとの本は今読むのは少々しんどいので,図解されている他書や口語訳に翻訳された本をあたることを強く推奨したい。
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1本のロウソクから次々と紡ぎ出される科学の物語に、知的好奇心がくすぐられました。ロウソク1つからこれほど多様なことが分かると一旦知れば、身の周りの様々な事象にも、違った見方が出来ることに気づかされます。さすが、歴史の風雪に耐えた名著といったところです。
実験の講義録のため、文章ではイメージし難い部分も多く、その点が本書を読み難いものにしています。解説本もあるようなので、そちらを見て、自分の理解が合っているか、確認したいと思います。
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【科学道100冊 2019 1冊目】
思い立って理系の本を読んでみることにした。
ロウソクを中心とした化学実験をもとに、水素、酸素、炭素、窒素などについて順序だててかつ分かりやすく解説してくれる。
ああ、こんな実験したよなーと懐かしく思うものもあるが、若干複雑な器具を連ねたものであれば、もっと図解があればいいなと思った。後半については、ちょっと別でgoogleで調べたりしながら読み進めた。
子供に読ませようと思って単行本を購入したが、これは子供に見せるのであれば、別の図解版の方が絶対わかりやすくていいと思う。お子さんに見せる場合は、図解の入ったものをお薦めする。
とりあえず、まったく眠っていた理系スイッチをちょっと押してみた感じにはなった。
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ロウソクに対してのいろんな疑問を通じて、人間社会との共通点を見出している。
ロウソクを見ていると、不思議だと思うことが多い。
まず、ロウソクと石油ランプを比較している。炎の出方が違うということ、ロウはどうして液体になり、炎の方に上がっていくのか?青い食塩を食塩水にして、実験している。ロウソクの炎の真ん中に紙を突き刺すと、紙の周りが焼けるのがわかったり、ロウソクはなぜ消えるのか?一酸化窒素を使い実験している。なぜロウソクの炎の先端はくぼんでいるのか?など。
私の記憶に残っていることを適当に並べて紹介したが、まだたくさんの実験をしている。1本のロウソクが燃えることで、いろんな疑問を持ち、1つ1つ調べあげる著者のエネルギーに感銘を受ける。
印象に残っていることだが、人間とロウソクは同じ二酸化炭素を出す。人間とロウソクは同じである。その二酸化炭素を使い植物は酸素を作り出してくれている。その酸素を使ってロウソクは光、明るさを出して、まわりのものを照らす働きをしてくれている。人間も同じく、活動によって他の生き物の役に立つよう、貢献しなければならないということを教えてくれている。
最後に当たり前のことに不思議なことはたくさんある。当たり前のことに疑問を持ち、勉強して、知識にすることは自分の人生を幸福にしてくれると思う。昔の本だが、素敵な一冊だ。
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序文
第一講 一本のロウソク―その炎・原料・構造・運動・明るさ
第二講 一本のロウソク―その炎の明るさ・燃焼に必要な空気・水の生成
第三講 生成物―燃焼からの水・水の性質・化合物・水素
第四講 ロウソクの中の水素―燃えて水になる・水のもう一つの成分・酵素
第五講 空気中に存在する酸素・大気の性質・その特性・ロウソクのそのほかの
生成物・二酸化炭素・その特性
第六講 炭素すなわち木炭・石炭ガス・呼吸および呼吸とロウソクの燃焼との
類似・結び
訳注