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ショッピングセンターで起こった無差別テロ。手製の銃と日本刀で手あたり次第に人を殺していく2人の犯人たち。ゴーグルにつけたカメラで録画した映像はSNSに流される。
なんてこった。どんな事件だよ。ひどすぎる。と憤りながら読むのだけど、事件には謎が多すぎて全貌が見えない。
被害者21名のうち多くは展望ラウンジにいた。そこで二人の女子高生が生き延びた。世間は一人に同情し、一人を責めぬく。なぜか。なにが二人の明暗を分けたのか。ラウンジでいったい何が起こっていたのか。
生存者5名が招待された、目的のわからない茶話会。ラウンジで生き残り世間からの非難を一身に受けている女子高生いずみ隠している真実とは。
なんだろう、この息苦しさは。そこであの日何が起こっていたのか。「真実」はどこにあったのか。すべてが明らかになってもなお消えない、いや、明らかになったからこそ消せないこの痛み。
理不尽と理不尽が重なり合うとき、そこに生じる暗闇の深さたるや。
どうすればよかったんだ。ほかに何ができたというんだ。
誰もが他人事でしか体験できないこの最悪の状況をもうしばらくの間味わっていたい。
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いずみは何を隠しているのだろう?その思いだけで、重たい気持ちを持ちながら、読み進めた。
これだけの悲劇が起こっている以上、そこに納得できる真実も理由もあるわけはなく、それこそ悲劇の渦中にいた人達が『乗り越えられるはずはない』のだけど。
幸雄の亡くなり方や、いずみの出した結論に、
隠していたことが分かったとて何なのだろう、と重たい気持ちばかり残った。
自分も含め、人間と言うのは厄介で、真実を知りたいと思ってしまうし、白黒つけたいと思ってしまうし、悪気もなく正義だなんてもので人を責めてしまう。そもそも、真実って何なのだろう?その場その瞬間に起こっている1つの事実があったとしても、そこに複数の人間がいた場合、それを受け止める人の数だけ真実は違ってくる。
当事者のいずみが『知ってることはぜんぶ話し』『これ以上、伝えようがない』位に言葉を尽くしても、『ほんとうを伝えることは、できない』と言っていることこそが真実であるように思う。
それなのに、そこに関わってすらいない人達が、勝手に真実を求め白黒をつけたがる。そんなこと意味が無いし出来もしないのに。
それでも、自分の心の内に起こる「どうして?」と言う気持ちは抑えられない。どうしてこんなことが起こったのか?どうして救えなかったのか?
だけど、少なくとも、その疑問に勝手に答えを出して、無関係の自分が無責任に批判することはしてはいけない、と当たり前のことだけど、改めて強く思った。
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重く、心に残る物語でした。
自分だったら、一体どうしたのだろうか。
無差別銃撃事件に巻き込まれた人物の、その後の話。
自分がその時「正しい」と信じた行動が、自分自身や他人によって、疑念に変わっていく。人によっては責め立てられる。犯人でもないのに。
どんな事件も、当事者にしか分かり得ない思いがある。
現実の報道でも、その時あった真実が果たしてどのくらい伝えられているのだろうか…。
きっとこの先どの報道を見ても、残念ながら、当事者の気持ちを本当に心から理解することはできないのだろう。
でも誹謗中傷に走るのではなく、「真実はその人たちにしか分からない」と考えて、とどまりたい。そう強く感じました。
簡単に人を傷つけてはいけない。
何も知らないなら、尚更。
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テレビで特集されていたので、購入。
冒頭では、事件のシーンが書かれていて、淡々とした文章が羅列しているのに事件の迫力が伝わってきます。
その後は、何か意味ありげな生存者5人が招かれて、ある一人の被害者の死の真相について、明らかになっていきます。
なにか秘密を抱えていそうとは思ったのですが、どう終わりに近づいていくのか、わかりませんでした。なので、どんどん予想しない展開に圧倒されるばかりでした。最後はちょっと前向きにさせるような終わり方でしたが、余韻は深く残りました。悲劇の連鎖は、いつまでも続くということを見せられました。
この事件の真相は?とどんどん引きこまれていく一方で、複雑な気持ちにもなりました。事件には関わっていない真相を知りたくなっていく。事件を知ったところで、また新たな事件に興味を持つ。あまり深くのめり込みすぎると、誰が悪いのか、もちろん犯人が悪いのに死亡すると、新たな悪を探そうと奔走する。それで、批判する。その現場にいた人の心情は異常なのに的確な判断ができません。
