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日本人でもこんなすごいジャーナリストがいたんだ。
世界の様々なアブナイ所に行って、現地の人が普段食しているものを食べさせてもらう。
端的に言えばこんな話なのだが、そのアブナさが半端なものではない。
リベリアの少年兵。アメリカに奴隷として送り込まれ、西洋民主主義を体感してから故国リベリアに帰ってきた”意識高い系”黒人が、地元でずっと暮らしてきた”遅れている”黒人を支配し、国の運営を始めたが、そんな状況が上手くいくはずもなく、泥沼の内戦が長期間続き、国は滅茶苦茶になってしまった。内戦はとりあえず終わったが、元兵士達の困窮は終わらない。
極東ロシアのウラジオストクにある北朝鮮国営レストラン。この食事はこの本で唯一、自分で食べる事が可能と思われる。北朝鮮の外貨獲得の重要な役割を持つが、そこのキムチは世界一美味しいと著者は言う。チヂミもとんでもない美味。ウエイトレスは選りすぐりの留学女子大生。行ってみたい。
圧巻はケニアの超近代都市ナイロビにほど近い巨大ゴミ山ダンドラ・ゴミ集積場に暮らす人。自然発火し有害な化学物質が大量に放出されているゴミ山で、普段食べられているものを頂く。それは牛の頭と足をトマトと唐辛子でじっくり煮込んだとても美味しい且つ危険な食事。そこから帰還し、著者は半年以上咳が止まらず、人生で初めて病院に通っている…
西側先進国では地球環境が大問題とされている(もちろん大切だ)が、なんだか裕福な者の気取った悩みって感じを受けないでもない。
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映像で見たから、同じところをなぞるような内容かと思ったら、映像では映せなかったようなシーンがとても多く、本を読んで良かったと思った。テレビで見たものはこの本を読むための予備知識であったと思えるくらいの内容。
筆者の心情含めてとても、良い本だった。
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テレ東の異質グルメドキュメンタリーが待望の書籍化。「食うこと、すなわち生きること」がメインメッセージ。リベリア、台湾、ロシア、ケニアで生きるために彼らが食べている料理とは。ありつくまでの背景とは。上出さんviewを通して世界のグルメ旅へ同行できて良かったと思える1冊。
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Yahoo!ニュースで注目
“他じゃ絶対にありえない"その内容で視聴者に衝撃を生んだ人気番組が書籍化。
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番組では放送できなかった裏側が見られる一冊。特にケニアのゴミ山の少年の話は臨場感があり吸い込まれた。
自分の当たり前は世界のそれとは大きく異なることを改めて実感した。
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生あるところ食あり。生きることすなわち飯を食らうこと。その日を生き延び、一日働いて得たたった一食の飯を分けてくれるスプーン一杯のひと口は、どんな豪華な御馳走でも味わえない痺れるほどの美味であろう。日々生き抜くことに精一杯の人間の姿をカメラで捉えるのは「ある種の暴力」と葛藤しつつも目を離せないでいる著者の感情の揺れが文章から匂い立ち、酔いしれる。これほどの人間讃歌があろうか。
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世界のヤバいところに行ってヤバい奴らが食べる飯を撮る、というテーマの番組を元に出版された本ですが、これがなかなか凄まじい。
世界の貧しい子供たちに〜なんて、綺麗事を言っているよくありがちな番組や本とは一線を画します。
全て実体験だからこそ伝わってくる鬼気迫る迫力があります。これは長く残したい、残って欲しい1冊です。
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世界のヤバい奴らがどんなヤバい飯を食って生きているのか
ここまで体当たりに日本からは絶対に見えない場所を取材したディレクターが今までいただろうか。
テレビ番組での本作は毎回欠かさず、YouTubeチャンネルで配信されているものも含めて見ていた。
今回、上出さんが本を出版されたとのことで、もちろんこちらも、という感じで手に取った。
