電子書籍
友人の死
2020/01/20 20:39
4人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタばれあり。
一週間前も会った友人マリコの自殺のニュース。
マリコからの手紙には何が書いてあったのかなぁ。
クズ父親から遺骨奪取したのはいいけどこの先どうするつもりなんだろう。
ずっと家に置いておくつもりなんだろうか。
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紙の本の方で2周目を終えて気付いたこと。
・ シイノとマリコの制服の変化。ジャンパースカートは中学時代で、セーラー服は高校時代。
・ 実家の仏壇にあったマリコの遺影、一緒に写っているのは……?
この点を念頭に入れて読み直すと、1周目では見えなかった景色が見えてくるかも。
(電子書籍をスマホで読んでいる時には気付けなかったので、ぜひ紙の本を入手して読んでほしい)
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何?何?何?凄い!圧倒的な熱量とスピード
!帯のレビューにもある、首根っこ捕まれて痛みも感じないまま引き摺り回されたような読後感です。
新人なんだ!
奪い返した親友のマリコの遺骨を携えDrマーチンと旅に出るトモヨの、格好良くない、スマートでもない、涙と鼻水と乱れた髪にまみれた旅でもない逃亡でもない、あーなんて言えばいいんだ!
ネグレクト、レイプ、リストカット、DVに苛まれたマリコの「もう、どっから直してけばいいのか、わかんなくなっちゃった」諦め、慟哭、SOSなのか。
マリコの最後?の手紙。大丈夫だ!生きろ!
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寒気がするほどに強烈なエゴイズムだな。でもそれが若さだし真実だとも思う。物語として出来損ないだからこそ、完成される瞬間に焦がれるんでしょう。怪作。
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殺人と自殺、どちらで大事な人を失うほうがより悲惨か。
答えは個人によって違うが、自殺の方がより救いがないという人が多いのでないか。
殺人なら犯人を憎める。事故なら当事者を憎める。だが自殺は、その選択に至るまで追い詰めてしまった、そうせざるえないほど追い詰められていたのに気付かなかった自分を責めるしかない。
この物語はOLシイノとマリコの逃避行であり、短いバカンスの話である。開始時点でマリコは既に故人だ。シイノは親友の骨壺を奪って逃走する。マリコとは中学からの付き合いだが、彼女は父親から肉体的・性的虐待を受け心を病んでしまっていた。
あらすじを説明すると陰惨で救いのない話に思えるがそんなことはない、主人公のパワフルな行動力とコミカルなセリフ回しが吹っ切れた明るさを持ちこんでいる。会社も日常も全てぶっちぎり、親友が生前見たがっていた海をめざすシイノ。そこに在るのは紛れもなく愛だ。友情だ。あふれんばかりの哀しみだ。
シイノはマリコにLINEを送る。
「送れるのに もうあんたには通じてないんだよねェ」
シイノは居酒屋で一人飲んだくれる。
「あんたにはあたしが いたでしょうが!」
シイノは断崖でたそがれる。
「どんなに心から心配してみせたって そんなもんじゃどうにもならない所にあの子はいたんだよね」
マリコはファミレスで呟く。
「わたしはねただ シイちゃんが心配して本気で怒ってくれるのがうれしいだけ それだけ」
シイノは叫ぶ。
「あたしがまだここに居るのに 死んでちゃわかんないだろ!」
この漫画のすごいところは、マリコの哀しみが特別大袈裟じゃない、淡々とした演出で表現されるところ。二人分牛丼を頼むシイノ。マリコから来た手紙を「たち」と、まるで人間のように呼ぶシイノ。
深夜バスでシイノが抱いて眠る骨壺が、中学生のマリコにさしかわったシーンはずっしりきた。
人間はキレイごとで出来ちゃいない。
マリコは可哀想な被害者で、生き延びられなかったサバイバーだが、そんなぶっ壊れたマリコを大事に思う一方、メンヘラな言動を面倒くさがっていたシイノも確かにいて、でも彼女は決して「マリコが悪い」とは口にしない。マリコの死を心底哀しみ、先に逝ってしまった彼女を罵倒しても、絶対に「あんたのせい」とは言わないのだ。
それはマリコが死ぬほど言われ続けた言葉だから。
プラトニックな同性愛にも分類できそうだが、正直ふたりの結び付きが強すぎて、先入観で縛られた枠に嵌めにくい。また嵌める必要も感じない。友情というには切羽詰まりすぎて息苦しいが、マリコがシイノに依存するしかないのもよくわかる。仮に二人が一緒に住んでも、共依存の悪循環に落ち込んで上手くいったとは思えないが、その「もしも」を想像せずにはいられない。
ぶっちゃけロードムービーに仕立てて引き延ばす気になればいくらでもできる内容なのだが、さっくり一冊にまとめてるのも凄い。読んでるあいだ胸がぞわぞわした。むずかしい表現は一切使ってないのに、ちょっとした言葉や見せ方でひしひしと感��が伝わってくる。
この作品が言おうとしてるのはこれに尽きる。
「あんたには あたしがいたでしょうが!」
私は幸いにして親しい人間を自殺で亡くしたことはないが、その経験がある人は心の内側で今も叫び続けているんじゃないか。
「あんたには あたしがいたでしょうが!」
故人を大事に思い、生きてほしいと願っていた自分は、けれども自殺を食い止める防波堤になれなかった。凄まじい無力感、あるいは裏切られた怒りと悲しみと悔しさ、ひょっとしたら罪悪感。