後になって、第三者が冷静な判断で、分析したところで批判する立場ではありません。それが終わったら、別の事件を取り上げる。当事者はずっと続きます。その人にしかわからない心情があるので、第三者は掘り下げないことが大切だと実感させられました。
人間って罪深いなぁと改めて思ってしまいました。
もしもその状況にいたら、どんな判断をし、どんな行動ができるか、あなたはどうですか?と問われたような作品でした。
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極限の状況下で正しい選択ができるかどうか
その選択が正しいかどうかなんてわからない。
それでも選択していかなければならない。
例えそれが間違っていたとしても
乗り越えていかなければならない。
最後のシーンは映像でも観てみたい。
倫理上、実写化は無理か。
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ショッピングモール内で起きた銃乱射事件。
僅かな時間で多くの人が傷付き、亡くなった。
その事件から生き延びた女子高生が主人公。
これは始終緊張しっぱなしで、ジンワリと嫌な汗が出てくる。
生き残った人たちは「あの時ああすれば」と後悔の連続で
、その重さは読み進めるのが辛いほど。
一番悪いのは犯人のはずなのに、生き残った人たちは喜んでも良いはずなのに、どうしてもそれが出来ないひりついた空気、その微妙な空気感を作り出した作者は流石だな。
自分が弱っている時に読むと、そのまま沈み込んでいってしまいそうな1冊。
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ショッピングモール「スワン」で起こった無差別殺傷事件。そこで生き残った人たちが集められ、とある真相を知るために真実を語ることを要求される。息詰まるような緊迫感の中、あのとき何が起こったのかが少しずつ語られてゆくサスペンス。
とにかく気になってぐいぐい読まされるのですが。しかし読み心地はつらいです。なんでそんなことで責められなくてはいけないのか。善と悪のふたつしかないような狭量な認識でつるし上げられる人たちがあまりに気の毒。誰にだって善と悪の部分があって当たり前だし、その悪だってただの弱さだったり保身だったり、生きていくうえで当たり前のものだと思うんですね。誰が悪いかって言ったら犯人しかいないでしょ。ああ腹が立つ。
しかし。そんな中でも「とある真相」を隠し続けるいずみの姿が力強くて清々しいです。この真相も明かされたら、無責任な世間はとことん追い詰めるのでしょうね。だからこそ明かさないのが正解だけれど。たった一人で世間に立ち向かおうとする彼女の未来が不安でもあります。でもきっと、悲劇に負けずに乗り越えることができるのだろうと信じられます。
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ショッピングモール「スワン」で発生した無差別テロの当時の動きを解明するために会合に参加する生き残った人々の騙しあいと、被害者でありながら犯人に協力したとして主人公の少女の取り巻く憎悪に満ちた環境が書かれる。
物語のテンポがいいので映像化向きかと思うが、主人公の(かつての)友達が、死にたくないがために少年の遺体を犯人から向けられる銃からの盾にして、それを悔いて(衝動的に)自殺しようとしたり、さらにはそれを庇うために事実を話さないでいられるような女子高生がいるだろうか?
現実的とは言いがたいので★4つ
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話題になっていたので読む事にしたのですが、兎に角イライラが止まらない作品だった。
一応面白く読めた方だが残り150ページぐらいからは早く終わってくれという思いの方が強かった。
特に小梢の婚約者だがなんだか知らんが鮎川という教師にムカついてムカついて本を放り投げそうになった。本を放り投げそうになるなんてこんな事初めてです。
ここで放りなげたらもう読む事ないと思って、折角何件も本屋探し回って買った本だし、お金も勿体ないし探し回った労力が無駄になると思って、何とか最後まで読んだけどもう2度と読む事はないですね。
無差別テロ事件の関係者5人が集められて一人の女性の死について話を聞かれる事で、この事件の全容が分かってくるという感じですが、びっくりするぐらい回りくどい。さっさと話を進めろよと何度も思った。
しかも最後に主催者がこの会を開いた本当の理由が分かりガクっと力が抜けた。ならさっさと最初に言えや。本当に回りくどい。これこの回りくどさを省いたらだいぶ短縮されたのでは?
