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帯の惹句で社会学者の岸政彦が書いている通り、これは生活史の本。側から見たら何の意味のないようなことに意味を見出して、それに愚直に取り組む市井の人々、そして著者自身。馬鹿馬鹿しいと言えば馬鹿馬鹿しい。でも、所詮、人のやることなんて馬鹿馬鹿しいことばかりだよね、という著者の姿勢がなんとも清々しい。
それにしても、ひと昔、いや、ふた昔前ならとても本になるような内容・文章ではないだろう。ネット上の連載を本にしたという前書きを仮に読んでいなくても、本文を読めばこれはネット上で書かれたものだろうと察しがつく。いいとか悪いとかの問題ではないけれども、ネット連載を本にしたときのパンチ力不足をどうしても感じてしまう。
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旅をしながら、多くの人々と話してきましたが、自分の知らない世界は思っている以上に多くあって、ただただ圧倒されるばかりです。
この本は、そんな「知らない世界」という激流が一気に押し寄せるような感覚を味わうには、もってこいの作品でした。
100回くらい乗って感じた深夜バスの人間模様から始まり、昼営業のスナック、使われなくなったバスで営業するラーメン屋などなど。
情報化社会だとか、AIだとか、そんなデジタルな世界が日増しに一歩ずつ近づいてきていますが、人間味が溢れている部分というものは、知らないだけでまだまだたくさんあると思います。
ただ、そうした価値観を提供してくれる本って、稀有なんですよね。この本はそうした意味でも、ものすごく価値があるように感じられます。
ガイドブックに載っているお店や、表通りを散策するのもよいですが、裏路地や旅の途中の楽しみを見つけることも、旅をすることの楽しみなのだと、改めて感じることができました。
全体を通じて、スズキナオさんの、文章からも滲み出てくる人の良さ。旅の途中で会いたいな、とワクワクした気分になりました。
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旅先での出会いや、日常をいかにして楽しむか。なにもすることがない休みの過ごし方のヒントを得られた。お金をかけない気ままな旅に出たくなる。深夜高速バスについての本かと思っていたが、旅での出来事がメイン。
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高速バス旅行記かと思ったが、著者がウェブ上で書いてきた記事をまとめた本だった。割り勘の話などはデイリーポータルZで読んでいたものだったが、紙で読むとまた違う印象になった。生活を工夫する、というような感じの本。楽しく読めました。
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時間があるってすごい贅沢って思いました。本書で取り上げられていることと全然関係ないのに、なぜか子供のころ学校から帰って夕食までの間、友達と新しい遊びを思いついたり探検気分で出歩いたり、家の周りからそんなに離れていないのにすごくワクワクした毎日を思い出して胸がキュンとしました。日常を違った視点で楽しむだけでこんなにテンション上がる感じがツボです。「山登り」も「サーフィン」も「カメラ」も「キャンプ」も「ツーリング」も。そして「散歩」も「せんべろ」も「町中華」もきっと楽しい時間の使い方ですが、なにかパッケージ化された消費の香りがして本書にある思いつきなお楽しみの緩さがとても素敵に思えました。(もしかしたら「チェアリング」もブームになっちゃったりして…)父親をガイドにしてなじみの店をツアーするなんてお金じゃ買えない時間!全体に溢れる思いついても頑張らない、凝りすぎない、拘らない気分とそれを一緒に楽しむ仲間の存在がすごいリッチに見えました。最近、ハマっているヒロシの「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」は身近でも出来る?!日常という異郷をゆっくり楽しみたい!
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題名と中身が全然合ってないけど笑
高速バスに乗って取材する本かと思ってた。
でも読んでみると心が温かくなる本でした。
身近なもので日々楽しんでいて生きるってこういうことだよなって思った。
釣った魚をすぐ調理して食べるの、お腹空く!
