1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性は一生の間に演じる役が、何度あるだろうか。
主人公は、順調にかつ単調に毎日を過ごしていたが、ある日突然の家庭崩壊。
娘から「夫婦ごっこ、家族ごっこ」と揶揄され、はたと自分とは何かを考えていきます。
一人で生きること、生きていくこと、生きかざるを得ないこと
人生100年のこの時代に投げかけられた問題ではないでしょうか。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに面白い本読んでるなぁ、と序盤からひしひしとくる一冊だった。平凡な専業主婦の絵里子が、ある日家で風俗店の溜まりまくったポイントカードを見つける。娘の派手な小さな下着、逝った父の不誠実な事実、親友の整形と同性愛。たくさんの知らない世界が一気に押し寄せ、その中で絵里子はひとつひとつと向き合い、受け止め、ある意味で開き直り、成長していくのがとてもかっこよかった。そう、これはカッコいい女の話。それがよかった。悲観的ではないところが。季節のフルーツを使ったカクテル、飲みたいな。
そして買った本に日付を書き、それ順に本棚に収めるの、すごくいい。そのシーンすごく泣けた。自分が生まれたときに読んでた本って、すごくいい。
投稿元:
レビューを見る
物語にすんなり入り込める。
でも52歳は まだまだ若いよ。
嫌な事はなるべくしたくない 嫌な人とも なるべく付き合いたくない。そんな 生活がしたくなりました
投稿元:
レビューを見る
人生の中盤に妻でもない、母でもない、一人の女性として、人生の岐路に立つ女性の物語。
一人称ではないものの、全編主人公の絵里子の視点で描かれる。
20年以上連れ添った夫の風俗通い、20歳の娘の危うい恋愛…様々な心配事を抱えながらも、絵里子は誰にも打ち明けられずに、自分の老いにも正面から受け止められずにいた。
前半はひたすら絵里子の悩みや、思い出の邂逅が綴られ、ダラダラした印象だが、自分の意思で家を出て、母の再婚相手が急死した後、長年不仲だった母と話すようになったり、友人の下着ショップを手伝うあたりから、物語の流れがガラッと変わる。
前半の絵里子の悩みはとても共感出来る。
でも、グダグダ考えているだけで、行動に移さないところにイライラする部分も。
それでも、同窓会に出席して、友人の詩織と再会することで、環境や絵里子自身も変わっていく様子はとても羨ましく思える。
悩みを共感しつつも、「人生こんなにうまくいくわけがない」と思ってしまう、複雑な読後だった。
投稿元:
レビューを見る
52歳のパートの主婦。絵にかいたようなパートの主婦。
このまま夫や娘の世話をしながら年を取っていくのだと思っていたところに、急に降ってわいた夫の風俗通い、そして娘の「素行不良」。
夫にも娘にも裏切られた思いが募る。私の人生ってなんだったんだ、という問い。これからどうしてらいいのか、という問い。
そんなときに同窓会で再会した同級生。整形をし、年下の同性のパートナーと暮らしながら自分の店を回している。なんなんだ、この違いは。どこでこんなにも人生に違いが生まれたんだ。いろんな人と出会い、今まで知らなかった世界が突然目の前に広がる。
知らないことは罪ではない。でも知っているほうが人生は豊かになることのほうが多い。自分で選べる選択肢も増える。
小さな世界で生きている、いわゆる「主婦」にとって、変化というのは恐怖でもある。今までと違うことが目の前に現れたら、それはもう全力で安全な「家」に逃げ帰り、慣れた世界に守られたいと思うだろう。
でも、その「家」でさえ、本当は自分の居場所ではなかったのかも、と気付いたら、いったいどうしたらいいのだろう。
52歳の絵里子に詩織という友達がいてよかった。詩織という友達を通して、世界の広さを、そしてまだまだある自分の可能性を感じられてよかった。
もしも、自分が絵里子だったら…私はどうしただろう。夫を許せるのか。娘とどうやって向き合うのか。いや、家出する先はあるのか。私を受け入れてくれる友達はいるのか。親の問題も含めていろんな思いが頭の中でぐるぐるぐるぐる。
窪さんの小説を読むとナイフでぐさぐさと心を刺されるようでつらい。刺すだけじゃなく、長い間、知らん顔していたいつかの古傷をえぐられるようで、つらい。えぐって引っ張り出して、ちゃんと向き合え、と突きつけられるようで、つらい。でも、このつらさを小説で体験できるから、結局、救われるってわかってる。
タイトルにある、たおやかに輪をえがくのは、なんだろう、と思いながら読んでいた。
私にとってのたおやかな輪はなんだろう。あるのだろうか。ないかもしれない。それも、つらい。
投稿元:
レビューを見る
良かった。
中盤までは、ステキなロマンスの果てに結婚した夫婦も、関係性が萎びていってしまうのかな、怖いな…なんて思ってた。ちょうど自分が結婚して一年で、まだまだ仲の良い状態だから、なおさら。
でも、恵理子が家を出ることを決めて、旅をして、本当に自分の好きなことを探して、生き生きしていく様子を読み進めていくと、とても頼もしいというか晴れやかな気分になった。
例え大事な人であっても、誰かのために生きすぎていくと自分が溶けて無くなってしまうんだろう。
朝自分が機嫌が良いのが一番だと気付いた、という一文にハッとした。
自分がご機嫌でいられるように、私も自分にやさしく生きよう。そのために、自分が何をしてる時が嬉しくて幸せで、ご機嫌になれるのか、サボらず考えていかないとだな。
久々にマニュキアでもぬろうかなと思った。
投稿元:
レビューを見る
2020/03/01予約
前半、話がまどろっこしく面白くなかったが、後半は性急すぎるほどの進みかた。
主人公の絵里子は平凡なパート主婦。オットの風俗店のポイントカードを見つけ、動揺する。
そんなとき、同窓会で詩織と会い、そこから話が急展開する。
詩織は、結婚して離婚してランジェリーショップを開いていた。
過去を断ち切るための整形もして、今は同性の恋人と暮らし...