正直見かけからは(失礼すぎるけど)ここまで文章が上手い人だとは思っていなかったので、良い意味で裏切られた。
テレビの画面越しでこの番組を見ると、元少女兵の売春で得た金で食べる飯など、編集はポップでも、見た目は生々しくヘビーだった。
テレビで見たことのある同じ場所でも、本を通してみると、細かい経緯や情景、作者の心情、取材相手・現地コーディネーターの細かい言動、そしてその飯が、文字からより深みのあるリアルさを感じられる。
たまにクスッとくる文章があるのも作者らしい。四字熟語も多用されているので、もともと文章を読むのが好きな方なのだろう。
「ヤバい」とこちらから勝手に感じてしまっているが、彼らからしたらそれは日常で、全然ヤバくなんてない。
そうとは分かっているのに、時折憐むような気持ちになってしまうのも事実で、生きることと食うこと、人間、平和、宗教、平等、なんだかいろいろな答えのないものについて、自然とまた、考えさせられてしまう。
日常のふとした瞬間に、時折わたしはリベリアの元少女兵の売春婦と、ナイロビのゴミ山で生きる青年を思い出す。
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『ヤバイ世界のヤバイ奴らは何を食っているんだ?」
ディレクター一人でカメラを携え、危険な地域に、物怖じすることなく立ち入るー。
彼が写すのは、食事をすることを通してみた、彼らの生活。
それを映像化したのが、テレビ東京の「ハイパーハードボイルドグルメリポート」。
そして今回書籍化したのがこちらの本であるが、
番組で放送したのが、本で書かれた全ての千分の一、と冒頭で述べるほど、内容は濃い。
リベリア、台湾、ロシア、ケニア…。4カ国の中での出来事が語られるこの物語は、今まで読んできた本の中でも、かなり真に迫った現実を、休む間もなく突きつけ続けてくる。
読み終えて、最も衝撃だったのは、物語で最初に訪れたリベリアだった。
著者が述べるところの「世界中の不幸の盛り合わせ」みたいな国であるリベリア。
日本からの支援物資は転売され、それを買う村人。椅子を持ち歩くのは、置いておくと盗まれるから、という子供…。
さらには、「エボラ出血熱」による惨たらしい死。
こうして不幸渦巻く現実に、エボラでさえ、富裕国による陰謀説だと唱える人もいる。そうしなければ、受け入れられない、という。
どうしても、比べて考えてしまう。
誰かと比べて自分は幸せだとか、優位だとか劣っているだとか。
しかしそんな薄っぺらなことを、この本が伝えたかったように思えない。
いや、きっとこう感じて欲しい、というわけではなく、もちろん筆者が感じたことも綴ってはあるけれども、ただただ事実のみを描きだして、読んだときにどう感じるかを問いかけてくるような気がした。
振り返る。
私たちは食べる。どんなに贅沢な生活を送っている人も、明日生きられるかもわからない人も。ならば、食べることを通じてなら、あらゆる人の生き様を垣間見ることができるのではないか。その着眼点には、思わず脱帽。
こんな短文でこの本のエッセンスは、まとまりきらない。でもこれだけは言える。
心して読んでほしい。そして読書を通じて味わってほしい。そんな一冊。
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思ってたのと違う!番組をちゃんと見たことがないので勝手なイメージで汚さ、危なさ、えげつなさだけを先行させていたら、とんでもない思い違い。
インタビューされる側の言葉が、必ずしも本音ではなく、言葉を発した瞬間にもしかしたらその人の考え方が変わっているかもしらん、選んだ言葉がその人の伝えたいことをうまく表してないかもしらん。言語の違いも影響しているかもしれない。私たちが手にしているのは、聞き手と話し手の2枚のフィルターを通って形になっているものかと思う。
でも上出さんの文章を読むと、フィルターがすごく効果的というか、逆にないと、私はただ文字を追うだけであれこれ考えることがなかったんじゃないかと。
あと、普通は食べ物の本ていいなーたべてみたいなとか作ってみよかなとかいう気持ちをかき立てるものやけど、この本ではそんな気には全くならない。何がゾクゾクするって、上出さんが相手と同じものを食べるとき、特に未知だったり食べたらあかんやろ的な物を口にする瞬間。なんかわからんけど、、ありがとうって心の中で言ってる。
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【善悪を越えて、人は食う。生きるために食い、食うために生きる。人間の振る舞いの何もかもが、その日の「飯」につながっている。だから「飯」は世界を見せてくれる】(文中より引用)
