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大震災直後から数年までの被災者の心の動き、そしてそれへのケアについてしっかりと書かれている。解離性障害についても書かれているが、そこは難しそうなのでよまなかった。安兄弟の長男の活動も記載されていたが、これも興味深い。原子力技術のトップランナーとして、現実を直視した主張をなさった。兄弟として、よいライバル関係だったのだと思う。
本作を原作としたドラマも観た。とても良い仕上がりだったのではないか。
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烏兎の庭 第六部 3.13.20
http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto06/diary/d2003.html#0313
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ドラマを見て本が読みたくなりました。
39歳という若さで亡くなられたのが本当に残念な方です。
私は今、ほぼ同じくらいだけど、どうしてこんな風に思慮深く優しい方が生まれたんだろう。
ドラマは、安先生の素晴らしさを余すところなく伝えていたんだなと本を読んで改めて思いました。
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読了。ドラマは1月に見た。ツイッターで白川美也子先生が紹介されていたので、ドラマを見て、本を買った。名越康文先生の後書きもあった。なんとなく、自分に縁のある本ではと思ったりする。また読もう。
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25年前に起きた阪神・淡路大震災。精神科医でもある安先生ご自身も被災。
「被災地内部からのメッセージとして、その時々の自分の感情を織り込んで書かざるをえなかった」P282より。
心に傷を持つ人に寄り添い、話に耳を傾ける安先生の姿が目に浮かぶ。
NHKのドラマを観て本書を手にしたのだけれど、読み返すごとに
貼る付箋の箇所が違ってくるのかもしれない。
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本書は、今BS4Kで再放送中のドラマ「心の傷を癒すということ」の主人公であり、わずか39歳の若さで亡くなった精神科医・安克昌さんが、阪神・淡路大震災当時自らも被災しながら医師として働き続け、被災地内部から”心のケア”の問題を書いた臨床報告に、安医師の死後寄せられた関係者の寄稿を増補したものである。
震災直後から被災者が抱える心の傷。誰もがそこにあることが分かっていながら誰も触れることが出来なかった心の傷。「他人にはわかりっこないけど、分かって欲しい」と思う気持ち。「復興」という名の祭りへの疲れ・・・・・・。
「お困りのことはありませんか?」
「眠れていますか?」
安医師が避難所に出向き、傷ついた被災者にかける言葉は専門家として上段からではなく、一人の人間としてそっとそばに寄り添う優しさと謙虚さに満ちている。
心に大きな傷を抱えた人を目の前にした時、私たちに何ができるだろう。
「傷ついた人が心を癒すことのできる社会を選ぶのか、それとも傷ついた人を切り捨てていく厳しい社会を選ぶのか・・・・・・」という言葉が重く響く。
心のケア=カウンセリングと誤解されているが、決してそうではない。苦しみがそこにあることに気付くこと、回復に向け懸命に生きる人を、敬意をもって受け入れる社会を作ることも心のケアの意義であると安医師は言う。
そして、ドラマでも何度か繰り返されていた本書最後の一文は、耳に、目にするたびに私の胸を締め付け、重い課題を突き付ける
。
「世界は心的外傷に満ちている。”心の傷を癒すということ”は、精神医学や心理学に任せてすむことではない。それは社会のあり方として、今を生きる私たち全員に問われていることなのである。」
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安先生の優しさが、活字から言葉の使い方から伝わってくる。
大災害と心のケア
災害大国の日本には、切っても切り離せない課題で、今も苦しむ人たちがいる。
そのことを忘れずにいたい。
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阪神大震災の時に若手精神科医として活躍した著者は神戸大学の中井久夫先生の影響下にある方のようだ。96年に執筆された言葉には、当時の私自身の思いがかなり重なる思いがある。最初は被災者の一人として衝撃的な体験をした連帯感があったのが、早く復旧をできたために当事者性を失い、より悲惨な被災者に後ろめたさを感じるという感覚を思い出した。「地震後、涙もろくなって急に泣き出しそうになる」「壊れた建物や震災のニュースを見ると、突然涙が出てくる。それは悲しい、辛いという感情だけではなく、むそr神経がたかぶり混乱した気分」「列車から焼け野原となった長田区が見渡せると、乗客はその悲惨さに言葉を五市内、粛然とした空気に包まれる」全て私自身も経験したことだった。被災者だけではなく、支援者へのメンタルケアが必要だということは、現在のコロナ禍においても全く同様だし、更に深刻な問題だと感じる。最後にボランティアの役割は「存在すること」とは中井久夫氏の至言だそうである。そのことだけでも病者の心を開かせ、癒しになるというのは美しい言葉だと痛感する。
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あれから26年経ちましたが未だにあの揺れは忘れません。
この本を読んで今更ながらに心のどこかに傷ついたものがあると感じます。
この本何年経っても名著です。
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震災復興というと建物や道路といったハード面が取り立てて報道されていますが、目に見えない心の回復はなかなか目を向かられることがないように思います。何度も読み返したい一冊です。