日常に亀裂が起こり、変えたいとき、あまりに都合よく友達の助けを得られ、正社員の口どころか店長になる、これは夢物語過ぎだと思う。
一番良かったのは、一人旅に出た先で1日だけ知り合った鹿子とのくだり。
今日で友だちは終わりましょう、だから話したいことがあればあとくされなく話してね、と言う。
乳がん手術後に再発して余命宣告された女性。
未来は無限ではないことに気づく。
投稿元:
レビューを見る
よき妻でありよき母であることは、ひとりの人やひとりの女としての輝きを殺すことでもあるのかもしれないと思った。
家族のために20年以上生きてきて、なんの特技も魅力もないただのおばさんと自覚して、またそれを疑いもせず生きてきた主人公。彼女が夫からも娘からも離れて初めて自分のために時間を使うことに喜びを覚える。
気持ちが変われば外見も変わる。文字だけのはずなのに、彼女のその変化は鮮明に頭に浮かぶのが不思議だ。
経済的にも精神的にも力になって支えてくれる友がいる。それこそが一番の幸運であったようにもおもえる。
自分が原因で家出した妻への言葉が「どうやって生活していくつもりなんだ」という夫の身勝手さと傲りには呆れと怒りしかない。
男なんてこんなのばっかりなのが現実。
自分もおそらく約20年後、彼女と同じようにただのおばさんになるのだろうと思う。
逃げ出してひとりで生きていけたらどんなにいいか。主人公とは違い、私にはお金持ちでなんでも話せるような友達はいない。自分でなんとかするしかないのだ。おそらく世の中の大半の人はそうだ。
仕事をがんばろうと思った。
投稿元:
レビューを見る
主人公の絵里子に痛く共感した。
もし、夫が風俗のポイントカード、しかもめっちゃポイントが貯まったてるのを見つけちゃったらと思うと絵里子のとった行動は最もだし、あの娘の言動もありえないし、うちがあんなんじゃなくてほんと良かったよ、(いろいろ齟齬はあるけど)と安堵したよ。
高校時代の親友の詩織の存在なくして、この後半の順風満帆さはない。(家を出た絵里子に下着専門店のバックヤードに住まわせ、仕事の手伝いをして、更に店長も正式に任せるという流れ)
現実はこんなふうには転がっていかない。
娘の萌ともいい関係になっていき、夫ともやり直せそうな余韻を残して小説は終わるけど。
なんか予定調和的な感じが否めないけど、著者の”人間讃歌”の路線からはずれてないから、読後感は爽やか。
投稿元:
レビューを見る
性風俗に通う夫、整形で美しくなった親友、愛した父の不実。人生の折返し点で知る〈真実〉が、主婦・絵里子を柔らかに変身させる――
投稿元:
レビューを見る
主人公は決して美人でもなく、普通の家庭の自称普通のおばさん。このキャスチングで物語が大きく展開する。幼少からの育ち方、性格が上手く現在の主人公にリンクする。物語の展開が出来すぎているところもあるが、読後は快い。自分らしく生きることに前向きになれる。人生もっとドライでも良いのかもしれないと思わせてくれる。
投稿元:
レビューを見る
実は、連載で読んだもので、単行本を手に取ったわけではない。
最初はあんまりパッとしない印象だった。50代の主婦が自分の半径数メートルの世界の中で、ただただ身の回りのことを嘆いている感じもあった。
それがいつしか、かつての同級生との再会や何かで、一つずつ新たなステージに上がっていく感じ。読後感はよかった。
映像化するなら、主演は松下由樹さんあたりかな?
投稿元:
レビューを見る
同年代として、描く背景はリアルで共感できる部分が多くあり。ただ、主人公の絵里子には世間でいう主婦ってという甘さがにじみ出ていらいらさせられる、まあそこが狙い目でしょうけど。現代のいろんな世相を反映しているとはいえ、一昔前の大人の恋愛ドラマのような懐かしさも感じながらも読了。
投稿元:
レビューを見る
同調するところがすごくある。
あるが故に夫に戻ったのが面白くない。
夫も独身時代の彼と、フーゾクに通う今の彼が全然違って、なぜにそこまで変わったのか、わからない。
投稿元:
レビューを見る
初めての作家さん。主体性がなくて精神的に自立してない主人公に少しイラッときた。反対に詩織さんやみなもさんが生き生きと描かれてて、私はこちらの方に好感持てた。