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面白い。エンタメって感じだった。
シリーズ作品だとは知らずに読んだけれど、前作を読んでなくても面白い。
ただちょっと長い。戦争中のエピソードが特に長い。というかそっちに入り込みすぎて、物語が現代に戻ったときに「これは今どこに居るんだっけ?」となってしまった。
でも半端な書き方はできないだろうし、真摯に書こうとするあまりに長くなるのかもしれない。どうやったって戦争を知らない世代にとっては難しいところだとも思う。
私は報道の立場ではないけれど、知る権利云々の前に、そもそも知ろうともしていない事が多いのだろうと改めて思った。実際どのくらい真実を知っているのだろう?
にしてもエンタメ作品という感じ。これ内容の割に話題になってない気もするけど、まさか…察して動いている人がいるのだろうか?
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戦争の怖さ
何事も小さな火から始まる。
正光氏が天を指差し逝った理由が切なく、また指差した先にあったロープウェイの暖かさ。
その後、表紙を見た時の感動。
太田愛さんの本、他も読もうと思いました。
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この本の読者は「過去ではなく、今、何が起こっているか」を問われている。
2017年2月にこの本が刊行された頃は、2013年「秘密保持保護法」成立、2017年「共謀罪法」成立など、国家統制に関する法律や動きが目立ってきたとき。
2010年(民主党政権時)に世界第11位であった日本政府の「海外からみた報道の自由度」は2015年世界第61位まで低下している。(2006年にも51位まで下がったが、そのときも同じ総理という事実)
終盤、とくに、太平洋戦争当時青少年だった人たちの出来事を描いたくだりは圧巻の一言。タイトルの意味するところを知るころには身震いするほどとなる。
「疎開」とは実態は避難でも「敵作戦を無効にする戦略的展開」であること。
言葉を変えて状況を見えにくくすることはその後も続く。
「敗戦」→「終戦」、「占領軍」→「進駐軍」、これらは戦後政治の中で使われてきた。
「憲法解釈」?「閣議決定」?「安全安心」?
いま、何が置き換えられているのか、言いようのない、底知れぬ不安感に襲われる。
「火は小さいうちに消さないと、取り返しがつかない」……。
小説としては、社会的な主題の大きさに対しエンタメ性を少ししつこくしすぎた感があるのが、残念。
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太田愛さんのシリーズはずっと読んでいたので、本屋で見つけたときは迷わず買った。その時は、こんなにも引き込まれるとは思ってなかった。ふらっと買って、心を奪われたことはあまりない。
2019年末の現在、安倍政権とメディアの腐敗は最早手遅れである。お上にとって都合の悪いことは流さない。この本を読んでそのことがさらによくわかった。そして、それは戦時中と同様であることも。しかし、まだジャーナリズムは死んでいないとも思った。事実を正しく報じてくれる人もきっといる。そう思えた。
話を本作に移すが、松林と喜重、勝利、そして正光の戦時中の話には涙を堪えられなかった。たくさんの命が犠牲になったのだ。たくさんの人生が失われたんだ。繰り返してはいけない。そのために、火が小さいうちに闘わなくてはならない。そう思った。
この国の政府とメディア、そして人々の生活は今後どうなっていくのか。
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とても面白く、そして、今を生きる自分とそれを取り巻く世界のことを考えた。
すべては、まさかと思う本当に小さな小さな火から始まるのだ。それでも燃え始めた火は消火活動をしない限り、大きく燃え広がざるを得ない。そうなったら、もう手のほどこしようがないのだ。
戦争を知らない私たちは、当時の人々は「洗脳されていたのだ」と軽々しく言う。でも、洗脳なんて、そんなに簡単にできることではない。ただ、考えるのをやめてしまっただけ。都合が悪いことは本能的に見えないようにしてしまうだけ。おかしいと思っていても、声に出せない状況に追い込まれてしまっているだけ。治安維持法、国家総動員法ができ、言論の自由が「検閲」されていく。非国民とレッテルが貼られたら生きていく術がない。そういう現実に黙らざるを得なくなる。それでも、声をあげ続ける人がいるのは尊敬に値する。でも、それはすべての人ができることではない。だから、考える。そうならないように、そうなる前に何ができたか、どうすればよかったかを。
すでに成立してしまった特定秘密保護法。それは、きっと小さな火なのだ。この火を今のうちに消すことができるかどうかが今、問われている気がする。
