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以前、若桑みどりの「クアトロ・ラガッツィ」上巻
そして先日は原田マハの「風神雷神 Juppiter,Aeolus」
上巻を読んで、その時代に重なる物語。
宣教師バリニャーノが、織田信長の元、日本から四人の
少年がローマ教皇に謁見するために送った
天正少年遣欧使節団がスペイン国王に謁見。
その護衛を任された人こそこのドン・ロドリゴ。
スペイン領のメキシコの副統治者の家系。
その年端も行かない少年たちの流暢なスペイン語、
上品さを漂わせる身のこなし、そして献上された
ヨーロッパにはない精緻な工芸品や刀。
その少年たちに見せられ、信長が持たせた屏風に
見せられたドンロドリゴは日本に強く惹かれる。
そのロドリゴは、千葉の御宿で船が難破し漂着。
江戸の秀忠にも謁見し、駿府の家康にも謁見した。
その目的は、兼ねてから書簡を往復させ、
スペインとの交易、キリスト教布教について
話し合うためだった。
ロドリゴの、出自や背景を知ることは人となりを知ること。
それは歴史の流れの中でも、分岐点になっている。
家康が何を欲し、何を計画していたか?
長い鎖国政策の当初、統一した家康の本心は。
日本が鉄砲伝来からわずか数十年で、
精緻な鉄砲を量産できる国民性があり、
ヨーロッパ人は、その銀の生産量からも
簡易な銀生成方法の伝授や
西洋方式の大型船の操縦法など
教えたがらない本音が透けて見えてくる。