「ヤバい世界のヤバい飯」を追いかけるテレビ東京の異色のドキュメンタリー番組「ハイパーハードボイルドグルメリポート」。その書籍版にして完全版とも言える作品です。著者は、早稲田大学からテレビ東京へと進んだ上出遼平。
圧倒的な熱力を備えた傑作。リベリアの少年兵やロシアの教団の話も凄まじいのですが、やはり白眉はケニアのゴミ山におけるエピソード。善悪や常識の境界がぐわんぐわん揺さぶられる衝撃を受けました。これは今年のランキングに間違いなく入ってきそう。
ドキュメンタリーも観てみよう☆5つ
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生きているとお腹が減る。
何を食べているのかなっていうところに焦点を当てた本。
世界は広い。そして食べ物は様々。
いただきますとごちそうさまが言えるうちはまだ幸せだと気付かせてくれます
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テレ東の人気番組を書籍化した作品、著者はテレビ東京ディレクターの上出遼平さん。「世界のヤバい地域に足を踏み入れ×ヤバい奴らの食事を頂く」 というヤバいの掛け算的内容。「リベリアの人食い少年兵の廃墟飯」「台湾マフィアの贅沢中華」「ロシアのシベリアン・イエスのカルト飯」「ケニアのゴミ山スカベンジャー飯」とタイトルだけで読みたくなる。リベリア・ケニアなどは、建前のない国なので本能丸出しの人間ばかりで取材も命懸け、だからこそ読む価値があるし、読んだ後は人生観変わるくらいに面白かった。
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テレ東の深夜枠。放映されるたびに釘付けになってみていた番組の書籍化。時間を忘れて見入ってしまった。
書籍でも同じだった。
時間を忘れて読み耽ってしまった。すさまじい濃厚さだった。著者上出さんの書くところによると、番組で放送したのものは、実際にみたものの1/1000だという。本では、放送できなかった999が補われて、1000まで書かれている。納得の濃厚さだった。胸焼けしそうなほど。読み終わる頃には、圧倒されてしまった。それほどだった。
日本ではない、物理的にも心の距離も遠い「ヤバイ」世界での、「食事」という、誰もが行う普遍的な営みを追ったドキュメンタリー。『人は、生きるために食い、食うために生きる』と著者上出さんは書くが、確かにそのとおりで。どんな生い立ちのどんなヤバイやつでも、わたしたちと同じように、空腹では生きてはいけないし、生きていくために物を食う。良い奴も悪い奴も飯を食う。
リベリア 人喰い少年兵の廃墟飯
台湾 マフィアの贅沢中華
ロシア シベリアン・イエスのカルト飯
ケニア ゴミ山スカベンジャー飯
NetflixやAmazon primeのサブスクリプションでもみられる四食について書かれているが、ドキュメンタリーでは映されなかった飯も書かれている。 「現地ガイド」としてドキュメンタリーの脇役として描かれていた人々についても、本書では詳しく書かれている。
また、上出さんのジャーナリストとしての矜恃も取材するときのスタンスも興味深かった。『取材は暴力である。』『カメラは銃でありペンはナイフである。幼稚に振り回せば簡単に人を傷つける。』たとえジャーナリズムは、真実を暴く正義であったとしても、暴かれる側からしたら暴力であることには変わりない。そのことを知ってから、ドキュメンタリーでの、時に「それを聞くのか…!」とさえ思える質問も理解できた。とても興味深かった。
世の中にはまったくの善人もまったくの悪人もいなくて、ただ、人がいて、人は飯を食うのだ。人生観になんらかの影響を与えること間違いのない一冊でした。
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世界のヤバい奴らから、その日の食事以外のことも教わる。とんでもないノンフィクション本である。
どんな悪い人でも良い人でも金持ちでも貧乏でもお腹は空く。極論みんな飯を食べるために仕事をするし、嫌なことだってする。この本は人間の根源を再認させられた気がする。
ロシアのカルト教団は他人に迷惑をかけないで平和に暮らせればいいというような生活を山奥でひっそりしている。社会主義国の成れの果てだと片付ければ簡単だけど、これを読む限りでは本当に幸せそうなのだ。自分もそこに行って住んでみたいと思うくらい。
最後のゴミ山も下手な小説よりもたくさんの偶然が奇跡的に繋がり、ページをめぐる手が止まらなかった。
あとアフリカのスープはマジでうまそう。