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メレコーフスキイ「レオナルド・ダ・ヴィンチ ー神々の復活」、カニグズバーグ「ジョコンダ夫人の肖像」に続きダ・ヴィンチもの、これはダ・ヴィンチ自身が子供たちに向けて書いた童話集。動物や鉱物を主体として、教訓を伝えようとしている。
ダ・ヴィンチの時代は、古代美術復活の時代でもあり、しかし残酷な魔女狩りや宗教裁判も行われ、王侯貴族の権力闘争や外国どの戦争もあった。
この童話の中には「人を笑いものにしたら自分のほうが脱落する」「自分が助けられることに気が付かずに慢心すると結局自分が滅びる」などといった教訓が含まれているが、これらは時代背景などを考えるとまさしく”身を滅ぼした”人はたくさんいたのだろう。
収録されている作品たちは、地域に伝わっている昔話などもともとの話があるものもあるし、おそらくダ・ヴィンチが独自に作ったであろうもものある。
科学者、芸術家のイメージが強いダ・ヴィンチだが、話もうまかったということ。おそらく多才のため一つの事柄から全く別の事柄を無理なく組み合わせて聞き手が思いもつかないような一つの話にしてしまうという才があったあるのではないだろうか。
印象に残った話をいくつか。
インクに汚された紙は文句を言った。しかし人間が残しておいたのは、ただ真っ白な紙ではなく、大切な言葉が書いてる紙だった/紙とインク
愛は悪いことや汚いものを見つめません。正しいことや美しいことを見つめて、それらが苦しんでいるときにこを燃え上がります。/王様とヒバリ
ヒワの雛たちが人間に捕まり鳥籠に入れられた。母鳥は自分の子供達に毒入りの餌を食べさせる。そして言う。「自由を奪われるくらいなら、死んだほうがましです」/さらわれたヒワ
美しい木は、自分を支える汚い棒や自分の周りに生えている棘のある茨が気に入りません。しかしトカゲは「支え棒や茨があるからあんたはまっすぐたっていられるんだぜ。そんなこともわからないのかい」というのでした。/トカゲの忠告
漁師の網に捕まってしまう魚たち。生き残った魚たちは協力しあい網と戦う。それは自分たちの自由と平和を取り戻すための戦いだった。/戦う魚
一話の蝶が美しい炎に近づきます。まさかこんなに美しいものが自分の羽を焼き、蝋で自分を溶かすなんて!けれどランプは言います。「お馬鹿さんはあなたよ。何も知らずに近づくからよ」/蝶とランプ
オオワシは太陽から目をそらさず真っ直ぐ飛ぶ。死を悟ったら空高く舞い上がり、羽を焼きつくして水に落ちて再生する。これがオオワシの定めであり、だからこそ尊敬されるのだ。/オオワシが教えたこと
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図書館で目にとまり迷わず借りて読みました。
ダヴィンチって本当に多才ですね。
1話1話がかなり短く、すぐに読めて幼児から理解できるけど、内容は深く哲学的ですね。
装丁も美しく、飾っておくのにもピッタリ(笑)
子どもが思わず手を伸ばしたら、しめたもの。
どの話も「あなたはどう思う?」と哲学的会話が生まれるんじゃないでしょうか。
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芸術家であり、科学者でもあったレオナルド・ダ・ヴィンチが童話を残していたとは知らなかった。それは鳥獣や草木が主人公で、レオナルドの考えの中に皮肉も混ざった短い作品だ。
彼は童話という作品になる前に小さなノートに書き留めていて、それは「手稿」と呼ばれ、ヨーロッパの図書館や美術館に残されているそうだ。ユーモアとウィットに富んだ作品の数々には、「?」と私にはよく理解できなかったものもあるのだが、これらがレオナルドによって創作されたものだと思うと、もっと深い意味や意図があるに違いない。
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童話の内容は短く、お子さんにでも簡単に読むことのできるお話でした。
登場してくるものは動物や植物、物が多く、人が出てくるシーンはありますが、あまり、表には出てこない印象です。
お話の内容は淡々としているのにオチまで読み終わったときに色々と考えさせられるものが多かったです。
翻訳、監修された方の話も載っており、なぜレオナルドが童話を残したのか?などの考察も少しですが、載っていました。
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レオナルド・ダ・ヴィンチの童話』大人のイソップ的な。皮肉とユーモアで真理をついてくる。ハッとしたりギクっとしたりニヤっとしたり。それでいてなんだかおしゃれな本。時々開いて確認したい。自分は大丈夫かなって。戒めに、遊び心に。
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マルチな才能を持つ天才、レオナルド・ダ・ヴィンチが書いた童話。
たくさんの短い童話が綴られてます。
装丁と。
丁寧な訳と選ばれた言葉たちが全部美しい。
マザーグースやグリム童話を思わせるような、風刺やニヤっとしてしまうような辛口の童話が多め。
トスカーナの自然に溶け込んで子供時代を過ごしたレオナルドに少し寄り添える気持ちになります。著者の観察眼や自然を愛する心が印象的な本。