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同級生の女子から絶えず言い寄られ、人妻との不倫に暗い愉しみを見いだし、友人は皆無の高校生・清家椿太郎。ある日、姉の御鍬が十字架に磔となって死んだ。彼女が遺した「この家には悪魔がいる」というメモ。その真意を探るべく、椿太郎は家族の身辺調査を始め、残酷な真実に辿り着く。第23回日本ミステリー文学大賞新人賞 史上最年少受賞作!
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城戸喜由『暗黒残酷監獄』読了。
まともなキャラは存在しないのだが、その狂った歯車で成立している世界はどこか本質を突いている。
本格ミステリのコードを知っている人が書いた文学みたいな印象が強く、そこが魅力だろう。
登場人物の言動のズレは飛鳥部勝則的で、倫理観を超越した作風は白井智之的なのだが、それでもパッチワークのような感じはなく、オリジナリティは保っている。伏線回収の仕方のさり気なさは端正で、有栖川有栖の評価を得たのも納得である。
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人妻と不倫していた主人公の元に「姉が磔にされて死んだ」という知らせが入る、という冒頭から引き込まれる。
姉の財布からは、「この家には悪魔がいる」という意味深なメモが発見される。「悪魔」とは誰なのかを突き止めるために、主人公が探偵役となり家族の素性を調査するというストーリーだ。
語り口が独特で、主人公やその周囲の人物の会話は、どこか現実味がない。
誰一人として、「小説の登場人物らしい」行動も、「現実にいる人物らしい」行動も取らない。
それなのに、一応理屈は通っている。
例えば、主人公は人妻と不倫するのを好むのだが、その理由は「雨になりたい」から。雨降って地固まる、という諺の通り、地を固めるために一旦家庭を崩壊させるために不倫を行うのだ。
このように、登場人物は常識的には考えられないような行動を取るが、行動をとる理由は登場人物の中ではきちんと筋が通っている。
倫理はないが、論理はあるのだ。
道徳を楽しむのには不適だが、二度誘拐された父、事故で死んだはずの母、自殺した兄、磔で殺された姉、奇妙な家族のミッシングリンクが主人公の地道な調査で明らかになっていくのは爽快感がある。
作者の次の作品が非常に楽しみな作品。
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日本ミステリー文学新人賞大賞受賞作。とりあえず、このタイトルを見ただけで「買い!」と思ってしまいました(笑)。
とにかくシュール。主人公がまずもうまったく好感が持てないながら、それでもキャラクターとしての妙な魅力があります。こんなのが身近にいたら嫌なんだけど、なんか目が離せない。そして彼を取り巻く家族やクラスメイトたちもあまりに独特すぎる! 何もかもがぶっ飛んだ印象なので、かなりひどい言動があるにも関わらず軽ーく笑って読めます。
姉の死と、それに関わっての「悪魔がいる」という謎。自らの家族について調べる椿太郎がたどり着く真実は、まっとうな人間ならかなり耐え難いものなんだけど。こいつがこんなんでへこたれるわけがないよなー。どこまでも飄々と乗り越えていく椿太郎の姿にはいずれ好感……はやはり覚えませんでした(笑)。でも「雨になりたい」という彼の言葉、一瞬いいこと言うとか勘違いしそうになってしまいましたよ。そりゃあ結果が良ければいいけどね。ぐちゃぐちゃにする時点で間違ってるから、それ。
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好き嫌いがはっきりすると思う。私は始めの数ページでやめようとしたが、好みばかりでは読書の幅が広がらないとまた、読み始めた。合わない。
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非常に好みで、早くも次作が楽しみ。
全く受け付けられなくて、読み通せないという人も多いのではという気も多分にしますが、
どうやら私はサイコパスの一人称をとても面白く読んでしまうという傾向にあるようです。
悪魔がゾロゾロ出てくる作品をたまたま続けて読んで、そのことに気づきました。
次もこの作風でいくのか、はたまた…
舞台が八王子なのがツボでした。
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家族への疑惑を暴いていく挑発人間に始終振り回され続けた。気がつけば「なんだこいつ」と言ってしまうだろう。トリックの内容は上々だった。
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どいつもこいつも。こういうこじれた会話は嫌いじゃないので読みごたえはあったけど、実にムカツク主人公だった。
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常人とは考えられないような振る舞いと言動の主人公とその家族も全員がどうかしている…としか思えないストーリー。登場人物のどうしても読みにくい名前、頭に入ってこないヒトもいるのでは…読了するがスッキリすることはない。
荒々しいストーリー展開と場面展開。主人公が高校生という設定に無理があるような気がする…
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これが初作とは思えないくらいにねじ曲がった物語。強さで言えば他の作品を今の所凌ぐ。読むうちに人間とは、リアルとは何かと脳内を侵食されて行く。
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日本ミステリー文学大賞受賞作に興味を持って手に取った。 十字架に磔けられ殺された姉の「この家には悪魔がいる」言葉を発端に弟の清家椿太郎は家族の秘密を暴いていく…。無感動で友達なし、人妻好きのおかしな(変な)主人公の独特な物言いと行動に妙に惹かれる。マニアックで先の見えない展開に戸惑いながらもあっという間に読了。
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日本ミステリー文学新人賞大賞受賞作。
本来なら「美しい」と感嘆するはずの伏線回収も、歪で罪人だらけのこの世界では、意味のないものに見えてしまった。
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04月-12。3.0点。
姉が磔にされ、殺害された高校生の主人公、兄も喪っている。一体どういう家族なのか。
胸糞の悪い性格の主人公。発言がすべてイライラさせる。
でも、読んでしまう。。
まー、どんでん返しとまでは行かない気がしたが、それなりに伏線を回収し、まとめた。
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五賞用。うーん、これはどう読んだらいいのかわからないまま終わってしまった。機能不全家族を描きたかったのかな?文章は誰の影響なんだろう?W村上や田中康夫的な文学のエポックメーキングになれるか否か。
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第23回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品。
史上最年少受賞作と言う事で文中からは躍動感が伝わって来た。
主人公は、人妻との不倫に暗い愉しみを見いだす高校生・清家椿太郎。
恋愛を絡めたドロドロ系ミステリーかと思いきや、兄の自殺、姉は十字架に磔となって死亡と、家族に次々と不可解な出来事が起こり始める。
椿太郎が家族の隠された秘密の真相に迫って行くミステリー。
言葉遊びの様に続く会話のキャッチボールは新鮮でリーダビリティは高い。
ただ有りえなさ過ぎる展開と、誰にも感情移入出来ない事で面白さを味わうまでには至らなかった。