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断片が切り取られていくさまが、怖すぎ!
例えが言い得て妙すぎてひっくり返る。
これだけバラバラな人間模様、だけどどこか納得してふむふむ、うーーむ、静かに唸る。
鋭い洞察力にはいつも驚かされる。
本を閉じて、わたしは何を読んでいたのかと、え?
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ひとつの会社を舞台にした群像劇。
軸にはチャラ男がいるわけですが、いち社員、総務の子、鬱で休職したら社員、社長、家族など、それぞれの立場からのものの見方や書き分けがホント凄い。
それぞれの人たちのダメな部分や小狡い部分は、自分にも少なからず当てはまる部分がありグサッときました。
チャラ男、最後までキャラが掴めませんでしたが、こういう人ってどの組織にも必ずいるタイプだなあ……
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タイトルに惹かれて図書館で借りました。
思っていたのとはちょっと違いましたが、ジョルジュ社の社員やその周辺の人たちがそれぞれに語りチャラ男の様々な問題点が浮かび上がります。
最後はチャラ男も改心?したようですが、ある会社のドタバタ劇のようで面白かったです。
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あんなに嫌われているのに、もしかしたらチャラ男は全世界、全人類に片思いをしているのかもしれません。
(P.92)
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「石北会計」事務所所属のチャラ男さん。頭がよくて責任感はないけど危機管理能力は高い、自己中で支配欲が強い。器が小さくてキレやすい嫌なやつで、中身はばか女。
何も考えていない能力もないようなチャラ男だけど実際にはというか、本人の中ではとてもいろんなことを考えて、自分を嫌っているそれぞれに対してもある意味思いやりを持って接しているつもりらしい。
チャラ男と接するたくさんの人から見たチャラ男。いろんな面があるにはあるけどたいていネガティブな印象。
読んでいても「あぁ、いるいる、こういう人いるねぇ、ホント腹立つわ(苦笑)」と思うのだけど、なんだろう、なぜか嫌いになれない。嫌いになれない、というか、無視できないというか、気になって仕方ないというか。
その理由が最後まで読むとよくわかる。あぁなるほどな、と。どの会社にも、どんなグループにもいるチャラ男。でも実はチャラ男がいるのは自分のそばではなくて、自分自身の中だったんだ。だから嫌いだけど気になる存在だったんだ。なるほどね。
チャラ男が子供のころ欲しかったもの。あこがれていた家庭。彼がチャラ男になった理由の断片が嫌なやつの陰から見え隠れする。そのあたりのさじ加減がうまい。
あぁ、チャラ男も山田さんも幸せになってほしいなぁ。
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「すべての働くひとに贈る新世紀最高”会社員”小説」という帯に惹かれて購入した。久しぶりに立ち寄った本屋の新書コーナーで手にとって即購入して読んだ。
地方都市の油メーカーを舞台とした会社員小説なのだが、ひとりひとりの人物について微細なディテールが描写されていて、知らない会社の人たちの心の中を覗いている気分になる。
どこの職場にもいそうな人々による物語。
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社内でひそかにチャラ男と呼ばれる三芳部長。彼のまわりの人びとが彼を語ることで見えてくる、この世界と私たちの「現実」。すべての働くひとに贈る、新世紀最高“会社員”小説。
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チャラ男の存在の可笑しさや迷惑さやあれやこれやがコミカルに描かれている物語を想像していたので、それとはいささか異なる趣向ではあったが、チャラ男を見る周囲の人たちの視点が、それぞれ(当然のことながら)自分基準であるがゆえに、チャラ男をさまざまな角度から分析することになっていて、興味深い。さらに言えば、チャラ男を表することによって、その人自身の在りようまで見えてくるので、それはなかなかに怖いことでもある。自分を見つめ直すきっかけになっていると言えなくもないチャラ男の存在が、有益なのか害悪なのかと言えば、どちらかというと有益なのではないかとさえ思えてくる。チャラ男侮りがたし。時にグサッと深部を刺されながらも面白い一冊だった。
