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息子さんの書いた小説仕立ての本なんて、と読む前は思ったのだが、意外やけっこうよかった。手元に残された古関裕而、金子の手紙を順を追って交互に載せ、間に著者の視点の会話をはさんでゆく、それがただのファンレターから愛に変わるまで、臨場感が現れていた。評伝とは違う小説の豊かな世界が現れていた。手紙そのものが素晴らしい。
しかし自伝では触れられていず、裕而氏も語ることのなかった「かぐや姫」入選、留学しなかった本当のいきさつの謎がかえって深まってしまった。「古関裕而 1929/30 かぐや姫はどこへ行った」(国分 義司、 ギボンズ 京子著 2014.4 近代文芸社刊)という、入選した「かぐや姫」の楽譜を追った本があるのでそれを読んでみたくなった。
手紙は当初は柳こおり一杯分のあったのが現在残っているのは紙袋一つ分だという。あるとき夫婦喧嘩をして怒った妻の金子さんが燃やしてしまった、と姉から聞いたと書いてあった。なにかその伝聞も古閑夫婦の知られざる一面が窺える。著者は長女さんとは14才も離れているので著者の知らないことも長女さんは知っていたのだろう。
2020.2.29第一刷 図書館
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通信方法が手紙か電報くらいしか無い時代の手紙の頻度はすごいなと思った。
本当に矢継ぎ早に書いている。
今ではLINEやメールでちょっと書けばいいことでも、手紙に書かなければならない。
二人の情熱の凄さもあるけれど、手紙しか手段が無かったという環境も、恋の盛り上げ役となっていたのかもしれない。
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はいはい、ごちそうさま。
と言いたくなるような、純愛のラブレターのやり取り。
極めて個人的な書簡のやり取りを、書籍にする意味はあるのだろうか。
ただ、この書籍がベースとなって「エール」というドラマが生まれたことを考えると、「エール」を生み出すために必要不可欠だったという意味で書籍化されて良かったと思う。
正直、ドラマの方が素晴らしい。
(比べるのは違うかもしれないけれど)
純愛の先にあるさまざまな困難、苦しみ、悲しみ、戦争、そして平和。
固い絆があれば乗り越えられるということかもしれない。