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2020年冬に、NHK「土曜ドラマ」枠で全4回にわたって放送され、2021年にこのドラマのをベースに映画《劇場版》が公開された『心の傷を癒すということ』の原案となった1冊です。
1996年に「サントリー学芸賞」を受賞した初版、2011年の東日本大震災を踏まえた増補版
さらに、ドラマ化に伴って、出版された「新増補版」です。
トータル約500ページでした。
「心のケア」がこの国で認められたのは、皮肉にも、1995年の阪神淡路大震災がきっかけだったことを再認識しました。
著者の安克昌先生(故人)は、震災当時、自らもそして家族も被災者でありながら、精神科医の立場として、被災者の「心のケア」に奔走します。
そして当時、当時産経新聞の記者であった河井直哉氏の依頼を受け、新聞に連載した記事をまとめたものが、『心の傷を癒すということ』(初版)です。
この初版は、第18回「サントリー学芸賞」を受賞します。
そして、時代を経て、2011年の東日本大震災をきっかけに増補版が出版され、
さらに、2020年のドラマ化をきっかけに新増補版が出版されました。
『心のケア』、改めて難しいテーマだと思いました。
皮肉ですが、1995年はバブル経済が弾けて、今で言う「失われた20年」が始まった時だと思います。
安先生を筆頭に多くの精神科のDr.の奔走、社会構造の変化で、『メンタルヘルス』というコトバも一般的に認識されてきましたが、現実はまだまだ厳しい状況が続いているのが現実だと思います。
確かに、学校でも職場でも「あいつは、精神的にもろい。」などと言われることは当時より少なくなってきたと思いますが、コロナ禍の今、メンタルの問題を抱えている人が増えている現実は否定できません。
改めて、『心のケアとは?』、『メンタルヘルスとは?』と思い直す価値のある1冊だと思います。
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出版当初から知っていたが、なぜか手に取ることもなく、NHKドラマにも取り上げられたが、なぜか手に取ることもなかった。中井久夫先生が亡くなった。ケアの倫理の関連で川本隆史先生が推薦していた。どのような関連があるかと思い、手に取った。奇しくも読了はあの日の2日前であった。今も28年前のことが昨日のことのように思い出す。あの頃は災害への心のケアなど日本にはなかった。その先鞭をつけた活動で、具体的であり、著者の仕事は、災害精神医学とトラウマ研究の先鞭をつけた。今も決して古びておらず、それぞれの原則が、具体的に誰でもわかるように書かれている。具体的な分だけ、涙なくは読めない部分もある。最後に兄弟の文で終わる。憎いばかりの構成の新増補版であった。
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人間って複雑。
阪神大震災も遠い過去になったけど、大きな被害はなくとも、あの当時の大変さは蘇ってくる。躁になったり鬱になったり心は目まぐるしく動くんだな。
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阪神・淡路大震災時に被災者に寄り添い続けた、
精神科医 安克昌さん。すごい、本だった。
2020年に放映されたドラマの劇場版が2024年3月末まで能登半島地震チャリティーとして、無料で公開されている。ドラマ内の永野先生は、中井久夫さんがモデル。
本は中井さんの追悼文から始まる。
”被災地のことを文章にすること”の葛藤のただ中に、激務の中残してくれたこの記録を読んで知った数々のこと。
安克昌さんがご存命だったらどんな言葉を、文章を読めただろうと、思わずにはいられなかった。
震災直後から被災者の方へはもちろん、突如として避難所の管理も任されることになった学校関係者、自身も被災者でありながら職業的救済者であった看護師、消防士など、様々な人の心に寄り添う安さんの姿は、誠実で優しい人柄にあふれていた。
震災4年後の神戸へのメッセージは、いつどこで災害が起こるかわからない日本に住んでいる以上、いろんな人に読まれて欲しいと思う。
初版発行が震災1年後の1996年
皮肉なことに、安医師の書かれたあとがきの日付が、1996年3月11日。
東日本大震災のちょうど15年前となる。
そして2000年12月、肝細胞がんにより逝去される。
普段アルコールも控えめな安医師が肝細胞がんに倒れたのは、震災後の過労によるところが大きいと言わざるを得まいと。
そして、2011年3月11日。
1000年に一度の未曾有の災害と呼ばれた東日本大震災が起きる。同じように何もわからない中で、やるべきことを見い出した安さんの姿は、東北の力になるはずと、増補改訂版として「心の傷を癒すということ」が再出版される。
安医師という人がいてくれたこと、安医師が書き残してくれたことを知ることが大事だと思った。
ー心に残った安さんの言葉ー
「苦しみを癒すことよりも、それを理解することよりも前に、苦しみがそこにある、ということに、われわれは気づかなくてはならない。だが、この問いには声がない。それは発する場をもたない。それは隣人としてその人の傍らに佇んだとき、はじめて感じられるものなのだ。臨床の場とはまさにそのような場に他ならない。
そばに佇み、耳を傾ける人がいて、はじめてその問いは語りうるものとして開かれてくる。
これをわたしは「臨床の語り」と呼ぼう。」
「ひとりひとりの人間の尊重」
「社会の品格」
「良いこと、正しいことの、追求」
安さんの語り口はとても優しく、
たくさんの胸に響く言葉があった。
大震災という観点以外でも、単純に精神科医としての「子どもの心的外傷」の話は、ものすごくよくまとまっていた。災害誘引ではなく、児童虐待とまでいかなくとも、生きづらさを感じている人が、生い立ちを抱えて前を向くための、三つの段階の話とも言える。
この当時の時点で、当事者研究の話にもちゃんと触れているのもさすがだし、安さんが自分の意見を臆することなく、しっかりと本の中の端々にあらわしているのは、感服しかなかった。
安さんが、生きていたら、もっ���もっと日本の精神科治療、児童福祉の分野が進展していたのではないかと、勝手ながら思ってしまった。
一連のケアをした身としては、よく頑張ったねと、安さんに言ってもらえてるような本だった。
とても心に残る本になった。