とりあえずこの会に出た事で主人公は前を向いて進めるようになったとか言ってましたが、この会のせいで殺されそうになったし、もう一人も死にかけたしなんだかな~という思い。
この話のように被害者が非難される事は決して少なくなく、むしろ多いように思うので本当に世界は残酷だと思います。
非難している側はもうちょっと想像力を働かすべき。
自分がその場にいて事件に巻き込まれたらどんな行動をするのか、きっと何も出来ない人の方が多いはず。
なので外野がとやかく言い過ぎで本当に腹が立った。
主人公はとても心の強い子だけど、そこは口に出して反論してよと思う箇所も何度もあった。ちょっとぐらいスッキリさせてほしかった。
こんなお話を書き上げた作者さんは凄いと思います。私なら自分で作っといて発狂もんです。
本当にイライラが止まらないので、心に余裕のある時に読むべきでした。
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スワン
著作者:呉勝浩
KADOKAWA
目的は事件の中のひとつの「死」の真相を明らかにすること。その日に本当に起こったことはなんだったのか?
タイムライン
https://booklog.jp/item/1/4041086396
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前に読んだ「白い衝動」「~キャノンボール」の印象が最悪だった分の反動も含めて、評価5にした。
著者的には少し日和って世の中に迎合したのかもしれないが、普通に読み易く物語に素直に没入でき、プロットも申し分ない。出だしの過激な描写からは想像できない結末も圧巻。こういう作品に直木賞とってもらいたいなあ。
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巨大ショッピングモールで起こった大量殺戮事件。
生き残った被害者達5人に、半年の時を経て、ある被害者の死の真相探るための会への招待状が届いた。
どこにどう終着するのかが分からない前半は、読みにくく苦労しました。
後半になり、少しづつ被害者達の秘密が暴かれていくにつれ、前のページを繰り直し、その時を比べながら読むのが楽しかったです。
高校生のいずみが、とにかく強い。
あの現場にいて、それを乗り越え生きていこうとする姿が、この作品が、ただのミステリーで終わらない理由なのですね。
2020年最初に読んだ作品としては、私らしくはなかったですが、印象に残るものにはなりました。
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なんだろう...読者に喧嘩売ってる?
ってくらいいらいらが最後まで収まらなかった最近まれにみる小説だった。
すべてが後出しじゃんけんのような表現で、しかもリアリティがまったくゼロ
ドラえもんの映画でのび太が「僕が地球を救う!」ってセリフを吐くのは漫画で、しかもドラえもん世界だから許されるのであって、女子高生という設定でこの話は、無い。
小説というより、ヤフーニュースのトピックに反応した書き込みだけの妄想をつなぎ合わせたような小説。
さいごにワルツを踊るのはもう好きにしろって言いたくなった。
作者さんはもうちょっと人間観察してから書いた方がいい。自己満甚だしい。
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(Amazonより)
首都圏の巨大ショッピングモール「スワン」で起きたテロ事件。
死者二十一名、重軽傷者十七名を出した前代未聞の悲劇の渦中で、犯人と接しながら、高校生のいずみは事件を生き延びた。
しかし、取り戻したはずの平穏な日々は、同じく事件に遭遇し、大けがをして入院中の同級生・小梢の告発によって乱される。
次に誰を殺すか、いずみが犯人に指名させられたこと。そしてそのことでいずみが生きながらえたという事実が、週刊誌に暴露されたのだ。
被害者から一転、非難の的となったいずみ。
そんななか、彼女のもとに一通の招待状が届く。集まったのは、事件に巻き込まれ、生き残った五人の関係者。目的は事件の中の一つの「死」の真相を明らかにすること。
彼らが抱える秘密とは? そして隠された真実とは。
ホント、犯人が悪いじゃ、ダメなの?と私も思います。
そんなパニック状態の時の自分の行動なんて 何がなんだかわからなくなってるんじゃないですか?
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ショッピングモールで起きた無差別テロ。
高校生のいずみは事件に巻き込まれてしまう。
そこから、彼女の人生は変わってしまった。
悪いのは犯人。
しかし、無責任なことを言う世間にも腹が立つ。
私もその中のひとりになってはいないだろうか。
いろいろ考えさせられた。