最後の手紙の内容は明かされないが、私達には想像できる。結果として死を選んでしまったが、あそこまで想ってもらえるマリコは幸せかもしれない。生前はどんなに辛くて痛くても、この人だけはと実感できる誰かに出会えたのだから。
同時収録の短編はオッサンと青年の話。
メキシコとの国境をめざす裏社会の元・殺し屋と、インディアンの末裔の青年の旅路を描くのだが、西部劇の世界にタイムスリップしたようなハードボイルドな世界観がたまらない。
荒野と岩山が大部分が占めるストイックな画面作りの中、濃密なヒューマンドラマを魅せてくれる。というか、この作者さんの抽斗多すぎ……表題作とは全然テイストが違うのに、完成度でまったく劣ってない。若い女性同士のドラマも描けば、アメリカが舞台のドンパチも描く。しかも一巻に満たない短いページ数の中で、ちゃんと余韻を持たせて完結してるのだ。素晴らしい才能だ。これで新人さんならこれからますます伸びそうで末恐ろしすぎる……。
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シイノはマリコを少女時代から救いたかった、助けて欲しい信号にもっと早く気付いてやれれば‥‥っていう感覚が痛いほど分かる
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これをジャンルで言うとロマンシスストーリーなのか。
海に行った時に偶然会った男の人が物語をさらに大きく広げたと思う。
激しく感情的だけど、この子が友達で幸せだったろうな
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辛いのに 何度も読み返してしまう
マリコの直前 というワンシーンをみたが
あの表情をみると。。 となると手紙の内容は。。 と
色々なパターンを考える
そして某ドラマの脚本が話題になったけれど
漫画って
画力にも魅かれるけれど構図もそう
マリコの話すときの表情とか角度とか
スキップとローファーも感情を吐露するシーンの
ワンカットが妙に心に残る
一冊だし 実写映画化したけれど そこまでエピソード削られていないだろうか
小説の実写は分かりやすくもなるし 逆に削られて全く印象の違ったものになったりするし
解釈の違いかもしれないが
気になる
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マイ・ブロークン・マリコ(BRIDGE COMICS)
著作者:平庫ワカ
KADOKAWA
大切な人を失くしてから分かる。
タイムライン
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強烈。マリコみたいな子いるんだろうな。でも、シイちゃんみたいな人はそういない。旅を終えたシイちゃんは、歩み出せるんだろうな、そう思えるエンディングでした。
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マリコが一方的にシイノに寄りかかってる関係にみえて、全然そんなんじゃなく、だから最後の手紙を見たときの反応。
自分の知らない間に、手の届かないときに、行動を選んでしまった。実はとっくに壊れてしまっていた。
でもそんな絶望の中でも、自分のことを意識にあげて手紙を残した。もしかしたらだからこそ、最後も絶望100%じゃなかったのかもしれない。思い出し笑いをしながらだったかもしれない。
救いようのない話だけど、それにどれだけシイノが救われたか。
全体的に隅々まで語りすぎないのが良かった。
オススメです。
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表紙買いした。話題沸騰らしい。
すげぇモン読んだ、コレがデビューか!!世の中は広い、凄い描き手が居るもんだ、、、
テーマ自体は良くある、友人の生前の言葉を実現する、そんなロードムービーなストーリー構成だ。が、その急激な感情表現はあまりにも生々しく血が通っている感じ。
コレは全時代で読み継がれるべき作品だと思う。
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シイノの最期の「…うん」の解釈は読む人ごとに違うだろうけど、マリコがシイノを悲しませたり苦しませたりするような内容では絶対にないな、と思った。初読みした時の印象は、二度め以降変わるかもしれんけど書き留めておきたい。宮本浩次さんの『夜明けのうた』聴いた時、真っ先に思い出したのが『マイ・ブロークン・マリコ』だった。リンク率が高次元過ぎて、こんな瞬間があるのか、となる。
ああ 夜明けはやってくる 悲しみの向こうに
ああ わたしも出掛けよう わたしの好きな町へ
会いにゆこう わたしの好きな人に
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レンタルショップで立ち読みして、電子書籍で試し読みして、やっぱり買った。お酒を飲みながら号泣。マリコお…。可哀想だ、可哀想としか言えない。マリコはきっとずっと幸せにはなれなかった、シイノに出会えたことは幸運だけど。
アルコールは弱い人間になくてはならないものだな。
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マリコに横たわってしまっている問題に、ずっとシイノが怒り続けてくれたことで、彼女は生きてこられた部分があったかもしれない。シイノとマリコのやりとりが、回想と手紙で綴られていき、そしてこれからも、という地平線を見た。ただヤマシタトモコさんのひばりの朝を読んだときのようなやるせなさはずっと残る。(自分メモ Rにあり)