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僕の人生は無色透明だった。日野真織と出会うまでは――。
クラスメイトに流されるまま、彼女に仕掛けた嘘の告白。しかし彼女は“お互い、本気で好きにならないこと”を条件にその告白を受け入れるという。
そうして始まった偽りの恋。やがてそれが偽りとは言えなくなったころ――僕は知る。
「病気なんだ私。前向性健忘って言って、夜眠ると忘れちゃうの。一日にあったこと、全部」
日ごと記憶を失う彼女と、一日限りの恋を積み重ねていく日々。しかしそれは突然終わりを告げ……。
唐突にやってくる衝撃の瞬間。その先に待つ驚きの結末に、読む人すべてが感動に包まれる!
第26回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》受賞作!
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忘れたくないと願っても、夜眠れば、一日の出来事を忘れてしまう。前向性健忘を患い、日々を繰り返し喪失していく少女、真織。彼女と疑似恋人の関係を続ける少年、透。彼らは日々、初恋を積み重ね続け――そしてすべてを失った後、本当の恋は始まった。
なぜ、人は一番幸福な時間に留まれないのか。なぜ、失いたくないと思ったこの瞬間を忘れてしまえるのか。思い出を失った後に何が残るのか……。
ありきたりな設定、予想の付く展開の、今どきのライトノベル。そう言い切るのは簡単だけど、それでも読んでみてほしい。
生真面目で繊細で、そして優しさにあふれた静かなまぼろしの初恋の物語は、その世界観できっと読む人の胸に残ることだろう。
そしてきっと思い出させてくれる。当たり前の日常だと思っている日々が、どんなに特別なもので、壊れやすくてかけがえのないものなのか。今のあなたを形作るものが、決して今記憶しているものだけではないこと。すっかり忘れてしまった過去の誰かの言葉や教えが、今のあなたの中に確かに残り、あなたの芯となる考え方や習慣として残っているであろうことを。
私は普段こういったジャンルの小説を読まないので、また仕事としてお話をもらわない限りこの著者さんの小説を読むことはないかもしれない。
そのうち、きっとこの小説の内容の記憶も薄れていってしまうだろう。ただそんなときにでも、衛生感という言葉とともに身だしなみや部屋を整えるよう気を付ける習慣は続いているだろうし、時折絵を描くたびに、「手続き記憶」という言葉の意味をしみじみとかみしめることだろう。
KADOKAWAさんの文芸情報サイト『カドブン(https://kadobun.jp/)』にて書評を書かせていただきました。
https://kadobun.jp/reviews/2t99tqplcs84.html
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思い出も思い出せない。けれど、あの時の香り、あの時の夕陽、あの時の風が温かく包み込む…
まさかの展開に、まさかの号泣。
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めちゃくちゃ感動した。泣いた。
透くんの死が突然すぎてびっくりしたし悲しかった。
これは何回でも読みたい本。でも映画化されたらちょっと残念に思うかもしれない。
それくらい物語にひきこまれて3人の様子がありありと目に浮かんだ。
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友達を助けるため、真織への告白を強要された透。思いがけずOKをもらうが、本気で好きにならないという条件を出され、なりゆきで擬似恋人になった。真織は夜眠ると1日の記憶が全てなくなる前向性健忘で、毎朝目覚めるたびに愕然とし、きのう楽しかった自分に嫉妬し、透の事も忘れ楽しい思い出も積み重ねられない。彼女を毎日ひたむきに楽しませる透。2人が本当に恋し始めた時、思いもよらない不幸が襲い話は新たな展開を迎える。透のとてつもなく深い思いやりと、記憶を失くすという事がどういう事か。2人の心理描写がとても素晴らしく表現されていて、そういったものがグサグサ突き刺さってくる。でも読み終わった後に悲壮感がないのも良かった。
記憶喪失物というよくあるテーマにライトノベル、という事で甘くみていた。不覚にもウルッときてしまった。
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本当に良い小説でした。
追記 映画見ました。
衛生感の話や、二人乗りのシーン、紅茶を淹れるシーン等なかった。寂しい。
もう一つ、スーパーで、レディグレイ見つけたので、買いました。安くはなかったけど、美味しかったです。
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真織がとにかくいい、存在感ある中、ラストは衝撃だったな、いい作品だと思う、真織には是非彼がしてくれた事を思い出して欲しい、でないと置いてかれた感が止まらない…と読み終えて、ずーっと感じる。
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カドカワのライト文芸レーベル、メディアワークス文庫の1冊。2019年メディアワークス文庫賞を受賞した「心は君を描くから」に加筆・修正。
主人公の高校生・神谷透は、いじめられていた級友をかばおうとして、主犯格のクラスメートに「それならお前が1つ言うことを聞いたらやめてやる」と言われる。何かと思えば、別のクラスの美少女・日野真織に告白をしろという。行きがかり上、仕方なく受けた。彼女には断られるだろう、後で正直に言って謝ろうと思っていた。だが意外なことに、彼女はOKする。とはいえ、条件があった。
一つ目、放課後になるまではお互い話しかけないこと。 二つ目、連絡のやり取りは出来るだけ簡潔にすること。 最後に三つ目、私のことを本気で好きにならないこと。
なりゆき、かつ一風変わった条件つきでつき合い始めた2人。周囲は、いやおそらく本人たちも、長くは続かないだろうと思っていた。けれども。
難病ものか。女の子が不治の病なのかな、と読み進めると難病は難病だが、死ぬ病気ではない。ふと気づくと裏表紙にも書いてあった。
前向性健忘。