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ある時話題の本として上位にあって気になっていた。タイトルからして、オシャレな内容の少なめな本かと思っていたら、全く違って内容の濃いものだった。
ライターをされているので、色々な記事を書かれていて面白い。思ってもみない企画をやっている。ひとつひとつが面白かった。読んでいると行ってみたい場所がたくさんある。魅力的。
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クスっとしたりニヤッとしたりほっこりしたりゲラゲラ笑っていたら、読み終わってしまった、という感じ。
日常の中にこんなにも楽しいことが落ちていたのかぁ。
大したことが書いてあるわけではないのだけれど、読み終わったら自分の日常をもう少し見つめ直したくなるような気持ちになった。
スズキさんの言葉の選び方もまた、その話に出てくる人や物への愛情や敬意が感じられるような、丁寧なそれで、こういう風に言葉を遣えるのは素敵だなあと思う。
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なくなると寂しい安くておいしい店と、食べ飲むことのたわいない日記。
大阪 千鳥温泉の鏡広告
銭湯の洗い場の鏡の横、プラ板にシルク印刷。以前は鏡から裏書。
福岡 今屋のハンバーガー 350円
笹塚 東京ラーメン 福寿 500円
店主 健康のため半ズボン 創業1951年
淡路島 たこせんべいの里 大袋で300円台から、お茶とコーヒー無料
鳥羽市 答志島 ロンク食堂
お刺身定食1300円 日替わり定食+刺身
めひび伊勢うどん めひび=めかぶ
チェアリング
椅子をもって好きなところでのんびり過ごすアウトドアの楽しみのこと
お台場波打ち際、大阪城公園
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デイリーポータルZというサイトを結構楽しみに見ているのですが、その中でパリッコという酒エッセイで頭角を現しているライターと一緒に、「酒の穴」という酒を飲むだけという不思議なユニットを組んでいるスズキナオさん。彼の初の著作になります。
最近お金を掛けないで楽しむ若者が沢山いますが、僕はとても賛同します。
知らない街を散歩したり、古い店(昭和的な)の価値を見出したり、新しいB級な食べ方を考えたり、僕が好きな事を色々と実践している若者です。
まだまだぎこちない部分も有るのですが、逆にそこがいい。あまり変わらないで欲しいなとしみじみ思います。顔がまた警戒心を抱かさない部品配列をしているので、こりゃ人に溶け揉むの上手そうだ。
まさにサブカルチャーの子供に当たる存在だけれども、しみじみとした人間の営みの愛おしさを思い出させてくれる優しさが有ります。
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191229.4時間くらいで読了。
文章と言葉選びと関連付けが面白かった。
半額肉のいきなりステーキは笑った。
巻頭の写真は後から見返して胸がじんわりする内容。
いろんなところに佇んでいる幸せを丁寧に汲み取っている内容。
営みに精を出してる老人方の話はどれも感慨深かった。
瀬戸内の網漁はぜひとも行きたい。
こういった時間を過ごせる時期はくるのだろうか。
昼から飲める老人方が少し羨ましくなった。
第6章だけはいまいちだったような。
個人的にも古い店が好きだし、行きつけが沢山なくなってきてとても寂しい。
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深夜高速バスに100回くらい乗ってわかったこと
著作者:スズキ・ナオ
スタンド・ブックス
Webサイト「デイリーポータルZ」「メシ通」等を中心に執筆中テクノバンド「チミドロ」のメンバーで大阪、西九条のミニミニ書店「シカク」の広報担当も務める。
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
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デイリーポータルZというwebサイトをご存じだろうか。説明しがたいんですがいろいろと「愉快になれるが役には立たない」ことが書いてあるサイトで、始めどう出会ったのかはもはや思い出せないが、ブックマークはしてないけど暇つぶししたいときに思い出して検索して見つけて読んで愉快になるというだけの付き合いをかれこれ10年以上続けてきた私と彼?です。
この本はそこでライターさんをしている人の本である。著者名(スズキナオ)を見てわかったわけではなく、帯の推薦者のひとり(林雄司・デイリーポータルZ編集長)を見て気づいた。ちなみにもうひとりは岸政彦(社会学者)。この取り合わせは一体…、と、まんまと帯戦略にやられる素直な私である。
巻末の初出一覧を見ると、デイリーポータルZ他いくつかのサイト名がずらっと挙がっている。確かめたわけではないが、ネット上の記事なのでだいたいただで読めるものと思われる。
「ただで読めるもの買うのもなあ」とまず思った。その他いろいろ逡巡はあったが、でも心が求めてる感じがしたので結局買った。
どんな内容か、については本書の目次とデイリーポータルZの感じから推察できる。
読み進めながら、じわじわくる面白さに、あ、買って失敗ではなかったと確信を持つ。「面白い」といっても、ゲラゲラ笑ったりぷっと噴いたりするのとは違う。オチはないのに面白い、「楽」や「喜」みたいな消化にもパワーが要るようなんじゃない、「愉」と「悦」の低カロリーなたのしさ/よろこび。それでいて、ほのかなテンションアップ要素もある。ほっこり、脱力、ゆる…といったカテゴライズワードもどれもあたってるっちゃあたってるけどそれだけじゃない。こんな些細な幸せや利益にならない営みを面白がれるこの余裕がいま贅沢だなあ、みたいな感じか?
それと、大事なことだが、誰かや何かや自分をも蔑んで見せることで楽しさを演出するような下品さがないところも好きだ。
みんな読めばいいのに、とは思わないけど(時間の無駄だった、と感じる人もいるであろう)、私は面白かった。
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年末年始にちょうどいい。
スズキナオさんは主にweb上でライターをしているらしい。この本に収録された文章は、「お金がなく、暇だけはあるような日々をどう楽しもうか」という姿勢が貫かれている。
としまえんやディズニーランドに入れなかった人のために周りを缶チューハイ飲みながら歩いた記事など、しみったれた内容もありながら全体的に楽しそうで、羨ましい。
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酒場エッセイストとして著名なパリッコ氏の盟友であるスズキナオ氏による市井の居酒屋、街歩きなどを描いたエッセイ集。
タイトルは無数に収められたエッセイの一作品であるというだけで、特段深い意味は恐らくない。昼間から空いているスナック巡り、和歌山の廃バスを店舗にしたラーメン屋、瀬戸内海のジャンボフェリーで食べられるオリーブうどん、スーパーの半額値引き肉だけを集めて24時から始まる半額肉バーベキューなど、個々のエッセイは日常の「ちょっとこれ面白いんじゃない?」という気負いのなさに満ちている。
これこそが余裕のある生活、というか美味しい生活というか。こういうライフスタイルへの憧れは自分の中にもある、ということを再確認した。