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「チャラ男」をキーワードに16のストーリーが語られます。言葉もテンポよく、結構スルドイ内容がでてきて、納得したり苦笑したりと読みました。「チャラ男」の規定が人によって捉え方がいろいろで最後まで曖昧で、部長の功罪がはっきりわかりませんでしたが。
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軽そうで実はそうでもない。
フィクションとは言え、人物の述懐がこれほど重いとは。
絲山さんの作品の中でも重めな感じ。
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ジョルジュ食品に勤める「チャラ男」とその周りの人たちそれぞれの立場から語られる小説。
もしかして舞台が名古屋か…?バスセンターがあったり、車社会の地方都市といえば。作者の絲山先生が名古屋で営業職をされていたことがあるようなので、勘が当たっていたら嬉しい。
出てくる人たちもちょっと名古屋の人っぽさ、というか、地方都市の人っぽさがあって、地方都市出身(そして地元が苦手で東京暮らし)の私にはちょうどよくヒリヒリしてとても良かった。
きっとふだん交わらない人でも一章分語らせたらこのくらい面白いんだろうな。お仕事小説の中でも好きな部類でした。今っぽさもあって良い。
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会社という組織にあって、馬が合わない同僚や上司は必ずいる者だと思います。
この作品では、一つの中小企業のなかで、それぞれの社員から見た社内の風景と、密かに「チャラ男」と呼ばれている部長の人となりを描いています。
社員一人一人の思想や立場によって、こんなにも人や会社組織の見え方は違うのか、と驚きましたし、自分の職場でもこういった「見解の相違」は多々あるのだろうなと感じました。
だれもが、「悪人でいよう」と強く決意して生きているわけではないでしょうが、結果としてだれかを傷つけたり、誰かの態度に不満を抱いたりしながら生活している今の世の中。
大きなヤマ場があるわけでもなく、また描写が精密なので「現実的」すぎる小説ですが、特に会社(組織)で働く大人には、しみじみ考えさせられる部分があるのではないかと思います。
「同僚や上司から、仕事ができないヤツと思われたくない」「自身の功績を評価して欲しい」など、あまり認めたくはない自分自身の欲望についても、改めて自覚させられる部分もありましたし、登場人物のセリフに笑わせられるとともに息抜きできる部分もありました。
小説として、エンディングもシッカリまとめられていますから、「学校」という”組織”のなかで日々生きている中高生にとっても読みやすい本かもしれません。
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音楽を聴くように文章を読める本を書く作家さん第1位。人間の弱いところをこれでもかと掘り起こしてくれるのだけれど、いつもその愚かな人間に向ける眼差しはやさしい。だからハッとしても受け入れることができる。そして、おもしろい!重いこと言ってるのに軽く受け入れられる。今までも絲山さんの作品は全部読んできたけど、これからもこのペースで全部読む。
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陰で“チャラ男”と呼ばれる部長と、彼のまわりの人々の一人称で綴られた連作短編集。語られる内容は様々だが、読み進めるうちにこの会社の実情が鮮やかに浮かび上がってくる。チャラ男という語感から受けるほど、この男はチャラくないような、そうでもないような……。いずれにしろ、こんなやつが上司では大変だとは思う。
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何処にいたってチャラ男はいる。
そんなチャラ男と1つの会社に務める色んな人からのチャラ男に対する視点で話が最初は進んでいたけど、
途中から視点はチャラ男以外にも当てられ働く社会人のやるせなさやら怒り等にも焦点が変わっていく。
時々いきなり出てくる登場人物や設定に追いつけず置いてけぼり感を食うこともあるけど、社会人にはそれぞれの登場人物に重なる自分を見つけて共感出来るはず。
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図書館で借りた本。チャラ男とは三芳部長の事である。服装や小物はオシャレでイケメンでもあるが、他人を見下し圧をかけてくる。政治経済の話を好む意識高い系の中年だが仕事をしない、できない無能。部下たちからバカにされてると薄っすら気付いているのだが…この小さな食品会社の社員たちの鬱憤をそれぞれ告白してる話で、共通しているのが、チャラ男がムカつくという事。男のプライドは厄介だ。