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シリーズものだと知らず、この本から読み始めた。
マスコミが神格化されてる気がして、、
権力の監視がマスコミの仕事とはいえ、そのために命を賭すっていうのはどうなの。
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己の信念を頼りに大きな組織に向かう人々、そして最後の喜重の手紙に書かれた真相。胸が張り裂けそうだ。
知っているようで知らないことがまだまだ山ほどある。知ろうとするきっかけを与えてくれるシリーズ。
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この作品が、10年後も、100年後も「物語」であることを、強く、強く願う。
偶然だが、今日は2021年の3月10日。
恥ずかしながら、疎開とは、続々と都市部を離れ、命を護る行為と思っていたが、現実は「都市への封じ込め」が行われ、東京大空襲では、2時間あまりの間に、10万人以上の無辜の命が奪われた。
吉光や白狐の相克する苦悩に、最期の命を賭してまで伝えたかったメッセージへ、残念ながら今の私は、大丈夫ですよ、と呼びかけることができない。
SNSは発達し、人々は垣根なくグローバルに繋がっているように思えるが、その輪環のなかに、そくそくと全体主義が忍びより、1の罪を10にして、社会的な制裁/死を与えようとする、まさに戦前に回帰しているような空気を感じる。
それでも、自身が決してその渦に呑まれず、常に自戒しながら、この現実と、薄い被膜で隔てられた物語の世界を、何度も読んで味わい、読み継がれる作品になって欲しい。
曳舟島が、今日も穏やかな波と空のあわいに浮かび、そこへ住む人々が、なんでもない日々の繰り返しを、笑顔で過ごせますように。
※追記※
3部作の最後(?)は、遂に鑓水の物語が明かされてゆく。常に飄々として、本音の見えない、ちょっと危ない風のいい男は、相手の感情に思い入れない(相馬談)たちであるのに、今作では事件に感情的に惹き込まれてゆく。すべてが明らかになっても、やはりこの男は乾いているのだけれど、それが故に心に熱情を注ぐ、激しい雨を求めているように思う。
改めて鑓水を好きになりました。ちなみに、服部さんと趣味(だけ)は合いそう……。
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あまりにも壮大なスケールで描かれた
この作品は フィクションなんだけど、
どうしてもリアル社会と切り離せない。
戦時中の部分ほぼ事実であり、
そう昔の話でもないわけで。
組織に属する者の正義とは?
上が絶対の時代に生きて来て
長い物に巻かれる自分には
主人公3人があまりに眩しくて仕方ない。
だからこのシリーズはだいすきだ。
続きがまだまだありますように。
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このシリーズに出てくる3人が、今まで何百冊と読んだ本の主人公で一番好きかもしれない。
私が知らない史実を交えながら、現代の日本が抱えている問題点がとてもおもしろく、興味深く、忠実に描かれていました。
上下巻とボリュームはありますが、一気に読めました。
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評価4.5
とても壮大で重要なテーマを取り上げた作品であり、犯罪者・幻夏から続く、修司・相馬・鑓水の魅力的なキャラクターが登場する大変面白い作品だった。本当は5点満点でも良いくらいかな、と思うが、個人的には途中の戦時中の描写が少し長く中だるみ感があったので-0.5。ただ、非常に重要なテーマを描くためにも、どのように戦況が変わり、世の中が変わり、後戻りできない状況になっていたのかを伝えるために必要な長さだったのかな、とも思う。
『天上の葦』は 現在起きている事件の謎に迫るミステリーに、戦時中の国・軍・そこに生きる一般国民の様子を絡めながら、メディアと言論の自由について書かれた小説。
10月のある日、渋谷の交差点で何もない空を指して絶命した老人・正光 。正光が指さしていたものは何なのかを調べるよう、興信所に依頼が舞い込み、鑓水・修司が調査を開始する。同じ頃、姿を消した公安警察官・山波孝也の捜索を相馬が命じられる。
別々に動き出したこの2つの出来事が、やがて結びつき、正光が指さしたものが明らかになる。
戦時中の言論統制は歴史で学んだことで、戦後、日本は戦争を放棄し、言論の自由を認め、同じ過ちを繰り返さない国家になった、どこかでそんな甘い認識を持っていた。過去のことだよね、と。でも、違う。本当はこのところ、個人的には、特に安倍政権になってから、あれ?と思うこと、ちょっと怖い世の中になっていくんじゃないかな、と言う危機感は心のどこかにあった。それを、太田さんの作品によって炙りだされ、自分の中にくすぶっている小さな火種が燃え広がったような。そんな怖さに『ぞっとした』。
最近、こんなことが起こっている。
特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安全保障法制。共謀罪、憲法改正や検察庁長官の定年延長。
そして、解説にもあったように、高市早苗(たかいちさなえ)総務大臣(当時)が、放送局が公平を欠く放送を繰り返したと判断した場合に、政府が電波停止を命じる可能性があると述べた、と言うこともあった。
これらの問題について触れる時、「少しの犠牲は仕方ない」とか「一般人がごく普通に生きていく上では何ら問題ない」と言う論調もある。でもそれ、本当だろうか?戦時中の『国家総動員法』だって<戦時に際し、国家操総動員上必要ある時は>と言う但し書きに、初めは国民は、そんな事態はまあそうないだろうし、と思ったのではないか。しかしそもそも、戦況は正直に国民に伝えられていたのか?NOだ。疎開ですら、自由には出来ず、疎開先を見つけたり費用をどうするのかは自己責任だった。地方に頼れる親戚などのつてがなく、引っ越す費用がない庶民は逃げる自由さえなかったのだ。「自己責任」最近、よく耳にする言葉ではないか?
