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Book Bang「作家・紗倉まなの新作 本領は描写力にあり」(週刊新潮)
https://www.bookbang.jp/review/article/614421
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紗倉さんはそのAV女優という職業柄、こうした小説という作品においても、どうしても「性」というものがテーマになってくるところがあるけど、この作品はいずれも群像に掲載された作品だけあって、純文学そのもの。そういえば、純文学こそそういう人間が持つ欲望のようなものが題材に取り上げられることを考えると、彼女の作品が純文学の世界にフィットするのは自然なことなのかもしれない。言い回し、独特です。どうしてこういう言葉を紡ぎだすことができるのか。恐らく彼女自身に蓄積された大きなストックのなせる技なんでしょう。作者の本職に左右されることなく全く自然な純文学作品という感じがしました。
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図書館の新刊にあって、たまたま手に取ってみた。
『春、死なん』
妻に先立たれた70歳の富雄。その歳になると、説明のつかない体調不良があったり、子供たちとの関わり方が変わってきたりする。富雄に見えていた黒い貝の正体は分からなかったけど、これからまだ長く続く富雄の人生にもう出てこないといいな。
性別は違うけど、自分がその歳になったときにどうなるだろうかと想像する。
『ははばなれ』
帝王切開の跡を、夫に怖がられる。
その話を聞いた娘が、自分のせいで母の腹に出来た傷が、両親の仲を悪くしていることをしる。
娘は、そうなる可能性を怖がり、結婚しても夫に内緒で避妊薬を飲み続ける。
夫はそうとは知らず、子供のない人生を歩む決断をする。
そんな視点があるんだなぁと興味深く読んだ。
こんな若い方が書いたとは、びっくり。
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2020/06/18リクエスト
2020/07/29予約
上手い文章なんだと思うが、わたしはあまり理解できなかった。
でも絶賛されてるのでいい本なのでしょう。
わからなくて悲しい。
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紗倉さんが書いた小説という点で、まず興味を持った。治部さんが書評を書いていらしたので、必ず読むと決めた。結果、読んでよかったと大変満足している。
高齢者の性や死生観が、大変興味深かった。
丁寧に描かれていて、作者はこういう眼差しを持った人なんだなと、作者の慧眼に惹かれた。とてもよかった。
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合唱団の先輩から話を聞いたので読んだが、特に感想はない。
偏見だということは承知しているが「AV女優をしている人でもこんな本を書くんだ…」と思っただけ。
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AV女優の紗倉まなさんの中編集。
カツセマサヒコさんが推薦していたので読んだ。
いや、思ったよりも文学的で驚いた。
「春、死なん」は高齢者の性をテーマにしている。70歳過ぎた独り暮らしのじいさんがエロ雑誌の付録DVDを見てマスターベーションしている姿は、想像するとグロテスクだ。
しかし、「老人は黙ってゲートボールでもしていれば満足なのか」と問われると、そんなわけないよね、とも思う。
性は一生のもの。
好きな人と抱き合って身体も心も温めたい、と願うのは、決して若い人だけの特権ではないはずだ。
もう一編の「ははばなれ」は自分が生まれたことによって長い間、性を奪ってしまった母に彼氏ができて…
娘の母ばなれを描く。
うーん、女性向けの小説集かな。
エロを期待すると重いかもしれません。
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表題作は、亡くなった妻 喜美代の思い出が吹っ切れない畠山富雄の複雑な気持ちを描いている物語だが、老齢期の男性の葛藤を女性の著者とは思えない的確な描写が楽しめた.学生時代の友人 高坂文江との出会いも話を面白く展開させている.「ははばなれ」は奔放な母を子供たちがやや持て余す話だが、帝王切開の傷の話が妙に気になった.
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臭気から老いや焦燥感を描写してくれる。
二篇の性と生。
唾液が乾き、腐敗したような臭いが乳の先から香ってきた。
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現役AV女優の描く純文学作品集。
・春、死なん
・ははばなれ
の編収録。
妻を亡くした老人の性欲の話と妊活できない自分と帝王切開して自分を生んだ母との話で特に後者は大変面白かったです。
老人の話は老人の妄想についていけるかどうかが好き嫌いの分かれ目になりそうですが、自分は好きな方でした。
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「年老いた男性の性」「母の性」を描いた二編からなる。どちらの登場人物もそこら辺にいる普通の人。歳を重ねても性に関心がある事は理解できるが、それが自分の親や家族となると素直に受け入れることは難しい。祖父、父、そして母であると同時にひとりの男、女なんですもんね。文章はとても読み易いが、子供の立場から当事者へと移っていく自分の年齢を思うと色々と考えさせられます。
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「春、死なん」「ははばなれ」老人の性と母の性を描いた2篇収録。
雰囲気的には、女による女のためのR-18文学賞を思わせる様な作品。
著者は1993年生まれの若い作家さんだが、老人の性を扱った濃密なテーマを瑞々しいタッチで描いていて惹きつけられる。
表題作の主人公は、妻に先立たれ、息子夫婦と二世帯住宅で暮らしている70歳の富雄。
コンビニでDVD付きのアダルト雑誌を購入する富雄には、夫だとか父親だとか言う前に、一人の男としての存在感を感じる。
老いが纏わりつき、死へ近づいているからこそ性に執着する人間の本能を感じた。
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読みやすくて、面白かった…
性に対する繊細な機微は、セクシー女優ならではの感性なのではないかなと思う。
直木賞作品というよりから芥川賞作品寄りの雰囲気を持つ小説だった。
私もこういうものを書けたらな…
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ダ・ヴィンチ2023 BOOK OF THE YEARに文庫が選ばれていたので読んでみました。
1『春、死なん』
妻を亡くした70歳の富雄が1度関係を持った文江と再会した。文江も夫を亡くしている。文江は西行の歌 願わくは花のしたに春死なん そのきさらぎの望月の頃
を出して満開の桜の下で満月の次の日に死んだ西行を羨ましいというものの…
文江が富雄を ねえ、トミー
と呼ぶところがなんだか妖艶というか怖い。終わり方もホラーっぽくて、一体どうなってるのかわからなかった。
2『ははばなれ』
父を9歳で亡くしたコヨミ。母に今まで男の気配はなかったが、今は彼氏がいる。スマホの写真を見せてもらうと父とは違うタイプ。父と母との出来事を思い出すと、今自分の結婚生活に対する疑問が生まれてくる…
帝王切開とその傷跡について書かれていて、そういう考え方をする人や子供もいるのかも、気付かされました。が、帝王切開や手術の後は勲章。昔なら死んでいたんだから、と個人的には思います。
少し表現がくどく、ピンとこないところがあるせいか本の世界に入りきれませんでした。
でも、2つとも夫に先立たれた時どう生きていきたいかを考えるきっかけとなったし、親子や夫婦に対する視点が独特で良かったと思いました。