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曳舟島の謎解きパートと戦時下の回想シーンによる間延び感は否めないが、それを挽回すべく終盤はスピーディーな展開が続く。張り巡らせた伏線を丁寧に回収し、大団円と呼ぶに相応しい結末。シリーズ随一の膨大な情報量を包括しながらも、無駄なく洗練されたプロットといい、社会派エンタメとしてひとつの到達点に達した作品だと思う。所謂【社会派ミステリー】は犯行動機が個人的なほど収まりが良く、犯行動機が【大義】になるほど上手い着地点を見つけるのが難しくなる(TVドラマ「相棒」なんて特にそう)のだが、今作はその全てが絶妙だった。
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主題は「報道の死」
現在の安倍晋三による言論統制と腑抜けなマスゴミへの痛烈な批判がテーマであり、2020年の日本への重大な警告。特に下巻150ページ前後から300ページ過ぎまでの内容は、本来なら学校教育で反省とともに必ず教えなければならない史実であり、今も自民党政権が隠し続けているこの国が現実に犯した大きな過ち。幻冬舎では絶対に出版できない本。犬HKや産経、読売などの自民党広報誌の記者やアナウンサーに是非読んで頂きたい。
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情報社会と呼ばれる昨今、何が真実で何が虚報か、自分の頭で見極めようとこの本を通して思った。
出てくるじーさんみんなアクティブ
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上下巻、とても内容の濃い小説。
改めて、戦争の怖さと歴史が繰り返えされつつある現代の状況に背筋が凍る思いがしました。
3人の活躍をまたみたいです。
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上巻のスリル溢れた展開から、瀬戸内海の島へ渡ってからの場面の変化がよかった。ここからは東京空襲の辛い戦時中のことが長々と語られ、辛かった。
なかなか敵の意図がわからなかったが、読み進めていくうちに、かつての人気経済評論家U氏もこうして嵌められたのでは?と考えてしまった。
次のシリーズが読みたい。読み終わって寂しい。
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下巻のとくに最後の方の内容のスピード感や濃厚感は手に汗握りました(反面、ややあっさりしてたかも)
戦時中、事実を報じることができない新聞等マスコミ、むしろ偽りの情報ばかり、今の中国、北朝鮮に似ている。(今の日本もいろいろありますが…)、この頃を知らない人間ばかりになる恐ろしさ。
素晴らしい作品でした。
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やっぱりこのシリーズ大好き!
戦争の場面は知らないこと知らない言葉が多く
若干読み疲れてしまうものの
その場面のおかげで島の人たちの思いなどが
すっと入ってきやすい気がした。
3人の逃亡劇や最後の作戦はハラハラして面白かった。
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最近久しく本屋に足を運んで無かったのですが、何となく寄った本屋で、なんとなく目に入ってきたので購入しました。
久しぶりに読んだ小説でしたが、土日で一気に上下巻を読みました。
元々脚本作家さんが書かれたどういうことで、話のテンポが良いです。
また、戦争と報道という非常に政治.社会的に重いテーマでありながら、ドラマチックでエンターメント性が高い作品だと思います。
読んでよかったです。
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日本の歴史は現代史をおざなりにしている。戦争の歴史を見て見ぬふりをしてきたおかげで、この本によって知る歴史がたくさん出てきた。
と言いつつ、戦中の話が苦手なので、だいぶ気持ちは落ち込んでしまったし、下巻の大半を占める部分が回顧録であるのは、太田愛がそれだけ伝えたかったことであり、今後の日本に対する警告であることがすごく伝わった。
おかげで3人の反撃はテンポも良くて、一気に読んでしまった。
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靴の中の小石のように、小さな違和感を感じた時が大事な分かれ道になるのかもしれない。小説では『小さな火のうちに』と表現されていたが大火事になってしまったら、もはやそれが誰もがおかしいと感じていても誰にも消化することができない。ただ眺めるしかできない状況は、まさに今の時代に起きている出来事と重なる。