この不安が杞憂で済むことを願ってしまう。大げさだと今笑われても。
『小さい火のうちに』この言葉は本当に大事だ。
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とにかく面白い。本当にこの作家さんの頭の中はどうなっているのか。
膨大な量の伏線が全て回収されて、こんなに綺麗にまとまるとは。
そして、戦争について書かれている話は多いけれども、この作品ほど引き込まれたことはないかもしれない。報道を規制され、戦争を続けるために国民を騙し続けてきた新聞としての立場から見た戦争。
こんなに痛ましいものなのか。
わたしもこの時代に産まれてこの教育や報道を受け続けたら、きっと日本の勝利を盲信してしまっていたと思う。
現代においても報道や警察という、権力と影響力をもつ機関が正しくあることが、こんなに難しいものなのか。
そして最後のジェットコースターのような展開はさすが太田愛さん!ドラマや映画のような、息をつかせないスピード感はすごい!!
このスリルとハラハラ感では右に出る小説はないのでは…
同シリーズの前作2つと比べ、素直に喜べるラストだった。
これで修司、相馬、遣水の3人ともがフォーカスされたので、これでひと段落なのかな?
もっとシリーズが続いてくれることを祈ってます。
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上巻は盛りだくさんで入り組んでいる印象で、ちょっと分かりずらかった。
ところが下巻は内容が絞られて、もちろん伏線として上巻があったわけだが、引き込まれるように読んだ。
報道機関の言論が統制されるという事はどのような事か。
言論の自由とは何か。
いまミャンマーや香港で起きていることを考えると、いつ自由が脅かされるか分からないという危機感を感じさせる話だった。
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今もどこかでこんなことが起きているかもしれないと思うと背筋が凍る。
今の世の中、コロナ禍やロシア情勢のとこもあるから余計に身につまされる。
今私たちがテレビやネットで知らされてる情報は真実なのだろうか?
いったい何を信じたらいいのか。
この小説を読んでいろんなことを考えさせられた。
鑓水、相馬、修司の3人の信頼関係は最高!
またこの3人の活躍を読みたい。
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いやぁ、圧巻。
面白いという表現がふさわしいかわからないけど、これだけの長編を、これだけ難しい言葉が並んだ作品を、これだけスラスラ読ませてくれる太田愛さんは本当にすごい!
扱う内容が内容だけに、下調べも半端な苦労ではなかったと思います。
ぜひ、多くの方に「犯罪者」「幻夏」「天上の葦」と3部作読んでほしいです。
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【佐野】
さすが太田さん!といえる秀逸な作品。後半は伏線の回収と怒涛の展開で一気に読めます。現代の情報社会の中でのメディアに対する、またそれらの情報を受け取るわたしたちに対しての課題提起に感じます。もの言えぬ時代に生まれた人々の苦しみが痛いほど伝わってきて、報道とはどうあるべきか、を考えさせられる。衝撃だったデビュー作「犯罪者」からの3部作なので、鎧水たち3人組のキャラクターがだんだん好きになってきます。
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素晴らしい作品だと思います。
『犯罪者』で号泣の後、『幻夏』『天上の葦』と間髪入れずに読破。
すっかり太田愛ファンと化した僕。
読後の何とも言えないこの余韻。
太田愛ロス状態。
この主人公3人の、次の作品を熱望。
それ以外を読む気が、今はしない。
もう一度、『犯罪者』から読もうかな…。
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『犯罪者』からの登場人物やエピソードがさりげなく出てくると嬉しくなる。特に長野からの発信はよかったなぁ。
前作までと同様にスピード感のある展開。驚きが幾つも隠されていた。
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1作目、2作目、3作目と全て作品のカラーが違っていて、読み応えがあった。
ラストの手紙を読んで、なぜこの作品が3部作の最後の作品なのか納得した。希望を残す素敵な終わり方だったと思う。
今回は鑓水がメインの話になっている。鑓水って飄々としていて一番何を考えているのか分からないキャラなので、その鑓水の過去や、正光の死の謎に関心を持ち、のめり込んでいく過程などは読んでいて興味深かった。
この小説、映像化したら面白いと思うけれど、そうならない方がやっぱりいいかな。ラストのロープウェイは絶対にCGでは見たくないから。
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太田愛にはずれなし
最初に大きな謎を提示して、そこから主人公たちが急き立てられるように謎を紐解いていくいつものスタイル
同じ流れなのに全部が面白い
ストーリーが本当に面白い。
少しずつ謎が紐解かれていくストーリーは飽きることなく一気に読ませてくれる。
出てくる人物がみな活き活きと描かれていて、登場人物は多いにもかかわらず一人もぼやけることがなくくっきりとした輪郭を保っているのがすごい。
そして相変わらずの鮮やかな情景描写。終始映画を見ているかのような感覚で頁を捲り続けていた。
犯罪者、幻夏と本作の3部作全て読んだが、作中の熱量というか密度は本作がダントツな気がする。
あまりの濃度と迫力に、読みながら(メタではあるが)作者である太田先生はどれだけの期間をかけて、どれほどの熱量でこの作品を書き上げたんだろうと思った。
もちろんどの作家も生みの苦しみを伴いながら必死に作品を書き上げるのであろうが、本作は特に作者が自分の何かを削りながら執筆したのではないかと思うようなそんな凄まじい気迫のようなものを感じた。
犯罪者も幻夏もだが、この作品も実写化されることを熱望する。