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主人公の架山は貿易会社の社長。
健全な良識を備え、相応の地位を築きあげてきたが、結婚には失敗し一人娘のみはるは母親のもとに。時々会いに来てくれるのを楽しみにしていたが、17歳の時、琵琶湖でボートが転覆して遭難してしまう。
一緒に乗っていた大学生の親共々、捜索を見守ってきたが遺体は上がらず、捜索は打ち切られ、宙ぶらりんの気持ちを整理できず、苦悩する。
ある年、ヒマラヤで月を見るというトレッキングに誘われ出かけることにした。ヒマラヤでみはるのことをじっくり考えるために。雄大な白い山々に心癒され、現地の素朴な人々に安らぎを覚え、タンボチェの僧院で見る10月の満月。
ずっと鬱屈していた架山の心も少しは癒えたようだ。
帰国してから、一緒だった大学生の父親に誘われて、観音様を訪ね歩くようになる。
琵琶湖沿いにたくさんの観音様がおられて、全て琵琶湖を向いて立っておられるという。
最初はみはるの供養になればという気持ちで、訪ね歩いていた架山だが、いつしか自身の安らぎとなっていた。
本作は昭和46年から47年にかけて新聞連載されました。
今回、舞台となった琵琶湖の北部の有志によって編纂されたもの、だと思います。
本書にはそのいきさつは記されていませんが、以前新聞の記事で読んだ記憶があります。
そうしてもう一つ発見、新聞に連載時挿絵を担当したのは、生沢朗さん。作中のヒマラヤ遠征旅行の画家のモデルでもいらっしゃるらしいのですが、この生沢さん、もとレーシングドライバーの生沢徹さんのお父様です。
生沢徹さんが出てくると、浮谷東次郎と連鎖的に出てきます。「俺様の宝石さ」懐かしい。
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廃刊になってた理由もわからないではないな。
ヒマラヤの月見旅行が長すぎる。
ご当地小説なので、地元での復刊となったのでしょう。
それでも、娘や息子を失くした父親の気持ちはよく表現されている。
どこか当事者ではないな、という印象はありますが。
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琵琶湖に行きたい!
十一面観音巡りしたい!と思った作品でした。
〝もがり〟という言葉が印象に残った。
なぜタイトルが星と祭なのかなと思っていたけど最後の方でスッキリ。
井上靖さんの他の作品も読んでみたいと思った。
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どちらかと言えば大三浦の心境で、真似して石道寺や渡岸寺を回ってみた。長らく座っていたのを立ち上がって、上着の裾を直しながら村人がお堂まで静々と案内し、自身も期待に満ちた表情で恭しく厨子を開ける光景は、井上靖の言う「帰依の美しさ」そのものであった。