記憶が持たない病気である。障害が生じる前の記憶は残っているが、その後に起きたことは一定期間経つと(多くは一晩寝ると)記憶から消されてしまう。毎朝、まっさらの状態で目覚め、積み重ねるということがない。
結構、ベタな設定である。だが。
意外とこれがいいのである。
真織の友人、綿矢泉に見守られつつ、2人の交際は続く。
真織は毎朝、障害のことを忘れて目覚める。目覚めるとそのことをメモで知り、こまめにつけている日記を確認して、昨日までの出来事をアップデートする。障害のことを知るのは、家族と先生、そして泉だけ。クラスメートに怪しまれることのないよう、主な出来事はメモして日記に残しておく。それを毎日続けている。
真織は当初、障害のことを透にも隠している。透が交際を申し込んだ理由も理由だが、真織が受けたのも純粋な気持ちというわけでもなかった。絶望の日々の中、新しいことが始められるのかという興味があった。
だが、日々を重ねるうちに、2人の間には真にキラキラしたものが生じていく。
真織は日々の日記に必死にそのことを書き留める。翌朝には失われてしまう記憶を補完するように。
昨日の私たちと今日の私。その間の断絶を埋めることができるのか。
彼女の障害を知った透は、必死に彼女を支えようとする。
透の勧めで、真織は小さい頃に習っていた絵を再開する。絵を描く作業は「手続き記憶」と呼ばれるもので、事実を記憶する「陳述記憶」とは異なり、一度身に着くと前向性健忘でも忘れることはない。真織の絵は徐々に上達していく。
2人の交際も順調に続くようにも思われた。が。
もちろん、ハッピーエンドでは終わらない。
いろいろと手垢のついた感がある設定なのだが、しかし、この作品にはどこか清潔感(作中の透の言葉でいうならば「衛生感」か)がある。
悲しい話だが、清冽で、先に続く希望を感じさせる。
障害があろうとなかろうと、私たちは日々���いろんなものを失っていく。すべてのものを留めておくことなどできないのだ。けれど、さまざまなものが失われていく世界の中で、残るものも確かにある。
佳品である。
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衝撃の展開と裏に書いてあって、どれほどのものだろう?と思っていたのですがこの展開は本当に衝撃を受けました。記憶を忘れていく中での恋が切ないけど本当に美しかったです。とてもいい本に出逢えたと思いました。いつか映像化してくれたら嬉しいな・・・
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日野真織さんは、前向性健忘、事故に遭って、記憶障害に。
お姉さんが芥川賞をとったのはすごい。
神谷透の家族も色々ドラマがあった。その辺りを詳しく描いてほしかった。
お父さんも、良い方向に向かってくれてホントに良かった。
そして結末は、とても意外なものだった。
日野真緒さんの病気が、、、という流れではなく、
ネタバレなので言わないようにするが、全く違う角度でいきなり、突然、終わってしまう恋。
忘れてしまうのは悲しいが、
忘れない恋だったんだね。
学校図書館に置いても大丈夫な、恋愛小説本。
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読み始めた時、読み終えた今こんな感情になるなんて思いもしませんでした。
日常の中で今の自分を創り出しているものって"記憶"があるからかけがえのないものになり、楽しくなる。
それがなくなるというのは、本当になんとも言えない虚無感に襲われると思うし何もしたくなるなるのに、真織は前向きで毎日が新しい。
そんなふうに生きられるようになったのも、透がとても大きく存在していたからこそなのかなと思うと本当に切ない。
これから真織が何年か越しに透という人物を知っていく時、どんな気持ちになるんだろう。
頭での"記憶"はなくても身体が覚えている、それが繰り返されてる理由を知った時、透を愛おしく思う時、これからの感情すべてがあの時の真織と透なわけで、記憶にはないけど真織の中で透と関わった人の中でずっと生き続けている。
透という人間が、素敵な人だったからみんなの中で生き続けているんだろうな。こういったすべてが愛おしく感じる。
文章がとにかく綺麗で、素敵でこの中で生きている全員がとても愛おしいです。
この綺麗さが映像化されるとなると、どんなに綺麗に映るのか。今から待ち遠しくて仕方ありません。
素敵な作品をありがとうございました
これから記憶していく中で、真織達が真っ直ぐ生きていけますように
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2021/11/27
主人公の神谷透は、クラスでいじめられている下川くんを庇ったことがきっかけとなって、日野真織という女の子と付き合うことになるのだが、彼女から提示された条件が「お互いを好きにならないこと」というとても奇妙なものだった。
高校生が送る青春的なものが多く詰まっていて読んでて眩しぞ…!と思いきや…って感じで先が気になり一気に読み進めてしまいました。
この本に出てくる人々それぞれが葛藤する場面に直面していて、それをどう乗り越えていくのか、どう向き合っていくのかというところに自然と自分は焦点が向かっていってしまいました。
とても読みやすい話だと思います。
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とてもせつない。。
神谷くんの人柄がとても素敵で、一途に真織ちゃんを大事にする姿が儚くも美しい。
これからの人生を真織ちゃんが真っ直ぐに生きていけるといいな。
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記憶障害の真織ちゃんと、友達をクラスメートのイジメから護る為に真織ちゃんに告って何故か付き合う事になった神谷くんとのラブラブで切ないお話。
いやー泣かされました!
続きが気になってほぼ一気読み。いーヤツだなぁ神谷くん。
あたしはとても好きなお話でした(о´∀`о)
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透が病気になるのは予想してたけど記憶が戻るとは思わなかった。記憶が戻った状態でお互い好き同士で会えなかったのはものすごく残念だけど。記憶が戻った真織の中で透が生き続けていることは救いなのかもしれない。いつか透よりも素敵な人に出会い幸せになって欲しいと思うけど、透のことはいつまでもずっと忘れないで欲しい。